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どうせ進むなら上を見ながら 21節 アトレティコvsセルタ(A) 2023.2.12

気を取り直せ、アトレティコ。ということでね。勝てなかった次の試合は"気を取り直して○○戦"と書き出しがちなので"kiwoto"くらいまで打って思い直りました。最近は気を取り直しすぎなのでね。

さてアウェーのセルタ戦。前回対戦

4点も取ってるのに苦言ばかりのレビュー。そして最初の"セルタは好調を維持して上位に喰らいつきたいところ。"というところで「はにゃ?」となる。
そんなセルタはこのアトレティコ戦を境に13節までを1勝1分7敗と負けまくった。9試合の間に複数得点なしで失点は20。エドゥアルド・コウデ監督もあえなくクビに。公園で犬の散歩してそうな風貌が好きでした。後任はカルロス・カルヴァリャル。ポルトガル人でブラガの監督をしてた人。イングランドでもちょこっとやってたらしい。最近のセルタはポルトガル絡みの移籍が多いような気がする。ちなみにコウデは解任されてすぐにブラジルのアトレチコ・ミネイロの監督になったそうです。アルゼンチン生まれなんだね

そんなセルタは14節ラージョ戦から息を吹き返し、3勝3分1敗と降格圏脱出。特に直近はアトレティック&ベティスに連勝中。相変わらず中位クラブにだけ勝つ感がある。前節もベティスに4-3と打ち合って勝っている。打ち合ってこそのセルタ。4-4-2で綺麗に配置し、アスパスのいる右サイドでカルレス・ペレス、ガブリ・ベイガ、そしてミンゲサが絡んでくる攻撃は迫力がある。カウンター対応は知らん。リスクよりやりたいことを選ぶのだ。それでこそセルタなのだ。


●スタメン
・アトレティコ

オブラク
モリーナ / サヴィッチ / エルモソ / ヘイニウド
デ・パウル / コケ / バリオス / ジョレンテ
グリーズマン / モラタ

ジョレンテがスタメンに復帰。前節出場なしだったバリオスもスタメンに。
4戦連続でスタメンだったコレアを外した。

・セルタ
ビジャール
ミンゲサ / アイドゥ / タピア / ハビ・ガラン
ベルトラン / ガブリ・ベイガ / デラトーレ / カルレス・ペレス
アスパス / ラーセン

前節ベティス戦をほぼ踏襲。変更点は累積で欠場のCBウナイ・ヌニェスの代わりにタピアをCBに置いたこと。そういえばこのチームはCBの頭数が少ない。安全を選ぶならミンゲサをCBで右にマージョな気がするが、そうしなかったのがこの試合のポイントになるかも。というかミンゲサCBは安全とは言えないのかもしれない
その他は全員ベティス戦通りのメンバー。




●前半
・セルタの攻撃手順、アトレティコの対策
セルタは特徴の右サイドを前面に押し出して攻撃。

セルタの保持

右SBのミンゲサにCHタスクをやらせて攻撃シフト。大外は右カルレス・ペレス、左をハビ・ガランが担当する。ベイガとデラトーレ、アスパスが自由に動ける環境を作るのがポイント。この右サイドでアスパスがトップに立ち、ベイガが関わる。デラトーレは大まかに全体をサポートするけっこう難しい仕事を。電柱のラーセンもサヴィッチに見張られながら広いエリアを徘徊する。
右サイドから進み、大外(主にカルレス・ペレス)とサポート(主にミンゲサ)を置いた状態でアスパスとガブリ・ベイガがエルモソの背後を狙って侵入してくる。売り出し中のベイガはチームが自分の得意なプレーが選べる仕組みになっていて良い相乗効果がある。突進にも迫力があった。
アトレティコはこういう展開になることはある程度わかっており、対策は準備したが上手くいかない。

ところでセルタのこの攻撃パターン、カウンターに対してまあまあ無力である。いけいけで攻撃している間には主に2CBの間にベルトランがちょこんと残っているだけになっており、同じ人数でカウンターを繰り出せれば簡単にシュートまでいけそうである。アイドゥはアバウトなボールの処理に不安があり、タピアはさすがにヌニェスほどの安定感は期待できない。

