見出し画像

百瀬教授

価値観のない時代に育つ世代
戦争もない、飢えもない、
そこにあるのは気だるい平和。
無限に続きそうな退屈。
その世代の正体は退屈という名の
バーチャルだ。
しかし悪くもない世界だ。
気だるく眠い世界って奴は。
だが苛立ちはある。
無限に続きそうな退屈。
本当に無限なのだろうか?
何処かでそう思っていないか?
時々不安が訪れる。
バーチャルなゲームの世界。
電源が誰かにきられたら。
ソフトが使い物にならなくなったら。
辛いリアリティの世界が始まるまいか?
その荒ぶる魂の不安が怒りに向かう。
止めておけ、その刃先はいずれ自分に向かうぞ。
お前自体の存在がリアリティをなくしてな。
『世紀末の詩』第4話 「星の王子様」より
谷啓、真柄佳奈子

漠然とした将来への不安。
芥川を死に追い詰めた正体。

不便であったり、苦境にあったり、動乱の時代には平穏、平和を願う。

山も切り立った岩壁を通る際は早く、緩斜面に辿り着けないかと願う。

しかし、平和な緩斜面に待つのは気だるい眠気を伴うバーチャルリアリティ

そのモワッとした不安に魂は潰されそうになる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?