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上回る箇所は日替わりで良い 11節 アトレティコvsアラベス(H) 2023.10.29

CL明けのホームゲーム。いつも通りいきましょう。仮初の読者はいらねえんだ!
さて昇格組のアラベスと。前回対戦。

スタメンで残ってる選手がルイス・リオハとルベン・ドゥアルテしかいない。この頃のアラベスも好きだったな。
今季のアラベスはここまで2勝3分5敗で15位。このペースなら35ポイントくらいでフィニッシュできそうだが、近年の降格ラインを考えるともうひと頑張り欲しいところ。先季は40ポイントのバジャドリードが降格している。

最終ラインのメンバーを固定し、中盤のゲバラ、グリディ、アントニオ・ブランコの3人が頑張るサッカーを主体とする。ゴロサベル、アレックス・ソラ、アルカインを含めてご近所のソシエダ産の選手が多い。
左サイドの人外スピードWGルイス・リオハを軸として、FWはベテラン電柱のキケ・ガルシアか新電柱のサム・オモロディオンを使う。シンプルかつ勇気を持った良いサッカーをしている。見ていて気持ちが良い。2節のセビージャとの打ち合い(4-3勝ち)は見応えがあった。要所の強度で劣らない事が上位との戦いでは重要になりそう。

ようやく怪我人が戻り始めているアトレティコはこの日ヒメネスが8節カディス戦以来ベンチに戻ってきた。昇格組との試合はだいたい勝つイメージがある。マジョルカ以外。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヴィツェル / エルモソ
モリーナ / デ・パウル / コケ / サウル / リケルメ
グリーズマン / モラタ

セルティック戦からの変更は左WBのみ。リケルメはリーノの負傷離脱中に目に見える結果が欲しい。
デ・パウルが戻ってきてからジョレンテはベンチスタートが増えている。この辺の理由は年明けくらいに"あの頃はこれが理由だったね"という話が出来ればそれでいい。今のところよくわからない。

・アラベス
シベラ
ゴロサベル / アブカル / セドラル / ドゥアルテ
ブランコ / ゲバラ / グリディ / ソラ / リオハ
サム・オモロディオン

現状のベストメンバーでスタート。トップはサム・オモロディオン。グラナダ所属だった開幕戦にアトレティコから得点している。今はアトレティコ保有なんですがね。



●前半

エルモソが誰彼構わず喧嘩をふっかけながら試合開始。触れるもの皆傷つけていくスタイルである。

前半戦のポイントはアトレティコ側の配球にあった。配置から。

アラベスは4-4-2配置。トップ下のグリディが前に出てサム・オモロディオンと2人でボールを追いかける。
最近のアトレティコはボールを持てる試合でテーマになるのは"相手プレスを見てヴィツェル&コケからの配球を狙うのか、HVの前進で大外を打開するのか"の2択を確認していく事である。この日もエルモソがキャンキャン揉めてるのは置いておくにしても圧倒的にボールを持てたので確認作業から入った。

アラベスの対応は、サム・オモロディオンが何となくヴィツェル付近、グリディがコケ付近に立っていたのでこれはHV前進かなと思っていたが、この2人の走力を活かして1人はボール、もう1人はコケ付近に立つ守備を徹底。それとなく中央からの配球もHV前進も止めた。

その手があったか感。いやそんな簡単な話ではないんだが。

アトレティコが準備した事を2点に分ける。
1つはエルモソの移動で3-1ビルドを2-2ビルドに組み替える事

エルモソがコケの隣に移動して2-2に変形。個人的な愚痴を言わせてもらうとこういうのを可変と呼んだ方がいいと思うんだが。まあいいか
これで"グリディがコケ(ピボーテ)付近に立つ"という対応をぶれさせる事になり、エルモソからハイサイドへロングボールが飛び始める。
余談だが、ブランコ&ゲバラのコンビは落ちていくデ・パウル&サウルについていく対応を主としていたが、サウルは自分が大外へ逃げるとどこまでついてくるのかを確認する作業をしていたので図に落としておいた。ちなみに全然ついてこなかった。

