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【エクストリーム登校】〜登校前に神社お参りしてきた〜(後編)

前編はこちら↓

(文:M.S・高校1年)
 朝、4時30分、家を出た。外は思いのほか寒くはなかった。これからの道中で何が起こるかわかわない好奇心と不安でいっぱいで、寒さなどはこれからしばらく忘れるのであった。ふと見上げると満月に近いおぼろ月が見えていた。
 目的地である神社までの道中人3人と猫一匹しかいなかったので、少し寂し気だ。最寄駅近くの踏切を通り過ぎる時に、違和感を抱いた。というのも、まだ始発の電車さえ到着していないのに、なぜか信号が緑色でなく黄色であったのだ。理由もわからないまま、最初の目的地である神社についた。その神社へはお祭りで過去数回行ったことがあったが、参拝したことはなかったので、じっくり見たのは初めてだった。その後、おそらく近くのスーパーマーケットへ運ぶ積荷を載せているのであろうトラックが勢い良く通過していった。これも早朝だと思わせる風景であった。

 次の神社までの道中、ある鉄道の線路がかかっている橋を通り過ぎ、次の目的地である神社に向かおうとしたその時だった。鉄道か何かが通る音が聞こえてきた。早朝にこの線路ではよく貨物列車が通ると聞いたことがあり、私自身も貨物列車を久しく見ていなかったので、貨物列車かもしれないと思い、一人で興奮しながら急いで先程の橋まで急いで戻った。残念ながら貨物列車ではなかったが、点検車のようなものがものすごい速さで通過していくところであり、これを見たのは初めてだったため少し興奮した。

 ともかく、次の神社に向かうことへ話を進めることにする。先ほどの線路を過ぎると、次に環状道路と言わんばかりの大通りに出た。この通りではつい先刻に見かけたような大型トラックが多く行き交っており、日中とはまた違う交通量の多さに「さすが大通り」だと思った。そんなことを思いながら歩いていくと、次の神社が見えてきた。ここも地元の神社であり一昨年まで5年間ほどお祭りに行っていたので、その様子を懐かしみながら、今年こそは開催してほしいと思いつつ参拝をした。

 さて、まもなく5時になりかけており、始発の電車の時刻も近づいていたので、懐古するのもほどほどにして駅舎に入っていった。改札を通るともうすでに数人の人がいた。そして、今日初めてなるであろう、駅に隣接する踏切が鳴り始めた。始発の電車が駅に接近してきた。酔っ払い対策であろうか、一人の駅員さんも駅のホームに入ってきた。電車のドアが開き、電車に乗りこんだ。駅員さんには仕事がなくなって気の毒であったが、酔っ払いはいなかった。電車に揺られること約10分、目的地の駅に着いた。始発にも関わらず乗客が多く、驚いたとともに、朝早くから社会を支えてくださっている人々に感謝の念を感じながら駅の改札を通り、ロータリーに面する出口まで駅の案内と自らの記憶を重ね合わせながら朝の駅構内を歩き、駅舎を出た。まだ空は暗く、あたりは見えなかったもののロータリーに出たので、バス停と高速バスの行先案内の電光掲示板に照らされながら歩いた。そんな中で、これから訪れる予定の神社が行き先となっているバス停を見つけた時は、通常なら電車でなくバスで行くべき場所であったのだと思った。

 ところで、この駅の周辺はまだ地元であり熟知しているつもりであったのだが、次の目的地の神社まで行くのに少し迷ってしまい、自分の持っている地図と偶然道端で見つけた地図とを見比べた。少し考えた末、道のりがわかったので、急いで向かった。この道中へは実は早朝に3回ほど来たことがあったのでまた懐かしみながら歩いていると、目的地の神社に着いた。この神社はこの登校で初めて、自分の人生の中で初めて訪れる神社であったので、少し心細かった。だが、時間がなかったので、足早に済ませ、次の神社へ向かうことにした。来た道を戻りさらに南下し左折するというとても単調な道のりであったが、これから向かう大好きな路線の駅の駅舎が見えてきたので、少しずつ気分が高まってきた。

