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挽回の機会へ コパデルレイ準決勝1stレグ アトレティコvsアトレティック(H) 2024.2.7

あれよあれよと準決勝。恥ずかしながらコパデルレイの準決勝をレビューするのは初めてとなります。ありがとうございます。

準決勝に進んだのはマドリーに勝ったアトレティコ以外にマジョルカ、ソシエダ、アトレティックの3チーム。ホーム&アウェーで戦う準決勝はどう考えてもマジョルカが一番楽な相手であり、アトレティック、しかも2ndレグをアウェーで戦うくじ引きが最悪。と思っていたがまあそれになりました。
唯一の恩恵は1月25日のセビージャ戦からここまで一つも遠征がない事でしょうか。2週間ずーっとマドリードにいる。もっと言うと1月10日にサウジでマドリーに負けて以降一度しか遠征していない(1月22日グラナダ戦)。実質約一ヶ月間ほとんどマドリードにいる。真面目な話これは新加入選手にとっても大きい事なのではないか。練習の事とかお引越しの事とか。余談ですが今週末はそのセビージャとのアウェーゲームに遠征します。

前回対戦。アウェーで0-2惨敗。リベンジといきましょう。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヴィツェル / ヘイニウド
モリーナ / デ・パウル / コケ / バリオス / リーノ
グリーズマン / メンフィス

サヴィッチの公式戦2試合連続のスタメンは12月10日アルメリア戦、13日ラツィオ戦以来。
左はホームゲームに強いリーノ。
FWはメンフィスになった。

・アトレティック
アギレサバラ
レクエ / ビビアン / パレデス / ユーリ
プラドス / ルイス・デ・ガラレタ / サンセ
イニャキ / ベレンゲル / グルセタ

国王杯のGKはアギレサバラ。右SBはリーノキラーのイニゴ・レクエが間に合った。
イニャキが無事出場し、怪我から復帰のベレンゲルも先発。



●前半

ホームのアトレティコはボールを持つ事ができたが、アトレティックも強気な守備設定。

週末のマドリーの対応に形は似ているが少し違っていて、グルセタがヴィツェルの正面に立ちながらサヴィッチ方向へ対応。頑張りどころはベレンゲルがサヴィッチを牽制しながらモリーナに対応する箇所。サヴィッチからの縦パスルートを消しながら広範囲に動く仕事。サンセはコケを消して、ヘイニウドをイニャキをぶつけてくる。コケのサポートをするデ・パウルにプラドスが張り付いた。このデ・パウルに張り付かれた時にどうやって打開するかは課題でしょう。特にこの日はエルモソがいない。ヘイニウドが悪いとは全く言わないが、エルモソと比べるのは酷な話。むしろエルモソが特殊なわけで。

アトレティックがこの設定をできる理由は右SBにレクエがいる事で、彼がリーノを完璧に抑え込む。リーノに近づき縦に追い越したりしてズレを作ろうとするバリオスにルイス・デ・ガラレタが対応するので、なかなかこの1vs1の環境に周囲を巻き込む事ができなかった。リーノが一度でもドリブルで抜き切る事ができると試合は簡単になるのだが、少なくとも前半の内は手も足も出なかった。

アトレティックとしても、速いカウンターが使えれば話は変わってくるがアトレティコもそこはもちろん最大限に警戒しており、あまり攻撃の選択肢を与えなかった。パレデスからイニャキに出てくる対角のロングボールが配球の中心になったが、ここはリーノがよく我慢していた。アトレティコの左WBにはこのハードタスクが必要。いよいよカラスコと比較して良い存在になってきた感。デ・パウルは相変わらずプラドスを喧嘩に巻き込みつつもどこまで落ちたらプレッシャーから解放されるかを冷静に確認しながら前進を助けていく。

探り合いが概ね終わり、さて次の選択肢は。という22分にPK献上。直前のボールロストの責任を取りにいった格好でヘイニウドがプラドスの足を狩ってしまった。かなり危険なチャレンジだったがプラドスに怪我がなかったのは一安心。これをベレンゲルが決めて、アウェーのアトレティックが先制。ヘイニウドは猛省。

守ろうと思えば守れるアトレティックはとりあえずこの一点をホームに持ち帰る事が第一の目標となる。
PKを与えたアトレティコは主審にプレッシャーをかける以上にジャッジにネガティブになっていき、それでもホームチームに流されずに公平なジャッジを続けた主審はビッグマッチ向きだった印象。アトレティコからするともう少し靡いて欲しかったけども。

攻撃の選択肢はグリーズマンが持った。なかなかブロックの内側でボールを触れなかったグリーズマンは一つ低い位置から斜めにバリオスを狙うボールを連発。

バリオスとリーノのコンビネーションでシュートまで行ける環境を準備した。
アトレティックは40分過ぎにイニャキとベレンゲルの左右を入れ替えたけど何故でしょう。ベレンゲルをちょっと休ませる、的な。



