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vol.0 「みんなでつくる学大高架下」って、なんですか?

こんにちは。
「みんなでつくる学大高架下」公式note、記録係のイノウエです。

このnoteを読んでくださっているということは、どこかでこのプロジェクトの存在を知って「なにをやってるんだろう?」と気になってくださったんだと思います。そしておそらく、学芸大学のまちが大好きなのではないかと。ありがとうございます。

というわけで今回は、「みんなでつくる学大高架下」のことがまるっとわかる記事をお届けします。プロジェクトの経緯、運営メンバー、今後の計画などなど。運営メンバー5名のコメントを交えつつお話したいと思います。

熱量が高いプロジェクトゆえ文字数もちょっと多くなってしまいましたが、どうぞ最後までお付き合いください!

1.「みんなでつくる学大高架下」とは?

ずばり本題からいきたいと思います。

「みんなでつくる学大高架下」とは、
その名の通り、将来を見据えた学芸大学の高架下のリニューアル検討プロジェクトのことです。

きっかけは建物の老朽化で、耐震補強工事のタイミングが迫ってきたこと。さらに2026年には目黒郵便局〜五本木の間に新しい道路が開通することもあり、将来を見据えて高架下をもっとまちのために有効活用できないか?と、2021年にプロジェクトがスタートしました。

プロジェクトを進行するうちに、運営チームはあることに気づきました。
「学大に暮らす人々は本当にまちを愛している!」。
そしてまちづくりに対するアイデアも、それをカタチにできるクリエイティブな人材も、このまちにはあふれていると……

だから今回は、ちょっと変わった方法でリニューアル計画を検討することにしました。名付けて「みんなでつくる学大高架下」。文字通り学大に暮らす住民の皆さんを巻き込んで、“みんなで”このプロジェクトを進めよう。
そういうことになったんです。

毎月開催しているオープン町内会「学大未来作戦会議」

ゴールはまちの人がやりたいこと、欲しいもの、楽しめるものが詰まった高架下を完成させて、暮らしている人がこれからも「大好きだ!」と言える学大をつくること。これを読んでくださっているあなたもすでに、チームの一員です。

ここからは運営チームメンバーのコメントと一緒にプロジェクトの紹介をしていきますね。

2.運営チーム自己紹介します。

「みんなでつくる学大高架下」を遂行するために、5人のプロフェッショナルが集結しました。まずは一人ずつメンバーを紹介します。

運営チームで座談会

①植松達哉/プロジェクトリーダー
プロジェクトの総指揮官は東急株式会社の植松さんです。

東急株式会社の植松さん

入社7年目。中目黒の高架下開発なども担当した中堅よりの若手です。植松さんは学芸大学のまちと向き合った時、こんな想いを抱いたそうです。

植松さん:中目黒高架下のリニューアルはまちに新たな魅力と、人の流れを生むことができました。一方で、一部の方から「知らない商業施設がたくさんでき て、知らないまちになってしまった」という地元の方の声がどこか心にひっかかり、今後リニューアルするなら、どうやったら使ってもらう地元の 方に一番喜ばれる施設になるか考えつづけていました。学大高架下は、使ってもらう地元の人に一番喜ばれる施設にしたいと思いました。

「まちに求められているものをつくる」。そのために植松さんは厳選メンバーを招集しました。

②一色ヒロタカ/建築

ondesignという設計事務所に所属しながら、「身の回りの小さな社会を動かすこと」をスローガンに個人事務所irodoriを主宰する建築家の一色さん。まちなかで結婚式を開催する「OPEN WEDDING」を企画するなど、地域を巻き込んだ建築計画やまちづくりが得意です。

左から、ondesignの一色さんと千代田さん

一色さん:僕の仕事は建物を建てるだけじゃなく、まちの在り方を地域の人たちと一緒に考えることから始まります。今回の学大高架下プロジェクトの建築もさまざまな考察を経て、学大在住の建築家たちと共同で検討してくことにしました。

③千代田彩華/建築、まちづくり

一色さんと同じondesignという設計事務所に所属。千代田さんは、図面を引いたり模型を作るという従来の建築の領域をこえて、積極的に街に出て建物を建てる前の場所や建てたあとの活用法、街の人を巻き込んだワークショップのデザインを得意としています。横浜日吉にて、大規模再開発の前の仮囲いの遊休地を活用したプロジェクト「吉日楽校」などを運営。

