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外資系で求められる英語力の実態

前回の記事で予告した通り、今回が外資系企業で求められる英語力について取りあげます。「外資系」と一口に言っても幅広いのですが、ここでは「外資系テック企業」のことを指すと思っていただければ。長くなるので、今回は求められる英語力の傾向を取り上げ、次回以降で具体的なレベル感を取り上げます。

求められる英語力は環境によって大きく異なる

まず大原則として、求められる英語力は環境によって大きく異なります。高い英語力が必須の場合もあれば、全く英語を使わない場合もあるということです。ざっくりいうと、以下のような要素の組み合わせで必要な英語力が変わってくると思います。

・企業サイズ
・職種
・職位
・レポートライン

ここからは、それぞれの要素を細かく説明していきます。

企業サイズの観点

企業サイズが小さいほど求められる英語力は高いです。正確には、高い英語力が必要となる機会が多い、と言った方が良いかもしれません。

日本法人で数百人、数千人いるような会社は、同僚も日本人ばかりである可能性が高いですし、規模の大きい会社は同時に日本進出してからの歴史も長く、結果として社内のプロセスやドキュメントなどが日本化されている可能性も高いため、英語が必要される機会が相対的に少ないです。

一方、日本法人が数人から数十人の規模の企業では、同僚や上司が外国人である可能性も高く、プロセスもドキュメントもその多くは日本語化されていないため、英語力が求められる機会が極めて多いです。

職種の観点

職種も英語力の必要レベルに大きな影響を与える要素です。すごくざっくりいうと、技術職と営業職では、技術職の方が英語が必要になる機会が多い印象です。そして、営業などのプリセールスと導入コンサルやサポートなどのポストセールスでは、ポストセールスの方が英語が必要なる機会が多いかなと思います。これは、比較的概要レベルの説明や理解で間に合う職種と違い、細かい設定やトラブル対応といったイレギュラーな業務を行うためには、日本語化されていない情報や人を参照する必要が高いということに由来します。

英語力が求められない可能性が高いポジションの代表格が営業ですね。規模の小さな日本法人であっても、直属の上司が外国人でない限り(そしてほとんどの場合、上司は日本人であるCountry Managerになります)、英語力はあったら好ましい(nice to have)という位置づけになることが多いと思います。

職位の観点

職位も英語力の必要性を大きく左右する要素です。IC(individual contributor)が一番必要性が低く、Manager、Director、Country Managerと職位が上がるにつれて高い英語力が求められるようになります。理由としては、後述するレポートラインもありますが、Manager以上の職種だと本社(HQ)や他のリージョンの同僚とコラボレーションして業務を進める機会が増えることも大きいです。

営業であっても、Manager以上のポジションでは英語力が求められます。ただし、規模が大きい日本法人の場合、Managerの上司はSenior Managerなどのタイトルで日本人であることが普通で、そうした場合はまだそこまで英語力を要求されないと思います。

レポートラインの観点

ダイレクトに英語力の必要性に影響するのがレポートラインです。すなわち、上司(あるいは上司の上司)が外国人かどうかということです。直属の上司が外国人の場合は当然ながら英語力が必須となります。そもそもその場合、Hiring Managerが外国人になるわけで、インタビューの段階で英語力は評価され、あまりにも意思疎通ができないレベルと判断されれば、その段階で落とされるわけですが。

レポートラインが外国人になるかどうかというのは、これまでに述べた他の要因が影響します。規模が小さい企業の技術職のチームのマネージャーであれば、直属の上司が外国人になる可能性はかなり高いと言えます。

英語の4技能の内どれが重要なのか

ここまでざっくり「英語力」と表現してきましたが、一般的に英語力は以下のように要素分解されます。

・Reading・・・読む力
・Writing・・・書く力
・Listening・・・聞く力
・Speaking・・・話す力

どれも重要ですが、外資系で働くうえで重要な順に順番をつけるとしたら、こんな感じでしょうか。

1. Reading
2. Writing
3. Listening
4. Speaking

少なくとも1と2ができれば、e-Mailなど文書を使ったコミュニケーションはこなせることになります。直属の上司が外国人であるとか、外国人の同僚とコラボレーションする機会が多いとかいうことがない限りは、まずはこの2つの技能を高めることが良いかと。その中でもReadingを上に持ってきているのは、インプットの方が頻度や重要性が高いからです。読めるようになれば、技術文書とか外国の事例研究とかもできるようになりますし、英語のトレーニングマテリアルも理解できるようになります。

上司が外国人であったり、オーラルコミュニケーションが必須の場合は、ListenningとSpeakingも重要になります。Listenningを上に持ってきているのは、そもそも聞いて理解できない限り、コミュニケーションは成立しないからです。相手の話していることさえ理解できれば、拙い英語であれなんであれ何かしら話すことはできますが、そもそも理解できていなければ、どれだけ流暢に話せるSpeakingスキルがあっても黙っていることしかできません。Listeningは慣れの部分も大きいですが、そもそも文章で読んでわからないことは聞いても絶対にわからないので、そういう意味でもReadingは最重要な技能だと思います。

ただし、Readingだけをネイティブレベルにしてから、他の技能を伸ばす、というのは非現実的だし効率も良くないので、今説明した優先度を順に、全体のレベルを満遍なく高め、更に全技能を段階的に伸ばしていくことになります。

まとめ

今回は企業や職種などによって、求められる英語力が大きく異なるという話をしました。日本企業と比較すると、求められる英語力の平均や中央値は高いものの、全く英語力を問われないこともあります。

次回は具体的に必要とされる英語レベルを取り上げます。

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