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疑問の答えはまたの機会に 10節 アトレティコvsセルタ(A) 2023.10.21

久しぶりの方はお久しぶりです。
公式戦5連勝で代表ウィークに入ったアトレティコ。
まずは代表戦から。

🇦🇷デ・パウル
10/12 パラグアイ戦 フル出場
10/17 ペルー戦 78分まで

🇦🇷モリーナ
10/12 パラグアイ戦 フル出場
10/17 ペルー戦 出場なし

🇪🇸モラタ
10/12 スコットランド戦 85分まで 1ゴール
10/15 ノルウェー戦 89分まで

🇫🇷グリーズマン
10/13 オランダ戦 87分まで
10/17 スコットランド戦 76分まで

🇸🇮オブラク
10/14 フィンランド戦 フル出場 無失点
10/17 北アイルランド戦 フル出場 無失点

🇲🇪サヴィッチ
10/12 レバノン戦 出場なし
10/17 セルビア戦 フル出場

6人て。書き始めてから一番少ないな。
モラタはスコットランド戦で先制ゴール。スペインはノルウェーにも勝ってEURO本戦出場決定。オランダとのアウェーゲームを2-1で勝ったフランスも予選突破。恒例のその後の親善試合はグリーズマン休ませろよ案件が発生。連続出場なんておれはどうでもいい。
オブラクのスロベニアは2戦連続クリーンシートでフィンランド、北アイルランドに連勝し、いよいよ本当にEUROが見えてきた。サヴィッチのモンテネグロはセルビアとのダービーマッチとか気軽に言っていいのかわからん対決で1-3敗戦。なかなか厳しくなった。ちなみにソユンジュは怪我で招集外だったがトルコも本戦出場決定。
南米では引き続き絶好調のアルゼンチンがこれでW杯予選4連勝。いまだ無失点で首位を独走する。6位まで予選突破だしもうほぼ決まりなのでは。モリーナが怪我して帰ってきた。どうしてくれる


セルタとの前回対戦は2月。

今季はベニテスが就任してガブリ・ベイガがサウジに行ったセルタ。前回対戦ではセルタのプレスにけっこう捕まって上手くいかずミンゲサ周辺から進まれる試合。最終盤のメンフィスの一撃で勝った。最近のセルタは3CBをやっているし同じ展開にはならないと思われる。脱アスパスの進捗具合も気になるところ。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
アスピリクエタ / ヴィツェル / エルモソ
ジョレンテ / バリオス / コケ / サウル / リーノ
グリーズマン / モラタ

定番となっているアルゼンチン組のお休み。バリオスは9月19日ラツィオ戦以来一ヶ月振りの実戦復帰。

・セルタ
ビジャール
ケビン・バスケス / スタルフェルト / ヌニェス / マヌ・サンチェス
ベルトラン / デラトーレ / ミンゲサ / バンバ
アスパス / ラーセン

ケビン・バスケスが今季初出場。ミンゲサは右SHの4-4-2でスタート。




●前半

セルタの配置から。4-4-2のブロックで守ることを主体とする。

テーマはコケを2トップで見張る事と、WB(ジョレンテ&リーノ)に1vs1をやらせない事。
セルタの2トップ、アスパスとラーセンはコケと並列くらいの位置からヴィツェルに矢印を向ける。アトレティコはここ数戦の取り組み通り、"ヴィツェル&コケから配球するか、HV(アスピリクエタ&エルモソ)が前進するか"の2択のどちらが有効なのかを確認していく。その両方を上手く封じられたのがこの前半であった。

HV(この場合エルモソ)がボールを持つとSH(ミンゲサ)が正面から距離を詰める。この時ミンゲサはコケやグリーズマンに向かうパスコースは見張らない。それは担当の選手がやっている前提で真っ直ぐにプッシュする。コケには2トップのどちらかが列を降りてマーク、ボールを触りに来るグリーズマンは2CHが警戒する約束がされていた。これだけ見てもこの試合のために準備された設定である事がよくわかる。

