作家志望必見!現役女子大生作家・日部星花さんにインタビューしてみた。
大学のテスト期間も終わり、気付けばもう夏の蟬時雨が止まない今日この頃。
オリパラが終わったら見る番組もない……しかもご時世、留学や旅行にも行けない……。
でも、私たちには最高の暇潰しがありますよね?
それは”本”です!
一生のうちでめったに巡り会えない夏休みという膨大な余暇を、読書漬けにするのも悪くないのでしょう。
ちなみに大学生の中には、現役の作家として活躍されている方がいます。
昭和に遡ると大江健三郎、石原慎太郎、村上龍なんかが「現役大学生作家」として華々しくデビューしましたし、平成になると島本理生や綿矢りさが「現役高校生作家」として世間を賑わせました。ちなみに筆者(じの)の通う早稲田大学では、在学中にデビューした朝井リョウや阿部智里などが度々取り上げられます。
そんななか今回は、高校生の時にデビューし、今も現役大学生作家として活動されている日部星花(ひべせいか、2001-)さんにインタビューします!
この度刊行される『袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる』(宝島社)のお話や、大学生作家としての取り組み方はもちろん、ちょっとしたプライベートの話もお伺いしました。
作家志望の大学生は、必見のインタビュー記事です!
Q1:自己紹介をお願いします!
(新刊を持つ日部さん)
日部星花さん(以下、日部):現在はお茶の水大学に在籍しながら、作家活動をしております、日部星花(ひべせいか)と申します。 よろしくお願いします!
じの:よろしくお願いします!ちなみに「日部星花」さんというのは本名なんですか?
日部:いえ、ペンネームですね。でも多少、本名とドッキングしちゃってますね(笑)
じの:そうなんですか(笑) Wikipedia にも載っていたので、色々と拝見させていただいておりました。神奈川県ご出身ということで、 普段はご実家から大学に通われているんですか?
日部:そうですね。早稲田はうちの大学とも近かったので、来やすかったですね。
じの:本当に足もとの悪い中ありがとうございます(笑)明日に台風が来るとかで、ずっと雨模様だったので……。
日部:いえいえ!こちらこそ取材していただいてありがとうございます。
(宝島社)
じの:この度、新刊『袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる』(宝島社)を刊行されるということで。
日部:そうですね。8月5日より各書店やAmazonさんで出させていただくことになりました。私は高校3年生の時に宝島社さんからデビューしたのですが、今回で5冊目の著書になります。「ミステリー」や「児童文庫」といったジャンルの小説になりますね。
じの:日部さんは2019年にミステリー小説の登竜門である『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉でデビューされたり、児童向け文庫のコンペである「青い鳥文庫小説賞」で入賞したり、かなりご活躍されているようで。これだけ聞くとざっくり「児童向けミステリー」のようなジャンルの作品を多く書かれるのでしょうか?
日部:子ども向けと大人向けは分けていますが、児童向け小説は子供達でも読めるようにわかりやすい文体を心がけています! 何というか、人が死んだりすることもあるので(笑)
Q2:好きな作家・影響を受けた作家はいる?
日部:『このミス』大賞ご出身の、中山七里先生が好きですね。中学生のときに初めて小説を読ませて頂いて、「ザ・ どんでん返し」的な面白さを知ったというか。 後はメジャー所なんですけど、東野圭吾さんとかも好きです。
じの:あ〜、やっぱりミステリー寄りなんですね。すると今回発売される新刊『袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる』(宝島社)も「どんでん返し」的な要素が入ってくるのでしょうか?
日部:それは読んでからのお楽しみで(笑)
"岬洋介シリーズ"の中でも、特にお勧めだという3作目『いつまでもショパン』
有名どころだが外せない!『容疑者Xの献身』
Q3:新刊ミステリーの”モチーフ”は何?
じの:普段からミステリー作品を書くにあたって、様々なモチーフを持ち出されると思います。今回の新刊には、どういったモチーフがあるのでしょうか?
