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「みらいの校則」②決定・運用・管理すべての主体は子ども。テクノロジー活用で情報の可視化・議論プロセスの透明化を

前回(「みらいの校則」①どのような目的で、どのような校則を目指すべきか?)について

noteがNPOカタリバと連携して「みんなのルールメイキングプロジェクト」と連携したイベントを開催しています。
私も塾講師として、学校に通う学生の校則に関する声をよく聞いてきました。また、現在はプレイヤーではなく、広く教育について考えようという立場から改めて「みらいの校則」について考えてみました。

上記を下地にして、今回は②です。今回はルールメイキングのやり方についてです。

学校におけるルールメイキングのやり方について①子どもたちが決めるべき範囲

まず、子どもたちがどの範囲まで校則を決めるべきなのか?についてです。

授業の時間としては、現行制度だと主に「特別活動」の時間を充てるのが良いと思います。週1回ペースだと、その都度子どもたち中心の議論の中間結論を作りつつ、毎週深めていくような形になるかと考えています。

決めるべき範囲に関しては、小・中・高と子どもたちの発達段階による段階設定が必要なのかもしれません。
私としては、基本子どもは大人が信頼し任すことさえできれば大きな力を発揮するという立場です。ですからかなりの範囲を子どもに決めてもらった方が良いのではないかと考えています。
何より、その方が子どもがルールを作っていく力が身につくからです。

ただ、たとえば小学校低学年だと何かを決めることそのものに時間がかかるケースなども考えられます。それ過程が素晴らしい体験だと思うのですが、現実的にはある程度範囲を絞るべきでしょう。

その場合は、「一番大きなところから子どもに任せる」のが良いのではないかと思います。もしかすると逆の発想の方もいらっしゃるかもしれませんが、ルールメイキングにおいて最も重要なのは「各種の判断の基となる、最も重要なルールを成員が決める」ことではないでしょうか。
自分たちが決定に関わることで、最重要ルールの意味が理解されれば、他のことについても子どもたちは判断しやすくなると考えています。
特に低学年の場合は、クラスとして「こういうクラスだとみんなが嬉しい」「そのためにこういう気持ちでいようね」といったコンセプトに近い部分の決定が望ましいように感じます。

そして年齢が上がれば、よりコンセプチュアルな段階から下ろしていって、具体的な部分まで決めていけば良いのではないでしょうか?

中学生以降は、基本ルールメイキングは学生に任せて良いのではないでしょうか?
重要なのは、裁量を与え、そして常に各種の判断をアップデートさせていくことだろうと考えています。決定した事項に関してもし不都合や想定外の結果になった場合、速やかにアップデートする仕組みづくりさえあれば問題ないと考えています。

校則の中身に誤りが発生した場合、校内に一定の混乱を招くことも考えられます。しかし、それは決定に関わった学生たちにとって非常に重要な学びの機会です。
修正していくことそのものも、学生が決めるべき「範囲」として定めるべきです。
是非試行錯誤してもらい、自分たちで自分たちの生きる場所をつくっていくことへの学びを深めて欲しいと考えています。

学校におけるルールメイキングのやり方について②決定方法

では、具体的にはどのようにルールを決めていけばよいのでしょうか?
例えば、小学校にも議会制民主主義の原型に近い生徒会が存在します。代表者が学生の中から選ばれ、任期期間中の議決権を持っています。その意味では、議会と同じです。
具体的には、その都度の大きな決定事項に関しては、4年生以上の各クラスの代表が集まる評議会のような形があり得ます。
クラスの代表が、毎回の会議での決定内容を持ち寄り、そこでの決定内容を各クラスに持ち帰る。この繰り返しで子どもが自治するシステムにしていけばよいのではないでしょうか。
この方法は、中学生や高校生にも十分応用可能です。

これからの民主主義は、テクノロジーにより「透明化」「可視化」されていく方向にあると考えています。また、最近ではGIGAスクール構想で子ども1人ひとりにタブレットが貸与されています。
slackなどのチャットツールを使えば、決定事項や提案事項に対してもコメントやリアクションでの意見表明が可能です。
また、チャットツールはアンケート機能も備えています。提案に対する全学生の感覚を知ることも可能です。

同じようにテクノロジー活用という意味では、代表による評議会での会議の模様がライブ配信的に観られたりアーカイブ化されるのも手です。顔が出なくても音声のみであれば、配信は可能ではないでしょうか。

そのような形で、どんどん「透明化」「可視化」の方向に進んでいくと、より民主主義をアップデートする担い手として子どもたちが育っていくように感じています。

そんなことを考えていると、沖縄でもその萌芽が!

「町民にとって『良い町』が何かというのは、私個人で決められることではないので、民主主義的なプロセスの中で『良い町』の方向性を定めないといけません。町議会というのは、そのための重要な役割を担っています」
住民の声がしっかりと行政に届けられるように、行政との橋渡し役となる議会の情報を「町づくりの基礎の基礎としてまとめた」

の発想が本当に素晴らしいと感じました。

町議のプロフィールの他、過去の一般質問の内容からどのような課題に関心があるのかなどを分かりやすく体系的にまとめている

というのがこのアプリの中身だそうです。
長くなるので別の機会に詳細は触れますが、同じように学校における民主主義も可視化され、常にどのような議論で進んでいるかのチェックがかかる運用になっていれば、より全員が自分が属する場の運営に関わりやすくなります
※1つだけ強調したいのは、情報や選択肢、議論プロセスが可視化されることは本質的には民主主義の大前提だと考えています。

学校の話からいったん離れて地方自治の話となっていますが、自分たちでルールを作っていく経験を積むことが民主主義をアップデートする担い手を作るという意味では同じです。

また、こうやって普段から学校での意思決定にテクノロジーが介在することもこれからの子どもたちにとって良い学びになります。
従って、テクノロジー活用でさらに子どもたち全員が学校でのルールメイキングに関わりやすくすることも「みらいの校則」に必要な要素ではないでしょうか?

まとめ

特に今回は、学校におけるルールメイキングを、ほぼ民主主義の文脈に照らし合わせながら書きました。

・年齢による段階設定はあれど、基本「みらいの校則」の決定・管理・運用は極力生徒が主体
・議会制民主主義のように、各クラスの代表者が集まる評議会=生徒会のような形で議決内容がフィードバックされていく仕組み。
・テクノロジー活用で、意思決定に必要な情報の可視化・議論プロセスの透明化により全員が意思決定の主体となることを可能にする。

が、「みらいの校則」の決定や管理・運営方法として重要なのではないかと考えています。


そして、「みらい」を「今」にしたって良いはずです。
そして私が書いたことは技術的にも現状の学校制度の中でも十分に実現可能話です。

タブー中心ではないルールを自分たちでつくりあげ、自分たちの生きる場をアップデートすることに長けた子どもたちがみらいの日本や沖縄を切り拓いていくことを切に願っています。

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