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ChatGPTとクリエイティブのこれからを考えた話

5〜7月にかけて全3回、東京は赤坂Bizタワーの23階にある博報堂がコロナ禍に創ったUNIVERSITY of CREATIVITYにて、「マンダラセッション」なるワークショップをやらせていただきました!

我ながらよくやったなぁ・・・

で、今回はこの3回のワークを通じて、ChaGPTとかその他諸々のAIジェネレイティブツールが教育(共育)や、人の学ぶ方や働き方、果ては生き方にどう影響を与えていくのか?ということに対して僕が感じたこと、考えたことを綴ります。

【文脈なき音声言語が織りなす創発】

5月の初回ワークショップ。
実はこの初回日の数日前に、ChatGPTのアプリ版が出たんですよ。

このアプリ版、何がすごいってアプリに話しかけられること
僕はもともと拡張機能で音声を文字化してくれるようにはしていたのですが、このアプリ版はOpenAI社の音声文字起こしAI「whisper」が実装されているので、話しかけた時の文字認識が極めてやりやすい!実にきちんと聞き取ってくれて、なめらかに文字変換し、そして適切に返ってくる。素晴らしいことです✨

今だから言える裏話、僕は5月のワークショップをギリギリまでChatGPT君とどのようなワークにするか語り合っていました(笑)

結果的に5月のマンダラセッションは、このアプリのおかげでだいぶ盛り上がった訳です✨
この5月のセッションで僕が一つ、とても印象に残ったChatGPT君と人間の違い。それはChatGPT君は「聞き返すことをしない」と言うことなんです。僕ら人間側は、会話のキャッチボールでうまく聞き取れなかった・文脈に合わない音が耳に飛び込んできた場合にどうするか?多分聞き返すとか、確認をするとか・・・そうすることで正しく会話を成立させようとする。まあ、ある意味「空気を読む」わけです。

ChatGPT君はそれをしない。

滑舌悪いの人類側のせい。
僕には◯◯と聞こえましたので、その方向で!みたいな😂
で、その聞き間違え?から会話が思ってもみない方に向かっていき、それが新しいストーリーを創発する。そんな一見危うい、でもドキドキする面白さを感じた訳です。人間同士ではなかなかに難しいことだと思います。

【2100年に流行る日本の代表食って?】

6月のセッションは文字からイメージへ。
そしてそのイメージ≒画像生成で、2100年の国民食(アンケートの結果、カレーに決定)を妄想し、作るワークを行いました。使ったツールはreplicateやら MidJourneyやら。


2100年のカレーって…

6月の「AIと食のこれから」を考えるワークショップで印象に残ったこと。それは、最初は参加者の多くの方が、AIツールと共にある食の未来は個別最適化にある、と考えたこと。

その日の体温・脈拍・血糖値から、メンタルの状態まで自動的にチェックをしてくれて、個々の状況にあった最適な食事や飲み物を、自然と与えてくれる。場合によっては、強制的にセロトニンを出してくれ料理を運んできてくれる、と😂

この強制的最適化、捉えようによっては面白いですよね。
個人の健康状態や精神状態によって変えてくれるだけではなく、場合によっては違う国・違う宗教だけど、同じ釜のメシを食って同じような体験をしたい。でも宗教上食べれるものは異なってしまう。そこにAIツールが入ることで、あたかも同じものを食べているようで、実は個別に最適化され、且つ感動の共有が成立する。そんな未来も割と近いうちに実現するのかもしれません。

でもですよ?

「食のこれから」は、本当に最適化だけが未来なのでしょうか?無性にジャンクなものが食べたくなる時ありません?

悪いとわかっているのに、やめられない(笑)

この未来の食に関するワークショップ、複数の角度から食のこれからを考えさせられたなぁ・・・と振り返って思うのです。食に関して、世界の情報や文化や知識が溶け合っていく未来。

例えば国特有の食文化自体、溶け合ってなくなっちゃうのかな?個別最適化されることが食の未来ならば、国の文化や職人のこだわりが光るコース料理って、その価値を失っちゃうのかな?

AIや技術は常に正解を秒で持ってくる訳ですが、
でもその正解は人類を幸せにするのでしょうか?
第2回が終わって、そんなことを強く考えるようになりました。


【ドラえもんは全知全能の神なのかもしれない】

2023年の春にシンギュラリティが来てしまった、と言う人は少なくありません。確かに技術進化が異常に早い。このペースで行くと、この先さらに四半世紀後・半世紀後はどうなっているか?

ソガ氏(よし、第3回のテーマのスタートはドラえもんを使おう)

唐突にそんなことを考えました(笑)
なぜか?

