手札を増やし向かう先は 30節 アトレティコvsアラベス(H) 2022.4.3

代表明け!お久しぶりです。か?
まずはW杯予選、アトレティコの選手的にはウルグアイ(スアレス、ヒメネス、あとゴディンとトレイラ)、ポルトガル(フェリックス)、メキシコ(エレーラ)、予選突破おめでとう。

そして恒例の代表での出場時間チェック。

🇺🇾スアレス
3/25 ペルー戦 76分
3/30 チリ戦 79分から出場 1ゴール
🇺🇾ヒメネス
3/25 ペルー戦 90分
3/30 チリ戦 出場なし
🇧🇷フェリペ
3/25 チリ戦 出場なし
3/30 ボリビア戦 出場なし
🇦🇷コレア
3/26 ベネズエラ戦 64分から出場
3/30 エクアドル戦 72分から出場
🇦🇷デ・パウル
3/26 ベネズエラ戦 90分
3/30 エクアドル戦 90分
🇪🇸コケ
3/27 アルバニア戦 出場なし
3/30 アイスランド戦 90分
🇪🇸ジョレンテ
3/27 アルバニア戦 出場なし
3/30 アイスランド戦 90分
🇫🇷グリーズマン
3/26 コートジボワール戦 75分
3/30 南アフリカ戦 64分
🇵🇹フェリックス
3/25 トルコ戦 71分から出場
3/30 北マケドニア戦 87分から出場
🇲🇪サヴィッチ
3/25 アルメリア戦 出場なし
3/29 ギリシャ戦 90分
🇸🇮オブラク
3/26 クロアチア戦 90分1失点
3/30 カタール戦 90分0失点
🇲🇽エレーラ
3/25 アメリカ戦 90分
3/28 ホンジュラス戦 90分
3/31 エルサルバドル戦 出場なし
🇲🇿ヘイニウド
3/24 ニジェール戦 90分?
3/27 モーリタニア戦 62分

すでにW杯決まってるのに酷使されたデ・パウルとグリーズマン。なんでやねん。そして予選敗退して親善試合で2試合フルで出てきたオブラク。しゃーない。4年後への戦いはもう始まっている。のか?

ヘイニウドのニジェール戦はスタメンで出たのはわかったんだけどその後フル出場なのか途中交代なのか調べがついていません。ごめんなさい。ちなみに代表での背番号は15


メンディリバル就任のアラベスは引き続き19位で降格圏。前節グラナダ戦は残留争いの直接のライバル相手に後半逆転していよいよ残留も見える、というところから再逆転されて無念。17位カディスと5ポイント差。引き続き厳しい状況が続く。
前回対戦はこちら

当時開幕から全敗していたアラベスに開始早々のCKから先制点を奪われそのまま0-1敗戦。引き続きセットプレーは警戒したい


●スタメン
・アトレティコ

オブラク
ヴルサリコ / サヴィッチ / ヒメネス / ヘイニウド
コンドグビア / ルマル / ジョレンテ / ロディ
グリーズマン / フェリックス

ヴルサリコとルマルがスタメン復帰。
ヴァスとクーニャもベンチに戻ってきた。
コケとコレアは出場停止。
エレーラは怪我でCLも無理そう。CHの組み合わせは色々お試し


・アラベス
パチェコ
テナグリア / ラグアルディア / ルジューヌ / ドゥアルテ
ピナ / エスカランテ / ペレ・ポンス
エドガル・メンデス / リオハ / ホセル

バジェホがベンチなので4-3-3予想。
構築などは後ほど。

スタメン


R.I.P Carlos Simeone.


