実際にゲームを作ってみよう#1
がくちょうです。
今日は実際にゲームを制作してみましょう。
制作は、以前に作った下記の企画に沿って進めます。
ここからは、制作工程として「よくないケース」というのを説明しながら、【爆速ゲーム開発】として推奨する方法を紹介し、その方法に沿って制作も実施していく形で進めます。
NG制作パターン①:ユースケース無しで制作に入ろうとする
早速ですが1つ目のよくないケーススタディが
【ユースケースが無い状態で制作工程に入ろうとする】
というものです。
これは企画書の部分の問題でもありますが、企画というのを「アイデア」とか「ひらめき」のレベルで終わらせたつもりになってしまう人によくある失敗です。
例えば、「終末世界で生き残った主人公が、荒廃した世界で1つだけ残った遺物である乗り物を操縦し、生き残った異形の生物たちと戦うゲームを作りたいな」みたいな感じが、「あるある」なケースです。
こんな状態で「企画した」と勘違いしてしまい、すぐに制作工程に着手してしまうと、具体的な設計や、そもそも何がゲーム体験の中心なのか、などがぼやけているため、
「とりあえずカッコイイ遺物を作ろう」
「とりあえず爽快感のある操縦モーションやエフェクトを作ろう」
みたいな感じで、思い付きで目に見えやすい部分から着手し、そこにひたすらこだわっているうちに数か月も経過して、一向にリリースが見えてこないという失敗に陥ります。
企画で、必ずユースケースまで詰めてから、制作に着手することで上記の失敗は回避可能です。
推奨方法:具体的にユースケースを詰めた後に制作工程に進む
今の段階で、サンプル企画の大雑把なユースケースは下記に整理しています。
上記のユースケースを再現するイメージで制作工程に移ることで、具体的かつ素早く、優先度が高いことから着手できますね。
NG制作パターン②:非効率な順序で制作着手していく
2つ目のよくないケーススタディが
【非効率な順序で制作着手していく】
というものです。
制作の着手する順番を、なんとなくや、自分が作りたい部分から作っていくような人によくある失敗です。
先ほどの「とりあえず爽快感のある操縦モーションやエフェクトを作ろう」みたいな着手の仕方は、まさに該当していると言えます。
このような感覚で着手すると、作っているうちに
「もっとこうしたら爽快感がアップするかな・・・」
「世界観に合わせてエフェクトも・・・」
「遺物も何種類か乗り物が欲しいか・・・」
「そしたら、モーションもパターンを変えて・・・」
のような感じで、思い付きが連鎖して無限に工数が拡大します。
そのうち、なぜ、何のために、何を作っているのか?自体もぼんやりしてしまい、結果として「何日も何週間もただの技術勉強をしていただけ」で、全然リリースに向けた作業になっていなかった、となりがちです。
推奨方法:制作過程を3要素に分類し、SFIの順番で制作に着手する
私が推奨するのは、そもそもゲームの制作要素を
ストラクチャー(構造)
ファンクション(機能)
インプレッション(印象)
の3つに分類し、
まず最低限のストラクチャーを作る
次に最も工数が少ない方法でファンクションを実装する
最低限のインプレッションを確保する
という手順で制作する方法です。(手順は制作するゲームのジャンルによって変わると思うので、基本線という感じです)
Structure Function Impression
なのでSFIフローと呼んでいます。
Structure(構造物)は、実際に素材や物体を作ったり、設置したり、どこかから持ってきたりなど、予定しているユーザー体験に必要な構造物を構築する領域です。本企画なら、迷路のルートを作ったり、アスレチックの構造物を作ったりする部分です。
Function(機能)は、ゲームを動かす機能的部分を指します。これは、例えばガチャを作ったり、コインを収集させたり、ステージ間をつなぐワープや移動手段を作ったりなど、そもそも予定しているユーザー体験が機能的に実現できるか?について考えたり、実装したりする領域です。
Impression(印象)は、手触りやユーザーがどう感じるか?の部分を指します。例えば、ステージをもっと暗くするとか、スポットライトを一部分だけ照らして恐怖を演出するとか、壁をオリジナルの質感に変えるとか、SEを派手にするとか、必須ではないけどゲームの体験を強化するために必要な領域です。
こうやって制作する要素を分類し、「どの制作フェーズか」を常に意識しておくことで、脱線や横道に逸れるのを防ぎ、着実にリリースに向けた意味のある工数を積み上げることができます。
