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フィンランドのサウナは焼きたてパンの香り

▼ 前回(イタリア編)の記事はこちら


クリスマスと年越しはイタリアで。
ここではイブの24日に魚中心のディナーを家族で囲むのが伝統的なクリスチャンのクリスマスの過ごし方なんですって。25日はこれまでの賑わいはどこへ行った!?と思うくらい、街はシンと静まりかえっていて、お店はほとんど開いていないし、人の往来もまばら。みんな25日は家でゆっくりするんだねー。

12月31日。日本より8時間遅れて過ごす大晦日。SNSを開くと紅白やら年始の挨拶やらで賑やかで、私たちは特にすることなく、のほほんと過ごした。
ソバを入手できなかったので余っていたラーメンを食べることに。付属の粉末スープを使う気にはなれず、海老と昆布で出汁を作ってみた。さっぱりだけどうま味がしっかり出ていておいしい。
来年もおいしいものが食べられますように。合掌。

年越し前後は広場で爆竹や花火の音が鳴り響く


他の土地でもそうだけど、たっっっくさんの人にお世話になった。ありがたいね、また会いたいね、と夫と言いあいながら、長らく滞在したイタリアをついに離れた。

次なる目的地はフィンランド! 向かう飛行機の中で『かもめ食堂』を予習。なるほど、フィンランドといえばシナモンロールなのか。


その国の印象は最初に出会った人で決まる

フライトがちょっと遅延して深夜12時にヘルシンキの空港に到着。早くベッドに飛び込みたい…と思いながらスーツケースをゴロゴロ転がし、中央駅に向かう電車に乗り込んだ。
車内で切符のチェックをするスタッフに指摘されて、自分たちがチケットを買い間違えたことに気づく。わー、これ罰金取られるかもーと肩を落としていたら、「ツーリストだから間違えちゃうことあるよねー。交通アプリあるから入れとくといいよ」と寛大な対応。
しかし、ほどなくボスが登場。やっぱちゃんと払いなさいって言われるやつやー!と思いきや、「日本人? 昔、母が日本に行ったことがあるんよ。人形持ってるよ。名前なんだっけ。そうそう、コケシ!」と、めっちゃフレンドリーに雑談!!
そして「フィンランドへようこそ。楽しんで」と言って送り出してくれた。

深夜のフライトで疲れたところに優しく接してくれ、さらには気さくに話してくれるこの徳の高さよ。到着30分にしてすっかりフィンランドが好きになってしまった。その国の印象は最初に出会った人で決まるといっても過言ではないと思う。

駅員のおじさんは「日本人って礼儀正しいよねぇ」とも言っていて、誇らしい気持ちになる。そしてそれは当然、会ったばかりの私たちへの印象でなく、彼のこれまでの人生でそう感じる機会があったということ。つまり私たちは出会った瞬間から少し下駄を履かせてもらっているようなものだ。なんともありがたいことです。先人に、礼。

昔の学校に寝泊まり

今回滞在したのは、ヘルシンキから北西にバスで1時間ほどの郊外。1900年代に建てられた学校を改修して共同住宅兼コワーキングスペースにしていた。

WWOOFやWorkawayは一日5〜6時間、週5日働くことを基本にしているところが多い。けれどもここは午前中の3時間だけ。平日の午後と週末はフリータイム。
と言っても氷点下だし、近くのスーパーまで4kmだしで、外に出ていく気になれず、週末に一緒に遊んだり買い物に便乗する以外はひたすらおうち時間を楽しんだ。

食材調達のため片道4km歩いた日も


実働8日間で取り組んだ仕事はこんな感じ。
・ドミトリールームの荷物撤去
・リネン類の整理整頓
・個室の壁塗り
・倉庫の片付け

壁塗りはその技術レベルがモロに結果に出る。フィンランド初日に出会った駅員さん(先述)を思い出しながら、日本を背負う気持ちでせっせとローラーを転がした。それなりに大和魂を見せつけれた、はず。
でも養生が甘かったな。自分まだまだっす。

穴をパテで埋めていく
見違えるほど美しい壁に(自画自賛)。完成後すぐにAirbnbのゲストが来た


ホストしてくれたのはそのプロジェクトを牽引し、自らもその家で暮らしているポルトガル出身の建築士であるペドロ氏。
Workawayで見つけて連絡を取り、即レスで快諾してくれたものの、やり取りがシンプルというかそっけない感じで、正直行くまで結構不安だった。いざ会ってみると、そっけないのではなくただただよく働く多忙な人だということが分かった。