●前半終了

PKの一点で0-1折り返し。アトレティックに上手く守られ、至る所で"もう一人いれば"という攻撃に終始した。個人的には相手がわざわざリーノの1vs1のスペースを準備してくれているのだからここを突破しなさいよという感覚で、このチャレンジは後半も続く事となる。

もちろんリードして2ndレグに向かいたいが先制されてしまったものは仕方ない。最低限同点で終えたい後半へ。



●後半

アトレティコはヘイニウド→エルモソを交代して後半。イエローカードをもらった事と、点を取りにいくためには攻撃的な交代を必要としていたため、納得感のある交代。

エルモソの投入で明確にボールの循環を変えたアトレティコ。イニャキとサンセより向こう側でボールを要求して前進開始。

大外のリーノを使いながら自分はポケットへ入っていく事で配球担当のエルモソが自ら"もう一人"を生む形を作っていった。変な選手である。
この配置のメリットは、高い位置にいる事が要求されるバリオスに高い位置で後方サポート役をさせる事ができる点で、彼に得意なタスクを与える事に繋がっている点は見逃せない。当然エルモソは別にそんな事考えてプレーしていないが。

エルモソ(左HV)が最終ラインからいなくなる事で、セカンドボール回収の仕事をコケが一身に背負う事になり、サンセを気にしながらタスク完遂するのは到底無理そうに思われたが53分にサンセが下がってくれたのは助かった。アトレティックは同時にグルセタ→ビジャリブレを交代し毛量を増やしていく。

ボールが欲しい&引いても何も起きないアトレティコは後半、久しぶりに全力前プレ。

ヘイニウド→エルモソを変えた後に左HVがイニャキの大外対応をさせられるのはどんな冗談だという感じだが、仕方ない。アトレティックはニコがいない、デ・マルコスもいないという都合もあり、アトレティコのペースに付き合う事になってしまい我慢の時間に入る。
前プレの結果スピードに乗った状態で1vs1を作れるようになったリーノが少しずつリズムを掴んでいく。自分の得意な形が出れば優位を生める能力は流石。ペースが上がればバリオスのクオリティが生きる事にも繋がる。その後ジョレンテとモラタの投入でさらに縦方向のスピードを強めていった。

アトレティックの守備の優れていた点は4バックがカバーする横幅の広さで、特に左SBのユーリはアトレティコのサイドチェンジに反応して空中戦でボールを回収。それでいて地上戦でジョレンテとやりあえてしまうのだからとんでもない。代表選ばれろ。

煮詰まってきたアトレティコは73分にバリオス→コレア。グリーズマンが左に動くが、こうなると彼の良さが出ないフェーズに入っていくと同時に、リーノの1vs1環境もなくなってしまう。個人的には同じタイミングでリーノ→リケルメを変えてしまった方が効果的かなという感想。そしてジョレンテ、コレア、デ・パウルが揃ったアトレティコ右サイドをしっかり止め切るアトレティック、シンプルに凄い。

最終盤にアトレティックはベスガとジェライを入れてクローズ体制。アトレティコはリーノに替えて入ったリケルメが右にポジション。

右からクロスを上げて中にモラタ、その向こうにグリーズマンとエルモソという形を作る。
91分にはグリーズマンのクロスにクローザーのジェライがモラタの足を蹴ってしまい、PK献上。これも何かの因果かと思われたがその前にオフサイドがあり、取り消し。あまりにもシュートが枠に飛ばなかったアトレティコは0-1で試合を終え、90分戦では実に13ヶ月ぶりのホーム敗戦となった。



●試合結果

1stレグは0-1敗戦。リードを持ってアウェーに行きたかったが残念。PKは仕方ない。アトレティコはシュートさえ入ればね、というシーンはいくつも作ったが及ばなかった。アギレサバラもハイボールに強く、よく守った。後半は何度かロングカウンターをもらったがそれを折り込み済で戦うしかなく、おそらく2ndレグも似たような展開になる。アトレティックは耐えながらカウンターを狙う形。

とはいえ90分かけて一点を追いかける試合でミッション達成できないようではそもそもタイトルは無理。まだ何も失っていない。決戦は3週間後。


2/7
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 0-1 アトレティック
得点者
【アトレティック】’25 ベレンゲル(PK)


●ピックアップ選手

エルモソ
後半から投入されて攻撃を活性化させた。充実のパフォーマンス。

リーノ
レクエを抜ければ、という前半からペースが上がった後半は抜き切らずにシュートを狙う選択を増やし惜しいシュートも放った。惜しいで終わっては駄目。

ヘイニウド
対応を焦ってPK献上のチョンボ。挽回の機会は訪れる。

サヴィッチ
攻撃シフトして手薄になった最終ラインでカウンター対応に走り回った。段違いの安心感で後半の展開を作った。

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