 この日4つ目となる神社を参拝し、駅に到着した。この駅の構造はとても特殊なため、ここだけでゆうに1時間は過ごせそうであったが、そんなことをしていると予定している電車に乗れなくなるので、また今度訪れることにしたいが、この駅に関して興味深いことを少しここに書いておく。この駅は、2階式になっており、ホームは線路と線路に挟まれているタイプ(JR東京の東京駅や地下鉄の半蔵門駅など地下鉄や都内の在来線によく使われている形式)である島式ホームが二つしかないにも関わらず、ホームの前よりにホームを挟んで二つのtrack number、そして後ろ寄りにもう一つのtrack numberが前よりに止まっていた電車が横を通過するのに邪魔にならない程度、内側にずらして存在するので、1番線から6番線まで存在するのだ。エスカレーターも3階ホーム直結用と4階ホーム直結用とで分かれているので、気にせずに乗ると少しやっかいという駅でもある。鉄道好きならこの駅がどこなのか推定でき、筆者の最寄駅もここまでの話でわかってしまいそうだが……。

 入線してきた電車には先程私が乗った電車以上の乗客が乗っており、驚いた。そして、相変わらずの口頭アナウンスに親しみを感じていると目的地の最寄駅に着いた。ここで改札を通り、次の目的地の神社に向かうが、実はここ次が今回の登校で一番大きい神社となる。この道中では10分近くあったので、このあたりにまつわるある話をしたい。怪しまれて当然なのだが、現に私はその時にわざわざカメラを回し、独り言を喋っていたのである。(この話は以下だいぶ続きますので、先が気になる方は二段落スクロールしてください)

 これはあるスポーツのことである。私がこのスポーツにハマり出して2年目の時であった、このスポーツをテレビ中継で見ていた時に、とてもナンセンスだと思ったことがあるので、その場面を紹介したい。それは、テレビの画面が選手たちを映す中継車からの映像から、このテレビ番組では恒例の各所各所を上空から撮影するという上空からの映像へと切り替わった際の話である。

「〇〇が出ました、⬜︎⬜︎の〇〇が出ました」というアナウンサーの興奮気味の声が突然テレビから聞こえてきた。つまり、試合のレースが大きく変わる場面になったのである。問題はここからで、すぐに中継車からの映像に切り替えればいいものの、テレビ会社側は何を思ったのか、その時選手たちがいた地点から200mほど離れたところにあった定点カメラを映し出したのである。そのおかげで、私は何がどうなっているか分からず、非常に困った思いをしたのを覚えている。この話はここで終わりではない。この話には続きがあり、先程の話でレースを動かした選手がこの次の年にも出場していたのだ。次の年は汐留のテレビ局は前回の失敗をいかしてか、前回大会でレースを動かした選手がまた今回もレースを動かさないかを警戒したようで、中継車からのカメラから一切映像を変えなかったのだ。実際、先程の選手が前の年と同様、次の年でも同じような場所で仕掛けたので、今回は私もレース展開を把握するのに困らずにすみ、安堵した。一方で、今思うと、これが長時間スポーツ生中継番組の難しさであるのかもしれないと思っている。

 では、エクストリーム登校の話に戻ろう。次の神社が見えてきた。ここは今回訪れた場所で一番大きい神社であるせいか、日の出前という朝早い時間にも関わらず今日初めての他の参拝客と出くわした。参拝を終え、歩いてるとあたりが明るくなってき、周りの景色も見やすくなってきた。この辺りは初めて訪れる場所なので、持参した30年以上前に発行された地図と睨めっこしながら、とても小さい神社を三つ回った。失礼ながら、私はこの道に一切の期待を抱いていなかった。しかし、実際に歩いてみるとたくさんの発見があったので、列挙しておこう。この地域は比較的新しく開発された場所であるため、この辺りを歩いているときに見えた景色は私にこの地域特有の雰囲気を味わさせた。また、この途中、私が持参した地図にはなかった信号機が存在したことなど、この地域の交通量についても驚かされた。他にも、突然”Everyday Low Price”という看板を掲げるこの地域に根付いたスパーマーケットを二つほど同じ地点から見受けられた(一つはその時私が立っていた地点からとても近いがもう一つはだいぶ離れていた)。そして、近くに電車の通っていない地域であるので、自然とバス利用者が増えているらしく、各バス停でバスを待っている通勤客を見ることができた。私の生活圏の地域とは少し違った風景であったので、この地域特有の朝を堪能でき、楽しかった。だが、一つ些細なことを感じ始めた。それは、この辺りで午前6時を回って一日で最も寒いと言われる時間になっていたにも関わらず、地図を見るのに集中してしまい、持参していた手袋を外していたので、手がとても冷たくなってしまったのだ。ここで改めて、今はまだ冬であることと自覚し、手袋再びはめた。そうこうしているうちに、目的の神社に着き参拝した。