2112年9月3日にドラえもんが生まれる(作られる?)わけです。今のこのペースで行くと、2112年くらいには、ドラえもんは既に神か何かに匹敵しているんじゃないか?(笑)

結構本気で考えてしまうのですよ。
往年のドラえもんの歌は、冒頭にお馴染みのあの歌詞がやってきます。

あんなこと良いな できたら良いな あんな夢こんな夢一杯あるけど
みんなみんなみんな叶えてくれる 不思議なポッケで叶えてくれる

この歌詞、ちびっ子の頃のソガ氏は憧れたものです。
でも冷静に考えると・・・なんでも叶えてくれること前提にすると、本当に人は「あんなこと良いなー」と思えるのでしょうか?どうせすぐ叶うものを切望できるか?これはなかなか難しい問いだと思いました。

なんでも叶えてくれる未来。
人は何に感動し、喜びを共有できるようになっているのでしょう?


【欲と衝動のノスタルジー】

ChatGPTは、ゴールと成果物がわかれば、プロセスが曖昧でもすぐに答えを出してくれます。そしてなんでも生み出してくれます。更に危険を先回りしてくる。甘やかしてくれる。

そんな未来で人は何を欲するようになるのでしょう?

この問いは先のドラえもんの世界観にとても似ていると感じます。
何一つ不自由のない社会で自由を本当に感じるか?
自由すぎて安心すぎるから欲が生まれない。
この状態を幸せと呼ぶ人がどれくらいいるのでしょう?

渇望感はクリエイティビティの源泉。
あくなき好奇心もまた然り。
それらはある種の不自由な空間と、今ここにある何気ない体験から生まれることが多いと思うのです。ChatGPTを始めとするAIジェネレイティブツールは、使い方によってはそうした、いわば「欲と衝動」を綺麗に巻き取っていってしまう。

大人はまだ良いかもしれないです。
でも、GPTネイティブにはどんな未来が待っているのでしょう?
教育の現場・学びの機会でChatGPTを使うのはいけないとか、そういうありがちな意見をしたいわけではありません。

「創造性のこれから」を何で、どう育み守るか?

それを問われているような気がしてならないのです。

【丁寧に時間をかける・体験することの価値】

僕らは想像力で不自由や抑圧を解放する工夫を創造してきました。
その行き着く先に、不自由や抑圧からの解放の代償として創造力が消失してしまう未来を、漠然と憂い始めたのが今なのかもしれません。

AIクリエイティブツールによって、果てしない可能性が広がるはずの未来にどこか不安を覚えて、欲と衝動のノスタルジーに恋焦がれる僕らは、再び不自由さの中から創造力を磨く体験そのものに感動を覚える未来が待っているのかもしれません。

理不尽に怒りを振るわせる思いを愛すること。
苦しみ抜いて、何日も考え抜いて出した答えに魂込めて、鼓動が震える瞬間に花束を送ること。人を好きになって心躍る時を大切にすること。

それらをAIと共に分かち合い、より健全で素敵な意志決定を、AIと共に創っていくこと。それも生っぽく、しっかりと時間をかけて。絶対的な正解は無い中で、人が本能的に欲するのはそんな未来だな・・・と、3回のワークショップを通じて、ぼんやりとですがそんか答えが僕の眼前に現れたのです。

【AIと紡ぐ創発のこれから】

思うにAIは、やっぱりロボットみたいで、人間の代わりに難しい計算をしたり、困ったときに何んでも助けてくれる存在。だからこそ「ドラえもんのような未来」を、僕たちはぼんやりと考えてしまうのかもしれません。

でも、これから僕たちが紡ぐ未来を妄想すると、ドラえもん的なAIはちょっと違うのかもしれません。一緒に冒険を、生きることをそのものを考えたり、楽しんだりできる身近な存在に、どれだけ近づけるかが鍵なのかも。

眼前のChatGPTのようなAIは、「ドラえもん」みたいに我々の困った問題を解決してくれる存在。でも、創発の未来を思うと「これからのAI」は、さながら「のび太」のように、困った問題を一緒に考え、一緒に冒険をするパートナーになるのかもしれない。そうなると人間側のワクワクと感動は思いも寄らないところから顔を出すかもしれません。

ただ座って答えや最適解を待つだけじゃなく、僕たちがそれぞれ自分自身の思考を深め、創造性を広げ、新たな可能性を探求するために自分で舵を握る。それを実現するために、ChaGPT君の声を聞く。

そんな未来は、すでに始まっている。
3回のマンダラセッションを振り返り、改めて思うことです。

進化するAIクリエイティブツールからあなたに発せられる問いはどのようなものなのでしょう?

その問いから始まるイマココの体験を、新しいワクワクに変えていきましょう!

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