●前半
コケとエレーラが不在のこの日。中盤の並びをイジって試合に入った。
ルマルが右外側。
ヴルサリコがいるのでジョレンテが一つ前をやれる。右SHルマルは外にいても内にいてもどっちでもいいよ、三角形を作ろうね、という感じ。実験的だった。
ルマルにボールを入れるところを軸に、ヴルサリコとジョレンテが背後を取りに行く形。

狙い

ルマルにボールを入れる形を狙う
ヴルサリコがいるためハイボールを狙う前進も使えるので、右サイドに多めに配球していった。
そこから最近よくある形として、真ん中を経由して逆サイド、ロディの裏を使う。早速9分にその場面が来る。

ロディ1

コンドグビアがサイドチェンジでルマルを使う。ヴルサリコ&ジョレンテが一気に追い抜き。

ロディ2

中央にボールが戻って、コンドグビアからロディへ配球したが、惜しくもオフサイド。
最後合わせたのがルマルだった。スルスルと配置を捨てて侵入してくるのは明確に彼の特徴だなと思う。ルマルをサイドに置く面白さはここにある。そしてルマルが三角形の頂点からいなくなってもグリーズマンがやればいい。にしても右足で上手く合わせたね。

得点は直後11分に生まれる。

先制1

引き続き右サイドのトライアングルから。ここにグリーズマンが縦パスを引き出す形をコラボしたら面白いなと思ったらすぐにその形が出た。

先制2

グリーズマンが作るプラス1。三角形を再形成して、頂点で縦パスを引き出した。相手CBルジューヌを連れ出してターンした時点で実質勝負あり。
PA内はフェリックスのプルアウェイも巧みだったが大外にロディが侵入出来ている事もポイント。クロスボールに人数をかけて侵入出来たこの得点は結構お気に入りだ。
右サイドはトライアングル+1(グリーズマン)で局面打開or相手を寄せて左大外ロディまで展開、のパターンでそれなりの効力を持つ。グリーズマンが狭い位置で受けられるので相手が寄ってきてしまう崩しのフェーズはこれまでにない破壊力かもしれない。


一つ指摘すると、アラベスのWGの非保持配置が悪い。

平均保持

前3枚でアトレティコの4バックにプレッシャー、あるいは3CBに同数でプレス、という狙いがあったのようだが、アトレティコのSBはそういう風にはポジションしないので、アラベスのWGは誰を見ているのかわからない状態に。この噛み合わせの悪さは早めに修正すべきだっだが、先制されてしまい、その後もズルズル行った。


一方のアトレティコの非保持。
アラベスはあまり蹴ってくる様子はなく地上戦で繋いでくるので、前から行く最近の形は前半は効果的だった。つまり後半は効果的ではなかったんだが。これは後ほど。

非保持

前半の4-4-2プレス。前向きの良い形。
アラベスは真ん中のピナが効果的に配球出来ると変わってくるが。あまりそうはならなかった。2トップに消されてしまい、全体でボールの進め方を見つけられないまま四苦八苦。アトレティコがちょこちょこ変な失い方をするので何となくゴールに迫れていたが。可能性は薄そうだった。

33分にエドガル・メンデスがヘイニウドに完全にシャットアウトされたあたりでリオハとWGの左右を入れ替えた。エドガル・メンデスのクロス、あるいはリオハの突破で解決策を、という狙いが透けて見える。前半のアラベスの攻撃はチグハグ続きであった。


●前半終了
アトレティコ1点リードで前半終了。危なげない45分間だったが、機能性は少し微妙だったかと。

・ジョレンテのCH起用
ルマルorグリーズマンに縦パスが入った際の破壊力は大きかったが、彼のCH起用そのものはデメリットが大きかったように思う。彼の特徴を出すには少し制約が多すぎるポジションかもしれない。CBからボールを引き出せないので相手の守り方次第では手詰まりになる可能性もある。右大外にラッシュするには良い起用なんだけどね。それで1点取ったし。ルマルとグリーズマンの助けもあって上手い事機能している風だったが、最優先の配置ではないかなと
あと非保持は自分の可動域でどうにか出来ているが立ち位置が永遠に怪しくてソワソワする。


ともあれ、この前半の4-4-2守備はほぼ完璧。ライン間は相手の狙いが少なかった事もあるがそもそもボールを送り込む隙間を与えず、対人で不利になる箇所も一つもなく守った。そしていつも通り、フェリックスの早い時間帯の先制点。明確に勝ちパターンだった前半だったが、この日は怪我から復帰した選手を試したり色々やる事がある。後半は少し違った試合になった。見ていく。


