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ベテランの味をプラスして 30節 アトレティコvsビジャレアル(A) 2024.4.1

代表ウィーク明け。3月17日以来の公式戦である。ずっとドルトムントの試合を見ていたので不思議な感じ。お知らせですが今回はスペイン代表の記事はありません。普通に視聴期限終わってました。

まず恒例の代表戦出場時間から。

🇦🇷デ・パウル
3/23 エルサルバドル戦 65分まで
3/27 コスタリカ戦 72分から

🇦🇷モリーナ
3/23 エルサルバドル戦 73分から
3/27 コスタリカ戦 フル出場

🇪🇸モラタ
3/22 コロンビア戦 62分から
3/26 ブラジル戦 81分まで

🇪🇸(U-21)バリオス
3/21 スロバキア戦 45分まで
3/26 ベルギー戦 83分まで

🇫🇷グリーズマン
選出後辞退

🇳🇱メンフィス
3/22 スコットランド戦 77分まで
3/26 ドイツ戦 75分まで

🇸🇮オブラク
3/21 マルタ戦 45分まで 0失点
3/26 ポルトガル戦 フル出場0失点

🇷🇴モルドヴァン
3/22 北アイルランド戦 出場なし
3/26 コロンビア戦 フル出場0失点

🇲🇪サヴィッチ
3/21 ベラルーシ戦 出場なし
3/25 マケドニア戦 フル出場

🇧🇪フェルメーレン
3/23 アイルランド戦 フル出場
3/26 イングランド戦 出場なし

過負荷が心配されていたグリーズマンが怪我で休んでくれたのはアトレティコにとってはプラス。メンフィスとバリオスがけっこうプレーした。フェルメーレンはアイルランド戦だけフル出場。アルゼンチンコンビはこの日出場停止。

さてビジャレアル。前回対戦

この試合の後監督がマルセリーノに代わり、最初はとんでもない失点数だったが21節から29節まで負け無しの5勝4分。ベティスがもたもたしている間に欧州圏が見える位置まで帰ってきた。ここからアトレティコ→アトレティック戦、終盤にはジローナ→マドリー戦が残るタフな日程。ここに来てSBを中心に怪我人が続出しているのが心配ポイント。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / ヘイニウド
ジョレンテ / バリオス / コケ / リーノ / リケルメ
グリーズマン / メンフィス

デ・パウルは累積、モリーナは一発退場で出場停止。
CBはヒメネスが2月20日のインテル戦1stレグ以来の復帰。一方エルモソを怪我で欠く事に。代表戦を飛ばしたグリーズマンは無事スタメン。

・ビジャレアル
ヨルゲンセン
モスケラ / アルビオル / マンディ / クエンカ
カプエ / パレホ / コクラン
ジェラール・モレノ / スルロット / ゲデス

ラウル・アルビオルが26節以来の復帰。後半戦になって途中出場が多いカプエもスタメン。加入してから負けていないゴンサロ・ゲデスもスタメンに。



●前半

リーノがIHの役割になるはずもなく、リケルメと2人で左サイド侵入を目指す。リーノが内側。
中盤はバリオスが右ハーフスペースを上下動。最終ラインにヴィツェルとヒメネスを広く配置し、ジョレンテとヘイニウドがコケと並列くらいの高さからスタートするので、右サイドはグリーズマンが大外で待つ事も多々あった。

ジェラール・モレノとゲデスを起用したビジャレアルの非保持は4-3-3風。パレホがコケまで前進してくるのでアトレティコは割とジョレンテが最終ラインを離れられない。バリオスはコケのサポートをする必要があるがあまり低い位置にいても渋滞する難しい環境だった。人はいるのにコケは孤立。その要因はヘイニウドがあまりにも保持で無力だった事。ここまで周りと繋がれないイメージはないんだが、この日は特に仕事が出来なかった。

最終ラインにヒメネスがいる事で斜めのロングボールが使えるのは長所で、大きな展開はコンパクトに守りたいビジャレアルからするとあまり使われたくはなかったのではないかと想像する。