(画像:早稲田大学の中央図書館)
日部:今回の作品は「クローズドサークル」というものを題材にしています。クローズドサークルというのはミステリー用語の一つで、簡単に言えば「雪山や、孤島など、物理的状況で外界と隔絶されてしまう状況」のことを指します。第一話では主人公たちが図書室に閉じ込められちゃいます。
じの:面白そうな設定ですね。この小説ならではのポイントはありますか?
日部:ファンタジーとしての要素が少し混ざっていることでしょうか。今回の主人公は特殊な能力(呪い?)のようなものを持っていて、事件を解決するまでは外には出られないという状況に追い込まれてしまいます。「トリック」とか「密室」というミステリーならでは題材も多く取り入れています。
じの:「トリック」とか「密室」というのはミステリーの中でも良くある設定ですよね。その中でも今回の題材になっている「クローズドサークル」なるものは初めてお伺いしました。
日部:今回の作品では「特殊設定」の面白さに加えて、クローズドサークル要素を組み合わせた作風になっています。具体的には、通常クローズドサークルものだと舞台が外界から隔離されてから事件が起こるのですが、今作は主人公が事件が起こったところに居合わせてしまうと、現場がクローズドサークルになるんです。ですので、その逆転の発想も楽しんで頂けると!
Q4:大学のサークルには入ってる?
じの:次からは経路を変えた、大学生ならではの質問をしていきますね。大学のサークルには入っていますか?
日部:私の代は新歓がなかったので……(笑) 大学外にバトミントンのインカレサークルがあって足を運んでみたんですが、このご時世なので中々顔を出せていませんね。学内にもいくつかサークルはあるみたいなのですが、あまり詳しくは知らないですね。
じの:今年2年生ですよね?ということは、入学した時からコロナに見舞われてしまったという感じですね。去年一年間を振り返ると、やっぱりサークル活動はどこも壊滅状態だったように思います。大学生活、ちゃんと楽しんでますか?(笑)
日部:どうでしょうか(笑) そもそも大学に行けてないですからね。今年に入ってからも、5回行ったか行かなかったぐらいのレベルですね。
じの:でも本好きの方の中には、むしろ「ステイホーム」で落ち着いた時を過ごすことができたという方もいます。やはり日部さんは作家なので、コロナ禍もずっと本と向き合い続けていたみたいな感じですか?
日部:もちろん小説も書いていましたが、後は漫画読んだりテレビ見たりですね(笑)後はバイトに行く位で、基本的には他の大学生と同じように巣ごもりしていました。
Q5:大学卒業後は何するの?
じの:まだ専攻も決まっていない時期だとは思いますが、今の段階で大学卒業後の将来は考えていますか? やはり継続して作家活動をされるご予定ですか?
日部:もちろん作家活動も継続していきたいと考えていますね。ただそれと並行して、公務員試験と教職に向けて勉強しているんです。今日もちょうど教育実習(国語)の申し込みをしてきたところですが、就職はちゃんとする予定ですね。
(早稲田大学中央図書館前に立つ日部さん)
じの:そうなんですね! 何というか、真面目な学生さんですね(笑)私の大学では昔から不真面目な学生が多く、留年率も高いんです。自分の周りで小説を志している学生も、就職するか専業作家の夢を追いかけるかで煩悶としている学生も多く。
日部:いろいろなことをして、沢山経験を積んでいって楽しく執筆したいなと思っていますね。
じの:それがいいと思いますね。最近の傾向として、大学を卒業してすぐに専業作家になるという流れは減ってきているように感じます。「それだと若い作家が育たない!」と出版不況も相まって嘆いている人も多いみたいですが、より現実的に思えます。
日部:具体的に何になるかは決めかねていますね。ただ今の時点では、公務員に憧れがあります。教師も楽しそう。それに、就職して色々な人生経験をした方が、回り回って執筆のためにもなると思うので!
