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著者インタビュー『一発OK!誰もが納得!公務員の伝わる文章教室』(葛飾区 工藤 勝己氏)



4月28日に発売された『一発OK!誰もが納得!公務員の伝わる文章教室』は、ただいまリアル書店・ネット書店にて好評発売中です!

著者の工藤勝己氏に、執筆されたきっかけや本書の内容についてインタビューしました。

報告書、制度案内、庁内での検討資料、予算要求書、首長・議会への説明資料など・・・文章を書く機会がとても多いですよね。

「どうしたら相手に伝わる文章が書けるのか」「どうやって書いたらいいか分からない」・・・そんな悩みを抱えている公務員の方も多いのではないでしょうか。

著者の工藤氏は、葛飾区の現役管理職です。国・都・区という3つのステージで工藤氏が培った「一生モノの”書く”スキル」を、本書を通じて伝授していただきましょう!


▼ 『一発OK!誰もが納得!公務員の伝わる文章教室 』

(工藤 勝己 著、定価=税込1,980円、四六判・192ページ、2021年4月刊)

https://amzn.to/3x8xW1y


▼ 本書の目次

第1章 仕事を楽しむために文章を磨く 
――公務員に文章力が不可欠な理由

第2章 わかりやすい文章を書く
――公務員の文章は「簡潔明瞭」が命

第3章 もっと伝わる文章を書く
――読み手の納得・共感を高めるコツ

第4章 信頼される文章を書く
――庁内・住民・議会からの誤解を防ぐ

第5章 効果的な文章を書く
――報告書から議会答弁まで

第6章 文章を吟味し、推敲する
――行政文書を書く責任を自覚する


本書の誕生について


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―はじめに今回、「文章」をテーマにご執筆されたきっかけを教えてください。

(工藤氏)昇任試験を受験する際に、上司や先輩の添削指導を受けて苦労しながら論文を書き上げる人は多いと思います。しかし、合格することが最終目的となっているために、試験が終わると文章に対する問題意識が少しずつ薄れていってしまう傾向にあります。

―確かにありがちな傾向ですね。

(工藤氏)丁寧な添削指導を繰り返して合格に導いたのに、主任や係長に昇任したあとに作成した文書がパッとしないというケースが少なくないのです。このことは、昇任試験に合格するまでの短期間で文章力を向上させるのが至難の業だということを示唆しています。

私が所属する葛飾区だけの問題ではなく、全国の自治体に共通する課題だと思われますので、部下の文章指導に苦労している人が多いことは容易に推察することができます。

―なかなか簡単には身につかないものですね。

(工藤氏)昇任試験を受験する際に、論文対策本を購入すると思いますが、合格後は自宅の本棚に眠らせてしまう人が少なくないはずです。私自身もそうでした。このような経験をもとに、長く使っていただける文章術の本を執筆しようと考えました。

―そうだったのですね。自治体の現場で役立つ本を目指してご執筆されたということですね。

(工藤氏)書店には文章術の本がたくさん並んでいますが、行政の現場でやり取りされているリアルな例文を紹介し、問題点を指摘したうえで改善方法をわかりやすく解説した類書はありません。

本書は、職場のデスクの傍らに置いて、世代や役職を問わず業務に役立てていただける内容になっていますので、全国の公務員の皆さんにぜひお読みいただきたいと思います。


文章を磨き続けること


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―第1章では「仕事を楽しむために文章を磨く」とありますが、「楽しむため」という考え方にハッとさせられました。文章を磨き続けることによって、仕事の醍醐味のようなものが見えてくるということでしょうか。

(工藤氏)「仕事を楽しむ」という表現をすると、「楽しく仕事をする」と解釈されることがありますが、住民の負託に応えるため徹底的に成果を追求するのが本来の仕事のあり方なので、仕事は楽しくなくて当たり前だと思っています。

むしろ成果が出ることを前提として、「仕事の成果を楽しむ」「成果が出るまでのプロセスを楽しむ」と捉えれば、公務員にとって文章力は必須のスキルだということが理解しやすくなります。

―文章力は公務員の皆さんにとって仕事を楽しむ重要なスキルなのですね。

(工藤氏)例えば、新たな行政課題に直面すると、新規事業を立ち上げることになります。しかし、その事業の必要性について誰もが納得する企画書を作成できなければ、いくら熱弁をふるったとしても予算化されることはありません。文章を書くスキルがあれば企画書の作成も苦にはならず、新規事業を立ち上げるまでのプロセスを堪能できます。そして、住民サービスの向上という成果を楽しむこともできるわけです。

―確かに。「まずは納得できる企画書を作ること。」これは組織で働く人間すべてに共通することですね。

(工藤氏)また、事業に反対している住民がいる場合、「なぜこの事業が必要なのか」を粘り強く説明し、「どうして反対なのか」という住民の主張にもじっくりと耳を傾けながら、膝を突き合わせて話し合います。

話し合いの過程では、お互いの主張の隔たりや共有できている部分を整理して文章化することもできます。伝わる文章を書けば、口頭では伝わらなかった事業の目的や期待できる効果なども、あらためて理解してもらうことができるのです。

―住民にしっかり伝えるためにも文章の力が必要になるわけですね。

(工藤氏)どのような場面でも、正しく伝わる文章を書けば「納得」してもらうことができます。そして、「共感」が生まれて「説得」につながります。

「納得→共感→説得」という住民対応のプロセスを踏みながら、事業を着実に進捗させていくのが公務員の仕事の醍醐味です。この醍醐味を大いに味わうためにも、私たちは文章を磨き続ける必要があるのだと思います。


文書の基本を押さえる! 


