プロダクト中心組織として成熟していくためのブックリスト
主旨説明
この記事は、株式会社ROXXのROXX Records事業部(新規事業開発を行う部署です)のNotion内に(業務時間外で自主的に)作成したドキュメントが元となっています。
リンクを掲載し、筆者から簡単にコメントを行うという形式の、簡素なブックリストです。
当該ドキュメントに掲載されている本が世の中の人にもっと読まれてほしいなという気持ちから、公開記事にしてみようかなと思ってnoteに移植してい
ます。
事業部内で展開していた際の狙い
当初、つまり事業部内で展開した際の狙いは下記にありました。
ナレッジシェアリング推進の一環として、行動を起こす
「相互理解どんどんしてこうね」という、私個人から事業部内へ向けての小さなメッセージング
逆に「こんなのもあるよ!」と本を教えてもらうための契機とする
個人的な動機
「ビジネスメンバーと開発メンバーの相互理解が真にプロダクト中心組織を作り上げる」という持論・世界観と直結したアクションがしたい
「世の中である程度コンセンサスが取れている知見や、達人の知恵をアクセスしやすい状態にしてくれているのが出版物であり、それを吸収せずに単なる我流で失敗するのはもったいない」という思想の反映
自分自身、ここに掲げることで掲載した書物の内容に対して、「ちゃんと復習しないとならない」というモチベーションが生まれることへの期待
この記事の前提
いわゆるBizとDev関係において、双方が相手側についての知識をキャッチアップしてもらえるようなリストにしよう、という意図がもっとも色濃く反映されているはずです
別の記事でも書いている通り、筆者は「多読それ自体に大した価値はない」という持論を有している人間です
そういう人が書いているということで、色々差し引いて眺めると良いのではないかと思っています
選者もちゃんと知識が定着しているかというと、まだ不十分です
再読→記事更新という流れでコメント内容の質を上げていければと思っています
注意事項
主にAmazonのリンクを埋め込みとして添付していますが、当然ながらノンアフィリエイトです
単なるブックリスト作成で報酬を得ようというつもりはありません
心配な方はURLを確認していただけば
遷移せずに確かめる場合は、例えばブラウザで埋め込みリンク要素を右クリックして「検証」を押せば、そのaタグの中身とかが見れると思います
リストを素早く作成してとりあえず公開しよう! という感じで始めた個人的な取り組みだったため、記述が少々薄味です(大いなる言い訳)
また、分類は大雑把です
加筆して育てていくつもりではいます(前向きな心)
現状、人材業界を主軸としている弊社弊事業部のためのドキュメントなので、HR関連書籍を含めています
外しても良かったんですが、元リストと同期させることにも価値があるかなと最終的に判断しました
さて、早速ぺたぺたしてゆきます。
事業開発
新規事業を社内起業として捉え返した上で、その具体実践を詰めていくために有用な知識を提供する書物です。
ユーザーとの対話についてこれでもかというほど強調されていて、ヒアリング等々のアクションの重要性や、取り組む際に意識する事項を脳に刷り込むことができます。
起業にありがちな失敗例とその対応、が脅威の質・量で記載されているヤバい本です。
Startup Scienceというスライドから企画が動いたという経緯だったはず。2018年版は下記で読めます。
https://masatadokoro.medium.com/https-medium-com-masatadokoro-startup-science-2018-5228111b275f
また、下記リンクからフォーム入力すると、最新2020年版がダウンロードできるようです。
https://unicornfarm.jp/slide-753
主にSaaS界隈で有名な”The Model”という分業モデルについての解説書です。マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスといった体制と、それらが確立されてきた経緯・合理性について理解できます。
