【ラリーガ24-25全マッチレビュー】第1節〜後編〜
引き続きラリーガ開幕戦。全部見た。後半の5試合。
前半5試合はこちら
⑥バレンシア 1-2 バルサ
●若さの衝突
8/17
エスタディオ・デ・メスタージャ
バレンシア 1-2 バルサ
【バレンシア】’44 ウーゴ・ドゥーロ
【バルサ】’45+5 ’49(PK) レヴァンドフスキ
バルサはクバルシから配球。17歳のベルナルがピボーテ。バレンシアのコンパクトな4-4ブロックに対して両サイドへの大きな展開を中心に。左はフェラン・トーレスが幅を取りながら内側へ進み、バルデに外側を渡す。右はヤマルは大外に立ってハフィーニャが並行サポート。ハフィーニャはスペースがあれば強烈なミドルシュートが打てるので割と良い役割。レヴァンドフスキはポストワークとPA内の仕事。背後へのランニングはフェラン・トーレスが代わりにやっていた感。なんだかこの辺りのレヴァンドフスキの存在をマイナスにしないためのソリューションはテーマなのかもしれない。
バレンシアは4-4-2風。ラファ・ミルは右サイドからスタート。彼はトップで起用したところでボールも収まらないし決定力もないので、とりあえず走れるのとヘディングが強い事だけを活かすのには良いと思う。代わりにアンドレ・アルメイダとコレイアで右ポケットを取りに行き、14分に決定機。バルサはポケット対応が甘く、ゴール前の固め方もなんだか不安のある感じで44分ディエゴ・ロペスのクロスにウーゴ・ドゥーロが合わせて先制する。さらにロスタイムにはテアシュテーゲンのパスミスを攫ってウーゴ・ドゥーロがシュートを打つが、ゴールライン上でクバルシが掻き出した。一方バルサはバルデのクロスを逆サイドでヤマルが折り返してレヴァンドフスキが同点ゴールをゲット。同点で前半を終えた。
後半。早々にモスケラがハフィーニャを倒してPK。レヴァンドフスキが決めてバルサが逆転した。
追いかけるバレンシアはダニ・ゴメスとフルキエを投入。さらに20歳のマルティン・テホンと16歳のデービッド・オトルビを入れるがあまりペースは上がらず。バルサが逃げ切った。
バレンシアはまさに先季のチームにラファ・ミルを付け足した感じ。両翼にスピードを求めた方が精度は上がるかもと思いつつ、ラファ・ミルがいる事で生まれるアクセントもある。選択肢が増えたという感覚で一旦終わっておく。
バルサはまた新しいカンテラーノを使いつつ、レヴァンドフスキがいなくなったらどうするんだろうね、という雰囲気もありつつ。ダニ・オルモ待ちになるだろうが、実は大外のクオリティはヤマルに依存した。
●ピックアップ選手
ハフィーニャ(バルサ)
彼の運動量で足りない箇所を埋め続けていた印象を残した。とはいえバルサの完成形にハフィーニャはいない気もする。辛い役回りですね。
⑦ソシエダ 1-2 ラージョ
●このメンツでこの試合で
8/18
レアレ・アレーナ
ソシエダ 1-2 ラージョ
【ソシエダ】’90+8 スビメンディ
【ラージョ】’67 デフルートス ’84 カメージョ
ソシエダとラージョ。
ソシエダはメリーノとスビメンディが不在となる。左SBはわたくしのお気に入り、ハビ・ロペス。
ラージョはGKがカルデナス。トップは開幕戦の恒例になりそうなエンテカ。新加入のエンバルバがスタメン。
ラージョは普段通り4-4-2で守備。CBに圧力を掛けずにミドルブロックを置く。ソシエダは簡単にMFが前向きを作れるがそこから大外に早めに展開する方向性。何故でしょう。押し込んで得点するよりも速い展開という狙いなのでしょうか。割と前3人+1人でどうにかしてきてくださいという攻撃は意味がわからなかった。トランジションはラージョがファールで止めるのであやふや。
一方ラージョは右サイドのコンビネーションで侵入できる。ここにイシが絡むとチャンスがありそう。
