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君に寄り添う歌声(Coldplay - Fix You 和訳・歌詞分析)

イギリスが世界に誇るビッグバンド、コールドプレイ。ボーカルのクリス・マーティン(高身長イケメン)が作詞作曲を担当している。1996年のデビューから数々の名曲を世に送り出してきた彼らだが、今回はその中でも、2005年発表の”Fix You”を和訳、歌詞分析していきたい。この曲が収録されたアルバム『X&Y』は、2005年に世界で一番売れたアルバムであり、聞き覚えのある方もおられることだろう。

今回は筆者の自己満足で、この曲の歌詞和訳に挑戦してみた。以下のYouTubeを再生しながら読んでいただけると良いかと思う。

【歌詞/和訳】

When you try your best, but you don't succeed
全力で挑んで打ち砕かれて
When you get what you want, but not what you need
手に入れたものも実は要らなくて
When you feel so tired, but you can't sleep
疲れているのに眠れない
Stuck in reverse
悪くなる一方なんだよ

When the tears come streaming down your face
涙の滴が顔を伝う時
When you lose something you can't replace
かけがえのないものを失って
When you love someone, but it goes to waste
人を愛しても思い通りにならない
Could it be worse?
今より悪いなんてことあるのかい?

Lights will guide you home
光が君を居るべき所へ導いてくれるさ
And ignite your bones
君を芯から温めるよ
And I will try to fix you
僕だって、君を取り戻せるよう頑張るよ

And high up above or down below
高まって、落ちてきて
When you're too in love to let it go
愛が深くて表しようもない
If you never try, then you'll never know
だけど、やらない限り知り得ないよ
Just what you're worth
君自身の大切さをね

Lights will guide you home
光が君を居るべき所へ導いてくれるさ
And ignite your bones
君の心を芯から温めるよ
And I will try to fix you
僕だって、君を取り戻せるよう頑張るよ

Tears stream down your face
君の頬を伝う、涙の滴
When you lose something you cannot replace
かけがえのないものを失った時
Tears stream down your face
涙の滴が頬を伝っている
And I...
そして僕は…

Tears stream down your face
君の頬を伝う、涙の滴
I promise you that I'll learn from my mistakes
約束するよ 僕は失敗から学ぶことにする
Tears stream down your face
君の頬を伝う、涙の滴
And I...
そして僕は…

Lights will guide you home
光が君を居るべき所へ導いてくれるさ
And ignite your bones
君の心を芯から温めるよ
And I will try to fix you
僕だって、君を取り戻してやるんだ

*・゜゜・*:.。..。.:*・゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*

初めて聞いた方はどのような印象を持たれただろうか。筆者は初めてこの曲を聞いたとき、優しく語りかけてくる最初の数秒で心を奪われ、サビのメロディーで完全に虜になった。

なんといっても、この曲の”I”は謙虚で、曲全体が優しい雰囲気に包まれているのである。落ち込んでいる”you”に「がんばれ」とエールを送るのでもなく、ただ寄り添って、「光が導いてくれるさ」「僕も君を取り戻せるよう頑張るよ」とひたむきに語りかけているだけだ。賛美歌的なメロディーにのせて紡がれる、”you”へのメッセージ。曲の後半部で繰り返されるワードも良いアクセントになっている。

Tears stream down your face
涙の滴が頬を伝っている
And I...
そして僕は…

頬を伝う涙を見て、”I”に芽生える感情。しかしそれを口には出さず、ひたすらこのフレーズを刻んでいく。なお、この時のメロディーも絶妙だ。ちょうどこのフレーズのあたりに曲が盛り上がりが設定されているので、メロディーの抑揚が、まるで語り手の心の揺れ動きを連想させるかのようだ。
そしてこの語りを抜けた最後の一文。

And I will try to fix you
僕だって、君を取り戻してやるんだ

これまでにもこのフレーズはあったのだが、”Tears stream down your face.
And I...”の部分を辿ってくると、語り手がついに”Fix You”することを決心したかのように感じられる。(このイメージを伝えたくて、「〜やるんだ」と和訳した。)

そういえば、この曲を通して語られるのは”you”の様子ばかりだ。その分語られない”I”の方には解釈の幅があり、聞き手は自分自身を重ね合わせる余裕が与えられているともいえるだろう。

ColdPlayの”Fix You”。この曲の心温まるメッセージを聞いたことがあった人も、初めて聞いた人も、楽しんでいただけたなら幸いである。

へいすてぃ(論説委員・高校1年)

Photo by Warren Wong on Unsplash

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