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まだ反省を糧にできる時期 13節 アトレティコvsビジャレアル(H) 2023.11.12

どうも、インフルエンザです。

ミッドウィークに無事セルティックに勝利、リーノの復帰と良い結果を得たアトレティコ。引き続きのホームゲームはビジャレアル戦。前回対戦は先季の最終節。

前節ラス・パルマスに負けているアトレティコはここは勝って代表ウィークに入りたい。幸い日曜の最後の試合にしてもらえた(ビジャレアルも木曜にELがあったので)。余談だがラリーガの運営は欧州大会に出てるチームに対して寛大だよね。他のリーグ知らんが

開幕から低空飛行を続けるビジャレアルは5節にセティエンを諦め、パチェタを登用。しかし状況は一向に上向かず、すでにマルセリーノ・ガルシア・トラルと話がついているような報道も出てきた。そしてアトレティコ戦直前にパチェタを解任。前半で3点取られた前節アトレティック戦では選手交代時にパレホが監督を無視しているようなリアクションも見られ、色々終了していた印象。このアトレティコ戦はフットボールダイレクターのミゲル・アンヘル・テナが指揮を取る。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / エルモソ
モリーナ / デ・パウル / コケ / サウル / リケルメ
グリーズマン / モラタ

ヒメネスはCLセルティック戦に続いてスタメン起用。スペインA代表に初選出されたリケルメをここでも継続する。

・ビジャレアル
ヨルゲンセン
アルティミラ / ラウル・アルビオル / クエンカ / アルベルト・モレノ
パレホ / カプエ / バエナ
ジェラール・モレノ / ジェレミー・ピノ / スルロット

右SBのアドリア・アルティミラは先季からBチームにいる22歳。ベティスにもアルティミラって選手いるけどややこしいね
前線は言い訳無用の3枚が揃った。ピノは9節ラス・パルマス戦以来約一ヶ月ぶりの復帰。




●前半

この試合のビジャレアルは全体的にエメリ時代の配置に似た様子になった。

ビジャレアルの保持。ビルドアップの役割を明確にする。アトレティコはボールを持たせる前提で、2-2ビルド隊への圧力は限定的。ポイントになったのはピノvsリケルメの1vs1と、突っかかった時にスルロットの背後へのロングボールを使ってくるところ。まあリケルメは代表選ばれたんで止めてくださいって感じで、スルロットはヒメネスがいるから大丈夫ですね、という感じ。ピノとジェラール・モレノが関わるコンビネーションは警戒しましょう。

ビジャレアルは非保持4-4-2。アトレティコはボールを持つと両HVが1stラインの向こう側にポジションする1-3で配置。1-3-5-1って感じかな
ビジャレアルは2トップの追い方があまり良くなく、アトレティコの狙いは相手SH付近で数的優位を作る事にあり、

この辺からの侵入を第一の狙いに
ビジャレアルは潔くSHがアトレティコのWBに張り付く守備を作っていく。

他のチームがやっていると「SHが最終ラインに押し込まれていて、これは良くないぞ」となるところだが、エメリのビジャレアルは割とこれが普通の対応だったのであまり違和感はない。選手達も理解してやっていたと思われる。カウンターの抜け道は限られるがパレホとカプエを使ってプレス回避できるからこれでいい。
アトレティコはこれを崩す手段としてハーフスペースからのアーリークロスを多投。狙いをもった良い攻撃だったと思います。主に右からはデ・パウルが、左からはエルモソが入れた。

・アトレティコ優位の形勢のはずが
ということで、この日のアトレティコは守備では警戒ポイントをしっかり抑えており、攻撃ではビジャレアルを敵陣に押し込む形を作れており有利に戦える環境を作れていた。しかし20分に失点する。原因はアトレティコの壊れた信号機ことデ・パウルの無駄なプレスから。

アトレティコは良いプレスがかかっており、GKにボールを戻させて効果的に各所を消している。相手CBにはそれぞれFWのモラタ&グリーズマンがついて、中央の要であるパレホをコケが消す。相手左サイドにはモリーナがSBアルベルト・モレノまでジャンプ。引いて受けようとするバエナにはヴィツェルがついていった。よく整理されている。ただし、デ・パウルだけが消しどころを理解していなかった。

意味不明な二度追い


ビジャレアルはプレス回避成功。抜けた先の環境は5vs5でしかもモリーナが相手SBまでジャンプしているので戻りきれず、その背後を使われて失点した。
デ・パウルはプレス形とは何を目的に設計されていて何をすると人数比が変化するのか、何をすると何処がリスクを負うのかを一から学び直したほうがいい。これでは右IHでは使えないでしょう。左IHはWB&HVとの関係がはっきりしているのでそっちで使ったほうがいい。アトレティコの5-3-2が何物なのかすら理解できていない選手がスタメンで出ている事実が気に入らない。


この失点でアトレティコはビジャレアルの保持を追いかける必要が出てきて、28分にも深追いしてスルロットに決定機を作られたがオブラクがスーパーセーブ。決まっていたら終わってた。

・アクシデント
34分にスルロットにアクシデント。代わりにテラッツを入れる事になってビジャレアルは一気に前線の怖さがなくなり、アトレティコを牽制できなくなる。代わりのストライカーがいないというのはなかなか厳しい。この交代でバエナが最前線に動き、バエナがやっていたところをテラッツがやると、ヴィツェルの仕事がだいぶ軽くなった感がある。

アトレティコはロスタイムに同点に追いつく。
リケルメ、サウル、グリーズマンで左サイドを突破し、ファーサイドで攻め残りしていたヴィツェルが合わせた。これがアトレティコでの初ゴール。



