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絶対に無理だと言われていた涙の受賞とその後

クセモノ社長との出会い

楽天市場事業には「ECコンサルタント」という、楽天市場に出店中の店舗さんの売り上げを伸ばすコンサルティング業および広告営業をする営業職があります。その職種に従事していたときの話です。

 
楽天市場に出店する企業様の営業をしていたある年、ある企業様を担当することになった。
そのお店は売上規模では楽天市場出店中の40,000店舗中上位25位以内に入っているのに、過去に一度も「ショップオブザイヤー」を受賞したことがなかった。普通は考えられないことだ。
楽天の営業の間では「社長がクセモノで、営業担当からすると扱いにくい企業だ」と言われており、先方は先方で「楽天なんて自分の利益しか考えてないだろう」と言っていて、その企業さんと楽天の関係は心底悪かった。
 
 
初めて社長を訪問した時、ありったけの知識をつぎ込んで役に立つことを話したつもりが、そっぽを向いてかなりつっけんどんな態度だった。

正直「マジでヤな奴だ、この社長・・・」と思った。
(その企業の方、見てたら失礼すいませんw)
 
 
その帰り道「ショップオブザイヤーを受賞してもらうことが私の役割だ」と思った。
 
挑戦だった。
氷を溶かし、水を沸騰させたかった。
 
 

難しいと誰もが思うなら、やってみよう


その日から4ヶ月、私の出来ることを全部やった。
 
毎週「ショップオブザイヤーを獲りましょう」と言い続けた。
売上を上げるプランを、やって頂いた。
発送件数を増やすプランを練って、やって頂いた。
お客様からの評価を上げる施策を練って、やって頂いた。
売れそうな商品を探してきて、売って頂いた。
制作担当の方に効率的な作業の提案をして、やって頂いた。
顧客対応担当の方の悩みを聞いて、改善して頂いた。
湾岸の倉庫も見に行って佐川急便とも話した。
 
 
4ヶ月たった頃、
「ショップオブザイヤーを獲りたい」と
社長や店長と、目標が一致した。
 
水が沸き立ち始めた。
 
 
毎日店長さんと検索対策を試行錯誤した。
毎日ページを改善していった。
先方の社内調整もした。
使ったことのない広告やポイントなど費用もかけてもらった。
普通電話で済ます話も時間を空けて訪問して話した。
社員さんとは「全員」と話した。
社員さんと社長のケンカを「まあまあ」って割って入った。
社員さんが泣いているのを見た。
社員さんたちの飲み会や送別会にも顔を出した。
 
社長と朝4時まで飲むことも良くあった。
社長をタクシーで家まで送っていった。
社長が寝言で奥さんの名前を呟くのを聞いた。
いい奴だと思った(笑)。
 
翌日もいつも通り出社した。
 
 
 
本当に、最後の瞬間まで、一緒にやれることをやり切った。
 


奇跡と言われたショップオブザイヤー受賞


そして、その年、なんと受賞した・・・!念願のショップオブザイヤーを。これまで過去のどの営業担当も諦めてきた、受賞だった。

そして、その企業にとっては、初めての受賞。
 
 
受賞の連絡は、営業担当から企業様にすることになっている。
電話でも良かったが、先方のお店まで向かった。
 
社長はたまたま店頭に立っていた。
社長のビックリした顔に向かって、
私はガッツポーズしながらお店に入っていった。
 
 
涙が出た。

お客さんと一緒に泣ける。こんな幸せなことはない。
 
 
 
後日、店長が出席する授賞式のためのタキシードを
一緒に選びに行った。
思いのほか似合って、面白くて、涙が出た。
 
 
沸き立った水が、溢れ出た。
 
 
 
 
残念ながら、その年以降、
その企業さんはショップオブザイヤーを受賞していない。
 
そのうちまた獲得してくれると思っている。
「永井さん、獲りましたよ!」って電話がかかってくるに違いない。  
 
 
  
受賞できたのは、もちろん私の力では「絶対に」ない。
その企業様の頑張りがあったから。
   
でも、
売上を上げるだけではなく、
社長の、店長の、社員さんの人生のほんの一瞬でも、
受賞獲得というチャレンジを通して
喜びや楽しさや感動を創って一緒に分かち合えたことだけは、
自信を持ってやれたと言える。 
 
 
 
 
楽天を辞めてからもその店舗さんにはたまに遊びに行く。
今も窓際にショップオブザイヤーの盾が飾ってある。
 
 
その盾がいつも光って見えるのは、
窓から差し込む太陽のせいではないと思っている。

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