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ドラマは3度起こる CL1節 アトレティコvsポルト(H) 2022.9.7

ただいまCL。
今年もやっていきましょうグループB。そういえば去年もグループBだったね。今年の対戦相手はこちら

ポルト(ポルトガル1位)
アトレティコ(スペイン3位)
レヴァークーゼン(ドイツ3位)
クラブ・ブルージュ(ベルギー1位)

1節は再びのポルト。早速の再戦となる。もう概ねヘッドロック以外の記憶は消えているわけだが、先季も1節はホームでのポルト戦だった。

先季は0-0のドロー。

ポルトは売却の進んだシーズンで、エンベンバ、ヴィティーニャ、ファビオ・ヴィエイラ、フランシスコ・コンセイソン、セルジオ・オリベイラなどがいなくなった。大丈夫なんでしょうか。あとルイス・ディアスとヘスス・コロナも去年冬に移籍してる。大丈夫か本当に
今季は4節でリオ・アヴェに負けた(1-3)が、4勝1敗で好発進。スポルティングに3-0で勝つなどしてるので調子は良さそうな雰囲気がある


●スタメン
・アトレティコ
オブラク
モリーナ / ヒメネス / ヴィツェル / ヘイニウド
コケ / サウル / ジョレンテ / カラスコ
フェリックス / モラタ

ソシエダ戦で負傷したオブラクが間に合った。
モリーナが久々に出場。ジョレンテもCHで使う。中盤スライド優先でサウルがチョイスされた。左はカラスコ。2トップはここでも変わらず固定。

・ポルト
ディオゴ・コスタ
ぺぺ / ダビド・カルモ / ぺぺ / ザイドゥ
ウリベ / エウスタキオ / オタビオ / ガレーノ
タレミ / エバニウソン

ぺぺが2人いてややこしい。
中盤のエウスタキオという選手は先季もちょろっとだけ出ていたカナダ人。ガレーノは先季冬にブラガから加入した選手なので、ポジション的にはルイス・ディアスの穴埋めの選手っぽい。
2トップは、先季は頑張るけど報われなさすぎたエースのタレミと、ブラジル人のエバニウソン。



●前半
アトレティコは3CBで構築。ポルトは先季同様の4-4-2。前半を見ていく。

アトレティコは、ここ最近の国内の試合との単純比較でいくとだいぶまともにボールが持てた。開幕戦以来かなというくらい能動的にプレー出来た。

ポルトはラリーガのチームと同様、まずは前3枚同数をアトレティコCBに当てる形でプレス。左SHのガレーノが前に出てくる。
ただ、ここに奪いどころを設定する意志はなく、けっこうサラッと。
アトレティコの3CBが横パスを交換しながらゆっくり進んでくる間にガレーノは中盤ラインに戻る。はやめにブロックの内側にボールを入れられるような事がなければいいですよ、という設定。

まずは4-4ブロックを自陣に作る事がメインの最優先。ちゃんと守れるポルトらしい考え方だと思う。真ん中を割られたりしなければいいよと。4-4ブロックは相変わらずの超コンパクト。

大外にボールが出た時の対応。ポルトは全体でボールサイドへスライドし、CHが低い位置を取る事で真ん中の強度を確保する形で守る。

奪ってからが速いのもこのチームの特徴になる。迷わず前線のスペースへ蹴り出し、前の4枚+右SBのぺぺ(11番の方)が全員ランナーになれる。2,3枚のカウンターでゴールまで迫る迫力があり、これが出来るからCHのタスクは深い位置の守備の方が優先、二次攻撃までに前線まで上がって来てね、という感じ。おれはそもそも綺麗な4–4-2が好きなので、好きなチームです。

アトレティコの前進は最近の試合から少し形を変えた。
・両WBのハイポジション
・フェリックスのスタート位置

の2点。

相変わらずとんでもねえコンパクトハイラインのポルト。
まず、アトレティコは両WBのスタートポジションを高く取る。これはソシエダのビルドアップを見て学んだ、わけではないと思うが、ビルドアップに大外の2人を参加させず、大外のピン。ポルトの陣形がコンパクトになる事がわかっているので、あらかじめハイポジションを取っておくという感じ。それに伴い、フェリックスが自由に落ちてくる形を頻発。特にこの日はサウルが攻撃でも守備でもかなり持ち場を離れてプレーしていたので、その位置までフェリックスが降りてきてボールを引き取り前進、逆サイドの大外まで展開、という形が多かった。まあいいんじゃないでしょうか。現状一番組み立ても球出しも出来ない中盤3枚の組み合わせだしフェリックスの助けを借りる。

さて一方、ポルトのビルドアップ。
GKのジオゴ・コスタがパスを繋ぐ技術の高い選手なので、両CBが大きく開いて地上戦で進もうと画策。

アトレティコは2トップがGK+2CBの様子を見ながら追いかけ回し、右側はジョレンテ、モリーナがかなり強気に相手の左SBザイドゥのところまでプッシュ。逆にカラスコはSBまで行き切らず、オタビオへのパスを狙ったポジションで待機した。