●前半終了

嫌な形で先手を取られ、前がかりになったところで再度ピンチを迎える展開。0-2になっていたら全然違っていたし、スルロットの負傷がなければまた状況は違っていた。ロスタイムの同点ゴールはセットプレーの流れで、ビジャレアルが逃げ切りの手段を準備する前に同点にしてハーフタイムに入れた事も結果的には大きかった。チーム状況がどん底のビジャレアル相手にお付き合いするような45分になった事は全くポジティブではないが、なんにせよ同点で折り返した。



●後半

ビジャレアルはピノに替えてイリアスを入れる。ピノは45分限定だったのかも。ミッドウィークは25分だけの出場だった様子。
アトレティコはサウル→ジョレンテを交代。

後半開始時

こうなった
アトレティコはジョレンテ&モリーナが右ポケットを取りに行くようになり、コケとヴィツェルが手厚くサポート。セカンドボールもほぼ拾える形でゴリゴリに押し込んでいく。クロスが何度もモラタに合い、リケルメが何度も大外を突破しチャンスを作り、勝ち越し点は時間の問題という展開が永遠に続いた。
ちなみに前半に「デ・パウルは左IHなら」と書いたがこれだけ押し込む時間が続くと左IHの仕事は実質エルモソがやる事になるので、左足で一切ボールを蹴れないというハンデを自らに課しているデ・パウルはリケルメの外側のポジションで絶対にプレーせず、サウルのようにFWタスクをする事もないので正直いてもいなくても変わらなくなった。つまりいない方が良かった。65分にコレアと交代し、同時にリケルメ→リーノを入替。さらに70分にモリーナ→バリオスを交代し、状態の良いジョレンテを大外に動かした。

この時間帯はビジャレアルもプレスを突破してチャンスを作ろうという意志があるのかないのかも微妙な感じになっていき、イリアスが一人で頑張っていたが全然無理があった。

アトレティコのようやくの勝ち越しは80分。グリーズマンはFWなのかIHなのか、最終ラインは3枚なのか4枚なのかなんて事は実際どうでも良い。
重要なのは、どこで誰がボールを持つ事ができて、何処からクリーンなボールを配球できるか、である。

アトレティコは押し込みの配置が良い。
2トップはPA内。左サイドからリーノは内側でボールを持ち右足で、エルモソが外側からサポートして左足でクロスを狙える。コケ&ヴィツェルが中央レーンからサポートに出られる位置にいる。
逆サイドでは3人で大外を取ろうと画策。ここではコレアがファーに飛び込んでいく。ロメロが釣られてついていった。

一度エルモソを経由して再びリーノがボールを持つと、ビジャレアルはジェラール・モレノまでここの守備に対応するが、あまりにも重心を下げすぎてボールにアタックする人数が足りていない。コケがフリーで配球し、コレアのマークを内側のアルベルト・モレノに受け渡したロメロが一瞬気を抜いてジョレンテが背後を取った。ダイレクトの折り返しにグリーズマンが合わせて勝ち越し。
ビジャレアルは全員で撤退するならボールに出ていく人数を整理すべきだったのと、数的に足りているからといってファーサイドがボールウォッチャーになった。出し手のコケも折り返したジョレンテもフリーで、これだとアトレティコは質が出せる。

最後はバリオスがトランジションを独走してリーノの2戦連発のゴールをアシスト。終わってみれば3-1で試合を終えた。



●試合結果

どう考えてもアトレティコのペースで進める事ができるはずだった試合を自分達で難しくした前半だった。展開が変わったきっかけもビジャレアル側のアクシデントで、下手な試合をしたなという感想。
後半に入ってから一方的に押し込む展開を作り、徐々に決勝点に近づいていく中で理想的な得点を生んだのは良かった点。焦る必要はない45分だったが、なかなか得点にならずソワソワする展開に、選手交代でブーストを掛けていったシメオネは流石である。グリーズマンの得点は納得感のあるものだった。反省点は大いにあるし、同じ試合は二度と見たくないが勝てたので、これを糧にする事はできる。
これでアトレティコは一試合未消化でジローナを6ポイント差、マドリーを4ポイント差で追う。代表ウィークを挟んで年明けまで休みなく駆け抜ける。

ビジャレアルは代表ウィークを挟んで新監督が就任する事になる。たぶんマルセリーノ。浮上の鍵は怪我人が握っている、では面白みがないのでポジトラの整理がポイント、と言っておく。


11/12
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 3-1 ビジャレアル
得点者
【アトレティコ】’45+1 ヴィツェル ’80 グリーズマン ’85 リーノ
【ビジャレアル】’20 ジェラール・モレノ


●ピックアップ選手

ジョレンテ
後半から入ってクオリティを見せた。バランスを取る感覚と裏を取るスピードで決着をつけた。クロスのフィーリングが良く好調。

ヴィツェル
パス成功92%で保持を助けた。守備は空中戦も地上戦も完璧。前半のうちに決めた得点は結果的に大きかった。アトレティコでの初得点。

エルモソ
得意な押し込む展開で保持の中心になった。前を向くと必ずミドルシュートをチラつかせる受け方が良い。

バリオス
コケの隣でバランスを重視し、コレアとジョレンテの突進をサポート。得意な仕事ができた。リーノをアシストした疾走はアトレティコのMFになった感があった。

リーノ
短い時間だったが決定的な仕事を連発。良い状態で中断期間に入る。

グリーズマン
なかなか自由にボールを触れない試合だったがきっちり勝ち越し点を決めてチームを勝利に導いた。

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