もう1つは対人突破の箇所を設定する事。この日はロドリゴ・リケルメの所。まず5分のこぼれ球に反応したボレーシュート辺りからこの日はいける感があったが、8分にゴロサベル相手に縦突破し、その後20分にもモラタに合わせるクロスを上げている。ここは突破できる箇所として擦っていい。そして1つ目と共通するが、エルモソがフリーで配球できるという事はWBは相手SHの向こう側へポジションする事ができるわけで、自動的に相手SBと1vs1を作れる。という確認が前半10分までの箇所だった。

ちなみに"何故モリーナではなくリケルメなのか"にもちゃんと回答はあり、モリーナにはルイス・リオハがランデヴーしていたからである。アラベス側のこの設定ははっきりしないが、アレックス・ソラを前に残す意図よりは両サイドが落ちて6枚で並ぶなよという指示だったのかなと。アトレティコ相手に右と左どっちのSHを低くするかは結構好みが出ると思うが、リーノがいなくて舐められていた感はあるかもしれない。

4-4-2崩しの定番としてWBにボールを入れてIH(デ・パウル&サウル)のポケット侵入があるが、執拗に狙っていたのはリオハがランデヴーしていて隙間がないはずのデ・パウルの方だったのは気になった点。サウルはエルモソ側のビルドアップサポートで落ちてきていたりと想定と違う動きが見られた。最近IHはこういうの上手くいかないイメージがある。

ここ最近の、ホームでは前半で2点取られティコマドリー的に言うとびっくりするくらいにピンチがなく、それどころかPA内に侵入される事もミドルシュートを打たれる事もなく。そしてアトレティコの先制点は26分。自陣からのビルドアップでグリーズマンが右サイド大外移動。モラタがスルーパスを引き出してCBアブカルを釣り出すと大外でクロスを待っていたリケルメがゴロサベルを振り切って左足つま先で決めた。大外を取ってポケットを使って回答はWBリケルメの対人だったのでそれなりに想定されていた形と思われる。何にせよアトレティコのユニフォームを着て"リケルメらしい"というプレーが出来たのは初めてと言っていい。本人にとっても満足度の高い一発になったはず。

アラベスはグリディが大外に移動してどこかでアトレティコの守備陣を動かしたいんだが、なかなかそれが出来ずブロックの内側に入れない。
終盤のアラベスのセットプレー連発を切り抜けた後、ロスタイムにコケがどフリーで相手最終ラインの背後へ配球し、抜け出したモラタが一人かわして左足で決めた。


●前半終了

CL明けの試合で前半2-0は理想的なスコア。危なげなく45分を過ごした。
落ち着いて自陣からボールを保持できる環境を作り、安定した配球を送った。モリーナ、リケルメの大外を取るランニングが効果的で、ずっと蹴っていればどこかで点になりそうな雰囲気があったくらい。それだけ出し手をフリーにするのが上手くいっていた。ネガティブになったのはトランジションのジャッジくらいなもので、なかなかアトレティコ側が望むように笛が鳴らず、全体的にイラついていたのとどこかでリスクを生まなければいいなという感じ。ちなみにこれは後半も続いた。


●後半

後半からアラベスはアレックス・ソラに替えてハビ・ロペス。ソラは少し可哀想な役回りになった。

アラベスは5-4-1に変わる。
ここは難しいところだが、”2点取られたのに5バックかよ”という感想はおれにはない。アトレティコを相手にしているのに、後半に後方の人数を減らすのが得策なわけがなく、改善すべきは試行回数を増やす事、そのためには後方でボールを保持して自分達がアトレティコに”守備をさせる”時間を作る必要があった。

アラベス目線の"こうなるといいな"

目的は割と明確で、形を変えても問題なくプレーできる雰囲気はこれまでの試合でもあった。結局得点機を作るに至らなかったのは結果であって、このアプローチ自体は個人的には好き。強いて言うなら前半からこういうアプローチもありだったのかな、とは思う。多分前半のメンツで最終ラインの配球を止められる想定だったのでしょう。アトレティコがしっかり上回った箇所。

