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楽器業界、オワコン?
さて、今日は楽器業界の今後について考えてみます。
コロナ禍の中で業界全体は果たしてどうなっちゃっているのか!!#嫌な予感しかしない
日本の楽器業界=ピアノだった
世界で一番ピアノを作ってるヤマハ。
世界で二番目にピアノを作ってるカワイ。
ピアノ発祥の地であるヨーロッパのピアノ産業がすでに斜陽化し始めてたのにもかかわらず、後発で世界シェアを押さえちゃったうえに業績も爆上げという奇跡が昭和です。#ものづくりやべえ
背景には、
①GHQ主導による教育改革 唱歌中心→器楽など総合音楽へ
②高度経済成長期の物欲 ピアノ世帯普及率1959(1.6%)→1989(21.9%)
③1950年代からの音楽教室の普及 特にヤマハ音楽教室
という要因があり、超要約すると娘のためと言いつつ自分が欲しかった母ちゃん達がいっぱい買ってくれたからという考察が私は好きです。
出典:『日本におけるピアノ文化の普及:高度経済成長期の大衆化を中心として』本間千尋
さて、日本の楽器産業の屋台骨を支えたピアノ。実際はどのように動いているのでしょう。
ピアノ国内生産数の推移
ピーク時の生産数を見てみましょう。どん!
ピーク時の生産台数は驚きの40万台!現在の10倍以上!!#すげえ
この頃は売り手も足りなすぎて誰でも販売店になれちゃうぐらいだったと聞いています。まさに狂気の時代。作れば売れる。
ただ、びっくりするほど急なチャートですね。ぐーんと上がってぐーんと下がる。右端がガクッと落ちているのも気になるところ。
そういえば2008年といえば世界経済が混沌と化したアレが起きた年でした。#アンゴルモアじゃないよ
では、最近の動向をもう少し詳しく見てみましょう。
はじめの表の右端が2009年でした。ここも急落してますが、2011年あたりでもさらにやばい落ち方をしていますね。
2008年といえばリーマンショック。そして2011年は欧州債務危機の深刻化でした。
どのくらいやばかったかというと、あのヤマハさんですら2009年3月期の最終損失が200億円を超えており、国内製造拠点の閉鎖や大規模なリストラを余儀なくされていました。#住宅部門とか売却されちゃったよね
このあたりで生産数がガクッと落ちたのは生産数の最適化の結果でしょう。
その後、供給量の調整によりここ10年くらいは3万台くらいの生産で推移していましたがまたしても右端でガクッと。
これは皆さんご存知、新型コロナウイルスによる工場の操業停止による影響です。#やばい匂いがプンプン
前回の大きな経済危機=リーマンショックでは一度大きく落ちてから時間差で数年後にさらに大きく生産数が落ちる結果になりました。
さて、今回はどうなるでしょう?
少なくともV字回復にはならなそうだな、と私は感じています。
最近は電子ピアノが売れてるんでしょ?
そう!その通り!!
よくご存知ですね。
確かに普通のピアノ(業界では生ピアノと言います。笑)に比べ電子ピアノの売れ行きはとても良いです。
どのくらい絶好調かというと、このくらい!!
あ、あれ?激減してる。
そうなんです。販売は伸びていますが生産は国内から海外へ移管してしまっているので国内生産という意味では激減しちゃってるんですね。
そこで、ヤマハとカシオの決算資料から販売金額ベースで抜き出してみると。
ヤマハ単体で電子楽器が生ピアノの2倍弱。
販売統計とか各社決算資料とかをみてこのぐらいかな?と計算してみた結果がこちら。販売台数ベースです。
自分で作っておいてなんですがこれはなかなか衝撃的です。
ただし、”電子楽器”のくくりなので電子ピアノに限らないのがポイント。
おそらく、生ピアノ:電子ピアノに限れば2:8くらいになるんじゃないかな?
ちなみに平均単価が生ピアノ160万円程度に対して電子ピアノは8万円程度なのでピアノの20倍台数を売ってトントンです。
つまり、
生ピアノの生産台数減を電子楽器が補っているけど、金額ベースではリーマンショック前の水準に届くかな?くらい。
高価格少生産→低価格多生産にシフトして売り上げベースを保っているというところでしょう。
管楽器やギターはどうなの?
ところで、管楽器やギターなどピアノ関連意外の楽器についてはどうなってるんでしょうか。
こちらも国内生産数を見てみましょう。どん!どどん!!
