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vol.3 10/29開催【idea 実践中! 学大高架下BOOK MARKET】レポート

一足先に冬が訪れたかのような、肌寒い日が続いていた10月下旬。
久々に「秋晴れ」と形容するに相応しい、暖かな天気に恵まれた土曜日に、学大高架下と碑文谷公園を舞台に【学大高架下BOOK MARKET】が開催されました!

今回はイベントの様子を、「みんなでつくる学大高架下」公式note、記録係のオウダがレポートしますね!

主な催しは大まかに3つ。

・本のフリマ「一箱 BOOK MARKET」
・紙芝居劇場&オリジナルアート絵本づくり
・トークイベント「学大未来作戦会議#8 まちに本屋は必要ですか?」

盛りだくさんの内容に、子どもから大人まで多くの人がわいわいと楽しめる素敵な1日になりました。

目指したのは、本を通じた交流の場を作ること

天気にも恵まれ、本好きの老若男女で会場は大賑わい

今回のBOOK MARKETは「みんなでつくる学大高架下プロジェクト※」の実践編。将来的な学芸大学駅高架下のリニューアル検討にあたり、住民や事業者の声を拾い上げながら様々な取り組みを行なっているチームによる企画です。

同プロジェクトメンバーの一人、東急株式会社で目黒区エリアの開発を担当する長屋翔悟さんによると「本を通じた交流の場を作ること」が大きな目的の一つだといいます。

「学芸大学はユニークでクリエイティブな仕事をしている人が多く集まる場所なので、文化を軸にした開発も大切にしていきたいと当初から考えていました。本には色々な人の価値観が表れるから、それがきっかけで会話が弾んだり、人々の交流が深まるんじゃないかと思ったんです」(長屋さん)

確かに本って個人の経験や関心事が反映されるし、マーケットで目に見える形で誰かの「好き」が分かったら、初対面でも会話のきっかけが生まれやすい。マーケットの開催だけではなく、その先に生まれる交流を目指しているからこそ、イベントのあちこちに場づくりの工夫がなされていました。

※プロジェクトが気になった方はこちらの記事もチェックしてください! vol.0 「みんなでつくる学大高架下」って、なんですか?

本のフリマ「一箱 BOOK MARKET」

メイン会場は碑文谷公園に隣接した高架下の空きスペース

メインコンテンツはなんと言っても「一箱 BOOK MARKET」!高架下の一角を会場に学芸大学の書店から一般の方まで全8組が出店しました。碑文谷公園の影響か、家族連れやお年寄りなど、ふらっと立ち寄っていく人も多数。出店者ごとに全く違った商品のラインナップに、お客さんも目を輝かせて出店者との会話や宝探しに勤しんでいました。

会場には自分の本とブース内の本が無料で交換できる本の交換所も登場! 交換所の本には元の所有者による自己紹介と推薦文を記入したメモがついていて、中には学大のお店のスタッフが置いた本も。「あれ、あそこの店員さんこんな本読むんだ!」と、思わぬ出会いに繋がりそうな仕掛けにワクワクします。

本の交換所
学大の店主さんやクリエイターさんおすすめの本も

碑文谷公園内には、買ったor交換した本をじっくり読めるスペースも設置。青空の下で読書を楽しむ人の姿も見られました。とっても気持ちよさそう!

碑文谷公園も活用

どんな人が出店したの?

主催からの声がけをはじめ、街中に貼ってあったポスターやインスタグラム経由からの出店申し込みもあったそう。

「流浪堂」さんのブース
学大周辺に住む本好きがズラリと出店
出店者ごとにカラーが異なる、本のラインナップ

古本遊戯 流浪堂
学大で20年以上愛されてきた古書店「流浪堂」は絵本や雑誌を中心に出店し、開場直後から終日多くの人で賑わいました。テーブルや木箱を駆使して、子どもの目線の高さに絵本、大人の目線の高さにはカルチャー雑誌などを陳列。長年実店舗でも培ってきたノウハウで、自然に手に取りやすい工夫がなされていました。