では、ここからは実際にサンプル企画の制作に着手していきます。
今回、制作が必要な主要ストラクチャは
ロビー
ステージ1
ステージ2
PVPステージ
の4つになります。
上記について「拡張可能で、超最低限レベル」になるように制作していきましょう。
NG制作パターン③:制作し始めた瞬間に、3つの要素が混ざる
で、ここでも3つ目の「良くないケーススタディ」があります。
それが【制作し始めた瞬間に、3つの要素が混ざる】というものです。
例えば、サンプル企画に従って進めると、最初はロビーのストラクチャーを制作することになります。
ロビーに必要なファンクションは、予定では
くらいです。
なので、ここでは
素材:グレイボックス
床面積:4×4
高さ:3
くらいの適当なボックス型の部屋を作れば良いはずです。
ですが、よくあるのがこの時点で無意識に
どんな質感の壁にしよう・・・
どんな雰囲気の建物にしよう・・・
ライトとかどうしよう・・・
どこでどんな機能が使えるように設計するか・・・
などを考えてしまい、考えるだけなら良いのですが気づけばそれらを実装しようとしてしまう、という失敗です。
実際には、純粋に「ストラクチャ」だけを考えるなら、グレイボックスで超シンプルな形だけ作ればOKなはずです。
壁の質感や雰囲気などは、「インプレッション(印象)」に関係する部分なので、別の制作フェーズで考えたり実装する方が効率が良いし、ストラクチャさえ完成していれば、一括で変更なども可能です。
なので、UEFNで創るのであれば、基本的にストラクチャの制作フェーズでは「グレイボックスだけ」で創るのが理想だと思います。
ということで、サンプル企画のロビーをとりあえず作りました。
これなら1分で終わります。
次に、ステージ1です。簡単に言えばステージ1のストラクチャは、巨大迷路みたいなものなので、同じくグレイボックスだけで超シンプルにストラクチャを制作します。
コインの設置や、オブジェクトを徘徊させたりするのは、ファンクションに該当するので、この段階では作りません。
とにかくストラクチャだけ意識します。
ステージ2は、迷路ではなくアスレチック系にしようと思っていました。
悩みますが、正直別になんでも良いので、坂道を登っていきながらコインを集めていき、途中でジャンプなどで障害物や穴を超えたりしつつ、適度に車や岩などのオブジェクトが降ってくるようなイメージに決定しました。
上記を実現するためのストラクチャとして、U字カーブする巨大な坂を制作。1分で終わります。
最後に、PVP用のステージを作ります。
ここは、
という使用用途をイメージしました。
なので、構造はシンプルで良く、装備が充実しているほどに無双しやすくなる方が良さそうです。
という事で、見晴らしがよいコロシアムスタイルのバトルフィールドを左右対称構造で創ることにします。
これは、大きな構造物を予定していたので、逆にグレイボックスではなく、元から用意されていたプロップを使いました。左右対称に設置するだけで、バトルフィールドっぽくできます。これも設置するだけに近いので、5分もかかりませんでした。
これで、ストラクチャの制作フェーズをいったん終了です。
次は「ファンクション制作フェーズ」に着手します。
NG制作パターン④:MVPを作らない
で、ここで4つ目の「良くないケーススタディ」があります。
それが【MVPを作らない】というものです。
MVPについてはこちらの記事で説明しましたが、
簡単に言えば、非常にミニマムで最小限の体験だけが実装されたプロダクトの事です。
このMVPを最小の工数で素早くリリースすることで、「プレイヤーが求めていた体験がそこに存在するのか」という根本的なバリューについて早期に検証します。
そもそも、サービスであれ商品であれゲームであれ、新しい何かを生み出す時には、必ずその「新しい何かによって、よりよい体験が生み出されている」必要があります。
逆に言えば、その「よりよい体験」が、創った何かによって本当に発生し、それが本当にユーザーにとって重要で素晴らしいものなのか、というのが、サービスの成功の鍵となります。
その成功の鍵になる部分は、できるだけ工数が少なく、やり直しがきくプロジェクトの初期の段階で確認できるのが理想です。
そのためのMVPというわけですね。
なので、MVPを作る時には必ず「プレイヤー(基本的には自分)が求めていた体験は何なのか」を言語化し、検証可能にしておく必要があります。
今回は
爽快な移動を感じながら
