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アトレティコ・マドリー冬の通信簿 23-24〜選手編MF&FW〜

後編!前編はこちら!



MF

5.ロドリゴ・デ・パウル(29歳🇦🇷)

ラリーガ:16試合(スタメン12試合) 0ゴール 4アシスト
CL:4試合(スタメン4試合) 0ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:労働基準監督署
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:ドリブルゲイン

アトレティコの愛すべき壊れた信号機は比較的言う事を聞いてプレーしていた印象。ダイレクトパスで積極的に背後を狙うパスを増やし、自身は右大外まで移動してポケット侵入をサポートした。人と人の間をスルスルと抜けていくドリブルで局面を打開する役割も担当。グリーズマン方向に進んで行けば相手が勝手に道を開けてくる事に気づき、19節ジローナ戦では3得点全てに関与。
左IHで起用されると無理が効きまくる守備能力で全方向をサポート。余計な事をさせないために致死量のタスクを用意する事に成功している。有り余る体力を解放する機会はCL決勝トーナメントにある。



6.コケ(31歳🇪🇸)

ラリーガ:16試合(スタメン16試合) 0ゴール 2アシスト
CL:5試合(スタメン4試合) 0ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:カピタン
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:タッチダウンパス

アンカーポジションで今季は特にセンターサークル付近からの配球とサイドチェンジの中継点として。3CBと協力して侵入経路を探す仕事をメインとした。コケの仕事は彼のキャリアの直線上にあるとは思いつつ、5,6年前のプレースタイルから考えると様変わりしているのが不思議。ガビを彷彿とさせるタッチダウンパスを通し、フリーにするのが危険な存在になっている。
相変わらずグリーズマンを見つけてパスを通すのが世界一上手く、それがチームのメインウェポンである限りコケがベストのMFだ。今季は最高の仲間達を従えて頂点を目指す。これはシメオネだけの物語に留まらない、コケの物語でもある。ハッピーエンドを見に行こう。



8.サウル・ニゲス(29歳🇪🇸)

ラリーガ:19試合(スタメン8試合) 0ゴール 5アシスト
CL:6試合(スタメン4試合) 1ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:12番目の存在
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:殺人タックル

復活復活と言われているが正直先季と変わらないパフォーマンス。先季も普通に良かったという意味で。左ハーフスペースを埋めて縦パスを受ける能力とネガトラで相手を吹っ飛ばす腕力をベースとし、タッチライン際でダーティに全振りしたスライディングで揉め事を起こす。最終ライン付近でも正確な配球と対人守備強度でチームに貢献するパーフェクトMF。やはりヘディングが強いMFは潰しが利く。キツい場面で最後まで走り続ける事とコケの代役は彼にしかできない。今季も確実なクローズと強烈な一撃を期待している。



11.トマ・ルマル(28歳🇫🇷)

ラリーガ:3試合(スタメン3試合) 0ゴール 0アシスト
CL:出場なし

スカッド内での役割:切り込み隊長
上手くいっている感:
⭐︎
注目したいポイント:コントロールオリエンタード

開幕からスタメンで使われたが5節バレンシア戦でアキレス腱断裂の重傷。左のIHは高い位置を取ってWBをサポートする事が求められる試合が多く、そこでネガトラの質が出せるルマルにはニーズがある。



14.マルコス・ジョレンテ(28歳🇪🇸)

ラリーガ:19試合(スタメン14試合) 3ゴール 3アシスト
CL:5試合(スタメン2試合) 0ゴール 1アシスト

スカッド内での役割:理不尽な筋肉
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:得点関与

筋肉番長はCL6節ラツィオ戦以外の全試合に出場。MFではコケの1559分に次ぐ1553分に出場した。IHとWBを行ったり来たりできて、押し込む試合ではポケット侵入、カウンターを狙う時は阿呆スピードで先頭を走れるので、基本的に不要な場面が少ない選手。
利便性は何より守備力で、インサイドでも大外でも対人でやられる事はほぼ無く、後方サポートからのスライディングもとんでもないスピードで飛んでくる。CKの後ろ残りの役割も得意で、広大なエリアを守る様は野球のセンターのよう。
本人は得点に直結するプレーができないとどこか不満げで、それが試合終盤の集中力にも繋がっている気がしてきた。コケのタッチダウンパスとの相性も良い。膠着した環境をひっくり返す飛び道具として、重要なゴールを決めたい。



24.パブロ・バリオス(20歳🇪🇸)

ラリーガ:9試合(スタメン5試合) 0ゴール 1アシスト
CL:3試合(スタメン2試合) 1ゴール 1アシスト

スカッド内での役割:技術
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎
注目したいポイント:天才性

今季はプレシーズンから、IHではなくアンカーで起用され、開幕戦途中でコケが負傷離脱した事からスタメン起用も増えた。IHとしての期待値も高い事は理解するが、現状はアンカーの方が断然良い。
外的要因を挙げると、現在のアトレティコのアンカーはコケがやっているようにフィジカル的なぶつかり合いや空中戦のニーズ、最終ラインを補完するポジショニングが要求されず、プレス回避とやり直しのポイント、そしてサイドチェンジの起点になる事がメインタスクで、これらはバリオスの特徴と合致する。
本人の要因を挙げると、先季からずっとだがこの選手は味方の配置を参考に自分の立ち位置と役割を判断する能力がびっくりするほど無い。皆無。そもそもボールコンタクト前に首を振り始めたのさえ最近の事で、周囲環境の把握も基本的にセンスに依存する。そのためIHで高さやレーンを調節し1stタッチの方向を決めたり周囲の選手とコンビネーションを使えという要求が基本的に無理。真っ直ぐ立って正面でボールを受ける事しかしない。なんだそれ。
そのため、アンカーポジションで相手プレスを外す360度コントロールをやらせている方が安心感がある。あと後方サポートしてバックパスをもらうくらい視野が確保されていた方が良い。このジャンルのテクニカルなMFにしては本当に手がかかる。
ボールを持った時の技術がスペインA代表クラスである事は疑いがない。あとは経験値。怪我のない日々を送ってほしい。