アトレティコはこの日のセルタ対策に、まずグリーズマンを左大外に置く形を選んだ。

アトレティコの保持

シンプルにミンゲサの攻め上がりを牽制し、このサイドの攻防を作りたいという狙いがあった。結果的に前半のこの形は失敗する。

まず、グリーズマンを大外に置くのってどうなんだいという話から。実はグリーズマンはたまに大外でプレーすると大成功を収めるケースがある。先季のCLとかでもあったはず。ただしそれは、大外で起用された試合ではなくて展開の流れで自ら大外に移動してプレーすることを選んだ時に限定される。これは断言していい。彼を最初からサイドに固定するのは能力の無駄遣い。本人がやりたいと言ったら勝手に移動してもらえばいい。
それと、この配置が一切ミンゲサの攻め上がりを牽制できなかったのは、アトレティコからすると誤算だったのかもしれない。そもそもセルタは相手の配置を見てミンゲサを動かしているわけではないし、カウンターのリスクがあるからやり方を変えるような器用さを持ち合わせているわけでもない。というかこのチームは対戦相手に関わらず普段からいつも被カウンターのリスクがある。そのためグリーズマンの位置取りがまったくアトレティコに優位性をもたらさず、じゃあ警戒されないなら実際グリーズマンを使ってカウンターを発動したらいいじゃんというとこの周辺のベイガ、カルレス・ペレスあたりのボールロスト後の再奪回に行く出足がとんでもなく速く、主にバリオスのクオリティでプレス回避して自分達の望む展開を作ろうとしたシメオネの狙いは外されていった。ヘイニウドは慌ててとりあえずコケにボールを蹴っとく癖がある。かわいい。

アトレティコは展開をひっくり返して速い攻撃、という狙いを終始持っており、素早い寄せで止めようとするセルタはこのトランジションを捕まえ続けていた。ここがセルタの優勢を生んだ最大のポイントであったが、セルタはこれを狙っていたとはあまり思わない(ベティス相手にも同じようなことをしてたので)。
が、まあ前半のアトレティコからすると確実に相性は悪かった。アトレティコは地上戦に拘ったことを失敗と断罪してしまうと元も子もない生みの苦しみがあり、この配置だとこんなもんかなという感想。バリオスはシメオネにめちゃめちゃ指示出されながら本人もボールのもらい方に一工夫を加えていたが、自分が出し手なのか受け手なのかわからんみたいなシーンが多く、パスが合わないことが多かった。安心してほしいが誰もわかってなかったと思う。

一応、いつも通りグリーズマンを真ん中に置いて起点を作り、モラタとジョレンテが突っ走る形の方がカウンターが決まったのかもな、とは思う。

こういう。後半はグリーズマンの位置を動かしてそんな雰囲気になっていった。トランジションの機会は減ったが。

この日セルタの攻撃で特徴的だったのは、カルレス・ペレスがドリブルで突っかける形。何度もこの形を擦られ、特に前半は後手に回った。逆足アタッカーの彼は、主に足下でボールを受けて内側へドリブルを開始する。先週のベティス戦では無茶ぶり縦パスに超スピードで反応してチャンスを作っていたが。基本的には止まって受けて45度の角度から内側へ進む。
この形でカルレス・ペレスはヘイニウドと1vs1するのではなく2人目を巻き込むのが上手い。
縦突破をチラつかせながら低い位置ではコケを、

PA付近の高い位置ではエルモソを局面に巻き込んでいく。

そしてヘイニウドは普通にマークの受け渡しが下手です。

コケを巻き込めばミンゲサやベイガがフリーになることでアスパスのランニングを呼び込み、PA付近でエルモソを巻き込めば当然アスパスのマークが曖昧になり、ピンチを招く。ミンゲサはマークがズレたところに縦パスを通すのが上手い。バルサの香りがする。
前半のうちにヘイニウドがイエローをもらってしまったのは実は致命傷になりかねない事案であったが、結局90分やりきっているヘイニウドは本当に凄い。能力・体力だけでなくメンタルがイカれている。心臓に毛が生えまくってる。そりゃインタビューで大嘘もつける(※3500万)

唯一の救いは当のカルレス・ペレスが全く点を取れないこと(今季無得点)で、なんだか良いシュートを打ってはいたがこの日も入りそうな気配はなかった。まあこれでシーズン10点とか取れたらセルタにはいないわけなので。ラリーガの"そういやお前上手いのに全然点取らねえな枠"といえばアラベスのルイス・リオハだが、アラベスの2部降格に伴い空位となった位置にカルレス・ペレスは最適格と言えよう。ちなみにリオハは2部では当たり前だがもう6点取ってます。1試合も見てないけどゴールシーンは目に浮かぶ気がします。


