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わかりやすい課題を持って 15節 アトレティコvsバルサ(A) 2023.12.3

遅くなりまして。普段レビューの事となるとマメですが元来のんびりしていて面倒くさがりなもので、一度後回しにするとなかなか着手できない悪い癖が出ました。別に悔しいから死ぬほど見直して粗を探していたわけではないです。いつも通り。


3位と4位の直接対決。前回対戦。

0-1で敗れ、実質ラリーガ終戦となった試合。良いサッカーしてるけどまだ積み重ねないと駄目だねという時期だった。そしてアトレティコは積み重ねている。ここは勝つタイミングにしたい。前日にマドリーもジローナも勝っているのでお互いに必勝の試合となった。

バルサは代表戦でガビが負傷するとラージョと引き分け。ミッドウィークはホームのCLポルト戦をなんとか2-1の逆転勝利。フレンキーが戻ってきてペドリが通常稼働を始めている。
7点取ってるのに衰えただのなんだのとピーピー言われているレヴァンドフスキはその癖休みは与えられない意味不明な環境。僕は応援してます。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / エルモソ
モリーナ / ジョレンテ / コケ / デ・パウル / リケルメ
グリーズマン / モラタ

フェイエノールト戦と同じ11人をチョイス。継続できるか。


・バルサ
ペーニャ
クンデ / アラウホ / クリステンセン / カンセロ
ギュンドアン / フレンキー・デ・ヨング / ペドリ
ハフィーニャ / フェリックス / レヴァンドフスキ

こちらもCLポルト戦を踏襲。試合前の発表はCBイニゴ・マルティネスだったがアクシデントでクリステンセンに代わった以外は同じ11人とした。




●前半

前半を見ていく。まず一般論を否定していく事から始めよう。おれはおれの目だけを信じているしおれが一番正しいと思っているので。いや一般論を見てないから知らんけど。

前半の展開は“プレス回避が効かずショートカウンターをもらう”というフェーズがスタート地点。これで序盤に複数回のピンチを招いた。前進に失敗しましたね、という。1分にハフィーニャ、3分にレヴァンドフスキ、6分にはフレンキーとギュンドアンのプレス回避からこの前半擦られ続ける事になるハフィーニャ、クンデのコンビから最後はまたレヴァンドフスキ。12分にもカンセロのサイドチェンジにハフィーニャ&クンデからクロスにレヴァンドフスキがフリー。よく決められなかったものだ。結局その後先制されるのでその辺は割とどうでもいい。

続いて、複数回ピンチを招く事によってボール保持を開け渡すフェーズに移る。

バルサは右SBのクンデがボールを持ちペドリ周辺に選択肢を持ちボールを入れる。デ・パウルの外側。
前半の終盤にグリーズマンがこの位置に動いて5-4-1に変えた事で「IHの脇から侵入される形は悪い形」という印象を残したが、全然そんな事はない。突然どうした?アトレティコの守備はここでボールを”持たせる”事が前提です。大丈夫ですか?復習していきましょう。大丈夫です僕はいつでも味方です。

バルサはハーフコートオフェンスで大きなサイドチェンジを使って両サイドをゴリゴリに押し込む。誰が蹴ってもこのサイドチェンジの質が高いのと、逆サイドに2人待っている往年のセビージャのようなスタイルで溝を探してクロスを配球。レヴァンドフスキをターゲットに全然シュートが枠に飛ばないFW陣がラッシュしてくる形でアトレティコはピンチを招いた。

確かにアトレティコはピンチは招いた。ただ、スライド守備が間に合っていないわけではなく、大外の人数が圧倒的に足りていなかったわけでもない。ハフィーニャ&クンデ対策は必要だったが。そしてバルサのサイドチェンジスタイルは当然ネガトラで中央の枚数が足りなくなってピンチを招く。それをCBコンビ(クンデ&ジエゴ・カルロス)の気合で解決していたのが往年のセビージャであろう。さてバルサは、というところでアトレティコは複数回ジョレンテがここを突っ走ってPA付近まで辿り着いている。

