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これが僕の基本姿勢

さて、家に帰ってきた。
さっそく宿敵、「手洗い! うがい! すぐ勉強!」と連呼するお母さんがやってきた。
今日はどうしようかと僕は少し悩んだ。
「悪いけど、僕今からゲームしなきゃいけないから、勉強している暇がないんだ。だから手を洗ってうがいをしたら、すぐゲームをやらせてもらうね!」と言って、僕はお母さんの勉強やれ攻撃を華麗にかわした。

毎日、お母さんにはここで引き下がってもらいたいとつくづく思う。しかし、お母さんはここで諦めるほど甘くはない。
お母さんはここで論点を変えた。「まず着替えなさい攻撃」にうつったのだ。

ここはどうしようかと僕は悩んだ。
その結果いつもどおり無視にでた。これには、ゲームで試合をしている間だけ、お母さんの攻撃をやり過ごそうという魂胆がある。

しかし、ずっと言われ続けていることが癪に障ったぼくは、「わかった、この試合が終わったら着替えるよ。」と、お母さんとの合意にでた。
もちろん無視したままゲームを続けるという手もあったが、ゲームは楽しくやるためのものなのに、そんな気分でやるのはゲームに失礼だと思ったからだ。

しかし、お母さんはここで食い下がるほど甘くはなかった。
「いや、今ゲームをやめて着替えなさい。」
この対応にはどうしようか。
ここでゲームをやめてしまおうか、まさか勉強をやってしまうのか!

ここで、えーだの、えーとだのなんだかんだ言って、何もやらない方法にでた。
正直これは素晴らしいサボタージュの方法とは言い難い。

ここでゲームが一試合終了した。

ここで勉強を始めてしまうのか。
いや、僕は、お母さんには何も言わずに2試合目を始めた。
正直姑息な手段だとは思うのだが、ゲームをやり続けたいという気持ちに理性は働かなかった(もしかしたら働いてはいたのかもしれないが、僕のゲームをやりたいという絶対的な欲望には敵わなかった)。

僕がここを耐え抜けばお母さんは買い物に行く。その間、ずっとゲームをする決意を固めた。
そしてお母さんは買い物に行った。
これで勝ったと思っていた。

が、そんな時間も束の間、僕がゲームしているところを見張って、お母さんに告げ口をする妹が来た。
その妹にゲームをしているのがバレた。
お母さんに告げ口をされたらどうすればいいか。

ここで僕は、小学校入学時から磨いてきたサボタージュの腕を見せようと思う。
まず僕は学校のリュックから英語のプリントを出した。そして机に広げた。
もし、勉強をやるのだと思った人がいたらそれは間違いだ。僕はそんな魂を売るようなことはしない。
僕は堂々とゲームをやり始めた。

これはどういうことなのか。
これは、お母さんがかえってきた瞬間、今までやっていたゲームをやめて、勉強を始めるという方法だ。
ちなみに、先ほど小学校入学時から磨いてきたサボタージュの腕と言ったが、磨いてきたといってもあまりうまくはない。だから、おそらくこの方法は失敗した回数の方が多いと思う。なので、今後、もう少し研究しようと思っている。

これで一応、僕の中では、対妹の件は片付いた。
妹は「お母さんに言うよ!」と脅してくるだけだから、対処法さえ間違えなければさほど大変な問題ではない。

やがてお母さんが帰ってきた。
必死に隠し通そうとしたが、結局ばれた。

夕食後、またゲームを始めたが、本日最後の敵がやってきた。これは、前にも出ていたが誰だかお分かりだろうか。
それは僕の理性や良心である。
彼らは、「もうゲームをやめろ!」「早く予習復習、そして、課題をやれ!」と言ってくる。僕からすれば煩わしい限りである。
しかし、これへの対処法は後回しにするのがベストだということを僕は知っている。彼らはもちろん満足してはくれないであろう。だが、僕としては、どんなものでもいいから、てきとうな理由をつけて、早く、楽しいゲームをやりたいだけなのである。
だから、目的は彼らを満足させることではないことを分かっておいてもらいたい所存である。

そして彼らをねじ伏せ、寝る最後の最後までゲームをやった。
よくよく考えると、自分をちゃんと律したり、見つめ直したりできていないようで、自分でも嫌になってしまう。
などと思うこれが、僕の理性や良心である。
どうにか逃げ切ったというわけだ。

こうして僕の1日は終わった。

少年K(生徒編集委員・中学1年)

Photo by Hardik Sharma on Unsplash


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