●前半終了
そんなこんなで前半終了。突破口を掴めず押された試合展開に見えたがスタッツは嘘をつかない。実際のボール保持はアトレティコの50.3%で、実は印象よりもアトレティコはボールを持って反撃していた。主にバリオス周辺からどうにか進んでいって右にボールを動かしてモリーナ&ジョレンテからのクロスを擦り続けたが、後述もするがセルタの左SBハビ・ガランの超絶パフォーマンスもありなかなか得点機は遠かった。ちなみに前半のボールタッチはモリーナが49回で一番多かったのは意外。以下デ・パウル45回、バリオス42回、コケ41回。

前半の枠内シュートはゼロで、後半はわかりやすい解決策を探ることになるであろう。ヒントはカラスコである

忘れていたので前半のアトレティコの非保持形の話をしておく。

アトレティコのプレス形

この日も4-5-1配置から相手の人数に合わせて人が出ていく形。モラタはボールホルダー、主にアイドゥに対面してGKまで追いかけて蹴らせる。グリーズマンはミンゲサを見て、タピアと降りてくるベルトランにジョレンテ&デ・パウル辺りがコケと協力しながら人数調整をした。けっこうロングボールを選択させることはできていたが、セルタは配置上、アトレティコの2CBに2-2を作れる瞬間があり、ここで蹴られると一発で裏抜けされることもありそう(アスパスvsエルモソ)で、それなりに際どい押し引きがあった。ヘイニウドがカバーポジションを取る必要があり、結果大外のカルレス・ペレスが浮くのはなかなか苦しかった。
とはいえセルタの狙っていた右サイドの攻撃の開始は、意外とビルドアップよりも速い前線の再奪回やロングボールをマイボールのスローインにしたところなどから始まっていることが多く、じゃあアトレティコは繋ごうとしないで蹴っ飛ばせばいいんじゃないの、ともなりそうだが、今の取り組みと逆行するのも良くないので、難しい45分になった。


●後半
・配置変換と攻防への影響

後半開始からバリオス→カラスコをチェンジ。
予想通り左大外の使い方を変える交代。"バリオスをもっと試しても"という意見は割と多い気がするが、グリーズマンとバリオスを同サイドに置いてパス回しが機能しないなら何やってもだめでしょう。ちなみにおれはジョレンテのコンディションがとても悪そうだったのでジョレンテ→カラスコを交代してグリーズマンを右に動かしたらいいんじゃないかと思っていた。ハビ・ガラン相手に突破を挑む形もこの日は分が悪そうだったし。

この交代を含め、アトレティコは保持・非保持ともにガラッと配置を変えた。まず非保持から

後半のプレス形

主に左側の対応を変えて、カラスコがミンゲサを監視。中盤の配置はコケを中央に置くことを優先し、デ・パウルが左に動いた。実は見てみたかった形。ピックアップする。
グリーズマンはアイドゥよりもベルトランへの警戒を強め、アイドゥはボールを持つ余裕を持てるようになったが、カラスコがミンゲサを捕まえてデ・パウルがハーフスペースを縦挙動することでセルタの使いたいエリアをきっちり消していった。アイドゥはフリーになっても特に攻撃の武器を持つわけではないのでボールを持たせてグリーズマンが監視しながら放置している。ロングボールの行き先はアスパスorカルレス・ペレスになることが多く、この配球に応じてヘイニウドが対応した。
ジョレンテもデラトーレの立ち位置付近に留まるようになり、右ワイドはモリーナがハビ・ガランと攻守にタイマンする前節ヘタフェ戦に似た立ち方になった。デラトーレの行動を制限することが実はセルタの2次攻撃への移行を止めることに繋がっているような気もする

これでセルタのやりたい攻撃をかなり効果的に止められるようになった一方、今度はアトレティコがボールを持つ時間がとんでもなく長くなり、攻撃が上手くいかないジレンマに。ボール持てるようになったらバリオスいなくなっちゃったねという。そしてカラスコの監視でミンゲサはCHポジションを取れなくなったので逆にカラスコも大外でフリーになることができなくなったのである。サッカーは難しい。

押し込む展開を作れるなら当然アトレティコの選択肢はモリーナ&ジョレンテのポケット取りになるのだが、この日はセルタの左SBハビ・ガランがとんでもない出来の良さで、ジョレンテのコンディションがどう見ても下向き紫色矢印だったのに対してハビ・ガランは真っ赤な上向きの矢印。アトレティコは右サイドの局地破壊ができない展開で、モラタは中央で四苦八苦、グリーズマンはこの日もシュートが枠に飛ばず、ボールを持たされても選択肢がなく困ってしまったアトレティコであった。そのハビ・ガランに縦パスを攫われてアスパスに決定機を作られるなどしたがオブラクがライン上で掻き出して九死に一生を得た。


