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今日はプレスの日 25節 アトレティコvsラス・パルマス(H) 2024.2.17

久しぶりにミッドウィークに試合がなく休養十分で迎えるホームゲーム。前回対戦。

1-2でちゃんと負けた。そういえばアウェーの連敗はここからだったな。前節セビージャに負けた事でラリーガのタイトルは難しくなったが、2月は比較的毎年そんな事を言ってる気がする。CLの1stレグを前にテンションを上げていきたい試合。

ラス・パルマスはどうやって点取るねんの課題をあまり解決しないまま勝ち続けている。個人的お気に入りのアルベルト・モレイロをアトレティコ戦で見られるのは楽しみの一つ。


●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヒメネス / ヘイニウド
モリーナ / バリオス / コケ / サウル / リーノ / ジョレンテ
コレア

グリーズマン、デ・パウル、エルモソを外した。
ヒメネスが1月28日以来の復帰。

・ラス・パルマス
バジェス
アレックス・スアレス / サウル・ココ / マルモル / セルジ・カルドナ
ペローネ / ハビ・ムニョス / キリアン・ロドリゲス
マルビン・パーク / ムニル / サンドロ・ラミレス

普段通りのメンバー。



●前半

ラス・パルマスがボールを持ちアトレティコが5-3-2で構える、という形は容易に想像できたが、いきなりアトレティコは前プレ設定。

前プレ

最近ではなかなか珍しい。ラス・パルマスはプレスを受ける事を前提としたチームのはずだが、ジョレンテ&コレアの2トップの出足がとんでもないスピードでラス・パルマスは最終ラインから一つ前に付けるボールが引っかかり続けた。後続からはコケがペローネまでジャンプしてくる得意の対応。そしてバリオスが強い矢印を出して構築のキーマンになるキリアン・ロドリゲスにボールを入れさせなかった。彼はこの日終始良い守備が出来ていた。成長。そこからSBまで出ていけるのもグッド。バリオス、コケ、サウルの生え抜きトリオは全体的に流石の守備対応。めちゃめちゃ褒めちゃう。

2トップがCBを捕まえると後続のプレスは右SBアレックス・スアレスにはリーノ、左SBセルジ・カルドナにはバリオスが出てくる。
前回対戦の反省で、両WBのピンにWB(モリーナ&リーノ)が対応すると中央の人数バランスで圧力が掛からなくなるので前プレするならこの形で良い。ちなみにおれは前プレしないで撤退すると思っていたので想像した形とは違った。当然この形はエルモソではなくヘイニウドが最終ラインに構えているから成立する形であり、同時にヒメネスがいるから成立する形でもある。

一つアトレティコのプレスで非常に良かった(対応が良かった<設定が良かった)のは、相手GKバジェスの扱い。

この選手はリセットのパスが上手いというよりもう完全にビルドアップに参加する選手で、逆に今のラリーガでは珍しいタイプかもしれない。センターサークル付近にいる事も割と普通。ラス・パルマス相手に前プレしようとするクラブはバジェスがCB間でボールを受けた時に守備ブロック全体を押し下げられるのは割と定番な気がするが、この日のアトレティコは"ボールを離す選手に対応していた守備者が必ずGKまでジャンプ"する約束を徹底した。直接ジャンプできないなら逆側のFWが出ていく。コレアはこういう追いかけ方が上手い。
こういうのは徹底する事が大事で、ジャンプできるならする、無理なら撤退するみたいな緩い設定だと逆を取られて突破される事になる。矢印の目を揃える事が大事。
これでバジェスは蹴っ飛ばすしか選択肢がないケースが増えてサヴィッチ付近で回収するかタッチラインを割るキックが増えていった。

GKまでプレスにいった結果左SBのセルジ・カルドナが空いた時はモリーナが飛んでくる形も約束。考え方はあくまでも前から順番に捕まえていく形。3CBがサヴィッチ、ヒメネス、ヘイニウドだからこその人数バランスである。ここでラインを下げずに人を捕まえながら横幅の管理を再設定できるのはベストな対応。サウルがハビ・ムニョスの対応よりも中央のアンカーポジションでサポート体制に入れているのは素晴らしい立ち位置。まじで褒めちゃう。リーノがアレックス・スアレスから離れて中央付近に意識を向けられているのもグッド。褒めちゃう。
ちなみにそこがラス・パルマスの課題、という意味ではないがサンドロ・ラミレスが大外でモリーナ相手に優位を持てれば展開は全然違った。大外の質は重要です。

ラス・パルマスは今季20失点とマドリーに次いで少ない数字だが、開始5分にハイラインに対してオブラクからサウル目掛けたロングボールを蹴っ飛ばして簡単にコレアが裏抜けできたシーンでなんだか怪しい雰囲気が出てくる。12分にはGKバジェスがキリアンに付けたボールで圧力を感じたのか珍しくイージーなロスト。コレアの日になる予感がする決定機を迎えている。
もう一つ付け加えると、MF勢が"おれの足下へのボールじゃなくて蹴っ飛ばすかも"という考えを持ってしまう展開がこういう普段なら出ないミスに微妙に繋がっていた気がする。普段着というのはいかに難しいかというお話。


15分にアトレティコが先制。ヘイニウドがドリブルで持ち上がり、というか出しどころに迷ってズンズン前に進んだら大外でリーノに1vs1をプレゼントしました、という形を生み、当然PA内には2トップ+サウルの3枚。ラス・パルマスは中盤の3人の内、誰かが気合でゴール前に戻るべきだったと思われる。

