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【柔軟性】生き残るために変わり続ける大事

長く商売をやっていると陥ってしまう、うまくいっていた時代への執着。いい時もあれば悪い時もある、その時代に合った対応を心掛ける、という話

昨日の夕方、馴染みの同業者が顔を出した。中堅の工事会社を定年退職し、今はフリーランス的に仕事をしている方なのだが、ある共通の仕入先について話をしてくれた。

東京に本社があるその仕入先だが、去年の暮れに創業者である会長が亡くなったそう。それもひとつのきっかけとなり、今年に入り身辺を整理して事業を縮小したというのだ。

それも中小企業規模の会社から個人商店レベルまでのサイズダウンである、一昔前であれば機能していた事業も時代とともに採算の取れなくなった領域のモノも多々あったのだろう。一つの時代が終わったという感覚か、採算の取れる事業のみを残して、賃料の安い神奈川県でリスタートということらしいのだ。

わざわざその話をしに来たわけではなく、建設業あるあるなのだが、廃業をすると、その事業主が少しでも身の回りの物を整理するために、同じ業種の会社に声をかけ、専門性の高い道具や機械を譲り渡すという流れがある。

汎用性のある道具や機械なら、今だと建設工具専門のリサイクルショップにでも買い取ってもらえばいい。だが、専門性の高い業種にかぎっては、そうした道具や機械も特殊なものが多く、引き取り手は同じ業種の会社に限られてしまうのだ。

今回話題に上がった仕入先はあくまでも廃業ではなく、縮小という形を取ったが、それでも規模がかなり小さくなったこともあり、現在の作業場には納まりきれないほどの工具や材料などがあふれかえってしまったようなのだ。

たまたまそこの会社に用事で寄ったその方が、一部の余った資材を引き取り、馴染みの会社に引き取らないかと御用聞きをして回っているのだそうだ。

弊社の場合、私の代に変わってから何度となく会社の整理を繰り返してきたこともあり、その方が持参した資材に関しても数年前思い切って処分したものばかりであった。それから今までの間、その資材のお世話になったことがないというわけで、今の弊社には不必要なものという認識がほぼ確定している。

せっかくの心遣いも丁重にお断りさせていただいたが、何よりその仕入先の現代表が下した決断に感服する気持ちでいっぱいになった。

一時はそれなりの規模になった会社だ。普通であれば、そのよかった時代に固執してなかなか現実を受け入れられないままジリ貧になることも多いだろう。それを時代に即して最適な規模や事業形態に変化させることができるというのはできそうでできないことだ。

生き残るために変わり続けるということは、常に考え続けるということで、衰退産業においてはその考え続けるということ自体が欠けている会社がごまんとあるのだ。

であるからして、規模が小さくなろうが、その会社が守るべき領域に意識が集中され、そこに新しい形で事業が継続されていれば私は経営者の判断は正しいと思っている。

そこから成長フェーズに乗せるかどうかは経営者次第だが、そもそも社会に価値を提供できているか怪しいゾンビ企業よりよっぽど価値がある。

こうしてどの業界も環境は変化し続けている、その変化に柔軟な対応ができる会社だけが生き残っていくわけだが、価値を生み続けるということの重みを今一度考え、再定義する時期がきているのかもしれないと思わせる訪問であった。

常に変わりゆく時代ともに、柔軟な対応で寄り添っていくことで提供する価値は維持することができる



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