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【イベント告知】宮古の、世界の食卓に共和水産の製品を。共和水産株式会社、イカ王子・鈴木良太さんにインタビュー

こんにちは!記事を見てくださりありがとうございます!
学生チップスです。

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学生チップスって?

わたしたちは、社長チップス株式会社さんの下で動いている学生グループです。全国の大学の学生団体に所属している4人のメンバーを中心に、学生と全国の中小企業の社長さんをつなぐ企画を創っていくために活動を始めました。

幹部メンバー:佐野真望(まなみん)、渡辺拓磨(たくま)、江口綾(あやぽ)、小西泰誠(たいせい)

学生チップスの詳細https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000032768.html

このnoteでは、その活動に関連するお知らせを不定期に更新していけたらと思っています。お時間のあるときに覗いていただけましたら嬉しいです。



今回の記事では、イベントにてご登壇いただくお方をご紹介します!
共和水産株式会社 代表取締役専務の鈴木良太さん。三陸の水産加工業の活性化のために、「イカ王子」として様々な場所で活躍されています。

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イカも恋する、イカ王子。


イカ王子は、4月26日(土)に開催予定のオンラインイベント、「社長の頭の中を解剖してみた!」の登壇者のおひとりです。

この記事で、イカ王子がどんなお方なのか解像度をばっちり高めていただけたら幸いです!もっと話を聞いてみたいと思った方、ぜひイベントへの参加もご検討くださいね。


人生を変えた3月11日、自分にできる「泥かき」を探して


たくま)(王子が)会社を引き継いだタイミングで思ったこととか、覚悟したことっていうのはどんなことだったんでしょうか。

王子)もともと、この水産加工会社を継ごうと思っていなくって。この岩手県宮古市にも戻ってきたいと思ってなかったんですよ。高校がソフトテニスの強豪校だったのでずっと部活の日々だったんですよ。大学も推薦で、受験を一回もしたことがない人生なんですよ。

たくま)へええ。

王子)で、大学で遊びを覚えて、それがめちゃくちゃ楽しくてもう目覚めてさ。そんなこんなで遊びすぎて、2年間行って勉強についていけなくなって中退した。

いろんなバイトしたよ。料理とか飲食、あとサービスとかが好きだったから、仙台の国分町のダイニングバーで働いてて。夜の男だったんです、鼻ピアスも開けて。そんな感じだったから、いつしか実家で「お前ホストやってるだろう」って言われてて。(笑)

だったんだけど、実家の共和水産に後継者の問題があったので、泣く泣く帰ってきただけって話。宮古を盛り上げたいとかそんなのはなく、継ぎたくないけど継いだ感じね。

その中で本気になった瞬間って言うのは、11年前の東日本大震災ですね。

たくま)なるほど。じゃあ、震災がなかったら、今のイカ王子の活動は生まれてなかった。

王子)そうそう。震災がなかったらイカ王子は存在してないし、俺はあんまりやる気なかったからまた夜の世界に戻ってたかもしれない、うん。

たくま)震災があって、なんでそれがやる気に繋がったのか、少し聞いてもいいですか。

王子)はい。

震災があった次の日、歩いていつもお世話になってる宮古の魚市場まで行ったんですよ。そこならいろんな社長さんとか、仲間たちがいるんじゃないかと思って。その道中で、自分のふるさとが大きく変わってしまった状況を見て、すごく悲しい思いになったんですよ。なんか今までにない感情を覚えて。で、数日するといろんな場所からボランティアの方が来て、泥かきをしてくれたんですね。

俺、震災の年にたまたま代表権をもらったんですよ。その代表になって一番最初の仕事が、1億3000万円の借金で。工場は無事だったんだけど、津波で原材料や製品が流されたんですね。

自分ができる泥かきってなんだろうって、ずっとずっと探してたんですね。やっぱ、どうにかしたくて、この街を。


そうやって探してたときに、宮古の町は海が中心にあるなと思って。海があるから共和水産っていう水産加工会社があるし、造船所があったりガソリンスタンドが多かったり、あと海産物を目当てにした観光業が盛んだったり。

