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[映像集] 遠野の芸能と風習。民俗映像作家としての記録。


気付けば遠野7年目となりしたが、これまで遠野の芸能や風習などを映像記録に残す、民俗映像作家としての活動も地道に毎年続けてきています。

郷土芸能にお盆の風習など、この土地で暮らしているからこそ撮れるものを自らカメラを回し、編集して制作しています。

夏になりお祭りも各所で行われてきたので、改めてこれまで制作してきた映像をまとめてご紹介したいと思います。コロナもなんだか流行ってきていますが、この夏の予習としてご覧いただけたらと思います。

(1)塚澤神楽 木村大士 塚沢神社例祭(2017)

宮守塚澤集落の塚澤神楽の木村くん。今は上郷の平倉神楽へ出向いて活動をされている、遠野の神楽界のホープと言われている青年です。迫力のある舞をはじめ、太鼓に唄となんでもできるイチローのような舞手だそうです。
この映像は初めて郷土芸能を撮影した処女作となります。カメラはミラーレスの安いもので撮影しましたが、自然にピントがぼやけたりして、いい味を出してくれました。編集も工夫して繋げていますのでぜひご覧ください。


(2)大出早池峰神楽 山の神舞 早池峯神社例大祭宵宮(2019)

遠野の大出集落に伝わる「大出早池峰神楽」。こちらの映像は2019年の早池峯神社の例大祭の様子です。この神楽は、大同元年(806年)に早池峰山を開山した猟師であり修験だったともいわれる四角藤蔵の血を受け継ぐ者たちが始めたとされる神楽です。霊峰・早池峰山のふもとで舞う「山の神舞」は五穀豊穣の祈願をはじめ、実りや命をいただく山の神への感謝が表されています。また、縄文文化や修験の影響からか非常に猛々しく勇壮な舞は観る人たちを魅了します。この舞手は千葉和(なごみ)さん。何十年も前に移住されて大出早池峰神楽を継承されているレジェンドです。指先にまでその猛々しい山の神の厳しさが表れているのでぜひ細部までご覧ください。


(3)遠野市附馬牛地区「墓じし」 張山しし踊り / お盆の風習(2021)

鹿をはじめ四つ足動物の供養として始まった「しし踊り」ですが、時代を経る中で人の供養も兼ねるようになったそうです。この映像は、お盆の時期に行われる「墓じし」を撮影したものです。故人を偲ぶ、ししの踊りにご注目ください。撮影時は、富川も"しし"として踊った直後に、着替えずにすぐカメラを回して撮影したものです。夏の風習の様子や雰囲気が伝わるかと思うので、ぜひ最後までご覧ください。


(4)遠野市附馬牛地区「ムカイトロゲ(迎え灯籠木)」 / お盆の風習(2020)

「ムカイトロゲ」は岩手県遠野市を中心に見られるお盆の風習であり、初盆から3年間、 毎年8月7日から8月末まで ご先祖様が家に戻るための目印として立てられます。この映像に登場する新田勝見さんは、ご自身のお母様の初盆を迎えるに当たって、自ら家の裏の木からムカイトロゲを作られました。その様子を密着した映像となります。この木を目印に、きっとお母様も家に戻られたのではないでしょうか。


(5)『遠野物語』序文の世界 / 岩手県遠野市 張山しし踊り 菅原神社例大祭(2019)

遠野の早池峰しし踊りのひとつ、張山(はりやま)しし踊りが遠野市附馬牛町の菅原神社 例大祭(2019年)にて奉納している様子です。『遠野物語』序文に記されている通り、若き日の柳田國男は『遠野物語』執筆中に、ここ菅原神社で同じ景色を目にしています。緑の中で映える色鮮やかなしし踊りの舞と衣装をご覧ください。
なお、富川もこの団体で"しし"として踊っているため、通常、自分で撮影はできないのですが、この年、なんと直前に肉離れをして踊ることができなくなり、結果的に貴重な祭りの撮影ができたというわけです。


(6)遠野小友町 山谷獅子踊り 山谷観音御祭禮(2022)

遠野市小友町の山谷集落につづく獅子踊り。 小友の獅子踊りは長野獅子踊りが最も古く、明治元年(1885年)に鷹取屋に伝承され、その後に山谷へと伝わったそうです。特徴的なのは「スクイ頭踊り」といわれる、下から救い上げるように頭をきる躍動的な獅子の動き。激しく勇壮な獅子をぜひご覧ください。この日は動画を撮影する気はなかったのですが、撮影してるうちについカメラを回してしまいました。普段自分が所属する団体以外のしし踊りを見る機会は少ないので、とても貴重な経験をさせてもらいました。


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