明確なコンセプトを感じられるステージで
達成感を味わいつつ
PVPを目標に長く遊べる
というのが、「求めていた体験」です。
この体験を再現できるような、最小のプロダクトを最小工数かつ最短納期で作るのをゴールに設定して制作に着手します。
逆に、こういったMVPの概念が無いと、リリースできるレベルの機能を作りこもうとしてしまい、工数を大幅にとった挙句に、テストプレイしたら全然予定した面白さを感じてもらえなかった・・・ということが起きます。
特にエンタメの世界は「体験してみないとどう感じるかは分からない」といいう要素が大きいため、MVPを制作ゴールにしてファンクション制作に着手するのは非常に重要だと感じます。
では、改めて上記に記述した「求めていた体験」を再現できるMVPの制作をゴールに設定して、改めてファンクションの制作に着手してみましょう。
サンプル企画に従って進めると、まずはロビーのファンクションを制作することになります。
ロビーに必要な機能
大雑把に列挙すると
初期スポーン
ステージ1への遷移入口
ステージ2への遷移入口(コインで入場)
PVPステージへの遷移入口(一定時間で限定解放)
武器ガチャ(レアリティ2段階)
ステータス強化ガチャ(レアリティ2段階)
見た目変更ガチャ
一定時間でゴールドと経験値を自動付与する仕組み
こんなもんでしょうか。
ひとつずつ、MVPをゴールに作っていきます。(ここからはUEFNでの制作を前提としています)
初期スポーン:プレイヤースポナーの仕組みを設置
ステージ1への遷移入口:「ボリューム」と「テレポーター」をイベント連携させて実装
コインで入れるステージ2への遷移入口:上記の仕組みに加えて「条件付きボタン」と「バリアの仕掛け」をイベント連携させて実装
PVPステージへの入り口:「バリアの仕掛け」と「タイマーの仕掛け」を連携させ、一定時間ごとに「テレポーター」にアクセスできる形で実装
武器ガチャ:「条件付きボタン」と「テレポーター」で「釣りの仕掛け」で武器が釣れる場所にアクセスできるように実装。ステータス変更ガチャもバフアイテムを釣れる形にして実装。
見た目変更ガチャ:「ビジュアルエフェクトクリエイター」を「トラッカー」と連携させて、一定数のキルを達成するとエフェクトが出る形で実装
一定時間でゴールドと経験値を自動付与:「栄誉の仕掛け」と「アイテムグランター」を「タイマーの仕掛け」と連携させて実装
これで完了です。
NG制作パターン⑤:ファンクション実装のサブプランを出さない
ここで5つ目の「良くないケーススタディ」があります。
それが【ファンクション実装のサブプランを出さない】というものです。
特定の機能を実装しようとした時に、最初に「この方法で実現しよう」と思ったとしても、実際に実装しようとしてみると、それが最適なプランでは無い事は良くあります。
ですが、よくあるのが「最初の実装方法にこだわってしまい、バグが起こったり、全体が複雑化してきているのに、技術的な問題に取り組み続けてしまう」というパターンです。
もう少し、ここを直せばいけるはず・・・
あとこれだけ理解すれば、実装できるはず・・・
という感じでダラダラと工数を増やしてしまいます。
こういった時にお勧めするのが、「実装したい機能が工数がかかる場合には、同じようなユーザー体験を実装できる、より少ない工数のサブプランを素早く列挙していき、最小工数のものを選択して先に進む」という進め方です。
なぜなら、このMVPの段階での「ファンクション制作フェーズ」で工数の大きなものに取り組んでしまうと、どんどんリリースが遅れてしまうからですね。
上記を意識しながら、他のファンクション部分も作っていきましょう。
ちょっと見えづらいですが、ロビーはこんな感じになりました。
ステージ1に必要な機能
次はステージ1に必要そうな機能を列挙し、制作していきます。
当たったら即死する周回オブジェクト:プロップと「小道具移動装置」をセットして実装
グラップラーが買える自販機:「自販機」にグラップラーを設定して実装
コイン:「コレクティブルオブジェクト」で実装
コインを獲るとゴールドがもらえる仕組み:「特性評価装置」と「トラッカー」と「アイテムグランター」を連携させて実装
保有ゴールドをHUDに表示する:「HUD制御の仕掛け」で実装
隠しコイン:フィールドに隠し通路などを作って実装
ゴールした瞬間にロビーに返す仕組み:「ボリューム」と「テレポーター」を連携させて実装
一定時間でロビーに返す仕組み:「タイマーの仕掛け」と「テレポーター」を連携させて実装