さて週末のソシエダ戦では、気に入らない対応だった、と書いたアトレティコ右サイドのプレスであるが、この日もソシエダ戦に負けず劣らず強気に前方へアタックした。ただ、ここは正直仕組みが云々というよりシンプルに技術で劣るザイドゥのところを取り所に設定していた事もあり、何とも言えない箇所。実際ボール取りまくっていた。でも強烈な対人守備が出来るいい選手なんだけどね彼は。

もう一つ。ゴールキックでCBを飛ばしてザイドゥのところまで蹴り、これにモリーナが反応し強烈に前進。近い位置のパスコースを消して選択肢を奪い、タレミへの縦パスを狙ったところをジョレンテがインターセプトした。

アトレティコはこの日の中盤配置はサウルがかなり内側、時にはコケを追い越して圧力をかけており、阿吽の呼吸というか、やはり彼がいると前プレに関しては安心感がかなり強い。サウルが待機しているのを確認してコケが相手GKまでプッシュするシーンもあり、一心同体感があるし、信頼関係も凄まじい。

さらにこの日強気に設定されていたのは最終ラインの人数バランスで、2トップに対して3CBが残っていればあとは全員前向きの矢印、という状態。これでポルトにロングキックを選択させてもタレミ、エバニウソン相手なら余裕でボールが回収出来た。結果として、ここ最近の試合では一番まともにボールが持てた、という冒頭の話に帰結する。


●前半終了
双方これといった決定機を作れなかった前半。簡単にまとめる。

アトレティコは、
・ポルトのコンパクトな陣形を意識し、両WBが高い位置にポジション
・隙間に降りてくるフェリックスが前進を補完
・前プレで相手左SBの箇所を中心にハメ込む。蹴らせて3CBでボール回収
という感じ。CH3枚は異常運動量で、数的に優位に立てていなくとも中盤の雰囲気的優位を常に確保し、圧力をかけた。

ポルトは、
・まず4-4-2のブロックを自陣に置く事を最優先。ロングカウンターで仕留めるイメージを持てている
・GKからのビルドアップは通用せず、手詰まり
・アタッキングサードの質に劣り、遅攻からの得点期待値は低い
という感じ。実際に守備ブロックの外でプレーさせる事が出来ればかなり堅く守れており、やっている事は先季のチームと似ている。そこから単純にルイス・ディアスの怖さがなくなったというイメージになる。


●後半
後半開始から2枚交代。ルマルとデ・パウルを入れる。交代はカラスコとモリーナだった。大外のピンをやっていた2人を変えた形。

意図として、おそらく"これだけボールを回収出来るなら保持出来るメンバーでいきましょう"という感じかと。カラスコは週末もバテていたので体力的な交代かもしれないが。

この交代を受けて後半開始からのアトレティコの狙いは明白。
ビルドアップ出来るのなら、ルマル周辺(左側)から進みましょう
サイドチェンジでジョレンテをポイントにし、相手SBに2対1で勝負しましょう
という狙い。50分、早速この形が出る。

左側でボールを保持。コケからの大きな展開のサイドチェンジで一気に中盤ラインを超し、スライドが間に合わないタイミングでジョレンテとデ・パウルが相手SBに2vs1の局面を作って解決。最後はコケの美しいシュートで先制したかと思われたが直前のオフサイドで取り消し。なんだかプランが当たったように見えた後半の入りだったので残念。しかし左から進んで右で壊す、の形をしっかり出せたこの時間帯は良かった。

逆に左サイドは、フェリックスが単独で解決していく方法を探る。ドリブル突破からぺぺ(11番の方)とウリベにイエローを出させてセットプレーを獲得しており、出来る事はやっていたなという印象。

61分グリーズマンin。交代はサウル
この交代で、フェリックスは左の大外に立つ事が多くなる。
ポルトはそのフェリックスと対面するポジションをペペ(11番の方)に替えてジョアン・マリオ投入。

アトレティコの前プレは前半同様。慣れもあってか、人数さえ同数で揃っていればあとは2トップが自分のマークからGKまで二度追いしてロングボール蹴らせる。それだけやればあとは何でもいいですみたいな形になってくる。たまに真ん中を突破されてリスクも負ったが、攻撃試行回数を増やす事が何よりも優先!と理解した。60分台には2,3回プレスをひっくり返されてピンチになる場面もあり、リスク負いすぎに見える場面もいくつかあったが。けっこう機動力に欠ける選手も見られたので、疲労も溜まっている状態だった様子。ポルトのPA内の質の低さにも助けられてながらどうにかなっていた。


・選手交代の意図
最近シメオネの選手交代の意図に近づいている気が自分でしていたが、この日はまた難解な選手交代があった。
68分にモラタ→エルモソ
71分にフェリックス→コレア

まずモラタを下げてFWを削り、WBぽい位置にヘイニウドを置きつつフェリックスも大外配置。なんだこりゃ。からの3分後にコレアを入れてまた形を戻した。
何が原因だったのか、意図だったのか全くわからない。単に準備出来た順に変えただけなのかもしれないが、ポルト側に迷いが生じたのは事実。狙ってフワついた時間を作ったんだとしたら恐ろしすぎるが、60分台に良いカウンターを複数打てていたポルトの勢いが止まったのは事実である。

