loco por LaRojaスペイン代表の定点観測2023.11編
予選突破が決まったEURO予選も残り2試合。
●招集メンバー
★:初招集
GKは代表に選ばれない人の筆頭格だったソシエダのレミーロをついに選出。おめでとう。DFはイニゴ・マルティネスが3月シリーズ以来の選出。ラポルトは何故いないのでしょう。クラブが好調のグリマルドは前もどこかで召集されていた気がするがまだ出場はない。
中盤はアトレティコのロドリゴ・リケルメ、そして首位のジローナのリーダー、アレイシ・ガルシアを初招集した。FWは10月シリーズを怪我で離脱したニコとヤマルを再度招集。
●キプロス戦(A) ○3-1
得点者
【キプロス】’75 ピレアス
【スペイン】'5 ヤマル '22 オヤルサバル '28 ホセル
ラヤ、グリマルドがデビュー。ナバスがキャプテンマーク。5-4のブロックを低く作るキプロスに対し、縦パスのポイントを探していたが5分にあっさり先制。ホセルとガビが近づいてガビの前向きを作り、最後はヤマルがGKをかわしてフィニッシュ。いきなり完璧に崩した。
そういう設定なのかスビメンディが勝手にやってるのか、はたまた先制したからそれでいいという話なのかわからんがスビメンディは相手の2CHの目の前にずっと立ってボール関与はそんなに多くない。CB2枚とのコネクトは上手くできていて、ル・ノルマンもいるのでやりやすそうではあった。たまに降りてくるガビの助けを借りて前向きを作った。ヤマル&ナバスの右サイドから相手を崩そうとしつつ、あんまり色々考えなくても追加点は近そうな展開で、オヤルサバルの裏抜けとCKからホセルが決めてさっさと3-0。
38分にホセルのクロスに飛び込んだオヤルサバルが怪我。太ももかな。この交代で初招集のロドリゴ・リケルメが代表デビュー。おめでとう。
後半はメリーノに替えてこちらもデビュー戦のアレイシ・ガルシア。どうもオヤルサバルの負傷以降みんな自分が自爆するのを嫌がっているような感じで踏ん張りが効かなくなり、変な抜けられ方をいくつもした。失点はそういうのとは無関係だがダビド・ガルシアは裏抜けで置いていかれたのは印象が悪い。別に彼が悪いわけではないが見栄えが悪かった。
●ジョージア戦(H) ○3-1
得点者
【スペイン】’5 ル・ノルマン ’55 フェラン・トーレス ’72 OG
【ジョージア】’10 クヴァラツヘリア
キプロス戦からはル・ノルマンとガビ以外全員入替。
4分にフェラン・トーレスのFKに大外でル・ノルマンが合わせて先制。引き続き幸先が良い。ル・ノルマンは嬉しいスペイン代表初ゴール。が、直後にクヴァラツヘリアに抜け出されて同点にされる。クオリティ。
20分過ぎにペナ脇で縦パスを受けようとしたガビが膝を痛める。一度ピッチに戻ったがハイボールを追いかけた際にもう一度痛めて交代。大怪我になってしまった。これで4-2-3-1感がより強まる。選手交代で非保持形まで変わってしまうのは良いんだか悪いんだか。それともジョージアのビルドアップを見て指示があったのか。
ジョージアが5-3-2で構え、3の脇でカルバハルがフリーでボールを持てるがフェラン・トーレスがシンプル大外待ちであまり効果的ではないと思いつつ、ちゃんと一度縦突破で決定機を作った。
ジョージアは中盤全員がプレス回避に参加して前線が早めに動き出すトランジションを使って、スペインは度々後ろ向きになる。ル・ノルマンが流石の対応を見せていてこれは良い予行演習だった。一方失点シーンのイニゴ・マルティネスの対応は外であってたのか?個人的にバルベルデのアトレティックで序列が下がった原因も人数の少ないネガトラの対応だったと思っているので割と不安な目で見ている。
後半。55分に得意のペナ角でパスを受けたニコ。ここから右足でクロス、内側カットイン、そして大外を追い越す味方を使う選択をさせると彼は抜群に上手い。ここでは大外を抜け出したガヤを使って最後はフェラン・トーレスがフリーになった。
正直ガビの負傷以降の記憶があまりない。選手達に足を伸ばさないでくれ、球際で競り合わないでくれ、タッチラインを超えるボールを追いかけないでくれと思いながら見ていた。内容はあまり覚えていない。
●総括・EUROメンバー予想
予選が終わった。スペイン代表は7勝1敗でグループAを首位通過。