それでもアトレティコは自陣に攻め込ませない。そのために5-3-2が存在している。アラベスはあくまでもこの形を軸にアトレティコゴールに迫る意思を見せる。それが現れたのが63分の選手交代で、グリディとリオハを下げてこのポジションでのプレーが本職のハジとレバッハを投入。ルイス・ガルシア・プラサのアプローチは少しシメオネに似ている。

この時間に、アトレティコはもう一度「ちゃんとボールを持ちましょうね」と言う時間を作ろうと画策する。コケはこの辺りの匙加減が上手くなったと思う。まあやった事と言えばエルモソに近づいたくらいなんだが。そして過密日程の難しいところだが選手交代の手順はあまりコケの思惑とリンクしなかった。デ・パウルいなくなったし。個人的にはこういう日にコケの仕事をバリオスにやらせて試合を終わらせるのをやってみるのもいいかなと思っているが、シメオネはあまりピボーテでは考えていない様子。

71分にジョレンテの独走からのクロスにグリーズマンが合わせて決めたがジョレンテがドゥアルテを振り切る時のファールを取った。ドゥアルテは完全にジョレンテを掴んで止めていたのでアドバンテージなのでは。ドゥアルテのプレーがファールではないのならジョレンテの肘がドゥアルテの顔に入ったファールを取るのはわかるんだが、ドゥアルテにもカードが出ているという事は掴んだプレーはファールなのだろう。

ドゥアルテがジョレンテを掴んで止めた→アドバンテージで流す
その後(次のプレー)でジョレンテの肘がドゥアルテの顔に入っており、これがファール。→アドバンテージだったドゥアルテのプレーにもカード提示

の流れなのだろうが、ジョレンテの肘が当たったプレーは次のプレーというよりドゥアルテのファールに起因する一連の流れに見えたのであまり納得感がない。
これに文句を言ったエルモソもイエローをもらって4枚目となる。なんだかモヤっとするね

81分にはヒメネスを復帰させて3CBの真ん中に。今季全試合に出場しているエルモソは5節バレンシア戦以来の途中交代。他の試合は全てフル出場している。
もう一枚はモリーナを休ませてアスピリクエタ起用。

ようやくホームでは今季初めてのクリーンシート、と思ったがロスタイムに一発もらってまたしてもお預け。



●試合結果

好調を維持して6連勝。28ポイントのマドリー&ジローナを一試合未消化で3ポイント差で追う。
セルティックに引き分けたりと個人的にあまり好調感がないが、後で振り返った時に「あの時期に勝ち点を取れていたのが大きいよね」となればいいなと。

最終ラインからの配球を工夫できていた点とリケルメのクオリティを出せた点は良かった点。バリオスとヒメネスが順調にゲームに参加できているのも良いでしょう。次の代表ウィークまでは積み重ねながら全部勝ちたいところ。

アラベスは当然対人の質で劣る試合の中で、明確な狙いを持てていたのは良かった。アトレティコの配球を止められると信じた設定は良かったし、もう少しボールを持てる期待があったかもしれないが、中盤の3人の機動力を活かすところは普段通りにやっていた。後半の配置変更も事前に準備されていた雰囲気がある。別の試合でも3バックやってたような記憶があるし。好きなチームなのでたくさん褒める。この後はバルサ戦もあるし簡単ではないだろうが見守りたいところ。


10/29
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-1 アラベス
得点者
【アトレティコ】’26 リケルメ ’45+1 モラタ
【アラベス】'90+6 ゲバラ


●ピックアップ選手

リケルメ
サイドでクオリティを出して先制点をゲット。
期待役割を一つずつこなして定着していきたい。

モラタ
先制点をアシストすると前半ロスタイムに貴重な追加点。
地味にラリーガでは6節マドリー戦以来の得点。

コケ
正確な配球で試合を動かし、後半はペースコントロールを工夫した。
目まぐるしいシーズンだが信じてやっていこう。

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