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メルカリともヤフオクとも違う戦略で勝つ! 海外ファッション通販NO.1「BUYMA」 のつくりかた

コロナ時代に大きく躍進する業種として挙げられる、Eコマース。なかでも、いち早く2005年からサービスを開始し、海外ファッションに特化することで他社の追随を許さないほど儲かってる通販サイトが「BUYMA」です。

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「BUYMA」は、世界各国にいる出品者と海外の商品を買いたい会員をつなぐサービス。「パーソナルショッパー」と呼ばれる出品者は世界163ヵ国に約15万人いて、会員数は約758万人います(2020年4月時点)。

BUYMAを運営する、エニグモが2020年3月に発表した2020年1月期通期決算では、売上高60億9,700万円(前期比+15.4%)、営業利益26億9,200万円(前期比+25.6%)という前期から2桁増収増益と絶好調

新型コロナの影響で各国からの国際郵便が止まった今年4月には、総取扱高が前年の78%まで落ちたものの5月には前年比103%まで回復6月の総取扱高は前年比130%(6月10日までの数字)と、再び儲かり始めています。

サービスをスタートしたアイデアや仕組みのつくり方、運用のポイント、儲かりの秘訣、今後について、起業を目指す人へのアドバイスもエニグモ須田将啓社長にインタビューしました。番組チーフディレクターの大松雅和(オーマツ)が迫ります。

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須田 将啓(すだ・しょうけい)
株式会社エニグモ代表取締役 最高経営責任者。1974年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。2000年に博報堂に就職。2004年、同僚だった田中禎人氏とともにエニグモを創業し共同最高経営責任者に就任。翌年2月から世界各国にいるバイヤーと買いたい人をつなぐサービス「BUYMA」をスタート。海外旅行者に在住する日本人が現地でのプライベートツアーを提供できる「BUYMA TRAVEL」や、ファッションメディア「STYLE HAUS(スタイルハウス)」なども展開中。

コロナ禍も「配送方法の切り替え」で即回復

大松雅和(以下、オーマツ):BUYMAのサービスは年々右肩上がり、がっちり儲かっていらっしゃいます。サイト内での売買が増えれば増えるほど、会社も儲かる仕組みですよね。

須田将啓 エニグモ代表取締役最高経営責任者(以下、須田。敬称略):Eコマース事業全体の調子が良く、伸びているところは3倍、4倍ととてつもない。そこと比べるとウチはまだまだですけれども、追い風です。

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須田:われわれの売上げのほとんどは、サイト内で発生する手数料で成り立っています。BUYMAでは、商品を買う場合(購入者)も、販売する場合(出品者)も、登録はすべて無料。登録費や年会費などは一切かかりません。

実際の取引(商品を買う・販売する)が発生してはじめて双方に手数料が発生します。商品を買う場合、購入者は消費税・決済システム利用料として商品価格の5.5%(税込)を支払ってもらっています。出品者は取引が成立したら、成約手数料として商品価格の5.5~7.7%(税込)をいただきます。それらの手数料がBUYMAに入る仕組みなので取引が増えれば会社の売上げも上がります

オーマツ:購買者層の内訳を教えてください。

須田:サービスを始めた当初は会員さんの9割が30代女性でした。8年前に上場した際の男女比は1:9で圧倒的に女性でした。そこから7年でメンズの売上げが10倍以上になり、インテリアもファッションに次ぐ売上げの柱として育ち、いまの男女比は1:2ぐらいです。女性の内訳も10代20代から、ラグジュアリーな価格帯な商品もあるので40代50代の方まで幅広いです。

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オーマツ:コロナ禍で売上げの影響はありましたよね?