現時点でのEURO本戦メンバーを予想しておく。
ここでこの予選を総括するつもりだったが、ガビの負傷で色々と予定が狂った。このチームはガビのチームだった。どこかで書いた気がしないでもないが、スペイン代表のスカッドにおいてはペドリよりも序列が上で、本戦でもガビがスタメン、ペドリは控えと予想していた。
ここからのメンバー予想は、実はジョージア戦の前に書いていた物で、書き換えようにも全部書き直しになるし、何より気が進まなかった。なのでそのまま公開する。ガビの代わりには怪我がなければセバージョス、アセンシオ、アレックス・バエナ辺りが入るのではないかと思われる。
EUROメンバー予想 2023.11時点
ポジション毎に見ていく。
・GK
試合で使われたのがこの3人しかいないんだからこの予想になる。シュートストップを考えればウナイ・シモンに特に問題はない。しつこいようだが気になるのはCLを経験してない事ぐらい。今季のプレミアリーグとCL次第ではラヤがスタメンに変わってもおかしくない。それも人生の選択だ。この3人以外に召集された経験があるのはロベルト・サンチェス(チェルシー)とアレックス・レミーロ(ソシエダ)だが、現状第3GKがケパでは駄目な理由は特にない。ケパを推す理由も特にない。
・CB
高さがあってハイボールに強く、背走も頑張れるル・ノルマンは当確。相棒にはラポルトが濃厚。スペイン代表は、スペイン代表である以上守備機会が少なく、たまのカウンター機会に冷静に対応できる能力がどうしても必要で、その点でラポルトは圧倒的な経験値がある。
ル・ノルマンの代わりはダビド・ガルシアで、ラポルトの代わりはパウ・トーレス。5枚入れるならナチョでしょう。多分SBもやれない事はない。マドリーでたまにやるし。
他の選択肢が現実的にイニゴ・マルティネス(アトレティック)しかおらず、よく考えるとめちゃくちゃ層が薄い。ル・ノルマンが絶対的なスタメンで本当に大丈夫か。でもダビド・ガルシアに賭ける理由にも乏しい。あとチームの特性上警告をもらう機会が多くなる気がする。
・SB
なんだか色々試されたが落ち着くところに落ち着いた感のあるSB。まず右はカルバハルが確定。対人とトランジション対応、内側に立てるスキルなど、圧倒的にずば抜けている。替えが効かない。サブは38歳のヘスス・ナバス。最後に出場したビッグトーナメントはEURO2012で代表キャリアは既に終わった感があったが、6月のネイションズリーグ決勝ラウンドで招集されると出場する度にクオリティを発揮して実力で黙らせた。右WGが逆足ドリブラーのラミネ・ヤマルになると大外で活きる能力が最大化され、立場を確立した。
左は予選で合計7人が選出されたが、怪我さえなければ総合力で勝るガヤをチョイス。この選手はアンカーの並行サポートが上手いのと、正確なロングボールを使える。7人も起用しておいてこの仕事が得意そうなのがガヤの他にアレハンドロ・グリマルド(レヴァークーゼン)しかいないのもどうなんだ。ライバルはバルデ。こちらもナバス同様、大外でクオリティが出せる選手で得点が欲しい場面で要求がありそう。ただ、引いた相手を崩す時に何が出来るかはまだ未知数。おれが知らないだけだが、バルサではどうなんだろう。
そうなるとグリマルドが浮上してくるが、なんとなくスペインサッカー界全体を考えた時に噛み合わせの都合で20歳のバルデを外すのは反対されそうなので、グリマルドが入るとしたらガヤが落選すると思われる。
・ピボーテ
ロドリは鉄板。現状チームで最大のビッグネームで、彼を中心に戦う事になる。ベンチにはスビメンディを置く。その他の可能性はアレイシ・ガルシア(ジローナ)だが、おそらくアレイシ・ガルシアのニーズがあるのは得点が欲しい時で、そのタイミングでロドリをベンチに下げる選択肢はチームにないので、メンバー入りは難しそう。
・IH
ガビが中心になる。彼はいるだけでネガトラを補完できる存在であり、そういう選手は構築が甘くなりがちな代表チームには不可欠。代表においては引き続きペドリ以上の存在感がある。ライン間ワークとPA内への侵入でFWをサポートし、くさびを受けるトップの背後に入って裏抜けも狙える。ホセルとのコンビでよくやっていた。闘志を燃やしてボールにアタックできるプレースタイルは常にピッチに置いておきたい。デ・ラ・フエンテ体制で10試合全てに招集され唯一全試合に出場しているが、はっきり言って当然だ。これからもペドリが健康体だったとしてもガビが重宝されるだろう。