そうなるとエルモソの選択肢は当然リーノの足下になるが、ここにボールが入るとSH(ミンゲサ)が頑張って位置を下げ、平行サポートするサウルへのパスコースを封じる距離まで近づく。リーノは縦に抜くとCB、内側へ進むとCHに挟まれる環境になる事がわかる。

コケを2トップで警戒し、ヴィツェルにフリーでボールを持たせる事を許容していったのがこの日のセルタの設計で、コケ周辺に相手選手が多いと結果的にサウルが落ちてきてサポートするメリットが漸減する事もわかった。

この守備でアトレティコの前進はかなり止まった。あとはグリーズマン周辺とHVの関わりでどこかのエリア打開を狙う展開になった時にセルタがどこまで我慢できるかだが、そのチャレンジの前にPK&退場でスコアが動いたので未検証に終わったのは残念。

セルタはボールを持つとぬるっと形を変えていく。最善策を探す中でこねくり回している印象はある。

アトレティコ相手に後ろ3枚はまずいという印象があるのかもしれない。フェイエノールトとかね。あとはミンゲサ単品を大外に置くと性能が活かせないという考えもありそう。左はマヌ・サンチェスとバンバ、右はケビン・バスケスとミンゲサ。
2CBの配球を制限する考えはアトレティコにはなく、ご自由にどうぞという様子。主にベルトランが2CB間に立つのでデラトーレが左、アスパスが右ハーフスペースだとバランスが良さそうだが、あえてアンバランスにしてどこかから侵入を狙っていた気がする。特にデラトーレはよく右に出張していた。そしてラーセンもアスパス側のハーフスペースを狙ってランニングした方がボールが出てくるのでこの2人の距離も近め。じゃあ誰がファーサイドに入ってくるんでしょうねという感じ。
両SHが守備を頑張らなければならない配置でありながらポジトラもこの2人(ミンゲサ&バンバ)が死ぬほど走ってアスパスをサポートし、ラーセンはちゃんとシュートまではいけるので雰囲気は感じた。ミンゲサはともかくバンバも低い位置まで守備を頑張れるのは良い点。なんとなく攻め残りしてドリブルで突っ込むだけの選手っぽい風貌だが、そんな選手ベニテス取らないよなっていう。

アトレティコは大外から侵入できないならIHが、と行きたいところだがサウルはスペースがなくトランジションバトルもなく、守備で危険な場面があるわけでもないので登場機会がそもそも少ない。バリオスはおそらくジョレンテに強く指示されていたのであろう、全力チャンネルランを何度も繰り返したが別にボールが出てくることはなかった。
セルタの配置がしっかりしていて、アトレティコはカウンターを打てる機会もほとんどなかったので引いて守ってボールを奪ってCBからビルドアップ、の繰り返しでなかなか突破口がなかった。さてどこのコンビネーションを使いましょうか、という展開。アスピリクエタのアーリークロスには可能性を感じたが10回くらい試行する必要がありそう。

そんな中、25分にエルモソのロングボールを取り損なったGKビジャールがモラタを妨害してしまいPK&退場。何してんねん。ちなみにビジャールはこの場面の直前にもなんでもないハイボールを溢していたので割と擁護する余地はなかった。そしてモラタは狙っていた。
このPKをグリーズマンが決めて先制。36歳のグアイタが初出場することになったが、割といい感じだったのでこのままレギュラー交代になるかも。


●前半終了

1-0のまま前半終了。
相手のブロックが良いですね、どこから崩しましょうか、というタイミングでPKで先制。一人減った相手が何を変えてくるでしょうか、やっぱり大外の対応が追いつかなくなりますね、を確認したところで前半終了。ボールを開け渡しても主導権は常に握れていた印象で、その点はカディス戦、フェイエノールト戦と同じ文脈の上にいた。今季のアトレティコの前半ってこういう過ごし方が多くなると思う。相手が一人減ったしダラっと過ごしたい後半へ向かう。


●後半

アトレティコはモリーナとリケルメを投入。
膝の打撲っぽかったリーノと復帰戦のバリオスが交代する。

アスピリクエタを左SBに動かし、配置上は今季初めて4バックになった。ヴィツェル&エルモソの2CBというザワザワする配置。そして途中からハビ・ガラン出てくるんだろうなっていう(出てこなかった)