・リケルメとリーノの併用
普段の3-5-2でも片方のIHは高い位置へ出ていく事が要求されるのでそこまで違和感はない。ただ作図しにくいというのはある。
主にリケルメが外側で幅を取って右SBと対峙したが、モスケラが対人得意タイプだったので一苦労。攻撃参加の意欲も凄く、試合を動かした張本人だった。リーノは内側に立つとスペースさえあればメンフィスを飛び越えて右側まで走ってくる。7分に早速グリーズマンのスルーパスに反応した決定機が典型的で、良い飛び出すだった。同時にモラタがいる試合だとこういうスペースは空けてもらえなそうでもある。この日はメンフィスがこの2人を上手く操縦したので、特にカウンター局面でスピードに乗ってゴールまで進んだ。リケルメには惜しいミドルシュートも2つ。リーノはネガトラを想定していないポジショニングをする(普段からだが)ので後方をヘイニウドに全委託する思い切りがあってこその配置な気はするが、この試合では一定の効果があったように思う。


アトレティコの先制点はセットプレーから。リケルメのCKにヴィツェルがニアでふわっと合わせてファーに沈めた。アフロならではのソフトタッチ。坊主だったらふかしていたと思われる。ヴィツェルはこれで前回対戦に続いて対ビジャレアル2戦連発となった。

非保持はどうすれば上手く守れるかよりもどうすればこのメンツで余計な負荷なく守れるかがメイン。

相手が3トップだから後ろは4枚。まさかリーノをCHに立たせて低く守るわけにもいかず。ではやや前から行きましょう、という様子。これでヘイニウドがジェラール・モレノにぶち抜かれでもしたら配置の負けなわけだが流石にそこは大丈夫。にしてもヘイニウド、少し心配なパフォーマンスが続く。様子見。

30分過ぎからは1-0での前半終了を目論んでグリーズマンが明確に右SHに落ちて5-4-1へ変化。

この前半で言うと、前からボールを追いかけたところで大したリターンがなかったので5-4-1でも問題ないという気持ちと、プレス回避もビルドアップも上手くいかないので低い位置でボールを持つのは嫌だという気持ちが同居し、妙にエルモソのありがたみを実感する45分だった。



●前半終了

久しぶりにリードして前半を終えた。欠員がいる中で普段と違う配置でもそれなりの出来。この日のやり方はリバイバルはしない気がする。
バリオス以外周辺をサポートする味方がいないコケが過労死しそうなビルドアップを繰り返していたのと、このままだとネガトラで必ずカードをもらってジローナ戦出られなくなりそうな雰囲気もあったので45分での選手交代は想像できた。



●後半

という事でリケルメ→サヴィッチを交代。ヴィツェルを中盤に上げる形でコケを救う事に。

後半

正直この日のメンバーだとこれしか手段がなかった。
非保持を5-4-1にしたのは狙いが明確で良かったが、この中盤3人だと「攻撃はFWとWBで頑張ってきてください」となるのは良くない点。
守備ではサヴィッチがスルロットのポストプレーを見張る役になったが、コクランと一緒にカプエまでライン間に顔を出すようになり、なんとなくスルロット周辺のサポートが足りるんだかどうなんだかとなった50分に、同点ゴールを献上した。サヴィッチも寄せ切っていたのでシンプルにシュートを褒めていいが、マーク設定が正しいとは言えない。くらいの感想。ただまあシュートは上手かった。スルロットはこれで14ゴール目でモラタと並んでランキング5位タイ。


さて追いつかれてしまっては点を取りにいくしかないアトレティコ。メンツの悩みを抱えたままシュートシーンでボールを持つのがコケになったりとあと2人くらいは前に人が欲しくなり"さっさとコレア"状態に入る。