やっぱり似たような感じですね。
リーマンショック前後で明らかに生産数が落ち込みそのまま回復していません。
ギターのチャートにはまだ現れていませんが、2020年のコロナショックにより生産数が減少トレンドにあることも同じです。#やばい
明るい展望は本当にないの?
大丈夫。ちゃんとあります。
これは2020年3月期の河合楽器製作所の決算資料ですが、中国での売り上げが好調に推移しています(左上)。
台数ベースでみても順調に拡大しています。
ヤマハさんも同じ。
各エリアに比べて中国の伸び率が高いことがよくわかります(右から2番目)。
どういうことかと言えば、中国が経済成長するにつれて日本の高度成長期にあったような豊かさ=ピアノ現象が起きているのです。
下のグラフは総務省が発表した世界の実質GDP推移の予測ですが、中国の伸びがとんでもないですね。
中国の母ちゃんたちが娘とためと言いつつ自分のためにピアノを爆買いしてくれているのです。ありがたや。#中国政府と中国人は別
そして、中国の成長が一段落したあとには東南アジアなど新興国の経済成長ラッシュが続くだろう予測されています。
つまり、ブランド力と商品力をぶん回して世界各国にジャパニーズインストゥルメンタルを普及させていけばメーカーは生き残れる!!
中国をきっちり押さえて、北米、欧州でブランド価値を定着させ、インドを筆頭とする新興国需要をきっちり取りに行く。
おそらくこの路線で頑張っていけば楽器メーカーは更に飛躍して日本の楽器業界を牽引していってくれることでしょう。
そう。
楽器”メーカー”は。
国内販売店の現況
国内販売店、つまり街の楽器屋さんですね。
2016年に帝国データバンクさんが行った楽器業界の経営動向調査によると、国内の大手楽器店(売上5億円以上)の特徴はこんな感じ。
①対象52社のうち、8割が1970年代までに創業(新規が少ない)
②物販だけでなく音楽教室の経営でソフト戦略を重視(生徒=顧客)
売り上げが多い順に並べると、
これも傾向がわかりやすいですね。
1位は全国展開のヤマハ販売子会社
2位の島村楽器はショッピングモール展開による量販
3位のサウンドハウスはネット販売のディスカウント最大手です。
4位以下は複合ですね。多店舗専門店経営と音楽教室を両立しつつ、ネット戦略をきちんと押さえているという印象です。
10位の下倉楽器さんは、専門店経営+最強の外販営業部隊(学校販売など)が有名です。
ちなみにエリア別でみるとこちら。
東京を筆頭に人口の多い県には複数、多くは県内に1店という分布になっています。
地元の老舗で地域の学校との取引がしっかりあり、音楽教室もしっかり運営できているところが各県大手の楽器屋さんでしょう。#新参は入れないよね
島村楽器さんは日本各地のイオンに入っているので、たとえ秋田にあっても山形にあっても東京扱いです。
楽器屋さんの未来
これは内閣府が発表している日本の人口推移予測です。
がしがし減っていますね。#超やばい
少し前までは、楽器店は大手楽器店に集約されていくだろうと考えていました。
つまり、
①各県1店くらいの地元楽器店
②島村楽器
③サウンドハウス(ネット)
だけです。東京は例外。
ただ、今回のコロナショックで音楽教室の多展開はむしろ足かせになり得ることに気づいてしまった。
そして、従業員が多いことのリスクも。
人口が減っていくのが確実な中で、シェアを取り合っていかなくてはいけない企業。全体の成長率はマイナス。
これは困りましたね。
国内だけではどうにもなりそうにありません。
まとめ
楽器業界の今後はこうなりそう!ということでまとめです。
①メーカーはグローバル展開で飛躍しそう!
②販売店はジリジリと衰退していきそう!! #オワコン
やばいですね。今回の記事は過去最高にやばいやばい言っております。
リアルガチです。
でも、きっと新しい波も生まれると思うんです。
ひとりでも今日からでもお金がなくても楽器店は始められるし、
英語が読めなくても中国語が読めなくてもひとりで輸入も輸出も出来ちゃう。
店舗がなくても知ってる人は知っている。
すてき✨
これからの楽器屋さんは大手への集約と、個性的な個人店ネットワークに二極化していくと予言します。
あ、あとリペア工房もね。
零細による中古品再生マーケットは既にきてます。こんな感じ。
私も頑張らなくちゃ。
今日も最後までご覧いただきありがとうございました!
みなさんも熱中症と冷房病には気をつけるんだよ!!#反省
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