須田創業以来の窮地でした。われわれのサービスは売買が成立するとパーソナルショッパーさん(出品者)が国際郵便で発送してくださるのですが、国際郵便の荷物は一般の飛行機の空いているスペースに乗せます。ヨーロッパ全域のBUYMAの主要買付け都市がロックダウンで封鎖され、航空機の行き来がなくなって30カ国の国際郵便も止まってしまいました。つまり、われわれにとっての物流が止まってしまった。注文したものが届かない通販サービスってありえないですよね……。

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須田4月は総取扱高が前年比78%まで下がりました。

一方で、DHLやFedExなど民間の物流会社による配送網は通常通り機能していました。民間の国際宅急便は配送のスピードは速いのですが、ネックは値段が高いこと。幸い、われわれには自分たちの売買の仕組みがあったことで数社と交渉して割安な価格で配送できることになり、出品者さんに配送を切り替えてもらいました。

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物流を復活させることに成功し、5月には総取扱高が前年比100%を超えるまでに戻りました。6月の総取扱高は前年比130%(6月10日までの数字)、国際郵便も戻ったいまは時代の変化による追い風だけを完全に受けている状況です。

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出典:2021 1月期第1四半期決算 補足説明資料

「ヤフオクの逆」で差別化

オーマツ:エニグモを立ち上げたのが2004年です。ちなみに、『がっちりマンデー』が始まったのも2004年なんですよ。どんな経緯から始めたサービスなのでしょうか?

須田:2人で起業しました。もう1人は帰国子女で、アメリカで3万円で買えるものが日本だと3倍以上することに疑問を抱いていました。海外に友だちがいないと安く買える機会がない。海外にいる人たちでネットワーク=マーケットプレイスを作ることに可能性があるのではないかと考えたのが始まりです。世界中のあらゆるものが並ぶサービスってワクワクするじゃないですか。

オーマツ:その当時、同様のサービスは世の中にありましたか?

須田:海外に特化したサービスはありませんでしたが、ヤフーオークションで個人的にやっている人はいたので需要は絶対あるだろうと。ちょうどヤフオクもトラブルが相次ぎ始めていました。トラブルの理由は主に2つ。

1つは、お金を払ったのに商品が届かない詐欺など決済周りのトラブル。2つ目は、在庫を持たずに出品し、注文を受けたまま出品者が逃げる無在庫出品によるトラブルです。ヤフオクは、無在庫販売を禁止という対策をしました。そのタイミングで、われわれは逆に無在庫販売の形をとり、決済も我々がお客様と出品者の間に入る安心安全なシステムをつくりました。ヤフオクと違うところに自然と市場ができました。

オーマツ:創業と同時にサービスも2004年スタートですか?

須田:2005年の2月にスタートしました。ヤフーとの違いをちょっと戦略っぽく話しましたけど、あとづけです(笑)。なんでも世界中のものを買えるサービスを目指しているなかで、たまたまヤフーに無在庫販売の禁止・決済周りのトラブルがありました。自分たちのサイト内で売れるものに絞ってフォーカスした結果、取り扱うメイン商品がファッションアイテムになり高いものも売れるようになっていきました。

「売る側の視点」に注力したサービス

オーマツ:無在庫販売は、なかなか思いつかないと思います。

須田:出品者さんがリスクなく儲かるようにしたい想いがありました。われわれがこだわったのは、お金が安心して支払われることや無駄な在庫を抱えて失敗しないことです。売る側の立場で考えたときに、儲からなかったらやらないよね、と。買う側ではなく売る側の視点で考えたサービスですね。

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オーマツ:売る側の儲かりを重視したわけですね。

須田:最初のコンセプトは『誰でもバイヤーになれるBUYMA』でした。

サービススタートして間もないころ、僕は浅草で「侍」と書いてあるTシャツを見つけては写真を撮りました。1000円で買って2000円で送る形で、「これ売れそうだな」というアイテムを次々とサイトにアップしました。そこから売る側の視点に寄っていたのです。リスクなく損もせず、安心して売れることを追求したら、お金面で苦労しない仕組みをつくることになり、無在庫でも販売できるようになっていきました。

ファッションに特化した背景

オーマツ:「世界中のあらゆるものが並ぶサービスを目指していた」とおっしゃいました。現在はファッションがメインです。実現が難しかった理由を教えてください。

須田個々の出品者がサイトで売れるものがわからない、というのが1番の理由です。

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☑ コロナ前後で売れ筋変化
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編集/コルクラボギルド(平山ゆりの、文・木村美世、写真・中矢奏美、デザイン・ペー)

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