・交代の選択肢
この展開ではコレアにお願いでしょうか、と思ったがその前に61分にモラタ→メンフィスを変えた。
今季、モラタはなんだかんだで点を取ってくれる存在で、正直どういう時にピッチに置いておいて、どういう時にはベンチに下げるべきなのかの判断が難しい。個人的に。しかしこの日シメオネはメンフィスのボールキープとPA内の強さに残り30分を賭ける決断ができた。けっこう凄いことだと思うし、モラタの起用法に一定の根拠を与えられるようになるならメンフィスの加入は本当に正解だったなと思っている。セルタはラーセンに替えてセフェロビッチ。

アトレティコは次の選択肢でジョレンテ、グリーズマンを下げてコレアとヴィツェル。この交代、面白かったな。ヴィツェルを真ん中に置いてコケとデ・パウルはいけるところまで走らせた。ガス欠したらサウルがいますと。何度か言っているがこの2人は雑なくらいの扱いが丁度いいというか。その方が生きるんだよね。シフト薄いほうが燃えるバイトリーダーなのよ。
コレアには縦パスの受け口になってモリーナとメンフィスの間をジョイントする役割を期待した。カラスコはサポートとかないけど一人で頑張ってください配置。正直相手がミンゲサならこういう使い方が一番強みが出そうではある。


・サヴィッチの退場
70分に事件が。サヴィッチが背後に抜け出したセフェロビッチを掴んでしまって一発退場。コパデルレイを含めると年明け以降3度目となる。
この場面、スローインでエルモソがアスパスのマークの受け渡しをしたが中途半端な対応をしてヘディングを被ってしまった。まあしょうがないが、サヴィッチは悪くないでしょう。PA内に入らせる前に捕まえなければならなかったし、結果DOGSOになったが完全に一点モノ。むしろあそこで手が出ない選手の方がおれは好きじゃないかもしれない。サヴィッチは最近しょっちゅう退場してるから目立つけど、あそこは掴んで止めなきゃいけない場面だったと思う。勝てばラフプレーしてもいいのかとかまあそんな話もあるんだろうけど、結果勝ったしな。
まあこういうフェアプレー云々の話は流派が分かれるので深掘りはやめておきましょう。なんにせよ不意に緩んで招いたピンチをレッドカードで止めた形になった。以上。このFKをアスパスがバーに当ててアトレティコは本当にギリギリ助かった。


・退場後のプラン
さて、ゲームプランが変わってしまった。しかしここでアトレティコは先程の選手交代が不幸中の幸いとなり、ヴィツェルをCBに下げることで対応する。そしてコレアが右大外に入り、4-4-1を形成。

10人配置も見慣れました

カラスコとコレアがまだ元気なのも本当に助かった。攻撃は前3人(+モリーナ)でやってください、コケとデ・パウルは本当に倒れるまで走ってください、という配置になる。バイトリーダー、社員が倒れて三ヶ日を2人で回すことになりました。大丈夫、サウルが控えています。自宅待機してます。

アトレティコは良くも悪くも10人でのプレーに慣れており、ここの切替と、それでもあわよくば点を取るぞというナイフを振りかざし続けることができる強さがある。割り切って守り、マイボールになればはっきりと攻め切る。唯一の不安はオブラクが太ももを痛めて5枚目の交代カード(サウル)が使いにくかった点のみ。82分にはプレス回避でコケが持ち出してメンフィスの裏抜けを使ったが、GKビジャールが好判断で止めた。

ここでオブラクが大丈夫そうだったのでサウルが準備。コケと替えた。コケは最後の最後まで全力帰陣を続けてさすがのプレー。
セルタは前半と同じ形に立ち返れば押し込めそうだったがその展開は作れず、ベイガの突進などでチャンスメイクしながらもセルビ、オスカル・ロドリゲスの投入が決定打になることはなく、上手くいかなくとも数的不利になろうとも正しくプレーしたアトレティコに89分、歓喜は訪れる。
中盤のボールの奪い合いでエルモソが前を向き、カラスコのマークがカルレス・ペレスなのかミンゲサなのかふわついた瞬間に100点満点のロングボールを送り込む。前節カルレス・ペレスの非保持の立ち位置の悪さに少し触れたが、最後の最後で隙を見せた。
カラスコはミンゲサ相手に1vs1。右足を振り抜いてこぼれ球がメンフィスの前に舞い込んだ。移籍後初ゴールは苦しんだ末の、期待に全力で応える勝利のゴールとなった。


●試合結果
薄氷を踏む勝利となった。後半、アトレティコが施そうとした変更点は下記となる。

・左サイド大外のマーク対象を変え、ヘイニウドの対応の選択肢を整理
・デ・パウルがミンゲサ&ベイガの侵入したいエリアに立ち、配置の優位を作らせない
・ヘイニウドとエルモソで協力してアスパスを監視する
・攻撃は両サイド大外を切り崩す手段を模索