BOOK AND SONS
タイポグラフィやグラフィックデザインの本を扱う書店「BOOK AND SONS」はめくっているだけで視覚的に楽しくなるような書籍を中心にラインナップ。店舗では家族連れなどは少ないそうで、「普段とは違った客層が楽しみですね」とスタッフの冨樫さん。

「 路地裏文化会館C/NE」館長 上田さん
午後から碑文谷公園行われたトークイベント「学大未来作戦会議#8 街に本屋は必要ですか?」でMCを担当しつつ、BOOK MARKETにも出店をしていた映画と食のカルチャースペース「C/NE 路地裏文化会館」館長の上田さん。カルチャーにまつわる小説や人文系の本などを多く並べ、大忙しの1日の中でもお客さんとの会話を楽しんでいました。

大手書店運営会社の先輩と後輩で出店した「本・つまずきの石」
普段から書店で働く2人。大手書店ゆえに普段は直接お客さんとやり取りすることが少ないということで、コミュニケーションを取れる状況が新鮮だったそう。屋号の「本・つまづきの石」は、フランスのシュヴァル宮殿から着想。郵便配達員シュヴァルがたった1人で33年、たった1人コツコツと石を積み上げて作り上げた宮殿です。宮殿を作り始めたきっかけが「石につまずいた」こと。何処かの誰かの、何かしらのきっかけになるような本を選びました、とのこと。ついつい、じっくり本棚を覗き込んでしまいました。

てづくり作家nimuさん
学大に時々来ていて、たまたま見かけたポスターがきっかけで出店されたという、てづくり作家のnimuさん。普段からアクセサリーや小物を作って活動していて、手芸や洋服作りの本を出品されていました。「本を売るなら大手古本屋でもいいけど、思い入れのある本は目に見える誰かの手に渡ってほしい」とnimuさん。顔を見ながら手渡しができるのは、BOOK MARKETの醍醐味ですね。

あえて自分にとって大切な本を出品。吉田美紀さん
以前にフリマへ出店した際、お客さんとお話しするのが楽しくて今回の出店を決めたそう。小説を中心に、自身が生きていく中で助けられたという本を出店していました。「この本たちが、巡り巡って誰かが自分らしく生きるための助けになれば」と吉田さん。

大学の先輩と後輩で小説などを出店したC.Kさん&H.Oさん
今回最年少で出店していた二人組が、大学のサークルの先輩・後輩だというC.KさんとH.Oさんの二人。ポスターを見かけて、小説や漫画など、本好き同士誘い合わせて出店したそう。ブース作りのための布の用意や、どんなものを出品するか、授業の前後で話し合って準備を進めたとのこと。ほっこり癒されました。

一家で出店した介川さんご家族
絵本から趣味の本まで、最も他ジャンルに渡るラインナップで出品していたのはご家族で出店していた介川さんご家族。子どもの絵本、お父さんの趣味の本など、家族それぞれが持っていた本を少しずつ持ち寄ったそう。「利益とかではなくて、出店して読んだものを誰かにおすすめする、ということ自体が目標です」と介川さん。今回出店していた皆さんに通じるような心構えですね。

会場には1日中、人が途切れることなくやってきて、実際に本を購入される方も多く、ほとんど売り切ってしまった出店者もいました。とにかく、皆このBOOK MARKETでの出会いを楽しみにされていたのが印象的で、会場には終始ピースフルな一体感が生まれていました。

紙芝居公演&オリジナルアート絵本づくり

迫力満点の紙芝居劇場

晴れた土曜日とあって、多くの子どもで賑わう碑文谷公園内では、渋谷区神宮前の保育施設「MIRAI LABO KIDS」を運営している株式会社ミライLABOによる青空の下での紙芝居劇場と絵本作りのワークショップが展開。

紙芝居劇場

公演の片隅で紙芝居が始まると、周りで遊んでいた子達も「何かやってる!」と親の手を引き、ブルーシートはあっという間にいっぱいに。大人も一緒に楽しむ、ということはミライLABOが大切にしている方針の一つだそうで、紙芝居のセレクトも掛け合いが多い、大人も懐かしめるような定番のもので選んだそう。実際に、近くで見守っていた保護者の皆さんからも笑いが起きていて、その場の皆が紙芝居を楽しんでいました。

