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学芸員実習は5日間の短期決戦

以前にも書いたことがありますが、学芸員になるためには、学芸員資格を取得しなくてはいけません。

学芸員資格は、大学で必要な科目の単位をすべて取れば、自動的に資格を取得したことになりますが、その授業のひとつとして学芸員実習というものがあります。

実際の美術館や博物館で、5日間〜10日間程度実習をするというものです。実習期間を5日間としているところが多いようです。

私が勤務する美術館も、この実習受け入れを行うことになり、現在そのカリキュラムを検討中です。うーん、何を教えたらいいんだろう。

実をいうと、私自身は付属博物館のある大学に通っていたので(まぁ、そういう大学かなり多いですが)学芸員実習もそこでやったことになりました。いま振り返れば、普段の授業の延長みたいな感覚で終わってしまったので、よその美術館、博物館に飛び込んで一週間程度通って実習を受ける、という体験をしていないわけです。だから今ひとつわかっていない…。

で、周りの学芸員に聞いてみたり、他の美術館の事例を調べてみたり。うーん、どこも工夫してますね。

シンプルに考えれば、学芸員の基本業務を実体験してもらえばいいのかな、と思います。学芸員の基本業務が何かというと

学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。

博物館法第四条

これですね。

まぁ、収集と調査研究は置いといて、保管、展示の2つは現場で体験してもらった方がいいかな。

とは言え、5日間程度で何かを得てもらうってのは、正直むずかしいです。教員免許を取得するための教育実習は、だいたい一ヶ月はやりますよね。それと比べても、学芸員実習は短いです。職場の雰囲気を体験してもらったら、もう終わりみたいなことになりそうです。

せっかく来てくれるわけですから、私としては「ふーん、学芸員って面白い仕事じゃん」と少しでも思ってもらえるようにしたいところ。

学芸員の仕事で一番ワクワクするところは、やっぱり展覧会を企画して作り上げるところだと思います。もちろん保存担当の学芸員で、作品の保存環境の安定に生きがいを感じているような人もいますし、人それぞれでしょうが。

展覧会の企画体験か…。うーん、5日間で何ができるだろう。

現実的な実現可能性は無視して、ドリームプラン、夢物語でもいいから、うちの展示室を使って、自分だったらどんな展示をするか考えて発表してもらうかな。
それだと自由度が高すぎて逆に困るとしたら、当館の収蔵品を一点でも使った企画にすること、とか?
あとは、国宝でも海外の名品でも何でも加えてOKみたいなことにしてみるか。

学芸員が展覧会の構想を練る時も、最初はドリームプランを脳内で妄想します。で、その段階が一番楽しいといえば楽しい(そこから徐々に現実的に可能なプランに落とし込んでいく)ので、そんな楽しさのエッセンスを感じ取ってもらえるように工夫したいと思います。