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日本の文化から学ぶ僕たちのあるべき姿(2020年度弁論大会中学入賞)

 みなさん、僕たちは日本人としてどうあるべきでしょうか。
 僕たち日本人は古くからこの地に住み続け、他の国にはない文化を築き上げてきました。特に日本人の礼儀作法は世界から高く評価されています。例えば僕たちも毎日校門の前でしているようなおじぎ。このおじぎをすることで自分の心を見つめ直すとともに、他の人や物に対する敬意や感謝の気持ちを表すことができます。また、僕が四歳の時から続けている空手では、形という種目があります。この形では演武をしている人の気持ちが形に現れると言われていて、演武する人は自分の気持ちを形に込めています。これは、空手だけでなく武道や華道、茶道にも共通して言えることだと思います。
 このように、日本には決まったルールに従った動きで自分の気持ちを表現するという文化があります。しかし、街中ではポイ捨てされたゴミを僕は見かけます。本来なら、ゴミ箱に捨てるはずのゴミを何も考えずに道ばたに捨ててしまう。果たして、これが日本人のあるべき姿でしょうか。また、自信を持って誇ることのできる姿なのでしょうか。僕は違うと思います。同じようにこれは小さな社会であるこの世田谷学園にも当てはまることだと思います。

 僕たちが、自信を持って誇ることができる姿になるためにはどうすればよいでしょうか。それは、自分の行動、つまり自分の体の動きを見つめなおし、課題を見つけるということが大切なのではないかと思います。理由は、自分を冷静に、そして客観的に振り返ることがより良い自分に近づくために大切だからです。例えば、「今日の自分は、お年寄りの荷物を持ってあげて他の人の役に立った」などと自分を見つめなおし、課題を見つけ、改善することでより良い自分に近づくのではないかと僕は思います。

 武道や芸道に、「残す」に「心」と書く「残心」という概念があります。僕もこの概念がようやく分かるようになりましたが、この「残心」とは技や演武が終わった後もすぐに忘れるのではなくて余韻や後味を残す、つまりその空気感を持続させるというものです。例えば、僕たちが毎日している校門の前でのおじぎも形だけの適当なおじぎをするとその悪い空気感が持続し、周りの人にも悪い影響を与えてしてしまいます。ですが、おじぎを心を込めてするとその良い空気感が持続し、周りの人にも良い影響を与えるのだと思います。だから、僕たちが毎日しているおじぎも形だけでなく、心を込めて「残心」ということを意識しながらすることが大切であるのと同じように、様々な行動も「残心」ということを意識しながら生活することが大切なのではないかと思います。
 また、謙虚な気持ちで物事に取り組むことで、周りの空気感をより良いものにすることができるのではないかと思います。だからこそ、他の人が余韻として幸せやうれしさを感じることができるような行動が大切であるとともに、自分の行動が周りの人に影響を与えるということを意識しながら生活することが大切なのではないかと思います。

 今年の四〜五月と違って、学校生活が普段に近づいている今だからこそ、日頃の生活での自分の行動が周りの人に与える影響を考え、物事に対して丁寧な気持ちや謙虚な気持ちで取り組むことが、新型コロナウイルスの感染拡大などの問題解決に結び付いたりするのではないでしょうか。そして、自分の行動に「残心」ということを心がけながら生活することが、物事に対して丁寧に、そして謙虚に取り組むきっかけになり、自分の行動が周りの人に与えるいい影響を認識することにつながるのではないかと思います。

 このように、日本には自分の気持ちを決まったルールに従った動きで表現する文化があります。つまり、この伝統的な文化から日本人のあるべき姿を模索することが大切なのではないかと僕は思います。だからこそ、自分の日々の行動を見つめなおし、改善していくことで自信をもって誇ることができる日本を作ることができるのではないでしょうか。だから、僕も日頃から相手が幸せやうれしさを感じられるような行動を心がけて生活し、自信を持って誇ることができるような日本人、世田谷学園生になることができるように頑張ります。

弁士コメント

今回の創立記念弁論大会は、僕は1年生なので初めての出場であった。もともと、僕のクラスでは、弁論大会の弁士になりたい人が僕しかいなかった。だが、僕はこれはよい機会だと考え、弁士となることを決めた。今回、僕が弁士になろうと思った理由には、よい機会だと考えた他にも、自分の生活を充実したものにさせるということがあった。僕は、弁論大会の弁士の他に獅子児祭の実行委員や学友(学内誌)の論説委員も務めていた。つまり、弁論大会の弁士になるということは、この忙しい生活の中でいかに自分の時間を上手く管理をすることが出来るかという自分への課題でもあったのだ。だが、この生活は思っていたよりも充実したものとなった。例えば、放課後に獅子児祭の準備をした後、帰宅し勉強をして、弁論大会の原稿を書いたり、発表の練習などをして、学友の文章を書くといった生活だ。この生活の中で感じることが出来たのは、時間を計画的に使うことの大切さだ。この話は、今回の弁論のテーマである「日本の文化」にも共通する話で、日本人は時間に対して厳しいという文化がある。例えば、鉄道であれば定刻通りに列車が到着しなければ鉄道会社が謝罪をするといったことだ。このような弁論のテーマと関係があることを生活の中で体験することが出来たことで、より心を込めて弁論をすることが出来た。また、様々な経験を積むことが出来た。例えば、弁論大会の雰囲気を実際に感じることが出来たり、入賞した人の弁論の仕方や雰囲気を直接感じること出来た。そして、弁論大会の弁士にならないと分からない、弁論をしている時の緊張感などを感じることが出来た。僕は、このような経験を活かして来年以降も弁論大会に出場することが出来るように頑張りたい。

(中学1年生)

Photo by Thao Le Hoang on Unsplash

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