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―第2章にある「の」「に」「も」を連続して使わない』では、助詞をきちんと使うことでわかりやすい文章になりますと説明されています。

このような基本的なルールを守っていけば文章力がアップすると感じました。まずは基本を押さえて文章を磨いていけばよろしいでしょうか。アドバイスをいただきたいです。

(工藤氏)助詞を正しく使うことは、良い文章を書くための基本中の基本です。しっくりこない文章、読後感が悪い文章の原因を探ってみると、助詞の使い方が不適切なケースが多くあります。

助詞の使い方を誤ると文章はたちまち稚拙なものとなり、書き手の品格が疑われることにもなってしまいます。たかが助詞だと侮っていると痛い目にあいますので、まずは「助詞力アップ!」から始めるとよいでしょう。

―なるほど。たった一文字ですが、とても重要な役割を果たしているのですね。

(工藤氏)「助詞の使い方に迷ったらどうしたらよいでしょうか?」と聞かれることがあります。迷ったら書いて並べてみる、並べたら声に出して読み比べてみることをお勧めしています。声に出して読み、耳で確認すると答えが出てきます。

―声に出すことも重要なのですね。

(工藤氏)助詞の使い方のほかにも、接続詞や修飾語の使い方、読点の打ち方など「伝わる文章」を書くための基本的な作法はいくつもありますので、本書で再確認していただきたいと思います。

―基本をしっかり押さえることが文章力アップのカギですね。


温もりのある文章を書くには!?


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―文章によって相手への伝わり方が大きく違うなと感じました。温もりのある文章や信頼感のある文章を自分の言葉で伝えたいと思われている読者の方は多いと思います。

やはり、多くの文章にふれて語彙や言い回しなどの表現力を増やしていくことが大切なのでしょうか。

(工藤氏)伝わる文章が書きたい、温もりのある言い回しをしたい、信頼感のある表現に仕上げたいと考えている人はとても多いと思います。そのような人たちにまずお伝えしたいのは、読み手の立場を尊重することが大切だということです。

―「読み手の立場を尊重する」・・・なかなか難しそうですが、文章は読み手がいてこそですもんね。重要なポイントですね。

「読み手の顔を思い浮かべる」「読み手に心を寄せる」というアプローチをおろそかにすると、いくら語彙力を高めて言い回しの工夫を重ねたとしても温もりのある文章や信頼感のある文章を書くことはできません。

書き手の自己満足で終わらせないためにも、丁寧に言葉を紡ぎ出して正しく伝わる文章に仕上げるという意識を持ち続けるようにしたいものです。


読者へのメッセージ


―最後に読者の方へ向けてメッセージをお願いいたします。

(工藤氏)本書にも書いていますが、「文章が書けない人は損をしている」と私は思っています。

前任者が作成した文書を時点修正だけしてそのまま使ったり、使えそうな表現がどこかにないか一生懸命探してきてコピペして体裁を整えたりしている人がいます。

一見すると効率的な仕事の進め方ですが、自分オリジナルの表現を考えて活字として残すというチャンスを放棄していることにもなってしまいます。

「量が質に転化する」という言葉があります。これは文章にも当てはまります。良い表現をまねてたくさんの文章を書くことで、豊かな表現力を涵養し文章の質を高めていってほしいと思います。

―ありがとうございます。公務員の皆さんが本書を大いに参考にしていただき、伝わる文章を書ける力がつくことを願っております。


著者プロフィール


工藤 勝己 (くどう・かつみ)

葛飾区都市整備部参事。1985年運輸省(現・国土交通省)入省、港湾施設の地震防災に関する技術的研究に従事。その後、1989年葛飾区役所入庁。

東京都庁派遣、特別区人事委員会事務局試験研究室主査、区画整理課長、道路建設課長、立石・鉄道立体担当課長、立石駅北街づくり担当課長を経て、2019年より現職。道路及び下水道施設の整備、橋梁の架替え、土地区画整理事業、都市計画道路事業、連続立体交差事業、市街地再開発事業に携わる。

また、特別区職員採用試験及び特別区管理職試験の問題作成・採点・面接委員、昇任試験の論文採点を務める。技術士(建設部門)、技術士(総合技術監理部門)、土地区画整理士。


著書

▼  新刊!『一発OK!誰もが納得!公務員の伝わる文章教室 』

(工藤 勝己 著、定価=税込1,980円、四六判・192ページ、2021年4月刊)

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