見出し画像

高度人材になりきれない外国人にはどういう選択肢があるのかという話

経産省の「未来人材ビジョン」レポートが出ました。
日本人は、自分の勤め先に不満があり、ずっと働き続けたいとは考えていないが、転職するつもりも、起業するつもりもない、というレポートでちょっと話題になっています。

今の職場に満足していないし
ここでこのまま働き続けたいと思わないのに
転職や起業をしたいとも思わない

個人的に若い頃企業で働いた時のことを振り返ると、チャレンジをするよりも失敗しない方がメリットが大きかったのでよく理解できます。

しかし、グローバルでの状況整理とスタートアップを語ってるのに、参画者やスピーカーにスタートアップの人も外国人もいません。

この方々は誰も悪くないと思いますが、スタートアップ/外国人はどこに?

「若者のxx離れ」に近しいものがあって、責任をスタートアップに押し付けてるように見えます。

高度人材のサイコグラフィックを正しく理解できているか?

かたや、これを書いている私は、ITでスタートアップで外国人で30代前半で、労働力のど真ん中です。

同世代の日本人平均より2倍以上の税金額を払っているにも関わらず、高度外国人認定はされていないし、永住権も未だに付与されていないようなルールであります。

日本に居住している高度人材外国人のサラリーマン系の人がどんなルールになっているのか、一部記載します。

日本の高度人材制度とは

日本の高度人材は点数制で認定されます。

いろいろな条件があるんです

点数制自体は普通です。
例えばシンガポールは、高度人材じゃないとそもそもビザが出ず就労入国もできなかったりするので、まだマシな制度と言えます。

点数表の内容を見てみると、つまりは「高学歴で、先端技術を持っていて、高収入で生活が安定している人は高度人材である」という認定です。
高度人材認定をされると、永住権取得が楽になったり、特別に住宅ローンなどが組めたりしますが、残念ながらそのレベルの高度人材はそもそも日本を選びません。

高度人材でない外国人は、就労ビザで働くことになります。
長く働いて永住権を取得した後は自由に経済活動をするのが一般的なルートになります。

日本の永住権とは?

次に、日本の永住権申請の条件です。

引き続き10年以上在留。若者の10年は長いです。

まず、10年間も「引き続き在留」しなければいけません。
外国人は仕事で海外駐在になることもありますが、住所を引き払って現地事務所に出てしまうと、引き続き在留したことにはならないため、0から再スタートになります。私はこの罠にかかりました。

若者の1年って、長いです。
1年もあれば多くのことが学べ、おじさんの3倍以上のスピードで吸収できます。例えば英語だってペラペラになれる可能性が高いです。

また、10年前は先端技術だった技術が、永住権を取得する頃にはすでに枯渇している可能性があるのが現代。
未来ある若者を10年もロックするのは、あまりに現実離れしていると感じます。

日本は高度人材を自ら潰していないか

先述した通り、本当に高度な人材は日本には来ません。
そういう状態で生きる術があるとしたら二つの選択肢が考えられます

  1. 今は高度ではないけど、地頭が良くて稼いでくれて安定的に税金を払ってくれそうな人を優遇してみる

  2. グローバル世界での介護施設のポジションを取り、本当に高度で働く必要がない人のリタイア国としての権利を提供

主権を持って経済立国する場合、2.は、プライド的にも難しい気がします。
となると私のように、「日本に来たけど燃え尽きて勉強のやる気を無くしてFランに言ってしまったけど大人になって結構稼げるようになった人」みたいな人も優遇してみて、ダメなら権利を取り上げるというような設計にしなければいけない気がします。

しかし、私のような外国人がスタートアップに入ってしまうと何が起こるでしょうか。
まず、単身で家を借りたい場合、名前が外国人というだけで3割は門前払いです。
誰も知らない会社名の場合、お金が払えたとしても賃貸の面談で落とされるか、保証会社を通して高額な保証料を要求されます。

住宅ローンは、借りられても利率が日本人よりも2%ほど高かったりするので、一括キャッシュで家を買えない場合、住所が持てない可能性もあります。

銀行口座を作りたい場合、電話番号が必要になります。
電話番号を取得しようとスマホショップに行くと、クレジットカードが必須となります。
クレジットカードを作ろうとすると、銀行口座と電話番号が必須です。

つまり、サポートしてくれる会社や知人がいない限り、まず経済活動のスタートに立てません。

「高度人材とはどういうことか?」をこの国が理解するには、もうしばらくかかりそうです。

未来人材ビジョンレポートはこちら
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf


<余談1>帰化はどうか?

帰化は、税金をしっかり支払いつつ「引き続き5年の居住」がされていれば申請することが可能とされています。
しかし、超大手ではない状況で申請した場合「永住権を取得した人が申請するものという暗黙の了解があります」と言われたりします。

そうそうこれこれ。暗黙の了解ね。日本ってそういえば、そうだったよね。という気持ちになれますので一度申請してみるのも良いかと。

<余談2>我が家はどうする?

私は日本人の妻と結婚しました。日本にも、連続ではないのですが長く住んでいます。
仕事を精力的にしており、できれば自分の仕事を通して日本がより良くなれば良いと思っています。
しかし、今まで日本が何かしてくれたかという目線を持つと、結構苦しい生活を余儀なく送ってきました。
自分が馬鹿だったこともあるのですが、特に手助けはなく、働かないおじさんにはチャレンジを潰された経験もあります。

そのため、日本のためになる仕事は引き続きがんばりつつも、次の移住先国を考え始めていたりします。
機嫌よく生きるための選択肢を、自分の手元に持っておきたいからです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?