スタートアップ段階から見ると、グロースした先にある組織形態だとは思いますが、Biz体制の基本形をDevが把握するには良いのではないかと。
ビジネスマインド
言わずと知れた名著かもしれませんが、課題の質・解法の質が高い仕事にフォーカスするという超重要マインドを定期メンテする意味でもたまに読み返すといい気がしています。
「深さ! 広さ! 構造! 時間!」
スタートアップの伴走者として著名な馬田隆明氏の著書。Speaker Deckで公開されたスライドが元となっていて、タイトルそのままの内容。
特にスタートアップ事業で、顧客課題解像度を上げていくためのマインド・動き方に多くの示唆を与えてくれます。
ちなみに増量版スライドが出ています。
プロダクトマネジメント
以前みんなで読んだのもあって掲載。価値検証・効果検証についてスタンダードな知識・見解が述べられているので、チーム内での知識標準化に向いています。
界隈でかなり推されているように感じています。
とにかく漏れなくダブりなくPM領域の全体を、プロダクトディスカバリーの段階からデリバリーまで十分な情報密度で解説している点で、質的な満足度が極めて高い本です。
INSPIREDの続編的な立ち位置の本ですが、こちらも同様に界隈で推されている印象がありますね。
ただし、こちらはプロダクトマネジメントというよりもチームビルディング寄りで、エンカレッジメント・コーチング・組織づくりなどの比重が高い本になっています。
随所にビル・キャンベルの話が出てきたりします。
『すべて本』。その名の通り網羅性を志向しているのと、プロダクトのグロースと切手も切り離せない組織のグロースをも同時に語っている点に特徴があります。
「ビルドトラップを避け、アウトプットよりもアウトカムに焦点を当てた顧客中心の方針を採用する」という志向性のあるPM本です。
「安易に機能を継ぎ足していくことに本当にROI的な合理性があるのか」を問い直し、市場や世情への適応行動として何ができるかを再考する契機として読書体験を捉えることができると思います。
スライドを公開するごとにバズっていらっしゃる森さんの本。いつも拝見しております。
PM本の多くがSaaS文脈に寄りがちなところ、この本は明確に製品一般を射程としている点で強いと思います。
また、二次利用のライセンス定義もされていて、引用要件が緩いというところや法人購入なども可能なことから、ナレッジシェアリングの文脈でも活用しやすいのが美点でしょう。
自分は1.0のときに読みましたが、PM関連知識に興味を持ち始めてすぐに読んだのもあって、肝心の内容面の記憶に抜け漏れがあります。よって、再読の機運があります(再読したらここ加筆します)。
上記スライド・動画は森さんのRSGT2023の発表です。
リサーチ
ユーザー課題に関するインサイトを得るにはどのような取り組みが必要か、その際の注意事項は何かが語られています(プロダクトマネジメントの方に置いても良かったかもしれないですね。リサーチ面薄いので、後ほど追加します)。
マーケティング
Webマーケティングの基本概念が網羅的に説明されている上に、専門家としての著者の経験がふんだんに盛り込まれており、ファンダメンタルズxテクニカルという掛け合わせから来るマーケティング像はモデルとしても洗練されています。
技術書タイトルっぽく言うなら「アンチパターンから学ぶWebマーケティング」みたいな感じです。木下本を基本としつつ、こちらで嗅覚を養うと良さそうですね。
現代のWeb受容の状況を「感覚」の観点から捉え、感覚刺激のビジネス利用の実態を説明する書籍。あえて分類するならマーケティングかなと。
ファイナンス
森さん発表でもプロダクトマネジメント知識に財務会計が入っていましたね。何をするにせよキャッシュフローを実資料から追えると商流把握なども早くなっていいじゃん、くらいのつもりで掲載しておきます。
三表理解のスタンダード。2021年に出た新版は未読ですが、データソースとしての取引から三表が構築される機序、その連動的な動作がよく理解できる本です。
BSアプローチで理解していく会計本。わかりやすさで言えば随一だと思います。