Q6:やっぱり本は”紙”が良い?
じの:個人的に気になっている質問になってしまいますが、やっぱり本を読むなら紙の方が良いと思いますか?
日部:私は基本的に紙の本を読んでいて、電子版はほとんど読まないですね。スマホでしか読めない絶版のものを読むことはたまにありますが、単純にスクロールするのが面倒だったり、自分の読みたいページを読みたいように開けなかったりするのが好きじゃなくて(笑)
じの:そこは紙に拘りがあるんですね。でも執筆はスマホでされるとか?
(日部さんが活用しているスマホの「メモ」機能)
日部:そうですね。移動時間にはスマホで書くことが多かったですね。今こそキャンパスに行く機会が少ないですが、高校時代は毎日のように電車に乗って通学していたので、スマホが欠かせなかったんです。移動中にスマホで打ち込んだ文章は、家にある本体のパソコンに移し替えて校正していました。
じの:モバイル機器で執筆を行うというのは、なかなか現代っ子ぽいですね。私の周りの日本文学好きの学生の中には、ワープロやスマホを断じて使わないの旧式の人もいます。ですが、その方が時代に合っていると私は思います。
日部:でも時々はノートのようなもの取り出して、直筆で書き出すという作業はしますかね。ミステリーだと特に、トリックや複雑な人間関係を自由帳などにブレインストーミングした方がイメージしやすくなるんです。
Q7:大学生のうちにやっておきたいことは?
じの:日部さんにはぜひ、今後の大学生活も継続して執筆活動を行っていただきたいですね。ただ執筆以外で、これは大学生のうちにやっておきたいと思うことはあるでしょうか?
日部:留学や旅行はかねてからしたいと思っていました。去年の1年間は空白でしたからね。でもコロナで状況は良くならないし、どうなんだろうと思います(笑)
(早稲田大学構内を歩く日部さん)
じの:まだ二年生なんですから、今のうち遊んだ方が良いですよ(笑)留学はどこに行きたいとかは考えていますか?
日部:まだ具体的には考えないですね。何となく英語を話せるようにはなりたいと考えているので、英語圏ですかね。長期ではなく二、三週間程の短期でホームステイする位でしょうか。それで語学力が伸びるかどうかは分かりませんが、まだ海外には一度も行ったことがないので、一度は在学中に行ってみたいですね。
Q8:夏休みの予定は?
じの:今がちょうど大学の前期末で、もうすぐ長い夏休みが来ます。何かご予定はありますか?
日部:コロナもあるし、友達と近場に遊びに行くくらいですかね。それからバイトとかもしたいです。
(高校時代の日部さん *撮影地:京都)
じの:今の1,2年生は皆んなそんな感じだと思いますよ。でも二ヶ月くらい?ですか。予定を入れないと暇を持て余しちゃいますよ。
日部:そうなんですよ!本当は新刊を発売するタイミングで配架してくださる書店さんを周ったり、イベントに参加したりしたいと考えてました。でもご時世的に難しくなってしまって。
じの:書店員さんや読者の声を聞けないのは、寂しいものがありますね。フィジカルな形で本をPRできないとなると、どうしてもネットやSNSなどのデジタルで頑張るしかなくなってしまいますよね。
Q9:大学生に向けて一言!
じの:今回のインタビューでは新刊のお話や作家としての取り組み方、プライベートなお話に至るまで、様々なことをお伺いすることできました。短いインタビューでしたが、最後にこの記事を読んでくれている大学生に向けて何か一言いただければと思います!
日部:一言……。そういわれると難しいですね(笑)でもこれに尽きると思うのですが、
コロナ禍で大変な方々にもぜひ、私の本を買って読んでいただきたいです!
じの:同じ大学生の身として、今後も日部さんを応援していきたいと思いました。本日はお忙しい中、ありがとうございました!
( 写真撮影/ ねも)
書籍情報:『袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる』
(宝島社:書籍情報)
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(文/じの)
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