オリジナルアート絵本づくり

折った白紙の紙に、絵の具や紐、周辺に落ちている落ち葉で自由に絵本のページを作り上げる絵本作りワークショップでは、どの子もとても真剣に自分のページ作りに取り組んでいたのが印象的。先生も、自由な道具の使い方を決して否定せず、巧みな話術でどんどん子どもたちが作り上げるページの物語を広げていきます。

夢中になって絵本づくりに励む子ども達

「私たちにとってはゴミになってしまうものも、子どもたちにとっては宝石。危険なこと以外には絶対『だめ』とは言わず、得意なことを広げることを意識しています」と語る先生。

元気一杯の子どもに少しお疲れ気味だったお母さんも、先生とお話しするうちにホッとしたような笑顔に。伸びやかで自由で、気持ちの良い空間が広がっていました。

トークイベント「学大未来作戦会議#8 まちに本屋は必要ですか?」

碑文谷公園の一角にベンチを並べトークイベント会場に

同じく碑文谷公園内で14時から行われたのは「学大未来作戦会議」。学大の未来について、定期的にトークテーマを掲げ、ゲストや住民の方と熱いディスカッションが広げられるこの会議。これまでは「C/NE 路地裏文化会館」を会場としてきましたが、今回は会館を飛び出して屋外へ。開放感に溢れた環境で開催されました。

テーマはずばり「まちに本屋は必要ですか?」。トーク進行は、「C/NE 路地裏文化会館」館長の上田太一さん。ゲストは学芸大学駅前で90年以上営業を続ける書店・恭文堂書店 代表の田中淳一郎さんと、駒沢のユニーク古書店・snow shoveling店主の中村秀一さん

左から、東急 長屋さん、司会のC/NE 上田さん、恭文堂 田中さん、snow shoveling 中村さん

書店がどんどん減少していく中、「まちに本屋は必要ですか?」という根本的な問いかけに、書店を営むゲストのおふたりはどのように答えたのか。リアル書店の魅力とは。これからの本屋はどうなっていくのか。白熱したトーク内容は、後日詳しくレポートするので、気になる方はぜひアカウントをフォローしてお待ちください!

本を通じて、人と人が和気あいあいと

会場のあちらこちらでたくさんの挨拶が行き交う
本をきっかけに会話がスタート
普段は静かな街角に活気が

一日イベントを見守って、知らない人同士でも和気あいあいとした空気感を共有していたのが非常に魅力的で、あらゆるテーマや人と接続できる「本」という存在のポテンシャルを改めて思い知りました。一箱BOOK MARKETの出店者同士も、絵本作りワークショップに参加した子ども同士も、未来作戦会議のゲストや観覧に来ていた方々も、初対面の方も多くいらっしゃいました。にも関わらず、陽気にも後押しされたのか、本を媒介に、どの会場もいつの間にかみんなが溶け込む空気感に。しっかり、本を通じたゆるやかなつながりの場が出来上がっていました。

そして、今回のイベントでは住民の方が運営スタッフとして手伝っている姿もとても印象的でした。出店者やお客として参加するだけでなく、運営側としても参加できるのが、この学大高架下プロジェクトの特徴なので、運営側に興味がある方は、ぜひ次回の企画に手をあげてみてくださいね。

トーク会場の受付係を担当した住民の中村さん。
前回の未来作戦会議に参加したことがきっかけで、今回のイベントの運営スタッフに。

今後も、まちの人たちが気軽に参加できてゆるくつながれるようなイベントが増えていきますように!

最後まで読んでくださりありがとうございます。

気になった方はぜひ、「みんなでつくる学大高架下」プロジェクトをチェックしてみてくださいね!

みんなでつくる学大高架下 公式Instagram

文 : 網田すずめ
写真 : 土屋光司






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