昭和天皇の実像
昨年4月ウクライナの公式 Twitter が、「ファシズムとナチズムは1945年に打倒されました」とのキャプションをつけ、その上にヒトラーやムッソリーニと昭和天皇を同列に写した写真を投稿。日本国内で反発を呼び、ウクライナ側がお詫びした出来事がありました。
昭和天皇は、第二次世界大戦を起こした戦争指導者の一人であり、ファシストだったとウクライナでは思われていたのです。
日本国内における昭和天皇の戦争をめぐっての評価は、昭和から平成に移る前後に活発な論争がありました。
例えば、当時長崎市長だった本島等氏は、1988年長崎市議会で「天皇の戦争責任はあると思う」と発言しました。
この発言は、保守系の人たちの猛烈な反発を呼び、本島氏は翌年1月右翼団体に所属していた男によって銃撃されるという事態になりました。
しかし、昭和天皇が亡くなって30年以上過ぎたためか、昭和天皇の戦争責任に関する新たな議論を、私は最近聞いたことがありません。
さて、昭和天皇は戦争に対する自分の責任を、どのように考えていたのでしょうか?
私は、戦後の日本の政治家・官僚・財界人・学者・メディア人たちに共通する無責任さの原因が、昭和天皇の戦争責任に対する態度にあったと考えています。
以下、説明します。
まず、昭和天皇の戦争責任についての有名な逸話です。
この箇所だけを読むと、昭和天皇は自分の戦争責任を自覚していて、マッカーサーは昭和天皇の率直な態度に大変感銘を覚えたようです。
ところが、田原総一朗や右派の人たちは、自分の戦争責任に対して昭和天皇が下のように発言したのを知っているにもかかわらず、意図的に無視しています。
1975年10月にアメリカ訪問を終えて、記者会見に臨んだ際の昭和天皇の言葉です。
https://s3-us-west-2.amazonaws.com/jnpc-prd-public-oregon/files/opdf/120.pdf
マッカーサーの思い出話が本当なら、昭和天皇は「君の言うとおりだ。戦争にかかわるすべての責任は、私にある。」という調子で、中村記者に言ったと思います。
そう言えない事情があったのでしょうか?
それにしても、文学方面はあまり研究していないから、責任という言葉のアヤについてはわからないと昭和天皇はごまかしました。
安倍晋三の「責任を取ればいいというものではありません」発言を思い出させます。
次に、広島の原爆投下に対する、昭和天皇の受け止め方です。
戦争中だったからやむを得ないと昭和天皇は発言。
アメリカによる広島原爆投下とは、何の罪もない日本人に対する無差別ジェノサイドです。
昭和天皇はある意味それを肯定した。
原爆で亡くなった広島市民14万人のほとんどは昭和天皇を神のように思っていたでしょう。
大日本帝国憲法第3条「天皇は神聖にして侵すべからず」という条文の存在や教育勅語の全文暗記の強制のように、戦前の日本人が天皇に悪意や反感を持つ余地などありえません。
神として崇めていた昭和天皇が広島市民が原爆で亡くなったのはやむを得ないことだったと話したのです。
これでは亡くなった広島市民は浮かばれません。
こういう人を天皇陛下万歳と日本人は長い間礼賛しました。
将軍様万歳と叫ぶ北朝鮮の人たちと同じようなものだと思いませんか?
皇室崇拝者に昭和天皇のこの無責任、無神経発言を噛みしめてもらいたいですね。
動画で西部邁が指摘するように、1951年サンフランシスコ平和条約が締結され、日本が独立を回復した時に、昭和天皇は太平洋戦争に対する自分の道義的・道徳的責任を認め、自ら進んで退位すべきだったと私は思います。
しかし、昭和天皇は戦後40年以上天皇の地位に君臨した。
そのうえ、自分の名の下で行われた戦争に対する責任問題を、言葉のアヤ程度のことだと言い放った。
こういう昭和天皇の鉄面皮さが災いして、日本人に道徳やモラルの軽視、自分のはいた言葉に責任を持たなくてよいという文化を定着させてしまいました。
コロナ騒動で見られた政治家や専門家と称する医療関係者、厚生労働省の官僚、メディア人たちの自分の言葉に責任を持たないメンタリティー、換言するなら自分の間違いを認めず謝罪を拒否する「謝ったら死ぬ病」は、昭和天皇が自分の道徳的な責任を取らなかったことが大きく影響を及ぼしているのです。
魚は頭から腐るとはよく言ったものです。
今日の日本の惨状は当然の結果でした。
2023/3/10 追記 その1
今回のコロナ騒動でmRNAワクチンを日本人に打たせることに大活躍した木下喬弘医師のツイッター投稿を引用します。
彼は、ワクチンはつべこべ言わずに打てと言いながら、自分はワクチンを打っていなかった御仁です。
本文で
>昭和天皇の鉄面皮さが災いして、日本人に道徳やモラルの軽視、自分のはいた言葉に責任を持たなくてよいという文化を定着させてしまいました。
コロナ騒動で見られた政治家や専門家と称する医療関係者、厚生労働省の官僚、メディア人たちの自分の言葉に責任を持たないメンタリティー、換言するなら自分の間違いを認めず謝罪を拒否する「謝ったら死ぬ病」は、昭和天皇が自分の道徳的な責任を取らなかったことが大きく影響を及ぼしているのです。
と書きました。
みなさんにも納得してもらえるよい実例でしょう。
2023/7/19 追記 その2
第2次世界大戦が終結した後、枢軸国のリーダーたちに何が起こったのか?
イタリア ムッソリーニは即時処刑された。
ドイツ ヒトラーは銃で自殺し、自分の遺体を焼却するよう命令を残した。
日本 裕仁はディズニーランドに行ってミッキーマウスとミニマウスに会った。
ミッキーマウスを見て、ご満悦の表情の昭和天皇夫妻。
天皇陛下万歳と叫びながらアメリカの軍艦に体当たりして太平洋の露と消えた神風特攻隊の若者たち、アメリカが投下した原爆の生け贄となった広島や長崎の名もなき人々、そしてアメリカとの激しい地上戦が行われ犠牲となった沖縄の同胞の命など、国体護持のためには当然の犠牲だった、とこの2人は思っていたのだろう。
そうでなければ、ミッキーマウスとご対面の後の記者会見で、戦争責任なぞ言葉のアヤ程度の問題、原爆投下はやむを得ない話だったと昭和天皇が言い放つわけがない。
しかし、冷酷非情なマキャベリズムの実践者という視点で昭和天皇を考えると、彼はスターリンや毛沢東を凌駕する20世紀の最も非凡な統治者だったと手放しに評価できる。
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