アトレティコはさらに57分にサウル、ジョレンテ→デ・パウル、コレア。これだけ有利に戦いながら先に4枚も交代を使ったのは少し驚きだったが、もはやシメオネはこの試合のスコアを見ていないのかなと思っておれのこの試合への興味もほぼなくなった。

64分、中央に人数をかけたセルタだったがグリーズマンがひっくり返してカウンター発動。まあ一人少ないし仕方ないでしょう。ただ、グリーズマンの独走を誰も止められずPA内まで運ばれ、最後はどう見てもモラタを狙った右足クロスがファールチップしてそのままゴールへ。全員騙された。しゃーない
この2点目でセルタの足が止まり、アトレティコはアスピリクエタを右に戻したなぁと思っていたらモラタが単独で抜け出して最後はモリーナ→グリーズマンでトドメ。モラタの抜け出しはトランジションでコレアが関わっている。引き続き彼は縦パスを受けるコンタクトが良い。好調キープ。
グリーズマンのハットトリックは2018年2月28日レガネス戦(4ゴール)以来。ちなみにグリーズマンのハットトリックはキャリア3度目で、1回目は上記のレガネス戦の3日前2月25日のセビージャ戦。
これでお役御免となりソユンジュと交代。ソユンジュは8月28日ラージョ戦以来の復帰。そのソユンジュはCKで攻め残りして綺麗にヘディングを決めたがオフサイドでした。


●試合結果

中断明け初戦は3-0勝利。リーグ戦5連勝、公式戦6連勝。同日セビージャと引き分けたマドリーと3ポイント差となった(アトレティコは1試合未消化)。

あまり負ける要素はない試合だったが検証ポイントはあった。
まずは前半の、SHが守備を頑張る4-4-2ブロックを攻略できなかった時にどの位置の誰のコンビネーションで打開を狙うつもりだったのか。もしかしてカディス戦は普段通りやってきた方が苦戦したのではないか。あまりIH(バリオス&サウル)が有効に関与できなかった点は指摘しておく。
あとは後半にアスピリクエタを左に動かした4バックの意図。後ろにヴィツェル&エルモソと、コケorサウルのどちらかの計3人を残しておけばいいという構成だったのかもしれないが、むしろ押し込む時間を長くしてアスパスとバンバにロングカウンターを返される方がリスクが高そうに見えた。しかもこっちはヴィツェル&エルモソ。結局押し込んで追加点を取ったわけでもなく、真相は今後の確認ポイントとなる。リケルメを過保護するためとかだったらどうしよう。

セルタについて。脱アスパスがテーマなのかどうかは知らんが、アスパスに点を取らせる事が最適解という思考からは徐々に遠のいていっている。主にトランジションで前を向いたアスパスの推進力を活かしてもう一人ゴールへ向かう選手を作るというのが狙いのよう。終盤にドゥヴィカスを入れる選択肢も、交代はラーセンではなくアスパスだった。
おそらくベニテスがチームビルディングの中心に組み込もうとしているのはフラン・ベルトランであり、ミンゲサでありジョナタン・バンバである。特にミンゲサの活用法がチームの攻守バランスを動かす手段と見ている様子がある。FWのラーセンは電柱役をやれて裏抜けできて守備貢献が高い。あんまり点を取らない事以外は欠点がないが、得点パターンにこそ悩んでいるチームの現状が難しい。たぶんベニテスはアスパスに対して"お前に点を取らせる構築じゃなくても10点くらい取れよ"と思っていると想像する。実際それができたらこのチームはだいぶ楽になれる。


10/21
エスタディオ・デ・バライードス
セルタ 0-3 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】’29(PK) '64 '70 グリーズマン


●ピックアップ選手

グリーズマン
ハットトリック。効率の良い試合だった。

モリーナ
後半だけの出場で、バンバの突破に苦戦しながらも試合の結末を早めに決めた。3点目に繋げたロングスプリントは最大の特徴。

バリオス
怪我から復帰。もうちょっとタスクを固定した方が使い勝手が良い。

ソユンジュ
こちらも復帰戦。空中戦の強さと足下の危うさを15分間の出場でしっかりと見せた。

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