結果、非保持のバランス改善が想像以上のリターンをもたらし、もたらしすぎた結果ボールを完全に握ってしまい、今度はどうやって点を取るのかというフェーズになる。
その後は選手交代でメンフィス、コレアが足下にボールを収めて打開を目指す。特に右サイドはハビ・ガランの攻略を諦めた。シメオネはボールを保持できるのならば真ん中にヴィツェルを置く決断をする。
しかし退場者が出て試合展開がもう一度ひっくり返る。ただ、コレア&ヴィツェルの投入が4-4-1への移行を無理なく可能にし、慌てることなく対処した。最後はカラスコの質を使って一撃で仕留めた。

セルタはアトレティコの想定していた以上に再奪回に迫力があり、自陣でボールを奪っての速攻もスピードがあってアトレティコは何度も苦労させられた。ダイレクトプレーで盤面をひっくり返すのが上手かった。トランジションで後手に回る試合だとはあまり思っていなかったので驚き。アトレティコからすると失い方が悪くなくてもカルレス・ペレス周辺から無理やり突き進んでくる攻撃が脅威になった。セルタは最近やってる取り組みがハマって、その枠組みの中で選手達それぞれの特徴を出せている良い循環があった。
しかしもちろんセルタも代償は負っており、アトレティコの得点シーンでは一人多い人数ではあったがもうヘロヘロ。逆にアトレティコ側は最後まで意味不明な走力を維持できていた。やっぱりアトレティコっておかしいんだな。

セルタは今の攻撃の良さを生かそうとすればある程度は縦に急ぐ必要があり、高い位置から相手を追い回す守備も要求されるので、終盤にガス欠するからゆっくり行こうというわけにもいかないわけで。そうなると、終盤の失点とどう付き合っていくかはここからのテーマになりそう。この試合に関しても完全に他人事のノリで言えばアスパスが2つの決定機の内どちらか決めることができていれば普通に勝っていただろう。こういう日もある。サヴィッチの乱暴は大目に見てはくれまいか
まあおれはセルタが降格するとは1ミリも思っていないのでまた色々実験してください。


2/12
エスタディオ・デ・バライードス
セルタ 0-1 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】'89 メンフィス


●ピックアッププレー
後半、ヴィツェルを投入する66分まで、珍しくデ・パウルが左側でプレーした。
個人的には以前からデ・パウルを左に置く形は見たかった。右足しか使えないから右に置くというのもわかるが。W杯も右側で良かったし。

ただ、このチームでは右サイドはジョレンテ、コレア、モリーナに好きにやらせておいた方が得点に繋がるケースが多く、一方左サイドはカラスコをどう生かすかが常にテーマになる。デ・パウルにそこの仕事を任せるのも一手なのではないかと思っている。ヘイニウドもビルドアップで不安そうだし。
そしてこの試合でも53分にあったが、デ・パウルを左に置くメリットは大きなサイドチェンジを右コーナーフラッグ目掛けて蹴れることだろう。

対角ロングキック

アトレティコの右サイドの方々は走るしか脳がなく、走らせてください、自分まだいけます、みたいな感じなので思いっきり走らせておけばいい。あとはどうにかしてポケットを取るだろう。デ・パウルはその間にPA付近まで歩いてきて戻ってきたボールをミドルシュート打てるように狙っておけばいいでしょう。
デ・パウルの局面打開能力はメインの打開を狙ってる方じゃないサイドに置いた方が生きるのでは、という仮説。いかがでしょうか。


●ピックアップ選手
オブラク
もも裏を痛めながら超絶パフォーマンスでゴールを守り続けた。アスパスのシュートをライン上で掻き出したプレーは、ここから這い上がるアトレティコのハイライトとなるか。

メンフィス
この日はボールタッチが良く、長いボールも足下にピタリと収めてコレアと2人で敵陣へ侵入した。退場者が出てサポートが少なくなっても同じ仕事を黙々とこなし、最後はヒーローになるボールが転がってきた。アトレティコ・マドリーへようこそ。

カラスコ
手詰まりだった前半を過ごし、後半頭から投入。45分限定の出力が素晴らしく、決勝点に絡んだのはもちろんだが"こういう試合ではやはりカラスコが必要"を印象付けた。

モリーナ
ハビ・ガランに苦戦しながら90分間上下動。特に退場者が出て以降のプレス回避はストレスのかかる仕事だったが見事に完遂。おつかれさん。

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