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ジュラシックパークとジョーズとナウシカ または「想像力は映像を超えるか?」

ずっと凍結していたブログを再開します!! ライブドアブログをご愛読していただいた皆様、たいへんお待たせいたしました。隔週金曜日の更新を心がけていきたいと思います。

田楽座長  中山洋介が ムダな知識と偏った切り口で芸能哲学を語る、その名も「田楽座長のガクる!ブログ」、略して「ガクブロ」の、始まりはじまり~。


中学生のとき、母親が本を買ってきた。
ハードカバーの上下巻で、アメリカでベストセラーになったSF小説の翻訳。中学生にはかなりの背伸び感だ。

表紙には恐竜の絵。タイトルは―――「ジュラシックパーク」。

これはハマりましたね…。
カオス理論。パラダイムシフト。遺伝子工学。難解な用語のオンパレードだったけど、自分は小さいころから恐竜好きで、中学生になっても図書館で恐竜の専門書を借りてるくらい。

昔は恐竜と言えば、ゴジラみたいに直立して尻尾を地面に引きずってる、っていう「のび太の恐竜」イメージが主流だったのが、この「ジュラシックパーク」あたりでガラリと変わり。
ティラノサウルスの背中は地面と水平に前傾になり、尻尾は空中を真っすぐ後方へ伸び、歩き方もゴジラみたいなズシーン、ズシーンではなく、ダチョウのようにダッダッダッ、と躍動的に走るようになった。

といっても小説である。表紙以外には恐竜の挿絵すらない。
いわゆる「字ばっか」の本である。

しかし本を読み進めるうちに、ヨウスケ少年の脳内には、南米の離島に建設された恐竜動物園「ジュラシックパーク」を、縦横無尽に駆け回る無数の恐竜たちが、まざまざと、生き生きと蘇っていたのだ。
「恐竜、すごいぜ!」
あっという間に上下巻を読み切ってしまった。

そこへ舞い込んできたのが、「ジュラシックパーク映画化!」の朗報である。しかも監督はあの巨匠スピルバーグ!
そして時代は「ターミネーター2」直後、つまりCG時代の幕開け! テレビで流れる予告編には、インパラのように草原を走り回る草食恐竜の群れ!! これで期待するなという方がムリがある!!!


と こ ろ が 。


「何か思てたんと違う…」


確かに映画館の大画面には、躍動的な恐竜が走り回っていた。闇の中にそびえたつ巨大なティラノサウルスは、今見ても完璧なリアルさだ。
映画自体も大ヒットしたし、続編シリーズもいまだに作られてる。革命的なCG映像表現で、ターミネーター2と並ぶエポックメイキングな作品として語り継がれている。

でも、でも。

「ボクの頭ン中の恐竜のほうが、もっと躍動的だったんだよなー…。」

恐竜が大好きだった…。
映画も大好きだった…。
スターウォーズの躍動的な映像にシビれ、スピルバーグのアドベンチャー映画に胸を躍らされ、
大人の鑑賞に堪える怪獣映画やSF映画に飢え渇き、
ついに登場した、「恐竜モノの決定版」とも言える映画。
に、なるはずだったのだ。映画「ジュラシックパーク」が。

でも…、

小説に負けた…。
文字の羅列ごときに。
紙にプリントされた黒インクごときに。

(つづく)

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