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大学全入時代と都心回帰の話。

 以前から言われていたことだが、ついに現実として大学全入時代が始まった。今年の私立大学の総入学定員は49万5162人だが入学者49万4213人(日本私立学校振興・共済事業団調べ)で、入学者に対して初めて総定員が上回った状態になった。定員充足率は99.81%で昨年は102.61%だった。定員割れ277校46.4%に上った。

 原因はひとつは18歳人口が減少したこと。大学進学率が上昇する中であったとしても全体のパイが縮小すれば、やはり影響は出てくるということである。東京や大阪の都市部は100%を何とか維持したが、地方で定員割れが起きる結果、全体として上記のような結果になったということである。

 原因のふたつ目は、コロナ禍による影響である。留学生が入国できなくなったので、留学生に頼って定員充足させていた大学は厳しい状況に置かれたということである。留学生に関しては、コロナ禍がある程度収まって国際間の往来が出てこないと回復は厳しいだろう。

 原因の三つ目は、入試制度改革初年度だったことがあげられる。コロナ禍とも相まって、浪人生が激減した。つまり、前年に入学して浪人しなかったと言える。これは、昨年からセンター試験に代わり共通テストになること等入試制度が変わったのが影響している。経過措置が取られるとはいえ、過去の傾向を見ても浪人するのは不利との心理が働いたと思う。

 これらの要因で大学全入時代を迎えることになった訳だが、元々都心にあった大学が都心に回帰するという傾向もみられる。臨時定員増が行われていた時代は、都心のキャンパスは拡張することができず、手狭で限界があったため、キャンパスを学部ごとまたは学年ごとに分割して複数のキャンパスに分ける分散キャンパスを取る大学が増えた。新しいキャンパスを作る場合、都心には土地が無く無理なので、郊外に新キャンパスを作った。その時代は、大学に入れないのだから多少郊外であっても学生は来るが、大学全入時代になると、通学が便利な大学が好まれるようになった。このため、一旦郊外に出た分を、学生が減った都心のキャンパスを再編して都心回帰させたり、都心のターミナル駅の近くに新しく高層ビル型のキャンパスを建設したりして、都心回帰をする大学が多くみられる。

 今年もコロナ禍である状況は変わらないし、18歳人口は減り続けているので傾向としては同様である。学費・生活費・交通費等を総合的に比較して進路選びをする傾向というのは変わらないだろう。

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