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ありのままの自分ってなんだろう?「コラージュ療法」が与える自己治癒力と表現の世界


皆さんこんばんは、最近なんかあったかい日が多くうれしい、ガクセイメディアです。

タイトルにもあるように、今回は「コラージュ療法」についてご紹介しようと思います。

私は現在、心理学科2回生として様々な心理療法を学んでいます。その中でも印象深かったのがこのコラージュ療法。

「なんか、雑誌とかから気になる絵や写真を切り取って自由に張っていく作業のこと?」とお考えの人も多いはず。


一心理療法として実践的に用いられているほか、具体的にどのような側面で役に立っていいるのか、またその奥深さについてご説明しようと思います。


コラージュ療法とは



コラージュという言葉を聞いて、組み合わせを連想される方は多いと思います。実際、このコラージュという言葉はフランス語で「網づけ」を意味します。

コラージュ療法では、雑誌や新聞、パンフレットなどのイラストや写真、または文字をハサミで切り取り、台紙の上で再構成し、自分だけのオリジナル作品を作り上げます。

自分で一から絵柄を構成する、という工程がないため、絵に自信がない人や表現することが苦手な人でも取り組みやすいとして、特に心理療法の場で用いられます。

実際に、中学時代美術の成績が「2(自己評価は5)」だった筆者でも、楽しく取り組むことができました。笑


コラージュはピカソをはじめとする現代美術の重要な技法のひとつとされているとのこと。技法自体、とても歴史あるものなんですね。

これがあればOK!


・糊 (両面テープでもok)
・ハサミ (心理療法として行う場合、先の丸いものが好ましい)
・雑誌、新聞、パンフレットなど (たくさんあると尚よし◎)
・台紙 (A4~A3判、B4~B3判の画用紙、またはケント紙)
・クレヨンやサインペンなどの描画用具

個人的に、「家で簡単にできる」こともコラージュ療法の強みであると考えています。

コラージュ療法という言葉を聞いて、病院や施設で行われているもの、と考えた方もいらっしゃるでしょう。

障害や発達に関係なく、誰に対しても、「何か作る」こと自体が「癒し」に繋がります。


人間の持つ創造性が自己治癒力として働くこと、造形活動は人間の本質的な欲求でありそれによって自己認識ができることなどから、それらの活動によって傷ついた自己の修復を行い、生の全体性を回復・発達させていくと考えられている。

こころの科学セレクション 芸術療法

また、雑誌や新聞、パンフレットなどは、製作者の年齢や性別、興味の方向などを考慮して、できるだけ多方面のものを用意した方が、表現の幅が広がると言えます。

具体的にどんな方法があるの?



結論から言うと、コラージュ療法のやり方に厳格な方法はありません。そのため言い換えると、コラージュ療法は非常に自由で柔軟性に富んだ技法であるともいえます。

しかし、制作者の人数や状況などを考慮する場合、そのやり方は2通りに分けられます。

1.コラージュ・ボックス方式


これは、あらかじめセラピストが絵や写真、文字などからおもしろそうな材料を集めて、切り抜き、それを箱の中に入れておき、クライエントがその中から切り抜き版片を選ぶという手法です。

これを聞いて、それではクライエントの表現の自由が制限されてしまうのでは?と考えた方もいるかと思います。

対人支援では、精神状況が不安定な人、あるトラウマが蘇ってしまう可能性のある人など、その人にとって必要な配慮が求められます。

そうした方に向けて、過度に暴力的な場面や性的刺激の強いものに触れる機会を減らすためにも、コラージュ・ボックス法は有効です。

また、自分ではなく他人が用意してくれた材料の中には、自分自身では決して切り抜かないような内容をポジティブな刺激として受け取ることができます。

そして、セラピストがある程度選択した材料の中から選ぶことで、クライエントが自身の心の内容をまとめることを期待できます。

それゆえ、幼児や心身エネルギー水準の低い人には、このコラージュ・ボックス法が適していると考えられています。


2.マガジン・ピクチャー・コラージュ方式


これは、制作者自身が雑誌や新聞、絵や写真などから気になるものを切り取る方法です。切り取りを制作者が行うのなら、雑誌などの材料は、セラピストが用意しても制作者自身が用意してもよいとされています。コラージュ療法を自宅または個人で行う場合は、材料集めから自身で行うケースが多くなります。

これはセラピストの準備時間や手間をカットできるほか、セラピスト自体必要のないケースもあるため、集団的使用に適していると言えます。

そして、制作者自身の身近な材料を選ぶことができる点で、制作者の予想を超える表現が生まれる可能性があります。

しかし、切り抜き内容は制作者まかせ。そのため、自分のつらい思いを想起させるものに触れる恐れもあります。

実際に行ってみて



私は、心理学の講義の中で実際にコラージュ療法を行いました。

またその際、手法はマガジン・ピクチャー・コラージュ方式を用いて、材料集めから切り取り、貼り付けまで自分で行いました。

コラージュ療法を行ったのは今から約3カ月前。当時の私は精神的にとてもつらい状態でした。おのずと闇が垣間見えます。


エジプトの旅行雑誌や地方新聞から切り取りました。夜に見るとなんか怖い


同時に、今では「あの時病んでたな~、でも頑張った」と思い返せています。

まとめ

今回は、コラージュ療法についてご紹介しました。

「療法」という言葉から、臨床場面で用いられるものと連想されることがしばしばあります。

しかし、表現が癒しに繋がりうることは、誰にとっても共通です。

コラージュ療法は、自分と対峙するきっかけをもたらしてくれます。

自分の心の奥深くに眠っている感情と向き合うことは、時に辛い作業でもあります。そんな時は無理をせず、心置きなく一緒に創作できる人を誘ってみて、ゆっくり表現を味わってみることもいいかもしれません。



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