見出し画像

相応しい姿に CL6節 アトレティコ vsポルト(A) 2022.11.1

敗退が決まってしまったCL。ポルトとのアウェーマッチで先季の再現といきたい所だったが残念だ。
そのポルトは5節終了時点で突破確定。おめでとう。勝てばブルージュが引き分け以下で首位抜け出来るため、完全に勝ちに来る。昨今のCLは1位抜けと2位抜けで天と地の差がある。

前回対戦はこちら。アトレティコホームでロスタイムに計3点が入り2-1で勝利。

昨年の6節はこちら。グリーズマンの先制点からカラスコのヘッドロック、クーニャのアカデミー賞、そしてやっぱりロスタイムに計3点が入った。なんなんだ


●スタメン
・アトレティコ

オブラク
モリーナ / サヴィッチ / ヒメネス / ヘイニウド
ヴィツェル / デ・パウル / サウル
コレア / グリーズマン / フェリックス

週末負傷交代したモラタはベンチ入り。コンドグビアは久しぶりにスタメンから外れた。週末2得点のフェリックスがスタメンに入る。

・ポルト
ディオゴ・コスタ
ぺぺ / カルドーソ / マルカーノ / ザイドゥ
グルイッチ / エウスタキオ / オタビオ / ガレーノ
タレミ / エバニウソン

ぺぺ(CBの方)は引き続き欠場。ダニ・カルモとウリベは累積で出場停止となる。
CBはマルカーノ。35歳のベテランは今季CL初出場で、公式戦出場自体8/28のリオ・アヴェ戦以来。中盤にはグルイッチ。




●前半
・軽く緩いアトレティコ

前半から2失点。開始5分でタレミに先制ゴールを許す。十分にボールプレッシャーがかかっていない状態で背後へのボールを通されたヒメネスだが、ヘイニウドとサウルで左側へのパスコースは切れている認識だった様子。おれもそう思う。モリーナは絞り切れず。何故だろう。

2点目は中途半端なロングボールの対応をサヴィッチが珍しく誤り入れ替わられる。マイナスの折り返しを2列目から飛び込んできたエウスタキオに決められた。中盤は全く戻り切れず。何故だろう。

それ以前にまず前半の4分のアトレティコのコーナーキックをGKにキャッチされたところから始まった逆襲で簡単にボール前に数的不利を作ってピンチを招いた。何故だろう。

中盤でのロストでアトレティコの前進は臆病になっていく。ポルトのプレッシャーはそこまで強烈だっただろうか。前向きに整理された守備ではあったが、選択肢を失ってしまうほど追い詰められるような展開だっただろうか。

アトレティコの前進パターンはたった一つに限られた。大外へのハイボール。これだけ。

最終ラインは3枚で立ち、縦パスを刺す事はせず大外へのハイボールを使う。ポルトは4-4ラインを縦横ともにコンパクト。ライン間に入り込むグリーズマンを使わせないが、大外は空いている。アトレティコはここを使う。主に右のモリーナ。

コレアとグリーズマン、そしてデ・パウルが近づいてユニット。ポルトはチーム全体で素早く移動して隙間を使わせない。ボールは守備ブロックの外を回るので

逆へ。主にサウルが待っているが、フェリックスが内側でボールをもらえない事を予見してか大外で張っている事もあった。なぜそんな自分本位な判断が許されるのか理解出来ない。FWは誰なんだ。チームの右サイドのユニットで前進を試みる狙いすら理解していないのだろうか。その時自身がどこにいるべきなのかを考えた事はないのか。


この日は、誰という事なく全員がロングボールの質が低かったのも前半の攻撃を難しくした。受け手のモリーナ&サウルがスピードのある選手ではないので匙加減が難しかったというのも多少影響しているかもしれない。ジョレンテとカラスコだったら蹴っ飛ばしておけばどうにかなるし。しかしそんなものはCLの舞台で擁護出来るものではない。レベルが低かった。


●前半終了
勝たなければならない、少なくとも引き分けなければならない試合で早々に2点を失った。
非保持の4-4-2は特に上手く守れたシーンもなかったので割愛する。何度もガレーノが大外ではなく内側を狙ってランニングしてきたのが舐められてる感満載で厳しかった。そしてその狙いを理解してしっかりボールが出てくる。アトレティコとは大違いだ。


●後半
選手交代なしで配置を変えた。

明確に5バックに。デ・パウルの位置が高くなってコレアを頂点に3-1-5-1のように立つ。現状最大限に攻撃的という事だろう。

3-1-5-1

60分にサウルとフェリックスを下げてカラスコとクーニャを投入。シメオネとしては0-0で推移した状態で彼らに頼りたかっただろう。これでアトレティコは左偏重、カラスコ頼みの攻撃に変更する。というか別に右サイドから侵入する事も出来ていなかったのでカラスコが入ってようやく攻撃が成り立つようになった。