相方は左側でロドリのサポートをする選手が使われる。ファビアン・ルイスは非保持ブロックを安定させる事ができ、ポジトラで前を向いてボールを進められる。左の大外を取った時にペナ角で待ってミドルシュートを狙う得点力もある。あと空中戦に強い。ポジションを争うメリーノはほぼ同じ仕事ができて、よりボール保持へ傾倒する。ペドリはこのチームにおいてはあくまでも試合終盤にブーストを掛ける役割になるのではないかと予想する。5枚目はトップ下が本職でFWタスクが出来るオイアン・サンセ。配置変更を伴うペースチェンジが必要な場合と、サイドからの放り込みが確立された試合終盤の切り札になれる選手。
他に選択肢があるとすればダニ・セバージョス(マドリー)だが、まずは怪我からの復帰が先。あとは無理矢理システムを変化させるような選択肢を持ちたければ予選で未召集だがマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)を入れて4-4-2にするとか、そんな選択肢があるかも。
・FW
怪我で最近は召集されていないが、あくまでも左WGのレギュラーはダニ・オルモになる。ライン間のパスコンタクトとコンビネーションで侵入するスキルが抜群で、再奪回の強度がある。内外どちらにも置けるタイプで崩しの主役になれる。控えにはよりゴール方向に向かうタイプで複数ポジションをこなせるオヤルサバルを選択。ワンタッチシュートが上手いのでチームのニーズにも合う。
右はもはやラミネ・ヤマルが中心だ。内側を向いた時のシュートを含めた選択肢が豊富。そしてこの選手の特徴は周囲の選手が誰であろうと問題なくコネクト出来る事にある。周囲の選手達のバランスの中に自身を配置するのが上手いので年齢を抜きに考えてもスタメンで使いやすい。右WGは彼を起用しない理由が見当たらない。控えには左でも起用できる純粋大外アタッカーのニコ・ウィリアムズ。彼のドリブルを1vs1で止められるDFを探すのはなかなか難しく、そこで質を出したい試合なら十分スタメンで使える。
WGに関してはニコとややキャラクターが被るジェレミー・ピノ(ビジャレアル)の負傷離脱が決まり、その他の選択肢はスピードスターのブライアン・サラゴサ(グラナダ)くらいしかなくなった。あとはロドリゴ(アル・ヤーラン)くらい。
ストライカーはモラタとホセルで決まり。スピードがあってダイレクトフリックが上手く、ゴール前の決定機があるモラタはこのチームのCFに最適。アトレティコでは2トップが合うんだけどね。周囲の選手に仕事を任せて自分の仕事に集中できる環境ができている。もう一人はホセルで、マドリーでの起用法同様試合終盤に得点が必要な時に出てくる事が多い。器用かつゴール前のヘディングに絶対的な強さを持っており、良いクロスが無限に入ってくるスペイン代表で能力が最大化される。
もう一人のユーティリティ枠には3ポジション全て出来るフェラン・トーレスを置く。どこで使っても周囲と連携してエリアに侵入していく事ができる選手。大会の中で新しい使い道が見つかる可能性もあり、違いを生む期待値は高い。まだ23歳だし。というかもう40試合も出てるのかよ
あとはマルコ・アセンシオ(パリSG)とアンス・ファティ(ブライトン)というフィニッシャーに仕事があるのかどうか。監督はサンセがいればいいと思っていそうな気がするのと、多分フェラン・トーレスの方が好みな気がする。
●デ・ラ・フエンテの考え方について
2023年の戦いを終えて、ネイションズリーグ優勝とEURO予選突破という目標を無事達成した。システム的なプランBを持つ事は今後もなさそうで、そうなると継続して見る意味あんのかという気はしてくるが、ガビの大怪我でチームを作り直す事になった。ガビがいなくなるだけで案外IHの選択肢が少ないのはスペインにとっては受難なのか、なんなのか。逆にどこのポジションが厚いかと言われると、なんだろう。GKか?
次へ進みましょう。日々は進んでいく。強くなって帰ってこいよな
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