●後半
早速2人交代。

後半


ルマルとロディoutでデ・パウルとカラスコを入れる。CLを見越して、なのかはわからないがガラッとビルドルートが変わる。色々実験中

アラベスも2人替えた。
左SBのドゥアルテ→シモ・ナバーロ。
ペレ・ポンスに替えてマヌ・バジェホを入れて4-4-1-1風に。事前に想像していた形になった。

バジェホ

アラベスの改善した保持。バジェホが左ハーフスペースに位置してボールを引き出す。ホセルの周りで衛星になれる彼の存在は結構大きい。右のCHに、ゴール前へ侵入するのが得意なエスカランテがいる事も機能性がある。実際同点ゴールは左からのクロスにエスカランテで生まれている。
守るアトレティコとしてはバジェホを放置したくはないが、どこに出てくるのかいまいち読みにくい。
そしてこのバジェホはプレスバックも良く、CHのデ・パウル&コンドグビアにボールが入った時の寄せるスピードが速い。ここでボールロスト2連発もあったアトレティコ。"左ハーフスペースに立つんだな"というのが徐々に見え始めてきて、コンドグビアがデ・パウルと入れ替わって右側になり、バジェホ番をするようになって対応。

あとは2トップで押し込んできて右大外のリオハの突破、という形。ここはヘイニウドの仕事。


・ロディか、カラスコか
で、アトレティコはロディ→カラスコに替わってどうなのかというと、ここの非保持があまり良くない。悪いと言っていい。

カラスコ

51:55頃。縦切り出来ていない。リオハ狙いのハイサイドへのパスでラインを下げられてしまう。
プレス中である。最終ラインは蹴られると思っていないところで蹴られている。対応が悪いどころか、リオハの特徴は頭に入ってんのかと言いたくなる。

そして63分に同点。絶好調男のゴンサロ・エスカランテの一撃。ここもカラスコの判断は良くなかった。この場面は後ほど怒りのピックアップする。


・シメオネの選択肢
さて同点になった。60分にグリーズマン→スアレスが替わっているアトレティコ。72分には怪我明けのクーニャを投入。ここで交代がフェリックスではなくジョレンテだった。結果的にこの決断で試合が決まった。

最終形

カラスコが右に移動。フェリックスを左大外で使う。これも実験と言っていいのかわからないが、個人的に見たかった形をここで試した。

直後の場面。

デ・パウル

デ・パウルの配球が良かった。右SBテナグリアは大外のフェリックスの扱いを定めきれないまま間を突かれた形。クーニャが得意の斜めのランニングを使ってPKゲット。これをスアレスがど真ん中に蹴り込んで勝ち越し。スアレスはようやく、今季10点目。

この得点でアラベスはやむなくペリストリ投入でFW4枚のようなメンツに。中盤も走力を失い、バジェホがボールを引き取りに降りて来なければならない環境に。守備では大外待ちするフェリックス、カラスコをケアしきれず、簡単なロングボール一発でフェリックスが解決し、3点目で勝負あり。90分にはクーニャがフェリックスとのワンツーで中央突破。タイミングバッチリのスルーパスにスアレスが彼らしいフィニッシュで4点目。クーニャはPA外の方がいい仕事するのをどうにかしてほしい


●試合結果
終わってみれば4-1。これでラリーガ6連勝。17-18シーズン以来とのこと。

細かい事を言えば変なボールロストも多く、相手に付き合うような試合になった。と言えなくもない。小言を言おうと思えばいくらでもある。勝ち越し点はPKだし
エレーラがいない時CHどうするんだい。を色々なパターンを試せたのは良かった。変な言い方だがコケがいたら試せなかった感じもするので、結果オーライと言っておく。ジョレンテは前進しようとするとキツいとか、コンドグビアはビルド中に真横からもらうとターン出来ないとか、わかっていた事を一つ一つ再確認した感じだ。ルマルのSH起用も選択肢に入ってくるだろう。グリーズマンの気の利かせ方次第では新しいパターンの予感はあった。その場合は右WBはジョレンテかな

・組み合わせ
フェリックスとカラスコ。この2人の相性は良くないようだ。ボールの欲しいエリア、タイミングが似ていてお互いが邪魔になる。それが狙いではなかっただろうが、スアレスとクーニャを入れてフェリックスとカラスコのポジションが遠くなってからの方が、お互いやりたいプレーが出来ていた。それにしてもカラスコのプレー選択は周りの理解を得られていない。いつの間にか使い道が難しくなってしまった。
フェリックスが裏に欲しい場面でボールが出てこない事などもあり、過保護にするつもりもどっちかを贔屓するつもりもないが、少なくとも今はフェリックスが疑問を感じながらプレーをするのはチームにプラスはない。