20分の追加点はアトレティコの2トップで2CB+ペローネ、さらにGKの4人の選択肢を制限していき手段に悩んだサウル・ココがロスト。FWで起用されたジョレンテはいきなりの2得点と結果を出した。このシーンも、サウル・ココは普段の判断ならバジェスに簡単に戻せたんじゃないかなと思うが、"GKに戻したら蹴っ飛ばす事になってしまう"という考えが微妙にリスクを選択させてしまったと想像する。

試合後ピミエンタ監督は「ミスだ」と断言していましたが

同時にコレアのプレスはサウル・ココが前を向こうとした瞬間にビタッと詰める完璧な速度で突っ込んでおり、ラス・パルマスは勢いに飲まれてしまったなという印象。いわゆる息継ぎができない的な。

ラス・パルマスは他の手段を持たないし、ビルドアップ全然できませんの状態で2点取られたらもうほぼ試合は終わっている。アトレティコは前半でセットプレーから一点返される、みたいな形は避けたかったが選手達もそれをわかっているのかヘイニウドを中心にCKで死ぬほど喧嘩してゴリゴリに集中力を削いでいった。
こういう局地戦が強まりそうな展開でイエローもらいそうな選手を2人挙げなさいと言われればモリーナとサウルなんだが、モリーナとサウルが前半のうちにカードを頂戴した。君達は本当に。

象徴的だったのは35分にジョレンテがGKまでプレスに行って後続が続いていなかった時にジョレンテの"なんでやねん"のリアクション。アトレティコからすると"まだやるんか"。ラス・パルマスからしても、"まだやるんか"。この時に実質試合終了だった。45分にはコレアのパーフェクトポストプレーで決定機を作るが最近圧倒的に運が悪いリーノが外して前半終了。


●前半終了

圧倒的なプレス強度と思い切り。ボール奪取後のゴール強襲で圧倒し前半で試合を決めた。後半は選手交代とペース維持、あとはミッドウィークに余力を残す事に軸足を移していく。


●後半

前プレ継続のアトレティコは早速47分、コレアに待望のゴール。この一発だけでこの試合の価値はある。ラス・パルマスはこれが今季初めての3失点で、この後のゲームプランがふわついたのは仕方ないところ。アトレティコはヘイニウドの配球の練習みたいな時間に。

混乱の中でアトレティコがややボールを持ち始めてリーノの裏に球が出始めてPKゲット。これまたコレアが決めて4点目。休ませたい選手をごっそり交代し、73分にはフェルメーレンも投入。左大外に出したロングキックが2つ全く距離感が合わなかったのは意外だった。頑張りましょう。

87分はヘイニウドの単発守備からカウンター発動。リケルメ→メンフィスで5点目。ヘイニウドはいよいよ色んなものが整った感覚。試合終了。



●試合結果

この試合はインテル戦の予行演習ではなく、あくまでもラス・パルマスに勝つために準備したものである
グリーズマン&モラタでもグリーズマン&メンフィスでも、相手CB+GKからボールを取れ上げるプレスが出来るとは思えずこの試合にはコレアが必要だったし、相棒はジョレンテであるべきだった。
モラタが負傷離脱中で、コレアの役割が増える事は必要な事であり、当然な事でもあり。そこで"グリーズマンが今日は休みだから"ではなく"コレアに任せたい仕事がある"という試合を作れたのは重要な事。そしてその期待に応えたコレアは、個人的には当然の働きだったが広い視点で見るととても重要な事だったと思う。よく出来ました。

前プレするなら2トップはこの2人が良く、前プレするなら3CBはこの組み合わせが良い。息継ぎさせない環境を作るならこの3CHが良かった。そういう試合をCLや国王杯とは無関係に作れたのは良い気分転換で、あらためて決戦に集中する準備にもなった。前半で試合を決めて後半の出力を落とせたのはシンプルにラッキー。メンフィスにゴールが出たのもラッキー。シュート上手すぎ。チームは良いイメージを持ってミラノへ向かう。

ラス・パルマスはどこかバランスが悪くご乱心だったと思いたい。プレスに来られると即ぶっ壊れますなんていうチームではない事は今季見ていればわかっている事で、想定と違ったのか内的な要因で上手くいかなかったのか。WGとストライカーにクオリティがなかったのも今に始まった事ではない。まだまだ修正できるチームだと思う。


2/17
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 5-0 ラス・パルマス
得点者
【アトレティコ】’15 ’20 ジョレンテ ’47 ’62(PK) コレア ’87 メンフィス


●ピックアップ選手

コレア
プリメーラに限れば12月10日のアルメリア戦以来の得点。一試合2得点は10月1日のカディス戦以来。フル出場も今季まだ3回目。ビッグマッチ直前、モラタの離脱期間に調子を上げるべき選手が結果を出した。

ジョレンテ
プレスのスイッチを入れる役割を果たし試合展開を作った。その中で2得点は言う事なし。チームの新しい選択肢を作った。

バリオス
急先鋒であるジョレンテに連動してボールを追いかけ、ラス・パルマスが望むボール保持をさせなかった。プレス回避でボールの近くにいれば誰よりも仕事できるのは当然の事。これまでとは違う試合展開でもピッチにいる意味を表現できた事がとてもポジティブ。

ヒメネス
復帰。良い試運転になった。ようやく心臓に火を付けるような試合が訪れる。

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