ところで攻撃が左サイドに偏るとデ・パウルが高い位置を取っているメリットがほぼ無くなる。色々と上手くいかないものだ。
デ・パウルはもう一つ、中盤ラインから飛び出して前プレのスイッチを入れる役目がある。しかしこの日は後方のモリーナ&サヴィッチが異常に不安定で、デ・パウルがいなくなる事がシンプルに危険だった。62分にもモリーナとサヴィッチが2vs2を簡単に解決されて決定機を作られている。

モリーナは一旦こんなもんなんだと納得するとしてもサヴィッチは心配だ。

攻撃はグリーズマンとカラスコが頑張り、クーニャがどうにかしようともがく。
ところで形を変えないチームだと思っていたポルトが後半途中からグルイッチが最終ライン中央に入って5バック(5-4-1風)に変わっていたのは驚いた。正直決勝トーナメントのテストに使われた感がある。これでカラスコに突破を許しても真ん中の強度を保って守れていた。アトレティコのミドルシュートはたいして恐くないので妙案だと思う。普通に守れていた。

アトレティコは68分にグリーズマンがゴールネットを揺らすが直前のデ・パウルのファールを取った。ちょっと可哀想な判定。
74分にはカラスコの仕掛けからコレアに決定機。その後もグリーズマンが何度かシュートチャンスを作ったが結局決め切れず。ロスタイムにCKからオウンゴールで1点を返すに留まった。レヴァークーゼンが引き分けたため、グループ最下位転落。残念ながら今季の欧州コンペティションから早々に離脱する事となった。


●試合結果
すでにグループステージ突破を決めているポット1のポルト相手に敗れた。格上に負けた。さすがポルトガルチャンピオンは強い。アトレティコでは到底及ばなかった。

そんなわけあるか。このレベルに苦戦するシーズンになるとは驚いた。悪い悪いといってもここまで状態が悪いとは。
不安定な戦いに終始している。これで今季18試合目で18個目のスターティングメンバーだ。突貫工事が続き、サッカーが継続しない。

4節5節と勝ち切れず迎えた最終節だ。苦しいのは当然の事。毎試合書いている気もするが、怪我人の事も日程の事も考慮しよう。しかしそれでも、少なくともこの日もメンバーが体力万全なら勝てただろうか。どうだろう。

モリーナは攻守にクオリティを欠いた。攻撃では狭いエリアを突く技術も背後を取り切るスピードもない。クロスが味方の頭に合うわけでもなければ速いボールがファーサイドまで届く事もなかった。守備ではCBの背後に入り込む相手FWをケアする事もなければ自分の周辺の敵を蹴散らす事もない。
ジョアン・フェリックスは相手を置き去りにする事は出来ず、背後で欲しいのか大外で欲しいのか、それとも間で受けたいのか。味方の誰とも共通理解を持てていない。それは出場機会が少ないせいにして良いのか。少なくとも先季の良かった時期はもっとシンプルにプレーしていた。やりたい事はチームの勝利への貢献なのか、それとも就職活動なのか。
デ・パウルが左足を使わない事など百も承知。だがそれが理由でビルドアップで前を向けないなら話が変わってくる。それを補って余りあるクオリティを見せられないならこの舞台に相応しくない。
サヴィッチとヒメネスは試合開始から25分間で真ん中を突き抜けられた2失点をどう解釈しているのか。配置が。味方の戻りが。連携が。そんな言い訳が準備された立場なのか。ひっ倒してでも蹴飛ばしてでも守るゴールじゃないのか。誰よりも身体を投げ出して、泥だらけになって守り続けてきたポジションではないのか。もう疲れてしまったか。

シメオネは、このチームをどこへ連れていきたいのか。今季はもう欧州では戦えない。冬には出ていく選手もいるだろう。さあ、チームは変わる。変わってほしくなかった。今のアトレティコが好きだ。このままで、不完全ながらも勝ち続ける事が出来るのならば、今のメンバーで戦ってほしかった。何より今のメンバーで壁を乗り越えてほしかった。成長し改善していく姿を見ていたかった。不要な選手なんていないだろうと、言い続けたかった。

どれほどの時間がかかるだろう。相応しい姿になるまでに。今はただ、戦った選手に拍手だけ送って終わりにしたい。いつかそれが誇らしい態度だと思える事を願っている。


11/1
エスタディオ・ド・ドラゴン
ポルト 2-1 アトレティコ
【ポルト】’5 タレミ ’24 エウスタキオ
【アトレティコ】’90+5 OG(マルカーノ)


●ピックアップ選手
オブラク
2失点した後も不安定な守備でいつもだったら考えられない数のシュートを浴びたが耐え凌いだ。我慢の試合だった。

グリーズマン
まさに孤軍奮闘。一人で攻撃を進めた。複数あった得点機は活かす事が出来ず。

カラスコ
60分からの出場でカウンター狙いに切り替わっていた相手守備陣を切り裂いた。出来る事はやった。

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?