ソシエダは後半からスビメンディ投入。ラージョもカードをもらったウナイ・ロペスに替えてグンバウ。
ラージョが割と球際をラフにいくのでなかなか展開が動かないまま、ソシエダがバレネチェアとセルヒオ・ゴメスの交代を待っていた67分、ボールカットしたムミンの打開から最後はデフルートス。リードしたラージョは75分にパテ・シスを入れて逃げ切り体制。ソシエダはスチッチも出てきて「これが最終形態なら夢ないな」と思ったらスローインをミスっていつから出てきたかもわからないカメージョにダメ押しを喰らった。
ソシエダはロスタイムにスビメンディが一点返したが時既に遅し。全体的にボールの保持をしない流れは先季以上に進んでいる様子。この方向性の正しさは知らんがこのメンバーでやる事か?という感じ。ホームでこれでは先が思いやられる。
ラージョはアウェーの開幕戦で気持ちを揃えてタフに戦った。計画的に崩したゴールではなかったが2つ決めて勝ち切ったのは見事。あとはどのくらいの頻度で複数得点を取る試合を作れるか。
●ピックアップ選手
アブドゥル・ムミン(ラージョ)
ロングボール対応とドリブル侵入に立ち向かってラージョのペースに巻き込んだ。突っ走って先制点もアシスト。
⑧マジョルカ 1-1 マドリー
●失点不可避の一撃
8/18
エスタディ・デ・ソン・モイシュ
マジョルカ 1-1 マドリー
【マジョルカ】'53 ムリキ
【マドリー】'13 ロドリゴ
王者マドリーの開幕戦。
エンバペのスピードでビルドアップなんて考えなくても進める環境になり、ベリンガムと2人でズンズン進んで最後はヴィニシウスからロドリゴで先制。どうやって止めるんや。PA内にこの4人が入ってきたら守備は結構お祈りになる。
マジョルカの守備は4バックベースで。右SBマフェオ周辺で3,4人がドリブルを仕掛けてくるしんどい展開だが、失点シーン以外は良く耐えていた。撤退を恐れない良い守備。ポイントになったのは右大外のカルバハルの面倒をダニ・ロドリゲスが担当した事。ここを最終ラインで管理しようとすると視線を左右に振られて忙しすぎるため放置してダニ・ロドリゲス1人にお任せしている。マドリーは押し込みは上手くいっていたが再奪回はなかなか厳しそうで、この暑さでやや省エネな様子。マジョルカ側はサム・コスタ、マスカレル、ダルデルと揃っていてそれとなくボールを持って前進。マドリーは4-4と2トップの間に広いスペースを空けがちで、この辺の管理はポイントとなりそう。左SBのモヒカが最終ラインの背後まで頑張って走る形でムリキにボールを届けた。42分には左サイドへ出張してきた浅野がカットインして決定的なチャンスも作っている。
マドリーになかなか2点目の気配がなかった52分、ダニ・ロドリゲスのCKがムリキに合って同点。これはこれでどうやって止めるんや。ホームチームが理想的な同点ゴールを作った。62分にはエンバペの枠内シュートをグレイフがよく止めた。直後にマドリーはモドリッチを投入。
70分にもグレイフがエンバペのシュートを止め、モヒカの神カバー。モヒカはこの日集中していた。
マドリーは残り5分でルーカス・バスケス、ブラヒム・ディアス、ギュレルを入れる。マジョルカは最後まで勇敢にカウンターを打ちながらコペテを入れてドロー逃げ切り体制。ホームでの開幕戦で貴重な1ポイントを掴んだ。
マドリーはまだまだ途上。どうやって誰がスペースを突くか、というコンビネーションはこれから練っていく。
ホームのマジョルカは4バックでとにかく走り回ってゴール前を堅く守った。ムリキを活かす攻撃手法も見えており、終盤にはアントニオ・サンチェスに2つ決定機を作るなど最後までよく走ってカウンターチャンスを生んでいた。躍進に期待。
●ピックアップ選手