ステージ内でデスしたらステージ入口にリスポーンさせる仕組み:「プレイヤーチェックポイントパッド」の設置で実装
こんな感じでしょうか。
いくつか、別の方法で試したりなどしましたが、最終的に最小工数のバイパスプランで実装しました。
これでステージ1の機能面が完了です。
ステージ2に必要な機能
ステージ2で予定しているユースケースと必要機能を列挙し、制作方法を整理します。
ロビーからステージ2への遷移:「ボリューム」と「テレポーター」を連携で実装
上から車が降ってくる:「セダンスポナー」などを設置して実装
上から岩が降ってくる:「ボールスポナー」を設置して実装
ピンボールではじかれる:「ピンボールバンパー」を設置して実装
浮島に大量のコイン:「グレイボックス」を空中設置し、その上に「コレクティブルオブジェクト」を大量に設置して実装
浮島が動く:これは動いても動かなくても良いと判断し、「インプレッション」フェーズに後回し
飛べるアイテムが買える自販機:フローベリーフィズとグラップラーが購入できる自販機を設置して実装
(既出)コインを獲るとゴールドがもらえる仕組み
(既出)ゴールした瞬間のボーナス付与
(既出)ゴールした瞬間にロビーに返す仕組み
(既出)一定時間でロビーに返す仕組み
(既出)ステージ内でデスしたらステージ入口にリスポーンさせる仕組み
これで終了です。
今のところ、こんな感じになりました。
PVPステージに必要な機能
最後に、PVPステージに必要な機能です。
ユースケースのイメージでは、
一定時間(15分くらい?)に一度だけ、PVPステージへの扉が開かれて、プレイヤーは自由に入場することができる
ステージに入場すると、その瞬間は攻撃できない状態になっている
扉が閉じた瞬間に5分間のサバイバルバトルが開始する
敵を倒すとたっぷりゴールドと経験値がもらえる
倒されるとロビーに戻される
プレイヤーを倒すと、独自のキルスコアが記録され、そのスコアは積み上げになる
キルスコアによってレベルが上がっていき、レベルが上がるほどに特別なエフェクトが手に入る
こんな感じを考えていました。
ゲーム設計としては、基本的にミニゲームに挑戦することでお金を集めていき、お金が増えるほどに徐々にお金を増やしやすくなっていき、お金で武器もステータス強化もだいたいのことは買えてしまうが、最終的にはキルスコアで評価されるため、お金集め→強化という手段を経て→キルスコアをできるだけ増やすという目的を達成していく、という感覚です。
機能を列挙して制作に着手します。
ステージ入場すぐは攻撃できない状態にする:ミューテーターゾーンを入り口に設置して実装
ロビーからの入り口が封鎖された時点から5分間をカウントする仕組み:「タイマーの仕掛け」を2つ連携させて実装
敵を撃破するとゴールドと経験値がもらえる仕組み:「島設定」と「栄誉の仕掛け」を設定して実装
アリーナの残り人数を表示する仕組み:「プレイヤーカウンター」の設置と設定で実装
最後の1人になったときに自分でもロビーに帰れる仕組み:島設定でリスポーンできるように設定して実装
プレイヤーキルをカウントする仕組み:「トラッカー」で実装
弾薬を購入できる仕組み:自販機を設置して実装
キルスコアに連動してレベルやステータス、エフェクトを付与する仕組み:「ビジュアルエフェクトクリエイター」と「トラッカー」を連携させて実装
キルスコアに連動して表彰やランキングをアピールする仕組み:「プレイヤー参照の仕掛け」で実装
こんな感じでしょうか。
とりあえず創りました。
企画:2時間以内
制作Sフェーズ:30分くらい
制作Fフェーズ:3時間以内
という感じで、創ろう!と決めてから1日以内でファンクションフェーズまで完了しました。
最後に、制作のインプレッションフェーズに着手します。
これが終われば、MVPの完成になります。
インプレッションフェーズでは、ゲーム体験の印象を決定づけるような要因について、設計と実装を行っていきます。
まず、ゲーム全体の「世界観の設計」と「世界観の言語化と資料作成」を行います。
今回は、ゲームのファンクション設計が
アクションパズル→ハクスラ→PVP
という形態になっているため、その設計に合う世界観をいろいろと考えてみます。
まぁなんでもよいのですが、本作では
「奴隷になってコロシアムで戦わされている剣闘士になっている→奴隷から解放されるためには、自分を強化し、戦いに勝ち抜かないといけない」
という世界観を設定しました。
世界観を、このゲームのチュートリアル的なNPCが説明するようなイメージで、言語化して資料にしておきます。