12.サムエウ・リーノ(24歳🇧🇷)

ラリーガ:15試合(スタメン10試合) 2ゴール 2アシスト
CL:4試合(スタメン3試合) 2ゴール 3アシスト

スカッド内での役割:カラスコの向こう側
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:相手ボールのスローインになった時の悔しそうなリアクション

先季はレンタル先のバレンシアで3000分プレーしてぶいぶい言わせてきた。満を持して迎えた今季もゴールに直結するプレーに特徴を出し、切り込んでのシュートの質も上々。目に見える結果でポジション争いをリードする。プレシーズンではとち狂っていた守備のポジショニングも徐々にアジャスト。新しい事をやっている最中ではあるが、お世辞抜きにすでにカラスコよりは上手い。
ロングカウンターで急先鋒になる事を厭わず、相手の背中でボールを要求するモチベーションと気合がある。センスもある。後半戦は強敵相手でどんなパフォーマンスが出せるか注目。



25.ロドリゴ・リケルメ(23歳🇪🇸)

ラリーガ:15試合(スタメン9試合) 2ゴール 2アシスト
CL:5試合(スタメン2試合) 0ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:イケメン
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:ラストサードの仕事

ジローナで水準以上の活躍をして戻ってきたカンテラーノ。複数ポジションを担当できる器用さと一瞬のスピードを持ってリーノとポジションを争った。足下でボールをもらって縦突破を選ぶならリーノより速く、ゴール前での細かいコンビネーションもリケルメに分がある。内側に入ってプレーできるのは良い事。CL5節フェイエノールト戦ではチームをグループステージ突破に導くハイパフォーマンス。まだまだ自分の特徴を出せる日と出せない日のギャップが大きく絶対の信頼とはいかないがチームの戦力に。確実性を上げる事が直近の課題。



FW

7.アントワーヌ・グリーズマン(32歳🇫🇷)

ラリーガ:19試合(スタメン19試合) 11ゴール 3アシスト
CL:6試合(スタメン6試合) 5ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:バロンドール
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:タイトル

最適化されたシステムの中で全試合にスタメン出場。プレス回避戦術の中心であると同時に神出鬼没の決定力で得点源でもある。プレースキックも蹴る。このチームはどこに行ってもグリーズマンのチームで、勝利はグリーズマンと共にある。
グリーズマン自身、周囲のサポートを得ながら周囲をサポートしていく事が自分に返ってくる実感を確かめながら気分良くプレーする。アトレティコで積み重ねたゴールは173に昇り、ルイス・アラゴネスのクラブレコードに並んで年越しを迎えた。
彼が世界最高の選手になれるかどうかはクラブのタイトルに依存する。



9.メンフィス・デパイ(29歳🇳🇱)

ラリーガ:10試合(スタメン3試合) 2ゴール 0アシスト
CL:2試合(スタメン2試合) 0ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:ラッパー
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎
注目したいポイント:ミドルシュート

先季冬に加入し、何よりもグリーズマンと呼応できるプレーとミドルシュートを含めたゴール前の決定力で"モラタよりいいじゃん"を印象付けたが、蓋を開けてみたらヒメネスより怪我する難しさがあった。まずはフィットネスを上げない事には話にならないが試合に使えさえすれば能力とコンビネーションは問題ない。まだ出番はある。



10.アンヘル・コレア(28歳🇦🇷)

ラリーガ:15試合(スタメン3試合) 4ゴール 1アシスト
CL:6試合(スタメン2試合) 0ゴール 0アシスト

スカッド内での役割:ペースチェンジャー
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎
注目したいポイント:クイックターン

年々プレータイムを減らしている。今季前半戦はスタメン出場は5試合だけ。先季でも合計18試合あった事を考えるとなかなか。でも4点取ってる。
どの仕組みにもハマる全方向性が長所だったはずだが、出場機会が限られすぎて特定業務しかやれない状況になっている。ジョレンテ、モリーナとの連携とポケット打開、あとは守備ブロックの強度補完で機能しているが彼本来の良さってなんだっけ、という状態。フラストレーションが前面に出てしまうシーンも散見される。ほぼ生え抜きのコレアにはいつも厳しめの目を向けてしまうが、クラブに残る決断をしたのは本人のはず。正しい競争の中でポジションを奪取したい。



19.アルバロ・モラタ(31歳🇪🇸)

ラリーガ:18試合(スタメン15試合) 12ゴール 2アシスト
CL:6試合(スタメン5試合) 5ゴール 1アシスト

スカッド内での役割:ストライカー
上手くいっている感:
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
注目したいポイント:キャリアハイ

好不調がよくわからずいつが全盛期なのかもよくわからないが、おそらく今である。今のチームにはゴール前の仕事に集中できる環境があり、その状態なら簡単に点が取れる。これ以上依存するとボロが出るし、これ以上出場時間が短いと多分出ていく絶妙なバランスの上に成り立つ。正直不調になっても一応替えがいる環境もアトレティコ的には助かっている。健康であるという才能もある。腹とか壊さなそう。
なんとなくスペイン人の若手の面倒見が良さそうな雰囲気もあり、年相応の振る舞いをしている印象がある。おそらく得点王になる事もクラブレジェンドになる事もないと思うが、偉大なタイトルの獲得者になるチャンスはある。




以上!チーム編は、いつ書けるのかな!

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