ところで触れるタイミングがないので書いておくとこの日のアトレティコはセカンドボール回収やらブロック守備やらの要所はかなり良かった。代表ウィークも挟んだしアジリティがキレていたのと頭もクリアだったように思う。特にバリオスはかなり良かった。謎のカードが出たスライディングも背中を取られそうな場面を出足良く飛び出した良いシーン。全然ボール行ってたし取消申請案件でしょう。

結局選手交代は66分に。ここまで待ったのはシンプルにコレアの交代対象がグリーズマンだったからでしょう。プレータイム制限の都合で逆に早く替えられなかったという。同時にモラタとアスピリクエタ投入。交代はメンフィスとヴィツェルだった。ジョレンテが中盤へ。

同じタイミングでビジャレアルはIHを入替。スタミナの都合かもしれないが雰囲気的には攻撃シフトなのかもしれない。少なくとも守備固めではないでしょう。

アトレティコはこの交代以降攻撃が活性化したのはアスピリクエタの影響が大きい。

右の大外からジョレンテのやりたいプレーを引き出す事を最優先で意識した。この選手はこういう、味方に相手主体でコネクトしてあげるのが抜群に上手い。あまりにも気が使える。自身がサポートポジションに立ってジョレンテのランニングレーンを空ける事と、逆に自身のランニングで大外にフリーのスペースを渡す事を狙い、ジョレンテに自由を与えた。単純な攻撃性能では測りきれない貢献度。これがベテランの味ですね。

試合展開はモラレス、ペドラサ、ベルトラン・トラオレの登場でトランジション色が強まり既にカードをもらっているバリオスの存在が体力面含めてリスクになると判断し、84分にサウル投入。決勝点は87分、そのサウルに生まれる。

右大外にジョレンテがポジションしコケがサポート。ニアゾーンにコレアが関与した。コレアが内側にポジションしたアスピリクエタを使い、アスピリクエタのフリックしたボールをサウルが落ち着いて流し込んだ。ボール一個分のコースへ。ビジャレアルは怪我明けのラウル・アルビオルを下げたのが影響したのか、していないのか。アトレティコは途中投入の3人でもぎ取ったゴールを守り切り、アウェーゲームは1月22日のグラナダ戦以来、CLと国王杯を含めると7試合ぶりの勝利となった。



●試合結果

後半に追いつかれて、突き放して。引き分けるといよいよCL権が怪しくなってくる難しい試合を制した。終盤のラッシュが身を結ぶ試合を作れたのはシンプルにポジティブ。この日のメンツだと足りなかった中央の厚みが問題となる中で、その厚みをもたらすべきサウルが最後に得点に絡んだのもポジティブ。モラタの近くにポジションしていたのも彼らしい。
代表に行っていた選手たちのプレータイムを制限しながら復帰したヒメネスを90分使えた。年明け以降ホームでは負けていなかった上り調子のビジャレアル相手であり、ベストな結果である。

マルセリーノのチームらしく、ビジャレアルが最後まで勝利を目指した事もアトレティコからするとプラスだった。とはいえパレホのシュートで息の根を止められそうだったのも事実で、紙一重ではあった。結局最後まで欧州を狙える位置にいるでしょう、このクラブは。

来週は国王杯決勝があるのでお休み。休養十分でミッドウィークのCL1stレグへ向かう。ドルトムントのスカウティングをお待ちください。


4/1
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
ビジャレアル 1-2 アトレティコ
得点者
【ビジャレアル】'50 スルロット
【アトレティコ】'9 ヴィツェル '87 サウル


●ピックアップ選手

リケルメ
また"惜しい"で終わった。
得点が遠い。

バリオス
出足が良く非保持のバランスの取り方も良かった。攻撃のタスクが多すぎたが代表で良い感触を掴んでいる印象

ヒメネス
フル出場は1月26日の国王杯セビージャ戦以来。
良い予行演習に。

サウル
投入して3分で決勝点。義務イエローももらって通常運転。

アスピリクエタ
味方を活かしてチームを活性化させた。終盤戦へ向けて貴重な存在になっていく。

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