仕事にマインドが必要かについて
こんにちは。ガラパゴス伊藤です。
突然ですが、社会人のみなさんは今の自分の仕事は好きですか?
学生の方は好きなことを仕事にしたほうがいいと思いますか?
最近コロナ関連のニュースが多いですが、4月7日に慶應病院の研修医が飲み会をやってコロナに集団感染したというニュースがありました。
まぁ一般的な感想としては「何考えてんだ!」とか「慶應なのに。。」などかと思いますが、ガラパゴス的には「そんなもんだよな」と感じました。
1. 医師になるマインド
まず前提の話ですが、これは一般の方によくわかってもらいたいのですが、私達医師は人間性で医師になっているわけではないということです。
おそらく医師になるための最大の関門は医学部受験と思われます。もちろんそこでは面接をしたり小論文を書いたりしていますが、そんなことでその人の人間性を見ることって可能ですかね?最低限ちゃんとした日本語しゃべれるなくらいの評価しかされていないと思います。
医者になるには、いくら「子供の時からずっと医者になりたかった!」とか「新しい治療を見つけてお母さんの病気を直したい!」と思っても、勉強ができなければ医者にはなれません。
なので極端な話をすると、人間の命とか全然興味がなくても、頭さえよければなれちゃうのが医者なわけです。
もちろん今まで接してきた先生達のほとんどは知識的にもマインド的にも素晴らしい方ばかりでしたが、ガラパゴスはどちらかというとやや意識高い系の病院での勤務が多いので、そうじゃない層の医師もある程度いるんじゃないかなと思っています。
また元々マインドを持っていたとしても、そのマインドのピークは入学式で終わり、その後はバイトとか遊びとか恋愛に気持ちがシフトし、6年間かけてマインドがふにゃふにゃになって卒業するわけです。
つまりいくら天下の慶應大学の研修医とはいえ、マインドがへなへなのふにゃふにゃなので、こういった一般の人からみたらびっくりするような行動も普通にするのです。
2. マインドの必要性
ただ個人的には「マインドがないやつは医者になるな」とは思っていません。
なぜならこのガラパゴスもマインドがないからです。
最初にみなさんにした仕事は好きかという質問ですが、ガラパゴスの答えとしては「好きは好きだけど働かないで済むならそれに越したことはない」です。
つまり医師8年目のガラパゴスでも「自分の全てを犠牲にしても患者さんを助けたい」とかは思っていないのです。
もちろん普通の人が持つような「かわいそう」とか「なんとかしてあげたい」っていうのはありますよ!(悪魔じゃないので)
でもあくまで人並みだなと思います。道端で倒れている人がいたら声掛けますよね?痛がっている友達がいたら「大丈夫?」って言いますよね?それくらいの普通の倫理観だと思います。
じゃあなんで医者やっているんだ!って話ですが、もちろんいくつか理由があるのですが、やっぱり一番の理由は「安定した仕事」だからです。
でもこれって別に他の人も一緒じゃないかな?と思います。
みなさんも今やっている仕事はずっとやりたかったことですかね?ある程度の人はやっぱり自分の能力とか安定性とか色々な事情を考慮して今の仕事を選んでいると思います。
でもだから不幸ってことないですよね?多くの人はそれでも幸せと感じていると思います。
最近みたYoutubeで「科学的な適職」という本を要約してくれたものがありました。
びっくりすることに、好きなことを仕事にするのはあまりよくない選択みたいです。実際に働いてみると期待したような仕事ではなかったりするからです。
また年収も800万円以上を目指すのも忙しすぎて幸福度が下がってしまいやすいそうです(なのでガラパゴスも幸せを感じにくいです)。
3. 世代間のギャップ
特に現在の20代、30代ってすごく打算的だと思います。「サトリ世代」とか言われたりもしますが、生まれてから日本はずっと不景気なので、あまり夢を追ったりせず、親から言われずとも公務員などの堅実な仕事を目指している人が多いと思います。
医療関係は他の職種に比べると確かにマインドが高めの人が多いと思いますが、でもやっぱり「安定」とか「高収入」とか「働きやすさ」とかで選んでいる人も多いと思います。
逆に40代、50代の人は昭和的な思想の影響が強いので「お客様第一主義」だったり「会社のために死ね」くらいの感覚の人が多い印象です。医療でいうと患者さんや病院のために自分を犠牲にするのは当たり前くらいの発想の人が多いです。
なので、ここでギャップが生まれてしまうんですよね。40代、50代の人からすると20代、30代の人たちに対して「やる気がない」「これだからゆとり世代は」と感じると思います。
逆に20代、30代の人はもっとも個人主義者が多いので、そこそこ働けて趣味や友達、家族との時間を大事に考えていると思います。
これは別にどっちがいいとかと言う話ではありません。幸福度を満たす観点が違うだけです。40代、50代はお客さんの満足や会社の成長が幸福に感じるわけだし、20代、30代は仕事とプライベートのトータルの幸福度で人生を考えているわけです。
なので最初の話に戻るのですが、今の若者にマインドを求めてもしょうがないと思います。
4. マインドよりプロ意識
でもそんなんじゃ組織としてのパフォーマスンスは落ちますよね?社員が全員がダラダラ仕事して5時ぴったりに帰ってたら業績は伸びませんよね?