 次の神社に向かおうとしていると目に入った高架を走る電車が、その鉄道会社では極めて珍しい色でラッピングされている車両であったので嬉しくなってしまったのか、知らない場所であるにも関わらず、地図を見ないでフィーリングで歩いてしまった。そのおかげで、今回のエクストリーム登校史上一番混乱した事態に陥った。要するに、道に迷ってしまったのだ。そのために、どうしようもなく次の神社をがむしゃらに探していた。だが、その時の私はすぐに冷静さを取り戻せたので良かった。再び地図と睨めっこして、その地域の番地まで確認したのだ。すると、すぐに目的の神社を二つ見つけることができ、安心した。実はこのあたりで自分と同じように学校に登校するであろう生徒さんたちを見かけ始めていたことや時間をよりいっそう気にしかけ始めていたことがあったので非常に焦っていたのだ。そして商店街沿いを歩き、今度こそはまた道に迷うわないように地図に注意を払いながら次の神社まで歩いた。この神社では桜らしきものが咲いていたので、春がいよいよ近づいてきていると感じながら、参拝した。そして、とても狭い川沿いの道を歩き、再び先程の1番線から6番線まである面白い駅に戻ってきた。この時はもう7時近かったので、通勤客の数が多くなっていた。朝日に照らされる電車に揺らされ、いつもの登校のように混雑した車内で単語帳を開いているとあっという間に駅に到着した。私はこの鉄道会社が好きであったので、降りた駅で5分ほど改札内で電車を観察したところ、この鉄道会社を走る電車の中で一番好きな車両と先ほど見た珍しいラッピングの色をした車両に遭遇するなど、とてもうれしかった。そろそろ時間もなくなってきたので、次の電車に乗りこんだ。思いの外、通勤通学客がいなかったのでゆっくりと車内で単語帳を開くことができ、勉強するには快適であった。

 そのあと、一回の乗り換えをし、学校の最寄り駅までたどり着いた。まだ7時30分と始業時間まで1時間くらいあったので、近くの神社を3箇所参拝することにした。一つ目は、降りた駅から近い神社であった。学校から先程電車を乗り換えた駅まで何度も歩いたことがあったので、この神社の場所については知っていたが、いざ着いてみると驚くべき光景を見たのである。それはただでさえここまで上り坂を上ってっきたにも関わらず、さらに急な階段が数十段続いていたのである。ここまで10km近く歩いてきた私の体には少し応えたが、階段を上った。すると、参拝客と久しぶりに遭遇したのである。そのため、参拝の順番を待っているとこれから受験でもしにくのであろうか、制服をきた一人の生徒さんが上ってきていた。この人はおそらくこれから、イチョウのカエルキャンパスにでもいくのかと思いつつ、急な階段を下った。次の神社は通学路にある神社であるので、見慣れた大通りの道を歩き、通勤通学者を見ながらたどり着いた。この神社は大通りに隣接しているにも関わらず、奥に入って行くと静かであったので気分が心地よくなった。そして、最後に初めて行く一番学校から近い神社を参拝して、学校にたどり着いた。到着時刻は8時07分で、エクストリーム登校メンバーの中では2番目の学校への到着であった。

 今回の旅で感じたことは、自宅から近い場所でも少しずれるだけで、地域の雰囲気が変わることだ。今回の登校では、初めて通る道と行ったことがある道が半分半分であったので、私は懐かしみながら、新鮮味を感じた。あとは、地図を見ることである。今まで私は基本的に地図を持ち歩かず、適当に道を進めば、必ず目的地に到着するという思い(実際に失敗したことはない)で、東京の街をよく行ったものだったが、今回は地図に忠実になことの大切さも学んだ。
 普段の学習では得られない学びもあり、楽しかった。

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