あと、東北で南の魚が取れ始めるとか、サンマがちょっとずつ取れなくなってきているとかいうここ数年の変化をもとに、これからの水産業界は加工技術を上げて付加価値をつけなきゃねっていう議論があったんですよ、いろんな市町村で。一方で、自分が受け継いだ共和水産は、もう37、8年目ですけど創業当時から付加価値をつけた製品を販売してるんです。イカの刺身とか、イカそうめんとか。

そこで、あれ?俺、地域のど真ん中立ってんじゃんって。地域の基幹産業の水産業の中で、さらにものづくりしてるとこに立ってるんじゃんって気づいたときに、俺がいちばん声出さなくてどうすんだって思った。これが、自分が見つけた泥かきです。



たくま)これはさっき仰ってた借金の話になるかもしれないんですけど、今までで一番のピンチってどんなときでしたか?


王子)
そうだなあ。

5年くらい前に、共和水産が扱っているスルメイカが全然捕れなくなって、値段が3倍になったんですよ。原材料の値段が3倍になるって相当ヤバいじゃないですか。だって、イカの刺身が今まで390円で売ってたのがいきなり980円になったら買わないでしょ。

ただ工場は回して従業員の働く場所は作らなきゃいけないし、なにがベストか分からないけど、ずっと続けてきた会社を自分の代で切れない意地があって。それで同じように操業を続けてたら会社がつぶれそうになった、っていうのはある。

それが数字的などん底で、もうひとつ気持ちの面でのどん底があるんですよ。

震災後からもう11年間イカ王子をやらせてもらってるんだけど、やっぱりそこには紆余曲折あって。これは銀行員から言われたんだけど、「専務もうあんまりそういうことやらないで本業頑張ってくださいよ。」って。いや俺これ本業なのに!って思ったんだけど、やっぱでもそのアドバイスってめちゃめちゃむかつくけど正しくて。結局、結果を残さないと認められないのよ。

それで、すげえ悔しくて、まずイカのほうを立て直そうと思って。


今までイカそうめんはトレーに乗ってたんだけど、それをカップのイカそうめんにした。結局何をしたかっていうと、イカの内容量を減らしてサンキュッパで買ってもらえるようにした。それに、今は簡便性がお金になる時代だなあと思ってて、特に首都圏なんかは。だから捨てやすさを優先した商品にしたらいいんじゃないかって容器をカップにしたら、これがめちゃめちゃ売れて。で、それでちょっとずつ売り上げが伸びてきた。

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王子のアイデアと工夫の賜物、カップ入りのイカそうめん。


あと、宮古は震災後、6年連続水揚げ量日本一の真ダラがあったのよ。でも、そのことは水産関係者と行政だけが知ってて、ここに生きてる地域市民はそんなの知らない。それに、イカ王子っていう活動をしててすごく寂しかったのが、共和水産単体のブランドの商品って、宮古とか岩手県にはあえて売ってないことだった。だから、地元向けの商品もなにか欲しいなと思って、自分のイカ王子のブランドを作って、そこで生まれたのがこのタラフライ。で、これが売れたわけだ。

まあ売れるまでにめちゃくちゃ色々あったんだけど、これが人気になったときに、銀行員が「いや~専務、さすがですね!売れると思ってました!」って。内心うるせえよと思ったもん。(笑)

でも、こういうこと言われて、ファイティングスピリッツになれる人なの俺は。そういうのが大好きな人間だからこそ、(この状況も)走り抜けられたなあって。

「おいしさファースト」

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イカ王子がプロデュースした共和水産の商品、「王子のぜいたく至福のタラフライ」


たくま)先ほど、「あえて地元には売らなかった」っておっしゃってたのはなんでなんですか?

