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文部科学省の思惑と繰り上げ合格が急増しているって話。

 文部科学省が都市部での大学入学者を抑制しているのはご存じだろうか?都市部への集中を回避するためと言われているが、地方の大学の救済アシスト的な措置である。大学の定員超過は定員8000人以上が1.2倍、それ以下が1.3倍というのが2015年までの状態だった。これを段階的に引き下げて、最終的には2019年に1.0倍にするつもりであった。これだけでもお役所が決めたことだと思う。実際1.0倍を目指すと、ほんの少し辞退者が出ただけで定員割れになってしまう。

 実際は、2018年に定員8000人以上の大規模大学1.1倍、4~8000人の中規模大学1.2倍、4000人以下の小規模大学が1.3倍になっていて、一定の効果が得られたとしてそのままの状態で据え置きになっている。だったらめでたしめでたしなのかというとそうでもない。オーバーして取れないということは、必然的に合格者数を小刻みに出していくしかなく、そうなってくると一般選抜の後の3月に追加合格を出して調整するしかなくなるのである。

 今までも、歩留まりの読み違いにより、大規模に追加合格を出した大学は存在する。それが偏差値上位の大学だと玉突きになるので、追加合格の連鎖になることはあった。今回は文部科学省の施策であるので、一過性のものではないということが言える。実際21年の入試では早慶上智、MARCH、関関同立等多くの難関大学で繰り上げ合格が実施された。結果玉突きが下位の大学まで繰り広げられることになった。

 この繰り上げ合格が3月に出るというのがミソで、さらに混迷の度を深めることになる。3月ということは、それまでの入試結果で入学する大学を決めて入学金や授業料を振り込んでいたり、下宿する人は住むところを決めて敷金礼金を支払っていたりする。そんな状態の時に繰り上げ合格が発表されると、色々なものを巻き込んでややこしい事態を引き起こす。繰り上げ合格に翻弄された人も多いと思う。

 本来の目的であった都市部への集中については抑制されたが、では、抑制された受験生は結果的にどこに入学するケースが多かったのか。首都圏で言えば、その周りの関東圏の大学に進学する例が多かった。コロナ禍であっても首都圏の大学は定員充足率100%以上を維持している。地方の大学の募集の厳しさは、今も変わっていない上に、人口の偏りを考えると今後ますます厳しくなっていくだろう。都市部の大学の繰り上げ合格の回数や人数を制限しなければ、今年も繰り上げ合格に翻弄される受験生はかなりいることだろう。

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