・異変はポルトに
70分過ぎにエルモソと衝突したオタビオが心配な倒れ方で負傷交代。81分にはタレミが退場。思わずもらいにいってしまったようなシュミレーションだったが、お粗末な演技で言い訳無用。たぶんシュミレーションじゃなくてコケました。って言ってたんじゃないかと。
やはり終盤に何かが起きるこの2チームの対戦はロスタイムにようやくスコアが動く。しかもたくさん動く

・先制点は狙った形
まず92分、アトレティコが先制する。コレア投入以降は中央にグリーズマンとコレアがおり、さらに真ん中から侵入出来るようになったアトレティコ。愚直に繰り返した形で先制点は生まれる

エルモソの配球から。1人少ないポルトに対してグリーズマンまで降りてきてビルドアップしたらさすがにどうしようもない。アトレティコが押し込む。デ・パウルがどフリーで前向きを作る。

1人少なくなったポルトはさすがにこの時間帯にスライドが苦しくなり、大外を左SHのような位置に入ったガブリエウ・ヴェロンに任せている。まあ多分ジョレンテ警戒の命を受けて出て来たのだろう。
アトレティコはデ・パウルが迷わずヴェロン目掛けてドリブルで進み、大外のジョレンテを使う。2枚引きつけた最高のランニング。ここまで縦突破を見せ続けていたジョレンテがこの場面ではコレアの足下にピタリとクロスを入れている。これでほぼ勝負あり。ニアにコレア&グリーズマンで引き付け、オープンになったエルモソで決した。エルモソは1stタッチでマークを外すストライカー顔負けのフィニッシュワークで、もちろん簡単なプレーではないが、そこに至るプロセスは明確に後半開始からチームで標榜した形で取り切った。エルモソにはドラマが似合う。ジョレンテ→コレア→エルモソで仕留めたゴールは、優勝した20-21シーズンを想起させるものでもあった。

・同点はPK
PK献上はエルモソ。お前はドラマなんて似合わなくていい。オブラクが触ったがすり抜けていき、同点。

・最後はグリーズマン
同点にされて時間がなくても、とにかく左で作って右大外、を最後の最後まで繰り返した事を高く評価したい。やっぱりエルモソとルマルがいると無限に前進出来る。勝ち負けは結果だが、再現性を信じて貫いた攻撃は必ず財産になる。
決勝点はロスタイム+11分。CKからヴィツェルが逸らして、最後はグリーズマンが待っていた。


●試合結果
勝った。苦しんだ。
ポルトは先季と同じサッカーが出来る完成度を持っていた。初めて見る選手もいたがどの選手もCLのクオリティを持ち、強度のあるプレーをした。

ただ、やはりルイス・ディアスがいなかったし、FWは相変わらずシュートが枠に飛ばない。アトレティコは3ポイントを目指してリスクも負ったし、球際の優位を持ったのはポルトだった認識だが、やはりもう少し説得力が欲しいところ。逆に先制さえすれば逃げ切れるチームだけに、どうにか1点のソリューションが欲しい。

アトレティコは強気な前プレを敢行。ここ数試合では空転したプレスもポルト相手には有効に機能し、マイボールの機会を増やす事に成功して狙った組み立てが出来た。
後半にはデ・パウルにルマル、エルモソを入れてさらに保持で押し切る狙いに。左側から侵入して右大外のジョレンテ、という明確な狙いを繰り返し、まあ結果として2点取った。色々ドラマチックだったが。

先季は1節のポルト戦ドローで最後まで苦労した気がするので、まずは3ポイント。そして今年はリバプールはいないのだ。一安心しつつ次へ進む。厳しい日程は続くが、まずはセルタ。


9/7
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-1 ポルト
得点者
【アトレティコ】90+2 エルモソ 90+11 グリーズマン
【ポルト】90+6 ウリベ(PK)


●ピックアップ選手
ヴィツェル
ボールを握れる試合で自在にビルドアップを先導した。ロスタイムに入っても運動量が落ちず、充実している

ジョレンテ
前半はCH、後半はWBで。堅い守備組織に割って入る作業に苦労していたがしっかり先制点のきっかけを作った。高速ネガトラスプリントもさすが。お疲れさん。

コケ
中央で両サイドをリンクして配球。疲れた顔一つせずやり切った。幻になってしまったがゴール後の喜びがここまでの苦労を感じた。

ルマル
得意な試合展開である事が判明してからの投入だったのでこれくらいは。活躍した事によって尚更使い道が難しいなと。

エルモソ
得意の配球で存在感を出し、右からのクロスにPA付近まで侵入してくるのも得意な形。見事なゴールで沸き、見事なハンドでずっこけた。よく出来ました。

グリーズマン
決勝ゴールを決めてエンブレムにキス。雑音をかき消す活躍を続ける。スターティングに名前が載ったら、おれは泣いちゃうかもしれない

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