・選手交代で決した
勝負はジョレンテ→クーニャの交代で決した。あそこで大外にフェリックスを動かす案はこの試合で出たものなのか、準備していたものなのか。ガラリとボールのルートが変わり、走力が落ちていたアラベスは全く対応出来なかった。クーニャもこの時間帯に出てきて、スピードとしつこい走り直しでかなり相手を嫌がらせる事が出来る。その動きがPK奪取を生んだ。あとは本当にシュートをどうにかしないと。冗談でモラタの後継者とか言ってきたが本当にモラタになってしまうぞ


さて、いよいよCLのマンチェスター・シティ戦となる。まずはアウェー。ウォーカーとルベン・ディアス不在ならフェリックスでどうにかなるのか?終盤フェリックスがSHに移動して、シティ相手でも非保持強度は足りるのか?何がどうなるやら想像もつかないが、今のサッカーが通用したら嬉しいし、全く歯が立たなくても世界のトップはすげえなとワクワクできる。とにかく今持っている武器を全部ぶつける試合にしてほしいな。胸を借りる気持ちで!楽しみにしましょう


4/3
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 4-1 アラベス
得点者
【アトレティコ】’11 ’82 フェリックス ’75(PK) ’90 スアレス
【カディス】’63 エスカランテ


●ピックアッププレー
63分同点に追いつかれた場面をピックアップする。

中盤でスアレスがややギャンブルチャレンジして外され、サイドチェンジ。正直いらない対応だったがまあそこはいい。逆サイド。左SHのカラスコの位置が悪い

画像14

ここ
最終ラインに吸収されるなと何度言えばわかる
ヘイニウドに促されて対応するが、ホルダーとSBどっち見るねんの状態で前進を許す。それ、君の初期配置が悪いからあやふやになったんだよ

画像15

どフリーでロングボールを使われる。あまり好きな言い方ではないが、これをシティのCBにやられたらたまらない。カラスコ出場停止だけど

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バジェホの良いランニングでニアに2人釣られる。ヒメネスはホセルのマークで手一杯。エスカランテの侵入の仕方が上手く、マークを外されて失点。デ・パウルの責任マークだったように思うが、ギリギリ誰のマークかわからないコースを綺麗に抜けられている。直接関係あるかは微妙だがカラスコが戻り切れていない事も気に入らない。この対応は駄目。

別記事でも書いたが、アトレティコの左SHは超ざっくり分類すればカラスコが攻撃、ロディが守備だ。その中でロディが攻撃でも結果を出している今、カラスコを優先する理由はない。この日の先制点もロディの侵入は良かった。
また、フェリックスとの相性が悪いならカラスコが優先される理由もない。今のシステムで彼自身の活かし方を考えるべきだと思うな。もちろん去就も含めて。
ちなみにカラスコは、右に移動してからは非保持も普通に出来ていた。左だと最終ラインに落ちるタスクがあるから、と納得しようと思ったが、別に左のフェリックスが最終ラインに落ちていたわけではないし。よくわからなかった。出来るのなら最初からやって欲しかった。ヴルサリコからめちゃくちゃ高圧的に指示されてたのかもしれない


●ピックアップ選手
フェリックス
2発。またもや開始10分での先制点。フル出場して駄目押しのチーム3点目も奪った。
60分には中盤で超絶プレス回避を見せた。もっと出来る

グリーズマン
先制点の起点になったボールの引き出し方は流石。中央レーンでボールを引き出して大外まで使うポストプレーも、バルサ移籍前を思わせるクオリティ。いよいよ本領発揮

ヴルサリコ
復帰即先発で結果を残した。少し休めてよかったのかもね。スピードもボールの質も向上しているように感じる

スアレス
30分で2発。PKをど真ん中にぶち込んだ事もそうだし、とにかく今は点を取る事だ。良いコンディションでマンチェスターへ向かう

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