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モグラ叩きを掻い潜る 22節 アトレティコvsバレンシア(H) 2024.1.28

コパデルレイ準々決勝セビージャ戦を勝ってラリーガは22節。なんだか好調のバレンシアをホームに迎える。正直個人的に今季一番予想と違う順位にいるクラブ。前回対戦。

0-3で敗れたアトレティコ。良いところが何もなかった試合なので正直あまり参考にもならない。ホームではしっかり勝ちたい。

バレンシアは現在7位。なぜか欧州コンペティションが見えている。まじか。しかも現在は4連勝中。前節はアトレティックにまで1-0で勝っている。4-4-2をベースとして中央を堅める守備ブロックは堅実で、大外対人は勝利前提。おれは4-4-2で守れるチームが好きなので最近のバレンシアは好印象。楽しみ。得点はウーゴ・ドゥーロに依存するという絶対無理そうな環境でどうにかなっている(ここまで9ゴール)

マドリーと10ポイント差のアトレティコは前後条件に関わらず日替わりのベストメンバーで勝ち続けるしかない。一つずついきましょう。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヒメネス / ヘイニウド
モリーナ / デ・パウル / コケ / バリオス / リーノ
グリーズマン / メンフィス

アフリカネイションズカップから帰ってきたヘイニウドが2月25日のマドリー戦以来のスタメン復帰。久しぶりのサヴィッチ、ヒメネス、ヘイニウドの組み合わせ。去年1月8日の、先季の16節バルサ戦以来とのこと。
FWにはメンフィスが入り、国王杯ルーゴ戦を除けば12月19日の18節ヘタフェ戦以来、2トップの組み合わせを変えた。

・バレンシア
ママルダシュヴィリ
フルキエ / モスケラ / ガブリエウ・パウリスタ / ガヤ
ギジャモン / ペペル / ハビ・ゲラ / ディエゴ・ロペス / フラン・ペレス
ウーゴ・ドゥーロ

セルジ・カノスが前節怪我をした事で実は中盤の層が薄いバレンシア。ペペルとハビ・ゲラのどちらかをベンチに残すかと思ったが、両方スタメン。




●前半

いきなりグリーズマンからCHの背中に立ったグリーズマンに縦パスが入りモリーナに決定機。モラタにしては綺麗にポストプレーが決まったなと思ったらメンフィスでした。なるほど。

バレンシアの守備の約束事は最近の試合の通りで、SBが相手の大外選手とタイマンする形を取る。そのためアトレティコの両WBに、SBが対面する。4-4-2というか4-4-1-1のようなブロックを作っており、SHの23番フラン・ペレスと16番ディエゴ・ロペスは、右のフラン・ペレスがヘイニウドを見張る。ヘイニウドというか、エルモソだと思ったんでしょう。
一方の左ディエゴ・ロペスは苦労しており、デ・パウルを警戒しようとするとサヴィッチが空き、さらにコケが右大外まで移動してくるのでマーク対象を捕まえる作業に苦労。この辺はウーゴ・ドゥーロの機動力にある程度依存しているようだったが、そんな中で上記のチャンスを早速作られた形。アトレティコはあまりプレッシャーの掛からないサヴィッチ&ヒメネスからモリーナを狙ってロングボールを蹴り、跳ね返りをグリーズマン周辺で回収する形でもチャンスが作れそうだった。

23分にはバリオスが相手MFの間で簡単に前を向いてスイッチオン。メンフィスの決定機に。直後の24分にはリーノとバリオスで左サイドを解決しグリーズマンのシュートに繋げた。その後もデ・パウルからリーノを狙ったタッチダウンパスが出てくるなど割とやりたい放題。ヘイニウドは置いといて、サヴィッチ&ヒメネス、コケ&デ・パウルの前向きを作って何度も決定的な配球を行なった。バレンシアは出所をなかなか捕まえきれずに苦労。モグラ叩きにハマってるような印象。

一方のバレンシアは、前回対戦でサヴィッチの天敵になっていたハビ・ゲラもトップ下ポジションで見張られるとなかなかボールを呼び込めず、チーム全体で攻撃が硬直する。セカンドボールの反応もアトレティコが圧倒的に上回った。ギジャモンがCB間に落ちて何かしようとしていたが特に怖さはなかった。4-3-3に形を変えようとしているようには見えなかったが、はて。アトレティコは前からプレスを掛ける意図がないのにCBから配球できないと、単純に後ろに重いだけになってしまう。

33分にもバリオスが狭い門の間でボールを受けて単独トランジション。リーノとのワンツーを使って決定機を作った。
この日のバリオスはボールを要求すれば門が狭かろうが周りに3人相手がいようがとりあえずボールが出てきた。IHの高い位置で起用される時は要求してもボールが出てこないパターンが多かったのでおそらく約束事に設定されていたと思われる。特にコケとヒメネスからはよく出てきた。

アトレティコはゴール前の質が伴わずこのまま0-0折り返しかと思われたロスタイム+5分、余裕で人数が揃っているにも関わらずハーフウェイラインからグリーズマンの裏パス一本でリーノに誰もマークがついておらず抜け出し、先制。なんだこれ。