NG制作パターン⑥:世界観を設計しない
ここで5つ目の「良くないケーススタディ」があります。
それが【世界観を設計しない】というものです。
簡単に言えば、ファンクションだけのゲームを作ってしまうようなイメージですね。
実際、このサンプル企画も、ゲームとしては「ミニゲームでお金を稼いで→武器を購入したりして→PVPで戦う」だけで成立はしていると思います。
こんな感じで、ファンクションだけ実装してリリースされているゲームが特にフォートナイトには多いですが、個人的な感覚ではこれは辞めたほうが良いです。
ファンクションだけのゲームは、シンプルゆえに普及するのが早かったり、広く受け入れられるゲームになりやすいメリットはあります。
しかし、ファンクションは本質的な差別化にはなりません。
特許でも取得しないかぎり、ファンクションが知財になることはありませんので、類似ゲームを誰でも一瞬で作れてしまうからです。
そう考えると、ゲームの本質的な差別化やオリジナリティというのは、ファンクションではなく、デザインやキャラクター、世界観やストーリー、NPCの雰囲気や話す言葉などの、インプレッション関連になることが分かります。
上記のようなIP(知的財産)を、自分が作るゲームには必ず設計し実装していくことで、ゲームだけではなくクリエイターとしてのブランド構築にも繋がります。
「まぁ似たようなゲームはたくさんあるんだけど、このクリエイターが作るゲームってなんかいいんだよな」
と思ってもらえるような、自分独自のIPを構築していくことを目指していきましょう。
さて、では上記を踏まえて、ロビーや各ステージのインプレッションを実装していきます。
今のところ、インプレッションは下記を検討していきます。
ロビーのインプレッション▼
外壁や天井等ストラクチャの質感の変更:剣闘士がテーマなので、コロシアムの待合室っぽい質感や塗装に変更
NPCの設計:同じような奴隷剣闘士がいるイメージ
NPCの実装:3人の奴隷剣闘士が、それぞれアドバイスや忠告をしてくれながら、ゲーム性や世界観を伝達してくれるように実装しました
ファンクションのビジブル設定:余計なファンクションを省き、見せるべきものだけにしぼりこみを行います
追加オブジェクトの設計:ここは最低限で良いため、スキップ
追加オブジェクトの実装:こちらもスキップ
ライティングの実装:暗めで炎がゆらめいてたりするイメージがよさそうなので、たいまつっぽい炎を実装しました
視点の実装:変更無し
こんな感じになりました。
次にステージ1です。
ステージ1のインプレッション▼
外壁や天井等ストラクチャの質感の変更:ミニゲームは「奴隷に与えられたアルバイト」という世界観設計になったので、古代ダンジョンを盗掘しているイメージで質感等を調整。基本的に既存プロップで簡易実装したが、隠しコインを取得させるためのガラス板だけ、重要だが簡易実装できなかったため、マテリアルを自作して実装。
NPCの設計:危ない仕事を斡旋しているっぽいイメージのNPCを設置し、ルールなどを説明させることに決定
NPCの実装:ステージ1専用の入り口を作り、NPCを設置
ファンクションのビジブル設定:余計なファンクションを省き、見せるべきものだけにしぼりこみを行います
追加オブジェクトの設計:とりあえず、古代ダンジョンっぽい感じのオブジェクトをいくつか追加したり、動く石像を増やしたりすることに
追加オブジェクトの実装:プロップで簡易実装
ライティングの実装:暗い感じになっているので、そのままで
視点の実装:変更無し
こんな感じになりました。
次にステージ2です。
ステージ2は、もともとは坂を上っていくようなアクションアスレチックを考えていたのですが、世界観と合わないため廃止しました。
この時点で、新しい案を出すことはできないため、MVPの段階ではステージ1だけでリリースすることに決定し、完全に削除になります。
最後、PVPステージです。
PVPステージのインプレッション▼
外壁や天井等ストラクチャの質感の変更:もとからコロシアム風にしていたので、ほぼ変更なし、中央の左右に水面だけ設置し、水にちょっとだけ埋もれた雰囲気を出した
NPCの設計:これはちょっと野暮ったくなるので、無しで良いと決定
NPCの実装:実装しない
ファンクションのビジブル設定:余計なファンクションを省き、見せるべきものだけにしぼりこみを行います
追加オブジェクトの設計:銃の弾を購入できる仕組みが必要だったので、ファンクション系ですがこの時点で実装することに決定
