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学芸員実習の受け入れは楽じゃない

学芸員になるためには、学芸員資格を取得する必要があります。

学芸員資格は、大学で必要な科目の単位をすべて取れば、自動的に資格を取得したことになります。

その履修科目の中に「博物館実習」があります。

博物館実習は、博物館見学などを含む学内実習と、学外の博物館で実習をする館園実習の両方があります。

博物館や美術館が学生を受け入れる学芸員実習というのが、この館園実習にあたります。

学芸員実習は、5日間以上(延べ30時間から45時間程度以上)の期間行う必要があり、受け入れをする館はカリキュラムを用意しておかなくてはいけません。

文部科学省が公開している『博物館実習ガイドライン』には、以下のようなカリキュラムが実施計画例として提示されています。

学芸員実習

10日間もあるし、これはかなり理想的なものですが、見ておわかりの通り、学生を受け入れるとなると、美術館側は相当な準備が必要となります。

文科省は「博物館は、学芸員をはじめとする博物館に関する人材を育成する役割を有し ていることを自覚し、次世代の学芸員を育てるという気概を持って、館務に支 障のない範囲内で組織的に博物館実習を受け入れる体制を整備すること」と言いますが、いや学芸員やスタッフがそろっている館ならいいんですが、うちのような小さな美術館だと正直負担が大きい…。

時々、近隣の大学の教務課から「学芸員実習の受け入れやってくれませんか?」という打診があるのですが、「いやー、なかなか余裕がなくて」と二の足を踏んでいました。

でも、いつまでもそれじゃだめだな、と思うわけです。私自身の心境の変化も地味に影響している気もします。齢を重ねると、なんちゅーか後進を育てたい欲がムクムクと。今までそんなこと興味なかったのにね(勝手なやつ)。

小さな美術館ゆえに、結構学芸員ひとりひとりの想いが、運営方針に直結するところがあるので、もしかするとそろそろ始めるかもしれません、学芸員実習。

一回やってみて、「大変すぎ…もう無理…」と泣きを入れるかもしれませんが。

ちょっとした所信表明でした。


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