不動産屋について【終末京大生日記42】

 突然だが、3月に東京に引っ越した際、ハズレの不動産屋に当たってしまった。私は一人暮らしをするのは初めてではない。京都で一人暮らしをする際も、京都駅近くの不動産屋を利用したが、そこの店員さんはまだ10代だった、右も左も分からない私に丁寧に部屋を案内して受験の話などを聞いてくれた。

 管理会社も、蜂の巣ができたり、水漏れが起きたり、何か問題が起きるたびにやすアパートなりに対処をしてくれた。退去をするときも少し床に傷はついていたり、壁紙に傷があったものの、通常費用の範疇と、高額な料金を請求されることはなかった。

 この経験から、私は不動産屋というのはおもったよりも悪い人はいないのだろうとおもっていた。しかし、そのイメージはたった1ヶ月でひっくり返った。

 私は3月にインターネットで物件を探しており、ある不動産屋からいい物件を見つけた。私はすぐにその物件の内見を申し込んだ。私は新生活に胸を躍らせ新幹線ではるばる京都から東京へ向かった。内見は現地で待ち合わせということで、少々変わっているとおもったが、私は物件の住所へ向かった。

 内見の日は雨が降っていた。物件には茶髪のパーマを当てた若い男がいた。その男は私に会うなり、「弊社では(某大手広告代理店)の役員も部屋を探すのに利用している」といきなり言ってきた。おそらく、上京してきた何も知らない若者だとおもって初見でかますために大手企業の名前を行ってきたのだろう。その時点で私の、その男に対する信用は大幅に低下した。まず、役員というのは企業ではなく個人だし、そんな情報を易々とかますために口にして良いはずがないだろう。そもそも、本当かどうかも確認できないため、全く信用できない発言だった。私は一気にその男を疑念の目で見るようになった。

 京都の不動産屋は大学生の初めての一人暮らしを応援するという姿勢がとにかく感じられ、とにかくいい雰囲気だったが、一方東京で初めて会ったその男はとにかく型にはまったマナーを大事にする男で、マナーを押し付けているようにも感じられた。物件のドアを開け、マナーの型の通り私に入るように促す。私は初めてくる建物なので、特に先に入りたいとは思わなかったし、その男に背中を見せたくなかった。

 私は今見ている部屋は確かに空いているのかと尋ねた。その男は電話をし、ちょうど30分前にこの部屋は埋まっており、家賃が1000円高い部屋なら空いていると言った。さらに疑念が増した。

 その後、その部屋の見積もりを請求した。見積額は60万円程度だった。さらに、月額費用には不動産屋のホームページに全く記載がなかった月2000円程度の安心サービスなるものが入っていた。私は騙されたとおもった。まず私は、ホームページに記載がなかった月額サービスと、新築にも関わらずかかっている合計5万円程度の除菌サービス・虫駆除サービスを削除するように請求した。月額サービスは私は認識していなかったし、除菌サービスはインターネットを調べることで、ただ、スプレーを撒くだけで高額な費用を請求するサービスだとわかったからだ。

 不動産屋はそれらのサービスは消せないと言った。私は腹が立ち、契約書にサインをしなかった。すると、不動産屋は緊急連絡先である親に電話をかけて、「私が契約をしたのにお金を振り込んでいない」などの内容を話したらしい。しかし、親は宅建の資格を持っており、ただの営業よりも不動産に詳しかったため、その営業の男は仕事をこなすことはできなかった。

 私は一件落着と思ったが、会社の研修中に留守番電話が入っていることに気づいた。折り返してみると、家賃の請求だった。私は腹が立った。やはりあの営業の男の仕事はいい加減だった。報復のためか、単純に忘れていただけか、契約をしていない物件の家賃の請求が私のところに来るのだから。結局私はそれらの電話を全てブロックし、これ以上続くようなら消費者センターに相談をすると決め、それ以上他の番号から電話が来ることはなかった。

 会社の同期に話を聞くと、彼らも私と同じように常識の通じない不動産屋にあっていることがわかった。1人は「契約をしなかったら違約金が発生する」などと脅されたと話していた。彼らと話し合ってわかったことは、不動産屋はたくさん店舗を展開している大手の店なら、ある程度コンプライアンス意識があるが、そうでないところは往々にして反社のような商売をしているところもあるということだった。私がおかしいのではなく、不動産屋が置かしく、みんなも同じ思いをしているとわかり、私は安心した。

 私は京都であれだけ不動産屋が優しかったのは、おそらく、学生相手に商売をしているため、評判を良くしておきたいという思いもあったのだろうと思った。京都の大学生の間で評判が悪くなってしまったら、京都の不動産屋は非常に商売をやりにくくなるが、あの東京の不動産屋は、別に客1人に何を思われても二度と会わないという態度で商売をしているのだろう。

 私は初めて東京であった大人がひどいやつで、京都が恋しくなった。東京の新しい部屋で、新生活を始めたものの、気分は少しセンチメンタルだった。

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