千代田さん:学大にはクリエイターさんがたくさん住んでいるし、そこで暮らす人たちが自分事としてプロジェクトに関わるのが一番いいと思っています。私たちondesignは、日頃から共同設計の習慣が根付いているし、街の人との協業をしてきた経験も豊富なので、自分たちがサポートしながら、うまく学大のみなさんのポテンシャルを引き出せたらと。

④殿塚建吾/不動産、まちづくり

殿塚さんは不動産活用のプロ。“おこめをつくる不動産屋”omusubi不動産の代表です。松戸を拠点にDIY可能な空き家を活用してコミュニティを発展させたり、下北沢「BONUS TRACK」で施設管理やコワーキングスペースを運営。もちろん本当に米作りもしています。

omusubi不動産の殿塚さん

殿塚さん:おもしろい人達が活動しやすい不動産の環境を整えるのが僕たちの仕事。米作りは地域の方と続けている大事な活動で、コミュニティの原点だと思っています。田んぼも同じですが、つくるプロセスから参加することで出来上がったものに愛着が湧く。いま検討中の学大高架下リニューアルも住民の皆さんに参加してもらうことで、長く愛されるものが完成するのではないかと思っています。

⑤上田太一/企画、情報発信、地域とのつなぎ役

最後は鷹番2丁目にある路地裏文化会館「C/NE(シーネ)」の館長・上田さん。C/NEの1Fでは映画や食などさまざまなカルチャーを発信するイベントを開催、2Fはコワーキングスペースになっていて、カルチャーを愛する学大住民がいつも集まっています。編集の視点を軸に、場づくりからメディア企画まで様々な領域を横断しながら活動しています。

路地裏文化会館C/NEの上田さん

上田さん:C/NEは私設の公民館。まちの人がここに集うことで新しい可能性や人間関係ができて、学大をもっと好きになってもらえるようになったらいいなと思っています。学大高架下プロジェクトも進むにつれ、参加者同士のつながりが広がっているのを実感。僕は運営チームと住民の接点として、一人でも多くの人を巻き込んでいきたいです。

3.実際にはこんなことをやっています。

次はプロジェクトのこれまでの軌跡をたどりつつ、現在のお話をします。

「みんなでつくる学大高架下」のはじまりは、2021年の夏に行った「idea CARAVAN」でした。「今回のリニューアル検討は地域住民の皆さんと一緒にやりたい!」という植松さんの熱い想いを受けて、建築担当の一色さんと千代田さんがひらめいた企画です。

idea CARAVANの様子
高架下の空きスペースにベンチを配置

一色さん:通常はまちの声をヒアリングするためにアンケートやワークショップをやりますが、学大の場合はもっとオープンに声を集めたいと思ったんです。それならまちを歩き回って出会った人とお話をするという、キャラバンをやってみてはどうかなと。

黄色いカーゴバイクに絵本やウクレレを積み込んで、みんなでまちを練り歩く。「何しているの?」と話しかけられたり、こちらから声をかけたり、子どもには絵本で遊んでもらったり。こうして地道に集めた232個のアイデアには、揺るぎない学大愛と、まちづくりへの大きなポテンシャルが詰まっていました。

千代田さん:いままでいろんな街でワークショップをやってきたけれど、学大の熱量はほんとうに凄いです。みなさん、やりたいことが湧いて出てくる。笑。

殿塚さん:皆さん声をそろえて「学大が大好き」という一言から始まるのが驚きで。

上田さん:大好きなまちだからこそ、ただ暮らしているだけじゃなく「まちにもっと関わりたい・つながりたい」という想いが多くあることも発見でしたよね。

千代田さん:さらに学大には建築、フォトグラファー、デザイナー、イラストレーター、編集者といったクリエイターが多く暮らしていることもわかってきて。一色さんとも話しながら、これはもしかすると、もっと実践的なところまで住民を巻き込んだほうがおもしろくなると感じたんです。

千代田さん、一色さんの直感に、リーダー植松さんも同意。こうしてキャラバンをきっかけに「みんなでつくる学大高架下」は想定以上の広がりをみせることになりました。

その後、住民の声をもっと濃く抽出するためのオープン町内会的な会「学大未来作戦会議」がスタート。C/NEを会場に毎回テーマに合わせたゲストを呼んで、20名ほどの参加者と一緒にトーク&ディスカッションするイベントです。これまでのテーマは「大人の遊び場を考えよう」や「子どもとともに暮らすまち」など。作戦会議の実践編として、高架下での映画上映会やワークショップ、子どもたちを主役にしたアートマルシェを開催しました。

碑文谷公園側の高架下で「ゴーストバスターズ」の上映会
アートマルシェには地元の子どもたちが大集結

せっかくたくさんのクリエイターが住んでいるのだから、100%学大産のモノづくりをしよう!という仕組みが「クリエイティブプラットフォーム」。まちの情報が詰まったフリーペーパー『学大コモン』は上田さんが編集を担い、ライター、フォトグラファー、イラストレーターも学大在住または学大に思い入れのあるメンバーで制作を担当しました。

さらにリニューアルを検討していくにあたっての高架下の建物デザインも、6組の学大在住建築系クリエイターとondesignで構成されたチーム(クリエイティブプラットフォーム)で担当することに!