ホアン・モヒカ(マジョルカ)
上下動と得意の高速クロスを繰り出し、期待役割を果たした。割と時期で波がある選手だが良い状態にある。
⑨バジャドリード 1-0 エスパニョール
●準備の差
8/19
エスタディオ・ホセ・ソリージャ
バジャドリード 1-0 エスパニョール
【バジャドリード】’23 ラウル・モロ
早速昇格組同士の対戦。開始1分でベリスが鼻血ブーする熱い展開。それにしてもユニフォームの視認性が悪い。
スタイルというよりもお互いに「この試合で3ポイントを」という意思表示の前プレを敢行。どちらも出足が良かった。
上手くボールを持てたのはバジャドリードの方。アンカーのキュマルトのシンプルなサリーで保持を確立した。ところでキュマルトってアンカー出来たんですか。
縦パスも綺麗に通り、ライン間に刺さっていった。あとはいまだにプリメーラでは無得点のママドゥ・シラがどうにか出来るかというところ。出来そうもないが。
先制点は23分。中盤のボール奪取からラウル・モロが個人技で取り切った。見事。
このホームチームの先制点でボール保持はエスパニョールに移るが45分にはアマラーとラウル・モロの2人でカウンターを完結。アマラー、いつになく身体が軽そうである。ロスタイムにもアマト・エンディアイェが際どいヘディングを放つ。アマト、いつになく身体が軽そうである。
エスパニョールはプアドが右に行って左に行ってを繰り返しているが、正直本当は真ん中にいてほしいという感じ。チームのオーダーで移動しているのか彼が勝手にやっているのかも判然としなかったが。
バジャドリードは63分、セットプレーにママドゥ・シラがどフリーで合わせたが空振り。これが入らないなら厳しいでしょう。この直前にキュマルトをCBに落としてMFを追加している。
エスパニョールは81分にカウンターからようやくプアドに決定機が来るが枠を捉えず万事休す。開幕節唯一の無得点での敗戦となった。にしてもルイス・ペレスはこの場面だけ派手にサボった。こういう粗はどこかで噴出すると思うので改善してほしいところ。
バジャドリードは全体的にコレクティブで戦う準備が出来ていた印象。コンディションも良さそう。配員も理に適っている印象で期待通りの試合が出来た様子が見てとれた。あとはストライカー。ラタサがどのようにハマるか楽しみ。ラタサも2桁ゴールは期待出来ないが。
エスパニョールはそもそもネームバリューだけ見ればセグンダにいた先季よりも劣る印象で、どことなくツギハギ感がある。誰がチームの中心で誰がチームを救う覚悟があるのか。厳しいシーズンになりそう。
●ピックアップ選手
ラウル・モロ(バジャドリード)
開幕戦の勝利をもたらす先制ゴール以外にも突破を連発。逆足WGだが左足のクロスも悪くなく、縦突破を選べるのが良い点。
⑩ビジャレアル 2-2 アトレティコ
●未完成の域内で
8/19
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
ビジャレアル 2-2 アトレティコ
【ビジャレアル】’18 ダンジュマ ’37 OG(コケ)
【アトレティコ】’20 ジョレンテ ’45+5 スルロット
単品レビューはこちら
●ピックアップ選手
アルノー・ダンジュマ(ビジャレアル)
カウンター一発で取り切った先制点は先季のチームになかった武器。存在感を出せるか。
開幕戦を終えた。なんと19チームが得点を取り、クリーンシートはバジャドリードのみ。引き分けも6試合と多かった。選手の入れ替わりも例年以上に多かった印象で、まだ準備段階のチームも多い感じがあるが、特色は出ているチームが多かった。今季も楽しんでいきましょうね。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?