過去のイベントのポスターがあった

ペドロはこれまで出会ったゲストたちとはまた違ったタイプの人だった。同じ建物にいるのに連絡はwhat’s app経由でくるし、ごはんは自室に簡単に済ましているようで私たちと一緒に食べない。とにかく朝から晩まで仕事をしている。
でも顔を合わせれば「調子どうよ?」と気遣ってくれるし、料理のおすそ分けも食べてくれる。共同住宅の住民たちとのディナーやダンスイベントも企画してくれたし、そういう時はちょっとおちゃらけてる。
自分はワーカホリックだけどそれを他人に求めたりはしない。積極的には交流しないけど押さえるべきところは押さえる。さらっとした感じが絶妙にいい塩梅で、居心地良かった。

そんな彼から、ある日の夜メッセンジャーが届いた。

「雪だるまつくろう?」

もう外真っ暗だよ!?このタイミングで雪だるま!?

戸惑いつつも、雪道で交通手段がなくて部屋にこもりっきりの我々を気遣ってくれてるんだろうなと思い、その優しさが染みる。
コン、コッココッ、コン♪(ドアをノックする音)
私の脳内にアナ雪のBGMが流れる。アナの呼びかけを無碍にしてはいかんと、大人3人でエッセホイセと巨大雪だるまをつくったよ。

パスダースノーすぎて固めるの難しい
途中から共同住宅のちびっ子たちも参戦


フィンランドのサウナは焼きたてパンの香り

休日は隣人のテロさんがスケートしようぜ!と誘ってくれた。
湖にでも行くのかしら?と思っていたら、向かった先は学校!
校庭に水を張ってスケートリンクにしているそう。

めっちゃ吹雪いてたけど楽しかった


帰ってからはお待ちかねのサウナ! シャワールームの横に3人ほどが入れる小さな部屋があり、そこがサウナになっている。家の中にサウナあるの超羨ましい。

熱々の石に水をかけるのがフィンランド流。そこまでは知ってたのだけど、ビールを少し混ぜて水をかけると麦の香りが広がるんだぜ、と上級テクを教えてくれた。
やってみると、ジュワーーー!という音とともに蒸気が広がり、少し遅れて香りが室内に充満する。おお、なるほど、確かにぎゅぎゅっと詰まった麦の香ばしい香り!

ポカポカに温まったあとは氷点下の世界へ飛び出し、雪めがけてダイブ!

屋外スケートからのサウナ。好きです、フィンランド。


フィンランド×ポルトガル×ジャパンのドリームチーム

音楽好きが集まっている共同住宅。夫がブレイクダンスを披露すると、いいね!近くの学校でショー&ダンスレッスンをしようぜ!と盛り上がった。
週明け。「3日後にやることになったよ」と。学校に打診して速攻OK出るこのカジュアルさ、なんなの?

当日、学校の体育館へ。準備もそこそこに、生徒たちがぞろぞろと入ってくる。明らかに「だる〜」な感じで後方の壁にもたれて座る子たちも。どうやら13〜16歳くらいで学年横断でのイベントになったらしく、100人くらいいる。
小学生だと思ってた!もっと少人数だと思ってた!と焦る夫。がんばれー。
イタリアの学校でトークイベントした時もそうだったけど、事前の打ち合わせとか管理職へのご挨拶とか全然ない。このあたりの感覚は日本と全然違う。

「じゃ、どうぞ」って感じでスタート。
ペドロが挨拶をし、バグパイプの演奏が始まる。続いてテロがドラムを叩く。
演奏に合わせて踊る夫。技を決めるとワーッと歓声が上がる。おお、いい感じ。

ショータイムのあとはダンスレッスン。が、こちらはなかなか盛り上がりに欠けたまま、早々に終了。フィンランドのティーンエイジャーは思いのほかシャイだった。

解散したあと、盛り上げれんかった…と肩を落とす夫の元に、そそっと1人の女の子が寄ってきて「You are amazing!」と。ダンスが好きだというその女の子は「とても良いものを見ることができてよかった、ありがとう」と感想を伝えてくれた。
もう1人の少年も、もっと見せて!という感じでその場に残っていて、しばしダンスセッションをして遊んでいた。

100人のティーンエイジャーを夢中にさせることができなくても、1人でも2人でも心を動かされた子がいたなら大成功なんじゃないかな。おつかれ!


ダンスレッスン
ミラーボールのある家っていいよね
2週間暮らしたドミトリールーム
どういうことなんだろう
フィンランド楽しかった!

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