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練習に出ているだけでは勝てるようにはならない

 中学1年の時、剣道部に入部した。竹刀を握ったことさえなかった私は、体操着姿で先輩の言う通り、必死に基本練習(足さばきと素振り)に打ち込んだ。
 いつからか先輩の防具姿に憧れるようになり、早く防具をつけたいと思うようになった。更に必死に練習に取り組んだ。夏休みに入る前、防具を身にまとうことができ、とても嬉しかった。

 その後も練習は続けていたが、試合では一切勝てない時期が続いた。
 練習はしていたのだが……。

 ある日、先輩から
「おまえは練習に出ているだけ。そんなんじゃ強くはなれない。」
とはっきり言われた。
 練習をさぼっている仲間もいる中、自分はちゃんと練習に出ているのに、そう言われたのは予想外だった。
「おまえはよく練習に出ているな。」
 そう言われると思っていただけに、ショックは大きかった。

 そして、中学1年生の冬、初めて出た試合のこと。
 対戦相手は私と互角であった。延長戦を何度も繰り返し、私は疲れていた……。
「負けていいから終わりにしたい……」
 そう思った直後、面を打つ衝撃に襲われた。

 試合に負けた、そして、自分自身に負けた……。

 自分自身に負けたというそのことに衝撃を受けた。ショックだった。
 もともと、人と競うことを好んでいたわけではなかったが、「試合で勝ちたい、自分自身に負けたくない」という想いが湧き出してきた。
 それからは、技術も精神力も飛躍的に向上した。
 そのうち、試合でも勝てるようになった。

 同じような生活を送っていても、目標によって達成レベルが違ってくる。身に付くものも違ってくる。
 今の生活、努力は未来の自分に繋がっているのだ。

樺山 資之(かばやま すけゆき・数学科)

Photo by Bernd Viefhues on Unsplash

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