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note零細企業経営者向け『疾風に勁草を知る』

『なんで金が残らないんだろう...。もうどうしていいかわからない。』6年前に帳簿をながめつつ父がもらした独り言だ。

同時に父が経営していた小さな建設業の会社を引き継ごうと決心した瞬間でもあった。

たいした目標もなくフラフラと留学生活を送っていたロンドンから帰国したのち、父の仕事を手伝うようになる。

それなりに経験を積んでいるつもりではあったが、それはあくまで作業としての経験であり、経営としては父が日々何を考え、何を実行していたかは全くわかっていなかかった。ただ数年前から経営が苦しそうだ、ということだけはなんとなく空気で感じていた。

事実、売掛金の回収不能や大幅な遅延、取引先の倒産、売り上げの減少などの話は父の口からも聞いていたし、どの程度ヤバい状況かはなんとなく把握していた、つもりだった。

躍起になって利益の薄い大がかりな仕事に手を出し、その月の収支を帳簿でながめながら父がもらしたのが冒頭の独り言だ。


実際に会社を引き継ぎ、会社のフタを恐る恐るあけた当時の心境は今でも鮮明におぼえている。数年分の決算書をもとに当時の税理士から現状の説明をうけていた途中から完全に思考がフリーズしていった。あけたフタを再び閉じてしまいたい気持ちでいっぱいだった。

重たい数年分の決算書を持ち帰り事務所でしばらく考えた。

何から手を付けよう...。

とにかく思いつくことを紙に書きまくった。今の現状、改善点、手を付ける順番、書き出してみるとやることは山のようにあった。

気持ちの整理もついたせいか、山のようにやることがある=可能性が山のようにある、という認識にいつしか頭が書き換えられていた。我ながら残念なほどポジティブな思考である。

できそうなことから次々と実行し、失敗を量産しながらもなんとか前進していくうちに逆回転していた歯車が止まった。いわゆる止血が終わったのだ。そこまでかかった時間は3年。本人とっては苦しい3年だったが過ぎてみればあっという間の3年だった。

ほんの少しだけ資金と時間に余裕ができた時点で今度は歯車を正しい方に回転させるべく回し始めることにした。

わずかな資金と時間を勉強会、セミナー、書籍の購入に突っ込み、多方面から知識を吸収しては日々の経営に投下していくと更に売り上げは向上した。

いつしか売り上げは恐る恐るフタをあけた頃の数倍に達していた。

具体的に何を実行してきたかは今後のnoteに記していきたいと思うが、会社を引き継いで6年余り、一貫して続けていることがある。もっともお金も労力も才能も必要としない行動『早起き』だ。

毎朝4時に起き、出社までの時間を『一人戦略会議』と称して書籍『7つの習慣』でいういわゆる第二領域、緊急ではないが重要なこと、にあてるといことを続けている。

しかしその内容も最近では負荷が足りていない、インプットとアウトプットの質がイマイチと感じはじめていた。そこで思索をもう一段階あげるためにも取り入れた情報や経験を咀嚼してに吐き出すことにしたのがnoteを始める動機のひとつだ。

タイトルの『疾風に勁草を知る』、は尊敬する経営者のメルマガで紹介されていた後漢書の中の言葉で、激しい風が吹いて初めて強い草を見分けることができる、という意味だ。自身のこれからの戒めも込めてつけさせていただいた。

この先読んでくださる零細企業経営者のみなさんと淘汰されていく市場で強く生き残る草のように自身も精進し、このnoteが日々の経営のヒントを得るひとつのきっかけとしての役割がはたせたらこれ以上の喜びはない。

と言いつつ、パソコンの画面の奥には6年前の半べそかいた自分の姿が霞んで見えている気がする。そう、読者の対象は昔の自分そのものなのかもしれない。

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