古典が分かれば中国が分かる

昔は四書五経が侍の一般教養だった。
それどころか理解し実践すれば東アジア全域で共通し、尊敬される実践理論だった。
中国では長く科挙という官僚登用試験の内容となり、政治、思想、社会、制作の実践に至るまで体系化されており、四書五経を習得していれば筆談で会話できた。

西洋の産業革命以降、帝国主義と植民地時代となり、中国古典もまた置き去られた。勉強する知的体系が変わってしまった。しかしその位置づけは中国においてはそれほど変わらない。
共産党のリーダーであった毛沢東は富農の生まれであり、共産主義というイデオロギーも学んだが、どちらかというと四書五経を学び行動原理としている。

翻って現代の中国においても、その政治行動を見ていると古典に忠実であることが分かる。ここでは歴史も含むが、
・対少数民族
・100年かけて中国化する手法
・静に侵略する文化戦略
・少しずつ削り取り既成事実を積み重ねる領土戦略

などほとんどこれまでと変わらないだろう。

古典なんて古臭い、と思うかもしれないが、人間社会が欲望や不安、様々な社会事象に直面し大きく変わらない限りは、人間と社会を研究し尽くした中国古典は現代でも最良のテキストである。

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