みんなでつくる町内報「学大コモン」
毎週、議論を続ける学大クリエイティブプラットフォーム

一色さん:この規模のプロジェクトで、実務まで住民の皆さんとやるというのは前代未聞レベルかもしれません。決断をしてくださった東急さんに感謝です。

植松さん:学大だからこそできるんじゃないかと私もすごく感じています。我々5人はアウトプットのクオリティを担保するための黒子のようなもので、「みんなでつくる学大高架下」の主役は住民の皆さんです。

上田さん:クリエイティブプラットフォームをやっていて思うのは、モノづくりの過程で人間関係ができていくこと。同じクリエイター同士で学大に住んでいても顔を合わせたことはなかった人たちが、プロジェクトを通して知り合いになっていく。関係性の網の目がまちに広がって、それがもうある意味まちづくりになっている気がします。

殿塚さん:最終的に高架下の建物ができなくても、住民と住民のつながりという無形資産が完成するということですね。

一色さん:できなかったら困るなあ。

一同:はははははは

こうしていまだかつてないほど大規模な住民巻き込み系まちづくりが進行中。イベントやクリエイティブプラットフォームを通じて、プロジェクトに関わる住民の皆さんの輪がどんどん広がっています。

4.メンバーが感じた学大の魅力

プロジェクトが動き出して1年。運営メンバーは学大をどんなまちだと感じているのでしょう。

一色さん:僕は横浜を拠点にしているんですが、もともと小さな港町の村社会なので、すごく挨拶が飛び交うんです。道で先輩から肩を叩かれるくらいの。僕はそれが心地よいと思っていて、学大にも似た雰囲気を感じました。

殿塚さん:学大ってすでに「目指すまち」になっていると思います。コンパクトなエリアに適度な距離感で個性的な商店が並んでいて、碑文谷公園のような自然もあり、過剰な観光地でもなく暮らしやすい。いわゆる”ウォーカブルなまち”ってここじゃないかと。今回の課題はまちを変えることじゃなくて、今の良さを続けていくことだなと感じています。

上田さん:たしかによくある地域活性的な課題はないかも。何かを買うとか食べるとかの消費空間としてのまちの側面だけではなくて、次に求められているのは何かをクリエイトする・関わる・積極的に応援できる、など、まちを自分ごととして捉えられる機会だと思います。「みんなでつくる学大高架下」はそうした機会を満たすものにしたいですね。

5.あなたもジョインしませんか?

なかなかのボリュームの記事になってしまいました。ここまで読んでくださってありがとうございます。

大事なことなので繰り返しますが、「みんなでつくる学大高架下」は学大住民の皆さんの力で動かすプロジェクトです。みなさんのアイデアや希望、クリエーションがまちに活かされることになります。だからあなたもぜひ参加してください。方法はいろいろあって、たとえば「学大未来作戦会議」などのイベントに参加してみるのもいいし、公式インスタグラムをフォローしたり、ご近所さんにこのnoteの存在をシェアするだけでも十分です。

そしてもう一つ。今後、2022年秋か、2023年春頃に、「みんなでつくる学大高架下」主催のお祭りの開催を検討しています。手作りのお祭りなので、住民の皆さんの協力がたくさん必要です。

・お祭りに遊びにくる
・ビラまきや設営の手伝いをする
・実行委員に入る
・お店を出店する
・ライブパフォーマンスをする

などなど、どれでもウェルカム。詳細は追ってこのnoteやインスタグラムで発表しますので、お好きなスタイルではりきって参加してもらえたらと思います。

では最後にリーダー植松さんから一言いただきます。

植松さん:「みんなでつくる学大高架下」の主役は住民の皆さんです。我々はあくまでも黒子。正直まだまだプロジェクトの認知度が低いので、まずはもっと多くの方々に知っていただき、そして参加してもらえたらと思っています。みんなで学大高架下をつくりましょう。

文:井上麻子


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