【ガラ空き】その追い風は自社にとって味方になり得るか考える
国が実施する窓の断熱改修による補助金事業の影響で問い合わせが増えている。
どちらかといえば、戸建てに対して優遇な事業ゆえ、ビル・マンションをメインに商売をしている弊社にはそこまで大きな影響はない。
とはいえ、該当する商品は弊社でも扱えるもの。こちらから大規模なアナウンスや広告などは発信していないが、それでもお問い合わせをいただくあたりに今回の補助金事業の認知度の高さを肌で感じるのだ。
このような業界の一過性のトレンドにおいて、私が考えることはただ一つ「自社の対象顧客にメリットがあるか?」という点。
現状のように扱うことはできるが自社の対象とは異なる、というケースにおいては当然のように力をあえて注ぐことはしないのだ。
この補助金事業においても半年以上前から各メーカーや仕入先から体制を整えるよう要請はあったし、なんなら「一緒に手を組みましょう」という話まであった。
業界にとってはそれくらい鼻息が荒くなるような追い風であることは間違いないのだが、儲けとは裏腹に本質的な面で、いかがなものかという気持ちもぬぐえないのも本音である。
普段弊社が対象としている顧客をその期間だけ放っておくのは本意ではない。
弊社にとってはむしろ今回の一過性でつながる顧客は今後も対象にはなり得ないという属性であり、限られたリソースを投下するのなら売上げは爆上がりせずとも長く付き合っていける対象顧客に引き続き注力するべきというのが私のスタンスである。
そして今後1年程度は業界の動向も補助金事業一色と考えており、そこでガラ空きになったビル・マンション市場はより一層商売のしやすい環境になるだろうと踏んでいる。
戸建て断熱改修市場はレッドオーシャンとなり、価格競争の激化により資本力のある会社のみが独占して利益を得ることになるだろう。
むかし何かの記事で読んだ記憶のある長野県の中央タクシーの例をあげると、1998年の長野オリンピックの際、ほとんどのタクシー会社がオリンピック需要による観光客に力を入れているところ、中央タクシーは粛々と地元の一般顧客の対応に注力した。
オリンピックが終わるころには長野県の一般顧客による認知度は爆上がりし、その後の成長につながったらしい。
この点において「自社の顧客は誰か」ということを見誤らなかった中央タクシーの姿勢に強く共感する。
大きな波に乗ることも起爆剤としては有効だと思うが、その波はいつか引いてしまうのだ。
一過性でも短期間に稼いで資金源としたり、自社の認知度を広めるチャンスとしてその後のリピートにつなげるなどの意図があればまだいいが、ボーナスステージは麻薬ようなものであり、一度味わうと次の機会を狙うようなマインドになってしまう。
不確実性な外的要因によりかかるより、わずかな利益でも確実性の高い商売を心がけたいと思う私は慎重な小心者なのである。
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