王子)それね、話すと長くなるんだけど。

スーパーとかで時期になったら売ってるイカの刺身とかイカそうめんは、冷チルって呼ばれる手法なのよ。冷凍で流通させて解凍して売るっていう。で、これを解凍したときに、3日4日、1週間もたせてくれよっていう(のが流通の)条件。じゃないと1日で売れなかったら廃棄ロスに繋がっちゃって、会社は買わないのよ。で、その日数を伸ばすために何をするかって言うと、やっぱりいろんな添加物入れるのよ。そうしたときにこのイカが美味しくない、まず。


共和水産はどこに売ってるかっていうと、生協の共同購入なのよ。他にもOisixとか、冷凍でお客さんの玄関先に届くようなところにコミットして販売してるのよ。ま、これも震災後自分が、これからは携帯やパソコンひとつで商品を頼む時代だなと思ってるのもあるし。なので大手スーパーにはもう売らない。そうすることで無添加のイカそうめんを提供できるわけ。

まずいものでシェアとったってしょうがないからね。美味しいままで提供できて、ある程度大人数に向けたところが、(スーパーじゃなく)生協の共同購入だったっていう。展示会だと、俺も王冠被ってるしあんなカップに海産物が入ってるって珍しいから人気なんですよ、やっぱ。「コンビニとかスーパーとかでも絶対売れるよ」って言われるんですけどね、売れないんじゃなくて売らないんだっていう話なんです。


たくま)なるほど。売り先を限定しているのは、美味しさのために添加物を入れないからっていう感じですかね。

王子)そう。刺身に関してはね。


添加物自体は悪者ではなくって、その素材を活かすために添加物が必要なときもあるからケースバイケースなんだけど。うちの代表作みたいなものはなるべく素材チックなものがいいなあと思ってるから、タラフライも無添加なんですよ。で、卵とか乳製品もあえて使ってないんですよ。使ったほうが美味しいなら使ったけど、使わなくても美味しかったから。常においしさファーストみたいに思ってるから。

  
たくま)食べ物が好きっていうところはずっと曲げず、突き進んでいらっしゃるんですね。

王子)そうそう。

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冷凍でお届けします。

飲食店で働いてたときの経験なんだけど、追加フードを取りたいじゃん、客単価を上げたいから。で、会社に言われた追加フードを取りに行ったって、お客さん頼まないのよ。じゃあこのお客さんはなにを求めてるか、飲んでるのが白ワインだからお魚がいいのか、赤ワインだからお肉がいいのかみたいなのは、自分の中で勉強しないと繋がらないじゃん。そこで勉強したのがこの業界で生きてるのはある。

あとは黒板メニューみたいな、グランドメニューとは別の週替わりのメニューのために、料理長と一緒に市場に行っていろいろな食材を見たりしたから、アイデアが好きなんですよ。水産加工業界に来たとき、俺のその経験はこの業界の会社に足りない商品開発能力に繋がってるなと思った。

だから、自分のやってきたことって結構リンクするんだなって思った。これが、丁稚(でっち)奉公で築地市場とかに行ってたら、俺こういう人になってないもん絶対。意外にね、別の産業に飛び込んでみるの、めちゃくちゃ収穫あるよ。


たくま)いろいろな出来事を伏線回収して、今の王子がいるんですね。



ちなみに、王子の座右の銘は「美味しいは正義」。美味しくないと買わないじゃん、とさらっと言う王子からは、自社製品への自信とその美味しさに辿り着くための堅実な努力が感じられました。


様々な出会いを経、その経験をフル活用して大学教育にまで活動の場を広げているイカ王子。

今後は「地域の食卓にかならず1品、共和水産の商品があるような会社にしたい」そうです。「今も頭の中にはたくさんのアイデアがあるんよ。」と誇らしげな笑顔。

イカ王子の新商品、わたしたちも心待ちにしています。



おわりに・イベント告知


改めて告知をさせていただきます。
4月26日18時から行われるオンラインイベント、「社長の頭の中を解剖してみた」では、イカ王子を含めた3人の社長さんの普段は言えない・なかなか聞けないお話を聞いちゃいます!


この記事を読んでイカ王子に興味が湧いたあなた、ぜひイベントでお会いしましょう!


申し込みフォームはこちら→「社長の脳内を解剖してみた」参加応募フォーム (google.com)

・学生チップスについて:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000032768.html

・共和水産株式会社、イカ王子のホームページ:https://www.ikaoji.jp/

・Instagram
ー共和水産:https://instagram.com/kyowa_suisan.60?utm_medium=copy_link

ーイカ王子:https://instagram.com/ika_prince1108?utm_medium=copy_link


書いたひと:江口綾(あやぽ)

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