この時間帯、アトレティコが気にするべきはボールを取れる箇所、取れない箇所を再共有する事だったはずだったがピッチ上はそうはならなかった。ボール保持を開け渡す事を怖がるように両IHが相手SBへの圧力を強め、前に出れば出るだけ相手の中盤3枚に簡単にエリアを打開されるようになっていく。そりゃそうだという感想しかない。ギュンドアンだぞ。ペドリだぞ。


これはアトレティコの産みの苦しみであると捉える。確かに最近ボール保持が上手くいき、プレス回避がハマり、大外のクオリティで相手を威圧した。
余談だがこの日のリケルメは何を恐れているのか今季最悪のパフォーマンスであった。強敵相手に燃える事ができないなら残念ながらポジションはない。

ボール保持を改善していく事が、非保持を怖がることに繋がる事を個人的には否定したい。何をやっているんだ我々はアトレティコだぞ。何度この道を通るのか。
オブラクは試合後「前半誰もボールをプレーしなかった」と言ったが、違う。恐れていたのはボールを開け渡す事だろう。ボールを持たずともピッチを支配できるのがアトレティコではなかったのか。いつからボール保持強者になったつもりだ。いいじゃん持たせておけば。相手はバルサだぞ。

28分の失点はアトレティコの中盤3枚が前向きの矢印を出し、その背後で浮いたペドリをヒメネスが捕まえきれなかった事に起因する。

局面を見ればペドリが背後にいるのに前に圧力をかける理由もよくわからない。ちなみに5分前にも似たような場面があり降りていったレヴァンドフスキにヒメネスがついていき、フリックでペドリに抜け出されている。その時はリケルメがクンデのところまで前進していて同数に近いプレスで、少なくとも人は捕まえていた。
何が言いたいかというと、この2場面だけを見ても人数バランスの約束も、どこで誰が誰をマークするかの統一もされていない前プレだという事。そして最後のモリーナの緩い対応はなんだいあれは。二度とやるな。




最近のアトレティコの良さは、別に敵陣でボールを取り上げる事ではない。改善策の考え方が違う。設定するボール奪取位置が違う。もっと低い位置に構えてブロックの外側でプレーさせるのが先のはずなのに、自分達で選手間の距離を広げてどうする。プレス回避だって、最近も上手くいかなかったら蹴っ飛ばしているじゃないか。なぜ突然バルサ戦になって格好つけ始めるのだ。ブロックを作って前向きにボール奪取→プレス回避。駄目ならもう一度。それをやらないと。困ったらジョレンテ目掛けて蹴っ飛ばせばいいだろう。



大事なのは共通認識だ。プレス開始位置と撤退の強度をなぜ正しく把握できなかったか。「普段通りボールを持てないから奪い返そう」という選択は勇敢なのか無謀なのか、だ。前から行くならなぜその全体バランスの調整が出来ない。それらの判断を下すべきだったコケは、ヒメネスは、オブラクは。何をしているんだ。

その後、一旦0-1での折り返しを受け入れてグリーズマンが左大外を介護。5-4-1で時間を過ごしハーフタイムに入った。




●前半終了

スッキリしない前半を過ごした。出来が悪かったとは思わないからこそ納得できない45分だ。出来なかった事はプレス回避だけだ。プレス回避が出来ないと終わり、なんていうチームではないでしょう。何を焦っている。

問題なのはピッチ上の良い点と悪い点をそれぞれの選手が違う捉え方をしていた点。バラバラだった。これでは勝てない。ジョレンテが相手GKまでプレスに行く事にモリーナとヴィツェルは納得していたのか。トランジションでエルモソにハフィーニャの相手をさせるわけにはいかず後方に留まったリケルメ。バランス感覚が個人の裁量に依存していた。チームの約束ではなかった。それでは駄目。ヒメネスのハードコンタクトはチームのためだったか。自分のストレスのはけ口だったか。別に裏切り者を殴りつける事を咎める気はない。好きにやれ。ただしそれはチームの勝利のためであるべきだ。君は、あんな奴とは違うはずだ。