●前半終了

ボールを握れる流れを持続し、圧倒的に攻め立てながら"後は決めるだけ"という前半を過ごした。しかし最後に呆気なく先制点を奪った。このゴール自体は脈絡がなかったが、点が入る事自体は時間の問題感があったのでまあ良いでしょう。
バレンシアは4-4-2で配置している以上は少なくとも何処か一箇所の配球ルートだけでも止めないとなかなかしんどい。素直にブロックを作っていてもボールを引き出すアトレティコのMF3枚を誰も捕まえきれずに好き放題に配球され続けた。フルキエとガヤの大外対人だけで守り続けるのも限界があり、結果的にはグリーズマン&メンフィスの中央の動きも抑えきれなかった。アトレティコは大外、特にリーノが1vs1を仕掛ける時にポケットに抜ける選手を必ず準備し、バレンシアは簡単にCBが釣り出されてしまった。なんかもうちょっとこう、工夫と言うか拘りと言うか。

ポケットランでCBを連れていく

アトレティコは相手の中盤ライン手前に人をワラワラと集めており、セカンドボールを回収し続けて割とずっとおれのターン。バレンシアはベンチメンバーの層を考えても後半にペースチェンジできる要素があまりなく、ロスタイムの失点は試合を大幅に難しくした印象となる。



●後半

後半。アトレティコはボールの失い方が悪くなってカウンターをもらい始め、ジャッジにキレたモリーナが謎のイエローをもらうなど大暴れ。
56分にバレンシアはフラン・ペレスに替えてヤレムチュク。FWに入ってハビ・ゲラを左サイドに動かした。2トップにする事自体は賛成だが、仕方ないのかもしれないけどハビ・ゲラはずっと配置の犠牲だった感。ただ、彼は色々できる分たらい回しにしたくなる気持ちはわかる。4-4-2のCHで使ってあげたい選手だね。

直後にアトレティコに決定的な追加点。プレスでオブラクが蹴らされたが、また狭い門をバリオスが抜け出し、コケが左足でモリーナまでとんでもないボールを届けパーフェクトコントロール。最後はクロスにメンフィスが合わせた。ちょっと止める方法はないゴールだった。

その後、ヒメネスがどこか痛めた感じでヴィツェルと交代。
66分には3枚替えして17番に変わったリケルメをホームでお披露目。

バレンシアはやはり突破の糸口を見つけられず、試合はそのまま緩やかにクローズ。終盤に放り込みが飛んでくるとヘイニウドの出番が来て、ゴール前の際どいところで良く身体が出てきた。徐々にフィットしていきましょう。



●試合結果

2-0勝利で公式戦4連勝。3試合連続のクリーンシート。バレンシアは戸惑ってしまうほどに前回対戦の面影がなく、リベンジ成功となった。4-4に準じたブロックでどうにかなると思っていたのか、それ以外の選択肢を取るリソースがなかったのかは不明だが、いずれにしてもアトレティコ対策をできずに散った。MFを増やしたメンツでここまでボールが進まないと打つ手がなくなるでしょう。こういう時に違いを作れないからギジャモンは定期的に干されるのかなという。CHディアカビ、とかに至る悩み。ハビ・ゲラはあくまで犠牲者だったが、セルジ・カノスが出場できればウーゴ・ドゥーロとディエゴ・ロペスの2トップでもう少し前線から制限を掛ける事ができてSHが前向きに守備をする事ができたのかもしれない。

アトレティコは後方のボール保持のバランスが抜群に良く、試合を支配した前半のうちに先制できた事で簡単な試合にする事ができた。最近は前半を緩やかに過ごして後半開始から侵入ルートを明確にする試合が多かったが、前半から先制できるならばそれに越した事はない。
モラタとエルモソを休ませながら勝てた事も収穫で、代わりにスタメンに入ったメンフィスはゴール含めて結果を示し、ヘイニウドはフル出場で完全復活に向けたプロセスを踏んだ。
マドリーとの10ポイント差は変わらずまだまだ追いかける立場。日程と怪我人を言い訳にしつつ、毎試合最適解を探していきましょう。


1/28
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-0 バレンシア
得点者
【アトレティコ】'45+5 リーノ '57 メンフィス


●ピックアップ選手

バリオス
中盤でボールを引き取りドリブルでリズムを付けた。リーノにスペースを与えるポケットランも担当して彼なりの役割を見つけ始めている。

リーノ
1vs1の場面で信頼され、突破でクオリティを出した。ゴール方向へ向かうランニングのタイミングも良く、こういう試合の裏一発は貴重。

メンフィス
モラタとは違うPA手前のコンビネーションに強みを出し公式戦2試合連発。ラリーガでは8月28日のラージョ戦以来となる得点。彼はコンディション次第なので、この調子で。

ヘイニウド
ようやくスタメンに復帰してフル出場。おっかなびっくりやっている印象があった前半から、終盤はゴール前で身体を投げ出す得意の守備を連発。見慣れた景色が戻ってきた。

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