シリーズ二冊を同時紹介しておきます。クイズを通して楽しく学びたい人向けです。
「実際に存在する企業のPLやBSを複数並べて、どれがどの企業の表かを当てさせる」タイプのクイズが多いです。
表に見出せる数値的特徴から、事業特性・収益構造を看破するという思考手続きで解くのですが、その際の理由付けから単に会計だけでなく事業・市場理解も得られる点に面白さがあります。
スタートアップのファイナンスに関して、具体例に対するコメンティングを中心として縦横無尽に語る好著。元はnote記事だとか。
法務
最終的には法務部門にチェックをお願いすることが多いですが、自分で把握できる範囲が広げればアイデアに幅が出るかもしれないので、法務関連書籍も幾らか置いておきます。
資格試験対策の前段とかでもよく名前の上がる一冊。法律文書の構成とその意味から丁寧に説明してくれます。しっかり読めばほぼ確実に挫折しないで学べるはず。
企業法務がどういうものか、ということについての本です。企業法務実務にあたってのマインドセットにも多く言及があります。
エンジニアリング組織論
ビジネスサイドとしての色が強い方々に開発者組織を理解してもらうという目的を置き、これに照らして有益と思われる二冊を掲載します。
ITエンジニアには有名な本ですね。下記のブログは、『エンジニアリング組織論への招待』の美点を端的に語っているレビューであり、これも読んでほしいのでリンクしておきます。
徹頭徹尾「不確実性」との格闘を主軸に据えてエンジニアリング組織論というものを考えることで、時代・環境・人・組織への向き合い方全体を統合的に把握するスコープを形成し、授けてくれる本とも言えるかもしれません。
HRT(謙虚・尊敬・信頼)ということばを一気に人口に膾炙させた一冊。エンジニアリング組織の在り方について言及する際には外せないかもしれません。必読書指定しているというエンジニア組織も数社ほど認識しています。
ドメイン知識(HR)
弊社の主力事業と新規事業はいずれも人材業界に属するものがほとんどであり、その業界知識に習熟することにはメリットしかないはず! ということで、主にエンジニア等、業界知識自体があまりない状態で入社した人の助けにもなるよう、人材業界本・人事本も幾らか掲載しています。
元リクルートの方が書かれている業界見取り図的な本です。比較的新しい本で、最近の事情もキャッチアップできます。
具体的な企業名サービス名も登場するので、業界マップのメンタルモデルを作るにはピッタリですね。
同著者の、より「人材業界史」にフォーカスした本です。なんと江戸時代まで遡る形で業界史が記述されています。ちなみに一次情報を足で調べた貴重な人材史というレビューが的確かつアツくて素敵なのでぜひ読んでみてください。
内容上、ハイレイヤー・採用サイドに寄りはしますが、かなりの好著なので掲載しました。
エゴンゼンダーという極まったサーチファームの出身者が書いた、人を見る目を養うための本です。
求職者支援領域などを考える際の参照項として用いる場合には適宜の取捨選択は必要かもしれません。
企業サイドに対する価値提供・支援を考えるにはかなり良いでしょう。特に採用領域・見極め系のソリューションを考える場合には、著者のような達人の知恵を頼りたくなると思います。
人事本としては近年もっとも読まれている本なのではないでしょうか。ということで紹介するまでもないかもしれませんが、あえて掲載します。
知識ゼロの人には文句なく勧められると思っています。人事部署の主機能主業務・評価制度設計・採用プロセスに関しては一気に理解度を上げることができるはずです。
ただし、Amazonレビュー等でも幾らか触れられている通り、中途採用に関しては記述が薄めです。他の情報源で補いたいですね(このリストに追加で何か載せるか考えています)。
跋
跋文に代え、謝辞を述べます。
突発的な行動を温かい目で見守ってくださる事業部のみなさん、ありがとうございます!
例によってみんなのフォトライブラリからヘッダー画像をお借りしました。
素敵な絵を利用可能な状態にしてくださっているmaki_memoさん、ありがとうございます!