●後半

アトレティコは後半から3枚替え。モリーナ、リケルメ、ヒメネスを下げた。入るのはアスピリクエタ、リーノ、コレア。

点を取らなければならないアトレティコはジョレンテ周辺から敵陣に切り込む。そのためにコレアとデ・パウルを近い位置に置いている。結果的にはジョレンテならこれくらいは出来るだろうなと思いつつ、対面する相手がカンセロと考えるともっとここで優位性を持ちたかった。そして前半にイエローをもらった後もヒートアップし2枚目をもらう確率99%くらいだったヒメネスの代わりに出てきたアスピリクエタが2分でイエローをもらったのは期待外れだった。

アトレティコは3CBを残して全員で敵陣に侵入しましょう、という時間が増えていき、ボールを失う度にバルサの中盤に抜け出されて何度もピンチを迎えたが、相変わらずバルサはハフィーニャを中心に全然シュートが入る雰囲気がないので、やる価値はあるリスクの負い方だった。ジョレンテとリーノのスピードを活かす機会もあり、58分にロングカウンターからグリーズマンが決定機を迎えた。

65分にコケ、モラタに替えてサウルとメンフィス。早くも交代枠を使い切り、70分頃にはアスピリクエタを左に動かして4-2-4で得点を狙った。

問題点というか、最近右の深い位置を取っても良いクロスが上がらないパターンが多いのでちょっと修正してほしいかな。

こういう誰かが無理をしてくださいという配置になった時のデ・パウル&サウルはいくらでも無理が効く。デ・パウルは周囲に人が少ない環境ならスラロームドリブルでどこまでも進んでいき、サウルはネガトラの達人としてだいたいの仕事を一人でやっていた。

アスピリクエタの左SB、そして4バックが悪かったとは言わないが配置の煽りを受けたのはリーノで、どこまで突っ走っていっていいのかわからずやや戸惑っていた。真面目だよね彼は。79分には内側のレーンに入ってボールコンタクトし、ガラガラのライン間をメンフィスと共有して突進し、FKを得るなどした。こういう、味方がどこでボールを持ったらどこに移動しよう、みたいな選択が綺麗。真面目です。

このFKをメンフィスが枠に飛ばすがイニャキ・ペーニャのパラドン。あれが決まらないなら仕方ない。最後はロングカウンターに耐えながらチャンスを狙ったが、バルサの我慢が上回った。

●試合結果

喪失感の強い敗戦になった。負けた事以上に積み重ねの成果が出なかった事が残念だ。もっとやれた。
守備がどう、攻撃がどうの前に自分達は今ピッチのどの位置のどの環境で有利なのか/不利なのかの共通認識が甘かった。これは、産みの苦しみである。そう思いたい。
今のアトレティコはどこに優位性を持つべきなのか。どこで相手に優位性を握られているとまずいのか。まだ選手達の認識にばらつきがあった。それが違和感であり、その失敗から失点を招いた。あくまでもアトレティコ都合。反省点であり、そしてまだ、改善が可能な部分だった。アトレティコはまだ強くなれる。

選手達のコンディションも悪くなかったし、勝って上位2チームを追いかけたかったが負けてしまったものは仕方ない。この授業料を次に活かそう。アルメリア。

12/3
モンジュイック
バルサ 1-0 アトレティコ
得点者
【バルサ】'28 フェリックス



●ピックアップ選手

ジョレンテ
90分間クオリティを維持して彼を中心にボールが動いた。後半ロスタイムには爆速カムバックで2点目を与えなかった。

コレア
右サイドのスペースを突いてチャンスを作りたい後半に、期待役割は果たした。ややボールが足に付かず。

メンフィス
得点を期待して投入され、直接FKで最大のチャンスを作った。コンディションも上向いてチームに入り込めた。

サウル
無理して来いというタスク。ギリギリのバランスを保った走力と判断はさすが。

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