追加オブジェクトの実装:自販機を設置して簡易実装
ライティングの実装:コロシアムから出れないようにバリアの仕掛けで囲っていましたが、それらの質感を変更することで、中世のレンガ風に調整。天井は「よくわからない異空間に飛ばされた」という雰囲気を出すために、銀河っぽいテクスチャにしました。
視点の実装:変更無し
こんな感じになりました。
これでインプレッションフェーズも終了です。
さぁ、ここまでくればMVPに関してはほぼ完成です。
あとは、ここまででバタバタして作ってしまったファイルなどもあるので、このタイミングで必ず一度「データ整理」を行います。
追加したファイルなどをフォルダで分類していき、設置したアクターがどんな意図やカテゴリで設置されたのかを、後から見てもすぐに理解し、発見できるようにしましょう。
ちょっと面倒ですが、あとで修正する際に非常に楽になりますので、必須です。
データ整理が終わったら、テストプレイ前に最後に「ファンクションチェック」も行います。
インプレッションフェーズの調整によって、事前に実装していたファンクションが変更されていたり、うまく動かなくなっている場合がありますので、データ整理したファンクション関連のファイルを一つずつチェックしていき、バグやエラーが起こっていないかを確認します。
テレポートの連携がずれていたり、ステージ1の報酬系が変更になっていたり、ロビーでそもそも撃ち合いができるようになっていたりなど、いろいろと見つかったので修正しました。
お疲れ様でした!!
これで、テストプレイができるまでのMVPの制作が完了しました。
お疲れ様でした!
ここまで、無事に最速最短の工数で進めることができました。
インプレッションフェーズには、なんだかんだで5時間くらい消化したと思います。
データ整理やファンクションチェックなども、細かい作業なので3時間くらいは工数を取りました。
全工数
企画:2時間以内
制作Sフェーズ:30分くらい
制作Fフェーズ:3時間以内
制作Iフェーズ:5時間くらい
データ整理とファンクションチェック:3時間くらい
ということで、
「よし、なんでもいいから新しいゲームを作ろう!」と思い立ってから、企画も含めて実際にテストプレイ版をアップするまでに「10~15時間」でした。
1日4時間程度の工数を確保したので、4日で新作ゲームを1本作れたことになります。これなら、(本業でやればですが)1人でも1か月に4本くらいは新作ゲームをリリースしていけます。
ほぼ全工程をプログラミング無しの簡易実装で行ったため、私のようなガチの文系の方でもこの制作フローを意識すれば、特別な技術勉強などを最小化しながら、素早く「実際にリリースして遊んでもらう」というところまでたどり着けると思います。
この先は、テストプレイヤーさんたちと一緒に自分も実際に遊んでみながら、致命的なバグや改善点をつぶして、「ちゃんと自分は面白いと思える・時間を忘れて遊べる」と判断できたら正式にリリースを行う流れになります。
その後、ユーザーの動きをアナリティクスで見て、アップデートをかけるとかクローズするとかのビジネス的な判断を行っていきますが、この記事ではその部分は取り扱いません。
また別の記事で紹介していきたいと思います。
このように、ビジネスの世界で生み出された「リーンスタートアップ」や「顧客創造」というフレームワークをゲーム開発に活用することで、最小のコストで最大のリターンを狙っていく手法を、私は
【ノンプログラマーのための爆速ゲーム開発】
として確立していく予定です。
個人的には、ゲーム開発や制作をしている人は
「趣味として作る」「自分が作りたいものを作る」「クリエイティブに創造的に」という感じで取り組む【クリエイターすぎる】人か
「技術勉強が好き」「新しい技術や複雑な実装ばかり追い求めている」という感じで取り組む【エンジニアすぎる】人の
2タイプの人が多いイメージがあります。
そんな中で、私は
創造性も技術も重要ではあるがあくまで手段であり、常に目的は「たくさんの人に楽しく遊んでもらえるゲームを、たくさん世に出すこと」であるべきだ
という方針を採用し、より多くの人が、人生という有限な資源を無駄に消費することなく、「楽しくかつ成果にも繋がるゲーム開発」に取り組める状況を作っていきたいと思っています。
これからも【ノンプログラマーのための爆速ゲーム開発】をよろしくお願いします。
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