ここでガラパゴスが提唱したいのは「マインドではなくプロ意識を持ってもらう」のが重要ではないかと思います。
例えばガラパゴス自身の話でいうと、よく患者さんから言われることとして「こんなに親身に話を聞いてくれて嬉しい」とか「こんなに色々してもらってありがとうございます」と言われます。
でもこれは別にこういうことを言われたいからやっているのではなく、総合診療医としての専門性、プロフェッショナリズムに基づいてやっているわけです。
患者さんの病に対する思いをじっくり聞くことや、医療的・社会的に難しい人へ腰を据えて対応することは、総合診療医として当たり前のことです。循環器内科が心筋梗塞の人を直したり、外科医が盲腸を直したりするのと全く一緒です。善意でやっているわけでなく、これが総合医の仕事だからやっているのです。
つまりこれはマインドではなくガラパゴスのプロ意識による行動なのです。
もちろんガラパゴスも最初からこんなにプロ意識が高かったわけではありません。研修医の時は二日酔いで病院に行って指導医に怒られたりしたこともありましたし、研修医室でダラダラ漫画を読んでいた時期もありました(笑)。
しかし医師として年々任される仕事が大きくなるにつれ「明日は外来だからお酒は控えよう」とか「患者さんの具合悪そうだから日曜日ちらっと病院行こう」など、徐々にプロとしての自覚が芽生えてくるわけです。
これは「患者さんを助けるための善意」ではなく「高い給料をもらっているのだからその分高いパフォーマンスをする」という考えに基づいています。
そうすることで別にマインドはなくても、結果的に患者さんにとって良い医療を提供できていると思います。
普通の会社であればお客さんに良い商品を届けられることにつながります。
慶應の研修医の話に戻りますが、彼らがどんなマインドで医者になったかわかりません。患者さんを助けたいと思っている人も、親から言われてなった人も、ただただモテたいからなった人もいると思います。別にそれを否定するつもりはありません。
しかし彼らは研修医として、社会人としてプロ意識が欠如していたのはやはり批判されるべきだと思います。
もっというと大学が医学の勉強ばかりさせて、プロとしての自覚を持たせるような教育をしていないのも問題があると思います。単純に飲み会やめろというだけでは、彼らの認識を変容させることはできません。
まぁ色々偉そうに言ってますが、もし自分が慶應の研修医になったとして、絶対に同じ過ちをしないかと言われたら自信はありません(笑)なので彼らも今回のことを十分反省して、是非プロ意識を持って医療現場に向かってもらいたいです。
5. プロ意識とやりがい
最後に病院、会社の部下にどうやってプロ意識を持ってもらうかについて書きたいと思います。
実はこれ、なかなか難しいです。僕の尊敬している指導医で、ものすごくプロ意識が高い先生に「どうやって後輩にプロ意識を教えているんですか?」と聞いたところ「自分の背中を見てもらう」というカッコよすぎるお言葉が返ってきました(笑)。
僕もプロ意識自体は教育方法というよりは「立場が人を変える」部分が大きく、自然に身につけていってもらうしかないのではと思います。
でもそれじゃふわっとしすぎなので(笑)ガラパゴスは最近仕事に対する「やりがい」を見つけてもらうようにしています。
ビジネス的には「エンゲージメント」とか言ったりします。
今回読んだ本を紹介しときます。
ここでは「やりがい」を向上させる9つの項目を紹介しています。
①職務 職務への満足度
②自己成長 成長を感じられるか
③健康 ストレスや疲労がないか
④支援 上司や仲間からの支援があるか
⑤人間関係 良好な人間関係を築けているか
⑥承認 周りから認められていると感じているか
⑦理念戦略 企業理念に共感しているか
⑧組織風土 組織風土が良い状態か
⑨環境 給与、福利厚生など
多くはガラパゴス個人ではどうにもできないこと(給料とか)なのですが、この中で自分ができることとしては②自己成長と⑥承認だと思っています。
なので研修医や看護師さんなどのスタッフに対して、うまくいったこと指摘し、褒めまくることをかなり意識しています。
自分のできることといったらそれくらいの小さなことですが、きっとこの積み重ねが「やりがい」につながり、最終的に「プロ意識」まで来てくれることを期待しています。
このコロナピンチもプロ意識で乗り切りたいと思います。
ではまた。
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